エフィカシーとは?自己効力感が高い人の特徴や効果的に上げるコツを解説
公開日:2023年09月07日
更新日:2026年03月06日
この記事に書いてあること
従業員が着実に強みや能力を発揮し、組織全体の成長を加速させていくにはどうすればいいのか、悩んでいる経営者や人事担当者の方は少なくないでしょう。こうした人材育成や組織の持続的な成長に関する課題解決につながる考え方として注目されているのが「エフィカシー(自己効力感)」です。
この記事では、エフィカシーの基本的な考え方や自己効力感が高い人に多く見られる特徴、組織にもたらすメリットと注意しておきたい点をわかりやすく解説しています。チーム全体で効果的にエフィカシーを上げるコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
エフィカシーとは
はじめに、エフィカシーの基本的な意味や「自己肯定感」との違いについて解説します。
自己効力感を表す言葉
エフィカシーとは、「自己効力感」とも呼ばれ、心理学者アルバート・バンデューラが提唱した考え方です。
自己効力感とは、簡単にいえば「自分ならこの行動をやり遂げられる」と信じられる感覚のことを指します。
私たちは何か行動を起こそうとするとき、「やったらどんな結果になりそうか」だけでなく、「そもそも自分にそれができそうかどうか」を無意識のうちに考えています。
自己効力感が高い状態とは、「自分には行動を起こし、最後までやり切る力がある」と強く感じられている状態です。
たとえば、「私が行動したら何が起きるのだろう?」と考えたとき、失敗へのおそれや不安が大きいと、行動を控えてしまいがちです。
一方で、「自分ならきっとやり遂げられる」「行動すれば前に進めるはずだ」という思いが不安を上回っていれば、自然と一歩を踏み出せるでしょう。
このように、自信をもって行動できる感覚こそが、自己効力感(エフィカシー)です。
自己肯定感との違い
自己効力感と似た言葉に自己肯定感があります。
自己肯定感とは、これまでの自分自身を振り返り、「これでよかった」「私はこのままでいい」と受け止められている状態を指します。たとえば、自分の性格や過去の経験について肯定的に捉えられていることが、自己肯定感の一例です。
一方、自己効力感は「これからの自分」に向けられた感覚です。
これから行動する場面で、「自分にはできる力がある」「自分の行動は周囲に良い影響を与えられる」と信じられている点が、自己肯定感との大きな違いといえるでしょう。
つまり、自己肯定感が過去から現在の自分を支える感覚であるのに対し、自己効力感は未来の行動を後押しする感覚だと整理できます。
3タイプの自己効力感
自己効力感は、文脈によっていくつかのタイプに分けて説明されることがあります。代表的な例として「自己統制的自己効力感」「社会的自己効力感」「学業的自己効力感」の3タイプがあります。
自己統制的自己効力感
自己統制的自己効力感とは、自分の能力を正しく理解し、発揮するための自己効力感のことです。根拠のない自信をもっている状態ではなく、自分自身をメタ認知し、冷静に客観視できているからこそ得られる自信と言い換えられるでしょう。
なお、エフィカシーという言葉がこの「自己統制的自己効力感」の意味で用いられているケースが多く見られます。新たな挑戦をしたり、失敗しても果敢に再挑戦したりするには、自己統制的自己効力感が必要になるからです。
社会的自己効力感
社会的自己効力感とは、対人関係における自己効力感のことを指します。コミュニケーションや関係構築に関する自己評価が高く、自信をもって人と接するタイプの人のことです。社会的自己効力感が高い人は人間関係を自然と楽しめる一方で、低いタイプの人は人間関係に大なり小なりの苦手意識を抱いているケースが少なくありません。
学業的自己効力感
学業的自己効力感とは、学習を通じて必ず理解できるようになると捉える自己効力感のことです。学生時代に学業成績が良好だったタイプの人や、学習によって成果を出した経験がある人に多く見られます。学業的自己効力感が高い人は学びによって得られる成果だけでなく、学びそのものへの満足度が高いため、新しいことを学び続けるモチベーションが持続しやすいのが特徴です。
自己効力感が高い人に見られる特徴

自己効力感が高い人には、共通した特徴が見られます。ここでは、代表的な6つの特徴を紹介します。
物事をポジティブに捉える
自己効力感が高い人は、物事をポジティブに捉える傾向があります。困難な状況に遭遇したり、挑戦した結果失敗を経験することになったりしても、自分が置かれた状況を前向きに捉えられるのが特徴です。たとえ失敗してもそこから得られる学びがあると考えるため、心が折れてしまうことなく挑戦を続けられます。
当事者意識を強く抱いている
人任せにせず自分で物事を解決しようとすることも、自己効力感が高い人の特徴です。自分で物事に対処できるという自信があるため、人を頼ることなく主体的に判断・行動します。また、自身が行動することによって目標を達成すべきだ、といった責任感を自然と抱くのも特徴の1つです。結果として、当事者意識が強い人という印象を周囲に与えます。
成功体験が豊富にある
過去に成功体験が多くあることも、自己効力感が高い人に見られる傾向です。そもそも挑戦する頻度が高く、創意工夫を重ねて挑戦を続けた結果、成功できたという経験が必然的に増えていきます。成果が出れば自身の能力に対する自信も強化されるため、さらに自己効力感が高まるという好循環が生まれやすいのです。
良好な人間関係を構築できる
周囲の人々と良好な人間関係を構築できることも、自己効力感が高い人の特徴といえます。自分を周囲と比較したり、他人を嫉んだりすることが少なく、相手を尊重した自然なコミュニケーションを図れるからです。周囲から見ると、自己を確立している成熟した人として映るケースが少なくありません。
ストレスを自己管理できる
セルフマネジメントができており、ストレスに強いことも特徴の1つです。成功のイメージが明確にあるため、たとえ成果が上がらなかったり壁が立ちはだかったりしても、「どうすれば解決できるのか」を優先して考えられます。結果としてストレスに埋もれることなく、解決に向けたアクションを最短距離で導き出せることが強みです。
高い目標を掲げて努力する
自ら高い目標を掲げて努力を続けられることも、自己効力感が高い人に見られる傾向といえます。必ず達成できるという自信があるため、高い目標を立てることに対して腰が引けません。周囲から見ると、目標達成に向けて努力している過程そのものを楽しんでいるように映るでしょう。
自己効力感が高い人が組織にもたらすメリット

自己効力感が高い人が職場にいることで、組織は多くのメリットを得られます。具体的なメリットとして挙げられるのは次の3点です。
高いモチベーションが周囲に伝播する
自己効力感が高い人材には積極性があり、物事をポジティブに捉えることから、チーム全体のモチベーションが向上します。あまり自信がないタイプのメンバーも、前向きな言葉や姿勢に触発されて視線が上を向きやすくなるからです。結果としてチームの動きが活発化し、パフォーマンスが向上する効果が期待できます。
生産性の高いチームを構築しやすくなる
自己効力感が高い人材が加わることで、チーム全体の生産性が向上します。解決が困難な状況に直面した際にも、不満や愚痴を言うのではなく「自分に何ができるのか」を最短距離で考える習慣が身につき、時間やエネルギーロスが生じにくくなるからです。こうした空気がチーム全体に伝播することにより、チームとしての生産性も必然的に高まっていくでしょう。
良質なコミュニケーションが促される
チーム内の良質なコミュニケーションが促されることも、自己効力感が高いメンバーが加わるメリットです。各メンバーが堂々とコミュニケーションを交わす習慣が身につき、お互いに不必要な遠慮をしなくなることで、本心から発言し合えるようになります。また、メンバー同士が尊重し合う関係を築き、良好な人間関係を形成しやすくなることも大きなメリットといえるでしょう。
自己効力感が高い人材に関する注意点

自己効力感が高い人材が組織に在籍していることには多くのメリットがある反面、注意が必要な側面もあります。
捉え方には個人差があることを念頭に置く
常に物事をポジティブに捉え、積極的に行動する人がどう映るのかは人によってまちまちです。自信に満ちた言動が負担に感じられたり、自分と比較して自信をなくしてしまったりする人もいるかもしれません。自己効力感の高い人材が所属するチーム内で浮いた存在にならないよう、配属先との相性を考慮するのが望ましいでしょう。
ブレーキ役が必要になる場合がある
自己効力感の高い人材には、状況によってブレーキ役が必要になることもあります。自身の能力を過信して無謀な挑戦を始めたり、周囲のメンバーを軽視しているように映ったりすることもあり得るからです。適宜フィードバックを行うなどして、現実的な課題を提示していく必要があるでしょう。また、定期的に振り返りを促すことで、周囲のメンバーがどう感じているのかを考えてもらう時間を設けるのも1つの方法です。
チーム全体で効果的に自己効力感を上げるコツ5選

自己効力感は本人の経験や性格といった要素が複雑に絡み合って形成されるものです。そのため、全従業員の状態を短期間で一気に高めるのは現実的とはいえません。まずはチーム全体で「行動できる感覚」を少しずつ底上げしていくコツを押さえておきましょう。
小さな成功体験を積み重ねる
成功体験を積み重ねることは、自己効力感を高めるための重要なきっかけといえます。ただし、はじめから大きな成功体験を追い求めてしまうと、大きく失敗するリスクも高まりがちです。最初から高すぎる目標を掲げるのではなく、少し頑張れば達成できそうな目標を設定するとよいでしょう。小さな成功体験を積み重ねていくことが、次第にチーム全体の「必ずやり遂げられる」という自信へとつながっていきます。
ロールモデルを設定する
ロールモデルを設定し、代理経験を重ねることで自己効力感を高めるのも1つの方法です。各メンバーに目標とする人を設定してもらい、その人物の挑戦を間接的に体験することにより、成功のイメージがつかみやすくなります。ロールモデルとして設定するのはチーム内・チーム外のいずれでも差し支えありません。目標に向かって挑戦した結果、「実際に成功できる」という事実を間接的に経験してもらうことが重要です。
前向きになれる働きかけをする
メンバーが前向きになれるよう、環境づくりや声がけをしていくことも重要なポイントです。各メンバーが長所や強みを発揮し、さらに伸ばしていけるよう、人員配置を工夫しましょう。また、たとえ小さなことでも自身の能力や努力が認められたという経験をしてもらうことが大切です。小さな自己効力感を各自が培っていくことで、チーム全体の自己効力感が徐々に高まっていきます。
自己研鑽の機会を提供する
各メンバーに成長を実感してもらうために、自己研鑽の機会を提供することも大切です。たとえば、新たなスキルや知識の習得に役立つ福利厚生制度を提供したり、各自の裁量で自由に活用できる時間を業務時間内に設けたりする方法が考えられます。自分の意思でスキルアップや知識の強化を試み、成長を実感してもらうことが自己効力感の向上へとつながっていくでしょう。
目標を各自で決めてもらう
トップダウンで目標を示すのではなく、メンバーに各自の目標を決めてもらうのも1つの方法です。リーダーや管理職はチームのミッションを示し、メンバーにはミッションを達成するための目標を自ら考えてもらうといった方法が考えられます。与えられた目標ではなく、自ら設定した目標を達成した経験を積み重ねてもらうことが、自己効力感を高めるための素地となっていくでしょう。
エフィカシーを醸成して組織を活性化させよう
エフィカシー(自己効力感)と聞くと、本人の思考の癖や性格といった要素に目が向きがちです。しかし、小さな成功体験を積み重ねていく中で、少しずつ自己効力感を高めていくことは決して不可能ではありません。何事にも自信をもって前向きに取り組めるチームづくりを通じて、自走できる強い組織の構築を目指してみてはいかがでしょうか。
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記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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