情シスの生産性を向上!属人化と業務過多から脱却する5つの方法
公開日:2026年04月08日
この記事に書いてあること
情シス(情報システム部門)担当者の皆様、日々の業務本当にお疲れ様です。社内のITインフラを守り、社員からの問い合わせに対応し、さらには経営層からDX推進という難題を突きつけられてはいないでしょうか。やるべきことは山積みであるにもかかわらず、突発的なトラブル対応やヘルプデスク業務に時間を奪われ、本来注力すべき「攻めのIT戦略」になかなか手が回らないというのが実情かもしれません。
慢性的な人手不足と拡大する業務範囲に挟まれ、チーム全体が疲弊してしまう前に、現状の働き方を見直す必要があります。生産性を向上させることは、単に残業時間を減らすだけでなく、情シス部門が企業価値を高めるための戦略的な組織へと生まれ変わるための第一歩です。
この記事では、情シス部門が抱える生産性低下の根本的な原因を解き明かし、明日からでも実践できる具体的な5つの改善手順を解説します。実際に業務効率化に成功した企業の事例も交えて紹介しますので、ぜひ自社の課題解決にお役立てください。
情シスの生産性が上がらない根本的な原因とは?
多くの情シス担当者が「忙しい」と感じている背景には、構造的な問題が潜んでいます。個人のスキル不足や努力不足ではなく、組織の体制や業務の性質そのものが生産性を阻害しているケースが大半です。まずは自社の状況を客観的に把握するために、主な原因を見ていきましょう。
以下の表は、情シスの生産性を低下させる主な要因と、それが引き起こす具体的な影響を整理したものです。
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要因 |
具体的な状況 |
業務への悪影響 |
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突発対応 |
パスワード忘れやPC不調などの問い合わせ |
集中力が途切れ、計画的な業務が進まない |
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人手不足 |
専任者が少なく、一人が複数の役割を兼務 |
特定の人に負荷が集中し、ボトルネック化する |
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範囲不明確 |
「電球交換」などITに関係ない雑務まで依頼される |
本来の業務時間が削られ、専門性が活かせない |
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属人化 |
特定の担当者しかシステム仕様を知らない |
担当者不在時に業務が停止し、引継ぎも困難 |
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レガシー |
古いシステムの保守に手間がかかる |
新技術の導入が進まず、保守コストが増大する |
【関連記事】バックオフィス業務のDX化とは|DX化が必要な背景や得られる効果、注意点などを解説 | 働き方改革ラボ | リコー
問い合わせ対応に多くの時間が割かれる
情シスの生産性を下げる最大の要因の一つは、社員からの問い合わせ対応です。「PCが起動しない」「パスワードを忘れた」「プリンターがつながらない」といった初歩的な質問が、電話やチャット、直接の訪問などあらゆる手段で寄せられます。
これらの対応は一件一件の時間は短くても、一日に何度も割り込まれることで作業の集中力を著しく低下させます。その結果、本来集中して取り組むべきシステム企画や検証作業が細切れになり、トータルの生産性が下がってしまうのです。
慢性的な人手不足で業務過多である
多くの中小・中堅企業では、情シス部門の人員が必要最小限、あるいはそれ以下に抑えられています。「ひとり情シス」と呼ばれる状況も珍しくありません。システム運用からヘルプデスク、セキュリティ対策、資産管理まで、あらゆる業務を少人数で回さなければならないため、物理的に手が足りていないのが現状です。
新しい技術の学習や導入検討をしたくても、目の前の業務をこなすだけで精一杯という状況が続き、業務改善のサイクルを回す余裕がなくなっています。
業務範囲が曖昧で際限なく拡大する
「PCを使うことなら何でも情シスの仕事」という誤った認識が社内に浸透していることも問題です。例えば、複合機の用紙補充や電球の交換、個人のスマートフォンの設定など、本来情シスが対応すべきではない業務まで依頼されることがあります。
業務範囲の線引きが曖昧なままだと、便利屋のように扱われてしまい、専門性を活かした付加価値の高い業務に時間を使うことができません。際限なく増える雑務が、生産性向上の大きな足かせとなっています。
業務プロセスが属人化してしまっている
「このシステムのことは◯◯さんしか分からない」という属人化も深刻な課題です。マニュアルが整備されておらず、トラブル対応の手順やシステムの設定が個人の頭の中にしかない状態です。
これでは、担当者が不在の時に業務がストップしてしまいますし、退職時の引き継ぎにも膨大な労力がかかります。また、特定の担当者に負荷が集中するため、その人がパンクすると部門全体の機能不全に陥るリスクもあります。知識の共有不足は、組織全体のパフォーマンスを大きく下げる要因です。
レガシーシステムの運用保守に縛られる
長年使い続けている古いシステム(レガシーシステム)の維持管理も、情シスのリソースを圧迫しています。老朽化したシステムは頻繁に不具合を起こしやすく、その対応に追われることになります。
また、古い技術に対応できるベンダーや技術者が減少し、保守コストが高騰することも少なくありません。新しいシステムへの移行には一時的なコストと労力がかかりますが、レガシーシステムを使い続けることで発生する運用負荷は、長期的に見て生産性を大きく損なう原因となります。
情シスの生産性を向上させる5つの具体的な方法
現状の課題を打破し、生産性を高めるためには、場当たり的な対応ではなく計画的な業務改善が必要です。
ここでは、着実に成果を出すための5つのステップを紹介します。まずは現状を可視化し、コア業務とノンコア業務を分けることから始めましょう。
手順1:現状の業務内容をすべて洗い出す
改善の第一歩は、自分たちが「何に」「どれくらいの時間を」使っているのかを正確に把握することです。一週間から一ヶ月程度、メンバー全員がどのような業務を行い、それに何分かかったかを記録します。
問い合わせ対応、サーバー監視、会議、資料作成など、すべての業務をリストアップしましょう。感覚ではなく事実に基づいて業務量を可視化することで、どの業務がボトルネックになっているか、削減できる無駄がどこにあるかが明確になります。
手順2:コア業務とノンコア業務を仕分ける
業務の洗い出しができたら、それぞれの業務を「コア業務」と「ノンコア業務」に分類します。コア業務とは、IT戦略の立案や基幹システムの刷新など、企業の成長に直結し、自社の社員が判断・実行すべき業務です。
一方、ノンコア業務とは、PCのキッティングやアカウント発行、単純な問い合わせ対応など、定型的で誰がやっても結果が変わらない業務を指します。生産性を上げる鍵は、このノンコア業務にかかる時間を極限まで減らし、コア業務にリソースを集中させることにあります。
手順3:定型業務をRPAやツールで自動化する
ノンコア業務の中でも、手順が決まっている定型業務は自動化の最有力候補です。例えば、データの転記や集計、定期的なレポート作成などは、RPA(Robotic Process Automation)ツールを導入することで自動化できます。
また、アカウント作成や権限付与などのフローも、専用の管理ツールやスクリプトを活用することで、手作業によるミスをなくし、作業時間を大幅に短縮できます。人間がやらなくてよい仕事は機械に任せることで、情シス担当者は人間にしかできない創造的な業務に専念できるようになります。
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手順4:ヘルプデスク業務を外部に委託する
社内からの問い合わせ対応やPCのセットアップといった業務は、外部のアウトソーシングサービスを活用するのも有効な手段です。専門の代行業者に委託することで、社内の情シス担当者は突発的な割り込み仕事から解放されます。
アウトソーシング先はプロフェッショナルですので、対応品質の向上やナレッジの蓄積も期待できます。コストはかかりますが、情シス担当者が高付加価値な業務に集中できることによる利益や、採用コストとの比較で考えれば、十分に投資対効果が見込める施策です。
手順5:FAQシステムを導入し自己解決を促す
問い合わせそのものを減らすための仕組み作りも重要です。「よくある質問」と「回答」をまとめたFAQシステムや、社内ポータルサイトを整備し、社員が自分で問題を解決できる環境を整えます。検索性の高いFAQツールや、チャットボットを導入することで、情シスへの電話やメールの数を減らすことができます。
重要なのは、一度回答した内容は必ずドキュメント化し、誰もが参照できるようにすることです。これにより、同じような質問に何度も答える手間を削減できます。
なぜ今、情シスの生産性向上が必要なのか?

情シスの生産性向上は、単に情シス部門が楽になるためだけの施策ではありません。企業全体の競争力を左右する重要な経営課題です。デジタル技術がビジネスの成否を分ける現代において、情シスが本来の役割を果たせるかどうかが、企業の存続にも関わってきます。
コア業務へリソースを集中できる
情シスが定型業務から解放されれば、本来のミッションである「ITを活用した経営課題の解決」に時間を割くことができます。現場の業務フローを分析して改善を提案したり、データを活用して新規事業の立ち上げを支援したりと、攻めのIT活動が可能になります。
情シスが受け身の「何でも屋」から脱却し、ビジネスのパートナーとして機能することで、企業全体の収益向上に貢献できるようになります。
全社のIT戦略やDX推進を主導できる
多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を掲げていますが、その推進役となれるのはITの専門知識を持つ情シス部門です。しかし、日々の運用保守に忙殺されていては、新しい技術の調査や導入計画の策定を行う余裕がありません。
生産性を向上させ、リソースに余力を生み出すことで、初めて全社的なDXプロジェクトをリードすることが可能になります。競合他社に遅れをとらないためにも、情シスのパワーアップは不可欠です。
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システム障害やセキュリティリスクを低減
業務過多で疲弊した状態では、注意力が散漫になり、オペレーションミスや設定漏れなどのヒューマンエラーが発生しやすくなります。これはシステム障害や情報漏洩といった重大な事故につながるリスクを高めます。
業務を効率化し、余裕を持った運用体制を構築することは、セキュリティレベルの向上にも直結します。また、属人化を解消しておくことで、担当者不在時のトラブル対応も迅速に行えるようになり、事業継続性(BCP)の観点からも重要です。
従業員の長時間労働が是正される
情シス部門の残業が常態化している場合、生産性向上は労働環境改善の切り札となります。無駄な業務を削減し、効率的に働く仕組みを作ることで、長時間労働を是正し、ワークライフバランスを整えることができます。
これは社員のモチベーションアップやメンタルヘルスの向上につながり、結果として離職率の低下にも寄与します。優秀なIT人材を確保し続けるためにも、健全な働き方の実現は必須条件です。
企業の競争力が直接的に強化される
ITインフラは企業の神経系のようなものです。情シスの生産性が上がり、IT環境が最適化されれば、営業部門や製造部門など、他部署の業務効率も向上します。
例えば、使いやすいシステムや自動化ツールの導入により、全社員の無駄な作業時間が減れば、会社全体の生産性が底上げされます。つまり、情シスの生産性向上は、間接部門の改善にとどまらず、企業全体の競争力を高めるための強力なドライバーとなるのです。
生産性向上に成功した企業の取り組み事例

実際に業務改善に取り組み、大きな成果を上げた企業の事例を紹介します。自社に近い課題を持つ企業の取り組みは、改善のヒントになるはずです。ここでは、チャットボット、RPA、アウトソーシングという異なるアプローチでの成功例を見ていきます。
昭和鉄工:若手提案のAI導入で社内問い合わせ業務を効率化
若手社員で構成されたDX研究チームからの提案により、「RICOH Chatbot Service」を導入しました。スタッフ部門の業務効率化を目的として、社内ナレッジに基づく生成AIチャットサービスを選定しています。
これにより、社内からの問い合わせ対応をはじめとする一般的な業務効率化を、統一された環境で実現しました。ボトムアップの提案から新しい仕組みを活用し、組織全体の生産性向上を推進している事例です。
西武鉄道:チャットボット導入で電話対応30%削減と保守時間短縮
新技術を取り入れて業務の効率化を牽引する役割を担うなかで、「RICOH Chatbot Service」を導入しました。導入からわずか3ヶ月という短期間で、ヘルプデスク業務にかかわる電話問い合わせ数を約30%減少させています。
さらに、システムのメンテナンスにかかる時間も8分の1に短縮しました。問い合わせ対応と保守作業の両面から、ヘルプデスク全体の効率化を実現した好例です。
【関連記事】チャットボット導入によりヘルプデスク業務の全体の効率化を実現|RICOH Chatbot Service
佐川グローバルロジスティクス:手軽な運用でシステム問い合わせ時間を半減
複数のサービスを比較検討した結果、運用準備の手軽さを評価して「RICOH Chatbot Service」を導入しました。質問と回答のペアを登録するだけで利用を開始できる点が、採択の決め手となっています。
導入後は、社内システムに関する問い合わせ対応にかかる時間を半分に減らすことに成功しました。また利用者の満足度も70%を超えており、業務効率化と利便性向上を両立させている状態です。運用の負担を抑えつつ社内のサポート体制を改善し、組織の生産性を高めた事例と言えます。
【関連記事】チャットボットへの期待はまだまだ広がる!RICOH Chatbot Serviceをいつでもどこでも使えるツールに|RICOH Chatbot Service
まとめ
この記事では、情シスの生産性について以下のポイントを解説してきました。
- ・情シスの生産性が上がらない主な原因は、突発的な問い合わせ対応、慢性的な人手不足、業務の属人化にある。
- ・改善のためには、業務の洗い出しと仕分けを行い、RPAによる自動化やアウトソーシング、FAQシステムの活用を段階的に進めることが有効である。
- ・情シスの生産性を高めることは、担当者の負担軽減だけでなく、全社のDX推進や競争力強化に直結する重要な経営課題である。
まずは現状の業務一覧を作成し、ノンコア業務を一つ減らすところから始めてみてはいかがでしょうか。
情報システム部門の業務効率化には、チャットボットによる問い合わせ対応の自動化が有効です。導入によって得られる具体的なメリットや、各業界での活用事例をまとめた資料をご用意しました。社内外の対応を劇的に改善し、生産性を向上させるためのヒントとしてぜひご活用ください。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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