全業種対象

就活セクハラの実態と企業に求められる対策とは?

From: 働き方改革ラボ

2025年07月29日 07:00

この記事に書いてあること

\1分のフォーム入力で無料配布中!/

チェックリストで見直そう!
あなたの職場のコミュニケーション充実度

フォームよりお申し込みください

就職活動を行う学生や、インターン中の学生に対して性的な嫌がらせを行う「就活セクハラ」が問題視され、その防止を目的とした法整備も進められています。このコラムでは、そんな就活セクハラの実態や、企業に必要な対応を解説。就活セクハラの定義も含めて知りたい方や、採用に関するトラブルを防ぎたい企業のために、就活セクハラ防止の具体策をお伝えします。

就活セクハラとは?

就活セクハラとは、企業の新卒採用に応募する学生や、インターン中の学生に対して、企業の担当者やリクルーターが性的なハラスメントを行うこと。採用する企業側の優位的な立場を利用して学生に嫌がらせを行うという、許されない行為です。具体的には次のような言動が、就活セクハラにあたります。

  • インターン中や面談での性的な冗談やからかい
  • 学生に対する身体的接触
  • 学生に対する男女差別的な言動
  • インターンシップ中の学生を食事にしつこく誘う
  • 採用の見返りとして学生に不適切な関係を迫る
  • 面接で恋人の有無を確認する
  • オンライン面接中に全身を見せるように指示する

こうした就活セクハラを防ぐための法整備の動きもあります。20256月、参院本会議で、就活セクハラ対策を企業に義務付ける改正・男女雇用機会均等法が可決、成立しました。就活中の学生など、仕事を探す求職者に対するセクハラ防止の対策が、企業に義務化される見込みです。厚生労働省は、採用面談に関するルールの策定や、相談体制の整備・周知を企業に義務づける方向で検討を進めています。

就活セクハラの実態

厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査」(令和5年度報告書)によると、2020年~2022年度卒業で就職活動やインターンシップを経験した男女のうち、インターンシップ中にセクハラを経験した人は30.1%、インターンシップ以外の就職活動中にセクハラを経験した人は31.9%に上りました。

参考:「 職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します|厚生労働省

また調査では、就活セクハラを経験した人の心身への影響についても伝えています。就活セクハラを受けたことで、「就職活動に対する意欲が減退した」(インターンシップ中:34.6%、インターンシップ以外の就活中:40%)、「眠れなくなった」(32.5%、31.5%)、「怒りや不満、不安などを感じた」(30.3%、33.6%)と回答した人が多く、中には、「通院したり服薬をした」(18%、22.6%)、「入院した」(7%、7.2%)という回答もあり、就活セクハラが学生の健康や安全を大きく損なう事態が起きていることがわかります。

企業での就活セクハラ対策は進んでいる?

今後、企業に対して就活セクハラ防止策が義務化される見込みですが、現状、企業では就活セクハラ対策はどの程度、進んでいるのでしょうか。

厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査」(令和5年度報告書)は、企業の就活等セクハラの取り組み状況についても報告しています。調査の結果、就活生の相談に対応している企業は一定数あるものの、従業員規模1,000人以上の企業の42.1%が、就活等セクハラに対する取り組みは「特にない」と回答。300999人規模企業の48%、100299人規模企業の55.7%、99人以下規模企業の65.6%も同様に取り組みを行っておらず、全体平均で53%の企業が、積極的な対策をとっていないことがわかっています。

就活セクハラのリスク

就活セクハラは、これから社会に出ようとする学生の心身の健康を損わせるだけでなく、尊厳を傷付け、その先の道を阻む可能性もある悪質な行為です。一方で、就活セクハラの問題を放置することは、企業のダメージにもつながります。

就活セクハラが発生すれば、求職中の学生にセクハラを行う企業として知られ、社会的信用を失います。刑事責任の追及や損害賠償請求など、事件や裁判に発展する可能性もあります。

学生からのイメージが低下すれば、新卒採用の応募数も減少します。また、従業員のエンゲージメントの損失による生産性低下や人材の離職など、企業活動に影響を与えるリスクもあります。社会的な信頼の維持や従業員の安心のためにも、就活セクハラ対策が求められているのです。

\1分のフォーム入力で無料配布中!/

チェックリストで見直そう!
あなたの職場のコミュニケーション充実度

フォームよりお申し込みください

企業に必要な就活セクハラ対策

では、企業は具体的にどのように就活セクハラ対策を進めればよいのでしょうか。次のポイントを抑えて、防止に有効な取り組みを進めましょう。

禁止規定の明示と公正な基準に基づく採用活動

就活セクハラ対策を進めるにあたり、まずは全従業員に対して、セクハラを含む就活ハラスメントを禁止する方針を示しましょう。さらに、採用活動に関する行動規範や、ハラスメントの行為者に対する処分を含む規定を設けて、全社に周知します。

防止規定を明確にした上で、厚生労働省が勧める「公正な採用基準」に基づいた採用活動を行う方針を固めましょう。「応募者の基本的人権の尊重」「適正・能力に基づいた採用基準」という、公正な採用基準の考え方に従って採用活動を行うことで、不正行為を防ぎます。

面接官・リクルーター向けのマニュアルを整備

採用活動に関わる面接官やリクルーター向けに、ハラスメント防止に関する具体的な行動指針や禁止事項を記載したマニュアルを整備しましょう。公正な採用に関するルールや禁止行為についてまとめたリーフレットを作成して、配布する方法も有効です。社内報やポスターなどを活用して、従業員の間で、日頃からハラスメント防止への意識を高めることも大切です。

就活ハラスメント防止研修

就活セクハラを含む就活ハラスメント防止に関する研修を行って、採用に携わる全社員にルールを周知しましょう。就活セクハラに関するe-ラーニングの実施や、採用活動スタート前のタイミングに防止策をインプットする研修も有効です。

就活セクハラは、OB・OG訪問や面談など、社員がリクルーターとして活動する場で発生することが多いため、人事部以外の採用関係者に向けた丁寧な教育が大切です。

連絡につながる個人情報の限定利用

就活セクハラにつながる要因を取り除く取り組みとして、応募者の個人情報の限定利用も有効です。個人情報を悪用して応募者と接点を持つことを防ぐため、システム上の制限などで、面接官やリクルーターに対して情報の一部を非公開にします。応募者の住所や電話番号、メールアドレスなど、連絡がとれる情報を見られないようにすることで、就活セクハラの発生を防ぎます。

就活セクハラに関する相談窓口を設置

セクハラを含む就活ハラスメントが起きた際や、疑われる言動があった際に、学生が相談できる窓口を設けることも重要です。採用ページなどに、就活セクハラに関する相談先を明記して、学生がいつでも相談できる体制を整えましょう。

学生から相談を受けた際に、迅速に救済措置や改善などの対処を行うことも大切です。評価する側である人事部への相談をためらう学生のために、社外の相談窓口の設置も検討しましょう。

信頼と安心につながる就活セクハラ対策を進めよう

今後、就活セクハラ対策が義務化される見込みですが、今回、お伝えした理由や背景から、法律の有無に関わらず、企業には学生を守る取り組みが求められます。就活セクハラ対策は、学生に安心な採用活動だけでなく、全社のハラスメントに関する啓蒙やエンゲージメント向上、さらには取引先や顧客の信頼獲得にもつながります。ハラスメントのない社会の実現のためにも、自社にできる就活セクハラ防止の取り組みを進めましょう。

\1分のフォーム入力で無料配布中!/

チェックリストで見直そう!
あなたの職場のコミュニケーション充実度

フォームよりお申し込みください

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
「働き方改革って、こうだったんだ!」「こんな働き方、いいかも!」
そんなきっかけ『!』になるコンテンツを提供してまいります。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。

記事タイトルとURLをコピーしました!

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

働き方改革ラボに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

働き方改革ラボ

https://www.ricoh.co.jp/magazines/workstyle/

「働き方改革ラボ」は、よりよい働き方を目指す全ての方に、幅広いテーマで情報をお届けします。すぐに使えるお役立ち資料を是非ご活用ください。

新着情報をお届けします

メールマガジンを登録する

リコージャパン株式会社

東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル

お問い合わせ先:働き方改革ラボ 編集部 zjc_workstyle-lab@jp.ricoh.com