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請求書PDFは原本として扱える?電子帳簿保存法の要件と注意点解説

From: 働き方改革ラボ

公開日:2026年06月12日

この記事に書いてあること

請求書をPDF形式で受け取ったり送信したりする機会が増えるなか、「PDFデータは原本として扱えるのか」「紙に印刷して保管する必要はあるのか」と疑問を抱えていませんか。この記事では、電子帳簿保存法に基づき、PDFの請求書を原本として扱うための正しい保存方法や注意点を分かりやすく解説します。読み終わると、PDFの請求書を法律に沿って効率的に管理する手順が明確になり、毎月の経理業務へすぐに活かすことができます。 

請求書のPDFデータは原本として扱える?

紙ではなくメールなどで送られてきたPDF形式の請求書は、そのまま原本として扱ってよいのか不安に感じる方は多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、PDFでやり取りされた請求書は法的な原本として認められます。ただし、保存方法には法律で定められた明確なルールが存在します。この章では、PDF請求書の基本的な位置づけと、電子帳簿保存法による保存の決まりについて解説します。  

項目 

紙の請求書 

PDFの請求書(電子取引) 

原本の定義 

郵送や手渡しで受領した紙の書類そのもの 

メールやシステムで受領した電子データそのもの 

保存形式の原則 

紙のままファイルに綴じて保存する 

電子データのままパソコンやシステム内で保存する 

紙への印刷保存 

可能(そのまま原本として保管) 

不可(必ずデータとして保存する義務がある) 

データの法的な効力 

一定の要件を満たしてスキャンすればデータ保存可能 

電子データそのものが法的な原本として認められる 

【関連記事】PDFの請求書や見積書は 法的に有効か? | バックオフィスラボ | リコー 

PDF形式の請求書も法的に原本として認められる

取引先からメールに添付されて送られてきたり、クラウドサービスを通じてダウンロードしたりしたPDFの請求書は、法的に正式な原本として扱われます。従来は紙に印刷して社印が押されたものを原本とみなす風潮が根強くありましたが、デジタル化が進んだ現在では電子データそのものが原本として通用します。 

これは、国税関係書類の電子的な保存を定めている電子帳簿保存法という法律に基づいています。つまり、PDFで発行された請求書を受領した場合、紙の請求書とまったく同じように税務上の証拠書類として利用できるということです。発行する側が作成し送信した大元のデータが原本となるため、相手からPDFで受け取った場合はそのPDFデータそのものを大切に扱う必要があります。 

【注意】電子データのまま保存することが義務化されている

PDF請求書を原本として扱う場合に特に注意しなければならないのが、電子データのまま保存する必要がある点です。20241月以降、電子帳簿保存法の完全義務化により、電子データでやり取りした取引情報はそのままデータとして保存することが必須となりました。 

過去にはPDFで受け取った請求書をプリンターで紙に印刷し、紙の原本としてファイルに綴じて保管することが認められていました。しかし、現在のルールでは紙に印刷しての保存は原則として認められていません。データで受け取ったものはデータとして残すというルールが徹底されているため、自社の運用方法が古いままになっていないかを見直すことが重要です。 

PDF請求書を原本として保存するための2つの要件

PDFの請求書を電子データのまま保存する際には、単にパソコンのデスクトップに保存しておけばよいというわけではありません。電子帳簿保存法では、電子取引のデータを保存する際に守るべき重要な要件が2つ定められています。それが真実性の確保と可視性の確保です。この章では、それぞれの要件がどのような意味を持ち、具体的にどのような対応が必要になるのかを順番に解説します。  

要件の名称 

目的と意味 

具体的な対応方法の例 

真実性の確保 

データが改ざんされていないことを証明する 

タイムスタンプの付与や事務処理規程の作成を行う 

可視性の確保 

必要なデータを速やかに検索して確認できるようにする 

取引年月日や金額取引先名で検索できる状態にする 

真実性の確保によってデータ改ざんを防ぐ

真実性の確保とは、保存しているPDF請求書のデータが後から不正に書き換えられたり、削除されたりしていないことを証明するためのルールです。電子データは紙と比べて簡単に数字や日付を書き換えることができてしまうため、改ざんを防ぐ仕組みをあらかじめ用意しなければなりません。 

具体的な対応方法としては、いくつかの選択肢が用意されています。データにタイムスタンプを付与して変更履歴を残すというアプローチが一般的です。また、訂正や削除の履歴が残る専用のクラウドシステムを導入して保存する方法も有効となります。システムを導入するのが難しい場合は、改ざん防止のための事務処理規程を社内で作成し、そのルールに沿って運用するという方法でも真実性の確保を満たすことが可能です。自社の規模や予算に合った方法を検討して選ぶことが大切です。 

可視性の確保によって必要なデータをすぐに探し出す

可視性の確保とは、保存したPDF請求書のデータを、後から誰もがスムーズに閲覧でき、特定の条件ですぐに検索できるようにするためのルールです。税務調査が入った際などに、速やかに該当の請求書を提示できるようにしておく目的があります。具体的には、パソコンやモニター、プリンターなどを設置して、必要に応じてデータを確認・出力できる環境を整えておく必要があります 

さらに、日付、金額、取引先の3つの項目で請求書データを検索できる機能を備えておく必要があります。専用のシステムを利用すれば検索要件は簡単に満たせますが、システムを使わない場合も代替の手段が認められています。例えば、ファイル名を特定の規則に従って変更してフォルダに保存する方法や、Excelで索引簿を作成して管理する方法が有効です。 

【受信側】PDF請求書を受け取った際の対応と注意点

取引先からPDFの請求書を受領する側は、電子帳簿保存法の要件を満たして保存するだけでなく、実務上の確認作業も正確に行う必要があります。特にインボイス制度が開始されてからは、請求書に記載されている項目が適正であるかをチェックする工程が増えています。この章では、受信側が日常の業務で注意すべき具体的なポイントについて解説します。  

確認する項目 

具体的な内容と注意点 

記載内容の不備 

登録番号や消費税額の記載がインボイス制度の要件を満たしているか確認する 

再発行の依頼 

不備があった場合は自社で修正せず、必ず発行元に再作成と再送を依頼する 

受領方法の確認 

メール添付やシステムからのダウンロードなど、受け取りの手順を明確にする 

ダウンロード期限 

システム経由の場合は期限切れに注意し、速やかにPDFデータを取得する 

インボイス制度の要件を満たしているか確認する

PDFで請求書を受け取った際は、その内容がインボイス制度(適格請求書等保存方式)の要件を正しく満たしているかを確認することが重要です。インボイスとして認められるためには、発行元の適格請求書発行事業者登録番号の記載が必要です 

また、適用税率ごとの消費税額や合計金額が正確に計算され、明記されているかもチェックの対象となります。もし記載内容に不備があった場合、そのままでは仕入税額控除を受けることができず、自社の税負担が増えてしまう可能性があります。不備を見つけた際は、PDFのデータを自社で勝手に修正するのではなく、必ず取引先に連絡をして正しい内容の請求書を再発行してもらうように手配してください。 

取引先と送受信の運用ルールをすり合わせる

PDF請求書のやり取りをスムーズに行うためには、取引先と事前に運用ルールをすり合わせておくことが大切です。相手の企業によって、メールにPDFを添付して送ってくる場合もあれば、専用のクラウドシステムのURLを送付してダウンロードを求めてくる場合もあります。ダウンロード用のURLには有効期限が設定されていることが多く、期限切れにより請求書を取得できなくなるトラブルも起こり得ます。いつまでに、どのような形式で請求書を送付してもらうのかを明確にしておくことで、受領漏れを防ぐことができます。 

さらに、請求書に関連する納品書や見積書もデータで受け取るかどうかなど、周辺書類の扱いについても確認しておくと日々の管理が容易になります。 

【送信側】PDF請求書を発行して送付する際の対応と注意点

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自社が商品やサービスを提供し、取引先に対してPDFの請求書を発行する場合にも、守るべきルールが存在します。受領する側の都合を考えるだけでなく、送信する側としての義務も理解しておく必要があります この章では、PDF請求書を作成して送信する側が気を付けるべきポイントを解説します。 

確認する項目 

具体的な内容と注意点 

自社の控え保存 

送信したPDFデータそのものを、自社内でも法定要件に従って保存する 

保存期間の遵守 

法人の場合は原則として7年間、該当のデータを確実に保管し続ける 

ファイル名の工夫 

受け取った相手が整理しやすいよう、日付や社名をファイル名に含める 

送信手段の安全性 

誤送信を防ぐため、宛先の確認やパスワード設定などのセキュリティ対策を行う 

本記事は20265月時点の情報に基づいています。詳細は国税庁のウェブサイトをご参照ください。 

発行して送信した側の企業にもデータ保存の義務がある

PDFで請求書を発行して相手にメールなどで送信した場合、受け取った相手だけでなく、送信した自社側にもその控えデータを保存する義務が生じます。これは、電子取引を行った事実を双方が記録として残しておく必要があるためです。 

Excelや請求書作成ソフトを使ってPDFを出力し、メールに添付して送付したとします。このとき、送信したPDFデータそのものを、電子帳簿保存法の真実性と可視性の要件を満たした状態で自社のパソコンやシステムに保存しなければなりません。相手に送って終わりではなく、自社の控えとして厳重に保管する体制を整えておくことが求められます。 

受信側が内容を把握しやすいファイル名を設定する

PDF請求書をメール等で送付する際は、受け取る相手が中身を簡単に把握できるような分かりやすいファイル名を設定する配慮が大切です。システムの自動生成で付けられた数字だけのランダムなファイル名のまま送ってしまうと、相手はファイルを開くまで内容が分からず、整理や保存に手間取ってしまいます。取引先との関係を良好に保つためにも、ファイル名には発行日や自社の社名、請求金額などを簡潔に含めることをお勧めします。 

分かりやすい名前を付けておくことは、取引先が電子帳簿保存法の検索要件を満たして保存する際の助けにもなります。相手の手間を減らす工夫は、支払処理の円滑化にもつながります。 

PDF請求書の原本管理を効率化するシステムの導入事例

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企業がクラウド請求書受領サービスを導入し、請求書原本の扱いや関連業務を改善した事例を紹介します。紙やPDFなど様々な形式で届く請求書は、スキャン作業やファイリングといった手作業を伴い、現場の大きな負担になりがちです。代行受領やデータ化を任せられるシステムを活用することで、二重の手間をなくし、効率的な一元管理を実現した2社のケースを見ていきましょう。 

三菱食品株式会社:紙とPDFの混在による二重作業を解消

三菱食品では一部の現場部門において、担当者が紙の請求書を受け取るたびにスキャンしてPDF化する作業が発生していました。さらにデータ化後も請求書の原本を経理部門へ提出する決まりがあり、現場にとって二重の工数が負担になっていたといいます。そこで、専門センターが紙の請求書を代理受領してデータ化し、メールのPDFもそのまま受け取れるシステムを導入しました。この仕組みにより、従来の送付方法を変えずに受領側で一元管理できる環境が整い、業務の削減が期待されています。 

株式会社ユアテック:各拠点での紙保管をやめクラウドで一元管理

年間10万件以上の請求書を受け取るユアテックでは、従来の多くが紙媒体によるものでした。営業所で振り分けや保管を行うアナログな作業が負担となっていたほか、各拠点で原本を保管しているため、本社から必要な書類をすぐに参照できない点が課題として挙げられていました。こうした状況を改善するため、国内約80の拠点にクラウドシステムを導入し、請求書の受け取りからデータ化までをオンラインに集約しています。紙の証憑をシステム上で一元管理できるようにした結果、年間で約4万時間の業務削減につながりました。 

まとめ

この記事の要点をまとめます。 

  • PDFでやり取りした請求書は法的な原本として認められ、印刷せずに電子データのまま保存する義務がある 
  • 電子帳簿保存法に則り、真実性の確保と可視性の確保という2つの要件を満たして管理する必要がある 
  • 送信側も受信側も適切にデータを保管し、必要に応じて専用のシステムを導入して業務効率化を図ることが有効である 

正しいルールを理解し、便利なシステムを活用することで、法令を遵守しながら毎月の経理業務を効率化していきましょう。 

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記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)

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