逆パワハラとは?該当する行為の例と防止策を解説
2025年10月17日 07:00
この記事に書いてあること
上司が部下に行うパワーハラスメントと逆方向に起こる、逆パワハラ。働く人の心身の健康や安心を損なう行為として、問題視されています。今回は、コンプライアンス重視の流れなどの逆パワハラ発生の背景と、どんな行為が逆パワハラにあたるのかについて、具体的に解説。さらに、企業に必要な逆パワハラ防止策についてもお伝えします。
逆パワハラとは?
「逆パワハラ」とは、職場の部下が上司に対して行ういやがらせのこと。職場におけるパワハラとは、優越的な立場を利用したハラスメントで、業務上必要な範囲を超えた高圧的、暴力的な言動によって、従業員の労働環境を害するものを指します。逆パワハラとは、上司が部下に対して行うパワーハラスメントとは反対に、上司が抵抗しにくい状況を利用して、部下が上司に行うハラスメントです。
逆パワハラが問題視されている背景
ではなぜ近年、逆パワハラが起こり、職場で問題視されているのでしょうか。その背景には、上司に求められる行動規範や労働環境の変化があります。
ひとつ目の理由は、企業は社会的規範や法令を守らなければいけないという、社会的なコンプライアンス意識の高まりがあります。管理職が、倫理に反したパワハラ行為と指摘されることを恐れて、部下に対して堂々とした態度で接することが難しくなっているという状況があります。
また、企業が従業員のエンゲージメントを重視する雇用環境も、逆パワハラの発生に影響しています。人手不足の中で離職によって人材を失わないように、従業員のストレスや上司からの圧力を減らす配慮がなされ、部下の立場が強くなっています。
また、部下が上司よりも年上であることや、部下が上司にはない専門知識を持つケースも増えており、上司から部下への指導や指示出しが難しくなっています。
そうした部下のストレスに配慮する動きが強まる中で、部下から上司への不適切な言動である逆パワハラによって上司が心身に不調をきたすケースが増え、対処が求められています。
逆パワハラにあたる行動の具体例
では、職場における逆パワハラとは、どのような行為を指すのでしょうか? 具体的な言動で解説します。
上司に対する暴言・暴力、誹謗中傷
上司が部下に対して行うパワハラと同様の、「能力がない」「あなたの指導を受け入れる必要はない」というような上司の人格を否定する暴言や、体や机に対して攻撃するなどの暴力行為が、逆パワハラに該当します。また、SNSやブログに「この人はハラスメントをしている」「犯罪行為をしている」など、上司に関するデマや誹謗中傷を書き込む行為も逆パワハラです。
業務の指示に対する理不尽な反発や反論
上司が、業務上必要な命令を出した際に「やりたくない」と理由もなく拒否したり、指示内容に無条件に反論したりする行為も逆パワハラにあたります。上司の言葉を聞き入れず、反抗的な言動を繰り返すことで、上司に精神的な負担を与えたり、上司が率いるチームの運営を妨げたりする行為です。
上司を無視する
上司の指示や語りかけを無視したり、人間関係から阻害したりすることも、逆パワハラです。業務遂行に必要な協力を拒否して上司を困窮させることも、対処すべき重大なハラスメント行為です。
集団で結託して攻撃する
部下が結託して上司に対していやがらせを行う集団的な逆パワハラも発生しています。気に入らない上司をターゲットにして、複数人の部下が上司に集中的に暴言を浴びせたり、一斉に上司を無視したりする行為も、問題視されています。集団で示し合わせて上司の指示に従わない、チームの連携を妨害する行為なども逆パワハラにあたります。
上司の行動に過剰に「パワハラだ」と反応する
業務命令などの上司としての正当な言動を「高圧的だ」「パワハラだ」と訴えることも、逆パワハラです。「パワハラだから」と主張して上司の指示に従わない、パワハラの報復として無視をするといったハラスメント行為も発生しています。パワハラを受けたと上司に慰謝料を求めたり、会社に上司を処分するように要求したりすることも、逆パワハラです。
逆パワハラを放置するリスク
部下から上司に対して行われる逆パワハラを放置すると、以下のような問題が発生します。リスクを低減するために、企業には逆パワハラの対処や防止策が求められます。
管理職のメンタルヘルスへの影響
逆パワハラは、管理職のメンタルヘルスに悪影響を与えます。部下の暴力的な言動や拒絶による強いストレスが、上司の心身の不調を引き起こます。管理職の仕事への意欲や生産性の低下だけでなく、休職や離職につながるケースもあり、人材確保の観点でも企業に大きなダメージを与えます。
チームのモチベーションや生産性の低下
部下の逆パワハラや、集団的な上司へのいやがらせは、チームの一体感や信頼関係を損ないます。人間関係が悪化し、チーム全体のモチベーションや、仕事の生産性の低下につながります。また、上司から部下への指示系統が損なわれると、チーム運営にも問題が起こります。逆パワハラを放置することで、チームだけでなく組織全体のバランスが崩れる点にも注意が必要です。
逆パワハラを防ぐために企業がやるべきこと
では、逆パワハラの発生や広がりを防ぐためには、どのような方法が有効なのでしょうか。ここでは、企業が取り組むべき5つの具体策をご紹介します。
ハラスメント防止のための研修を実施
逆パワハラ防止のため、まずは従業員全員に、逆パワハラを含む職場のハラスメントに関する知識を共有することが重要です。逆パワハラに該当する行為や、逆パワハラ防止ルールを伝えるハラスメント防止研修を、全社員向けに実施しましょう。また、逆パワハラ防止には、管理職のマネジメント能力の向上も有効です。マネジメント研修によって、部下とのコミュニケーション方法や逆パワハラの対処法を伝えることで、管理能力の向上を図りましょう。
逆パワハラも含むハラスメント防止ルールを整備
逆パワハラに関する社内のルールを明確化して、就業規則に盛り込みましょう。逆パワハラを禁止する旨や、逆パワハラの該当行為、逆パワハラを行った従業員への処分や配置転換に関するルールを整備します。逆パワハラ発生時の報告体制や、逆パワハラの判定に関するマニュアルも整備して、従業員に周知することも重要です。
ハラスメント相談窓口を運用
逆パワハラが起きた際や、疑われる際に報告ができるハラスメント相談窓口や、対策委員会などの解決の場を設置しましょう。相談窓口を全社に周知するとともに、逆パワハラの判定や行為者への処分、被害者に対するケアを適切に行える組織体制を整備します。逆パワハラ発生後の再発防止策や、逆パワハラ防止につながる職場環境の改善についても検討・実施ができる体制を作ることが重要です。
逆パワハラを未然に防ぐアンケートやストレスチェック
逆パワハラを未然に防ぐための取り組みも必要です。ハラスメントに関する定期的なアンケートを行い、上司から部下へのパワハラだけでなく、逆パワハラにあたる行為や兆候の有無を確認しましょう。また、企業に実施が義務付けられているストレスチェック制度(従業員50人未満の企業は2028年に義務化される見込み)も、逆パワハラ防止に活用できます。この制度は、労働安全衛生法に基づいて導入されたもので、従業員の心理的負担の状況を把握し、必要に応じて職場環境の改善につなげることを目的としています。
ストレスチェックの結果をもとに、高ストレスと判定された従業員に対するフォローや、逆パワハラの原因となるストレスを取り除く労働環境の改善にも取り組みましょう。
ストレスチェック制度を職場改善につなげる具体的な取り組みとは? | 働き方改革ラボ
ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等|厚生労働省
コミュニケーションと働きやすさにつながる職場環境作り
職場環境の改善も、逆パワハラ防止策として有効です。労働時間の適正化や、快適に働ける執務環境や会議スペースの整備によって、逆パワハラにつながる従業員のストレスを軽減しましょう。社員間のスムーズな連携を実現するコミュニケーションツールの導入や、気軽な会話を促すオープンスペースの設置など、風通しの良い職場を作る取り組みも重要です。従業員が安心して働ける環境とチームの信頼関係が、逆パワハラなどの人間関係のトラブルを防ぎます。
逆パワハラを防ぐルールと環境作りを進めよう!
会社を支える従業員の不安やストレスにつながる逆パワハラ。その防止には、ルール作りやハラスメント研修の実施に加えて、従業員が、良好な人間関係のもとで快適に働ける職場環境作りが欠かせません。部下から上司へのハラスメントは、パワハラと比べてイメージがしにくいため、社内で見逃されているケースもあるかもしれません。今回、ご紹介した逆パワハラの該当行動の例を参考に実態をチェックして、自社にできる防止策に取り組んでみてはいかがでしょうか?
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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