脱属人化! 部下に仕事を任せる方法を解説|メリットや注意点など

From: 働き方改革ラボ

2023年01月26日 07:00

この記事に書いてあること

やってもやっても仕事が終わらない……そんな人は、自分がやらなくてもいい仕事までひとりで抱え込んでいませんか?

仕事の属人化は、個人のオーバーワークというリスクを生むだけでなく、部署や会社に不利益を与えることもあります。働き方を変えるためにも、部下や後輩に仕事を上手に任せることが大切です。

この記事では、仕事を部下や同僚に依頼することのメリットや、成果を出しやすい任せ方のコツをお伝えします。

※2019年10月に公開した記事を更新しました

仕事を任せられない上司はどういう人なのか? 特徴を解説

後輩が増える年代や部下を抱える管理職など、自分自身の仕事に加えて“後輩のケア”という業務もしている人にとっては、たくさんの仕事をいかに効率よく進めていくかが課題のひとつです。

しかし、なかには仕事の任せ方がわからない人もいれば、自分がやった方が早く終わると感じる人もいるでしょう。仕事を任せられるようになる前に、まずは自分にどういう特徴があるのか把握することが大切です。

そこでこの章では、仕事を任せられない上司にはどのような特徴があるのか解説していきます。

部下のスキルを信頼できない

1つ目の特徴として、部下のスキルを信頼できず、本来は部下をはじめとする同僚に任せればいい仕事も抱え込んでしまっていることが挙げられます。「部下に説明する手間がかかるから」「部下がやるよりも自分でやってしまうほうが早く終わるから」と仕事を任せることをせず、多く抱え込んでしまうのです。

育成やコミュニケーションに時間を割けない

2つ目の特徴として、部下の育成やコミュニケーションに時間を割けないことが挙げられます。部下に仕事を任せられないがゆえに大量の仕事を抱え込むことになり、結果として育成やコミュニケーションに時間を割けないことも考えられるでしょう。また、「そもそも部下とどう接していいかわからない」「育成方法がわからない」と考える方もいるかもしれません。

周囲に頼るのが苦手で、責任感が強すぎる

3つ目の特徴として、周囲に頼るのが苦手で、責任感が強すぎることが挙げられます。これは先述した「部下のスキルを信頼できない」にも通ずる部分がありますが、仕事を任せるときのコミュニケーションの取り方がわからなかったり、日頃から信頼関係を築けていなかったりすることも考えられます。

また、なかには誰かに仕事を奪われて自分の立場がなくなることを恐れている人もいるでしょう。責任感が強すぎるがあまり、仕事は部下や同僚といったメンバーとするものではなく、自分が終わらせなければならないものだと感じている人もいるかもしれません。

仕事を任せられないとどんなことが起こるのか? 3つのデメリット

では、仕事を任せられないとどのようなことが起こってしまうのでしょうか? この章では、部下や同僚に仕事を任せないことで起こる3つのデメリットを解説していきます。

1. 担当者ごとに業務が属人化されてしまう

1つ目のデメリットとして、担当者ごとに業務が属人化されてしまうことが挙げられます。仕事をひとりで抱え込んでしまうと、その人にしかやり方がわからないという「属人化」の状況に陥るのです。

仕事の進め方や知識、大切な情報が保管されている場所等を担当者ひとりだけが知っていると、その人が仕事を休むなどして対応できなくなったときに問題が発生してしまいます。また、顧客や取引先からの問い合わせに答えられない、トラブルに対応できないといった不都合も起こり得ます。

2. 社内の共有に時間がかかる

2つ目のデメリットとして、社内での共有に時間がかかることが挙げられます。トラブルが起きたときにはもちろんのこと、担当者が急遽休むことになったり、離職したりすることになった場合、業務の引き継ぎや共有に時間がかかってしまうのです。

属人化してしまいがちな職場環境では、日頃からコミュニケーションを取っていない、業務内容がマニュアル化されていないことも多く、担当者が付きっきりで教えなければならない状態に陥りがちです。急病などで出社できない場合にはそれだけ業務がストップしてしまうことも考えられるでしょう。

3. 問題の把握が遅くなる

3つ目のデメリットとして、問題の把握が遅くなることが挙げられます。

仕事を任せずに担当者がひとりで抱え込むと、ミスが起きたときに誰も気づけずに、見過ごされてしまうリスクがあります。また、担当者がミスを隠し、誰にも知られないように対処しているうちに大きな問題に発展し、顧客や取引先に損害を与えることも考えられます。

仕事を任せることで生まれる6つのメリット

これまで、仕事を任せられない上司の特徴や、属人化によって生まれるデメリットについて解説していきました。デメリットがわかったとはいえ、実際に仕事を任せたとしてもどのようなメリットが生まれるのか、想像できない人もいるでしょう。

そこで、仕事を任せることで生まれるメリットを具体的に解説していきます。

1. マネジメントスキルが向上する

1つ目のメリットとして、マネジメントスキルが向上することが挙げられます。マネジメントスキルは、部下の育成やチームの成長にもつながる大切な能力です。

しっかりと仕事の流れを伝えた上で任せ、失敗してもフォローできる体制を整えることで、業務の属人化を防げる上に、仕事の任せ方やフォローの仕方といったマネジメントに関するスキルが向上するのは大きなメリットといえるでしょう。

2. 部下の育成の機会になる

2つ目のメリットとして、部下の育成の機会になることが挙げられます。

仕事を抱え込んでしまう方のなかには、失敗することが一切ないレベルまで育成することを追い求める人もいるかもしれません。完璧なレベルまで育てようとすると労力や時間がかかるため、「自分でやるほうが早く終わる」と考える方もいるでしょう。

しかし、部下に付きっきりで教えるのではなく見守る姿勢を持ち、失敗してもフォローできる体制を作ることで、部下の育成の機会につながる上に信頼関係も築けます。次章では部下が成果を出せる仕事の任せ方についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

3. 組織やチームの成長につながる

3つ目のメリットとして、組織やチームの成長につながることが挙げられます。

仕事を任せることでマネジメントスキルが向上、部下のスキルが上達することで組織やチームの成長が見込めます。仕事を任せる際には、密なコミュニケーションが欠かせません。対話の機会が増えることでお互いについて知ることができ、結束力も高まるでしょう。

4. 自分の作業負担が軽くなる

4つ目のメリットとして、自分の作業負担が軽くなり、休息やプライベートの時間を確保できることが挙げられます。

ひとりで業務を抱え込むことは、長時間労働や過剰な休日出勤につながります。業務量が個人のキャパシティーを超えてしまうと睡眠不足や休息不足を招き、過労で健康を損なうリスクも考えられるでしょう。

仕事の方法を教えるタイミングで時間がかかってしまうものですが、一度理解してもらえばその後は仕事を任せられるため、長い目で見れば自分自身が楽になるのです。

5. 休みが取りやすくなる

5つ目のメリットとして、休みが取りやすくなることが挙げられます。

仕事の進め方を共有していないと、自分が不在のときに代わりに対応してくれる人がいないため、休暇を取ることもままなりません。仕事の一部を人に任せたり、誰かと一緒に仕事を進めたりすることで、急な体調不良などで欠勤することになっても仕事をまわすことができます。

また、休暇を取るときだけ人に仕事を引き継いでも、不測の事態が発生したときにうまく対応できず、休暇中に電話などで仕事をしなければならないことも考えられます。普段から人に仕事を任せることで、休暇をゆっくりと過ごすことができるでしょう。

6. 新しい仕事に着手できる

6つ目のメリットとして、新しい仕事に着手できることが挙げられます。仕事内容によっては、ある程度のスキルや経験が求められることもあります。任せられる仕事を任せた上で、そのような仕事に着手することで効率もあがるでしょう。

自分にしかできない仕事に着手することでよりスキルに磨きがかかり、新しいことにチャレンジすることも可能になります。

部下が成果を出せる仕事の任せ方5ステップ

仕事を部下や後輩に任せることで、部下の育成やチームの成長につながることがわかりました。しかし、仕事の任せ方にもコツがあります。そこでこの章では、部下が成果を出せる仕事の任せ方を5つのステップに分けて解説していきます。

1. 業務の棚卸しをする

まず、自分が抱える業務の棚卸しを行います。具体的には、今ある仕事をリストアップし、求められるスキルや経験を把握した上で、自分にしかできない仕事、部下・後輩・同僚に任せられる仕事、マニュアル化できる仕事に分けて、仕事を任せる準備をします。

2. 相手のスキルや適性に見合った仕事を任せる

次に、相手のスキルや適性に見合った仕事を依頼します。

同僚に頼むときはその人が得意としている仕事を、後輩を成長させたいときは、相手を信頼して、スキルに比べて少しレベルの高い仕事を任せると、モチベーションが上がり効果的です。ただし、あまりにも高度な仕事を頼むと、難しすぎてやる気を失ってしまうこともあるので気をつけましょう。

3. 仕事を任せるときに目的と理由を説明する

実際に仕事を任せる段階では、なぜその人に頼みたいのか、目的と理由を説明しましょう。目的に関しては、この仕事に何を求めているのか、どのような成果を出してほしいのかを説明することで、部下や後輩はそれを意識して取り組めるため、クオリティも変わってきます。

また、理由に関しては、部下や後輩のモチベーションにも関係する大切な部分です。「あなたのこういうところを信頼しているから任せた」と言葉にして伝えることで、意欲的に取り組みやすくなります。

4. 中間報告のタイミングと仕事の期限を設ける

次に、仕事の中間報告をさせるタイミングと仕事の期限を設けて、相手をフォローしながら仕事を進めることもポイントです。ここまで進んだら報告してほしい、いつまでに仕事を仕上げてほしいといった時期を定めましょう。

さらに、自分より経験が少ない後輩や部下に対しては、仕事のステップを丁寧に伝え、他の業務も含めた優先順位を示してあげることが、仕事をしっかり進めてもらうコツです。中間のフォローをすることは、相手に対して、仕事を振ってほったらかしにするわけではなく、いつも気にして並走しているということを伝える効果もあります。

5. 丁寧なフィードバックをする

最後に、任せた仕事が完走できたらフィードバックをすることも大切です。これはただ良くなかったところを述べるのではなく、良かったところも伝えるといいでしょう。

フィードバックの際には、今回の仕事を経てどのような成長をしてもらいたいか、次回以降の仕事にどう活かせるかを意識することをおすすめします。

上手く仕事を任せるには? 4つの注意点

ご紹介したように、部下や後輩、同僚に仕事を任せることで生まれるメリットはたくさんあります。仕事は慣れるまでに時間がかかるもの。見守る姿勢を持ちながら、フォロー体制を整えるといいでしょう。

しかし、仕事の任せ方によっては部下や後輩のモチベーションを下げてしまうこともあります。そうならないよう、仕事を任せるコツを身につけることが大切です。そこでこの章では、仕事の任せ方がわからない方に向けて、上手く仕事を任せる方法をご紹介します。

1. 業務に失敗しても責めない

はじめに、部下や後輩、同僚が業務に失敗しても責めないことが挙げられます。これは任せた仕事だけでなく、他の人から任されている仕事に関しても当てはまります。

業務を覚えたてのころはとくに、失敗が付きものです。業務に失敗した従業員がいたとしても責めずにフォローすることで、部下や同僚との信頼関係が築ける上に、どのような業務が苦手なのか把握することもできます。

これらは相手の特性に合った仕事を任せるときにも活かされます。必要な注意はしなければなりませんが、ただ責めるのではなく、ともに改善方法を探すといいでしょう。

2. 定型的な業務をマニュアル化する

また、定型的で、資料を見れば誰でもできる仕事があれば、マニュアル化しましょう。仕事の進め方や知識を、誰が見ても理解できるように、資料などにわかりやすくまとめることをおすすめします。

マニュアル化することで、入りたての社員であってもそれらを見るだけである程度の仕事を覚えられ、かつ、わからないところのみを聞けばいいだけなので、指導時間の短縮にもつながります。

3. 業務が回る仕組みをつくる

次に、定型的な業務がスムーズに回る仕組み作りを行いましょう。具体的な仕組みとして、マニュアルの内容を説明する研修の場を設ける、ケースごとにいつ誰が何を対応するのかを定める、代理の担当者を決めておくなどが挙げられます。問い合わせを受けたときや必要なタイミングで業務がスムーズに進む体制を整えましょう。

4. 疑問点はすぐ解消する

最後に、疑問点をすぐに解消することが挙げられます。マニュアルを渡されたときや研修の場などに疑問点を解消しておくことで、実務のときにスムーズに対応しやすくなります。また、その際にマニュアルや指導のわかりづらい点を把握することで、より良いマニュアル作成や研修につながります。

部下の自己肯定感を上げる仕事の任せ方

上司がいくら上手く仕事を任せようと思っても、部下が失敗をして怒られることを恐れていたり、実力に自信がなかったりしては、モチベーションが下がってしまいます。ただ仕事を任せるのではなく、部下のやる気を引き出す努力が必要です。

そこで最後に、部下の自己肯定感を上げる仕事の任せ方を紹介します。

1. 結果だけではなく行動を褒める

まず、部下の結果だけでなく、行動を褒めるようにしましょう。任せた仕事に限らず、普段の業務への取り組み方を見ているというアピールになりますし、本人のモチベーション向上にもつながります。

ついつい結果だけを褒めてしまいそうになりますが、「成果を出さなきゃ意味がない」と感じさせてしまっては、部下の挑戦の機会につながりません。部下との信頼関係を築くためにも、行動を具体的に褒めることが大切です。

2. 積極的に声掛けを行う

また、部下に仕事を任せるときには積極的に声掛けを行いましょう。中間報告のタイミングを設けることも大切ですが、普段から「あの仕事、どう?」何かわからないところはある?」などと声掛けをすることで、部下が気軽に相談しやすくなります。

また、積極的に声掛けをすることで、疑問点を早めに解消することができ、ミスを防ぐことにもつながります。

まとめ

仕事をゼロから人に頼むときには、資料の準備や説明といった手間がかかります。忙しいビジネスマンにとっては、その時間をつくることも難しいと感じるかもしれません。しかし、思い切って人に任せることで、その後に業務量が減り仕事が楽になり、家族と過ごす時間や、新たなチャレンジへの意欲につながるのです。

仕事を抱え込んで苦しい人は、自分らしく健康に働くために、一度、自分の業務内容を見直してみてはいかがでしょうか?

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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