サプライチェーンとは?最適化のメリットや具体例を紹介!
2024年11月29日 07:00
この記事に書いてあること
サプライチェーンとは、近年注目されている経営用語の一つです。多くの企業がサプライチェーンの最適化を検討していますが、関係者が多いため、さまざまな問題を解決しなければなりません。この記事では、サプライチェーンの特徴やサプライチェーンマネジメント(SCM)のメリット、事例、手順、注意点を解説します。業務効率化や生産性向上を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
サプライチェーンとは生産者から消費者へ届くまでの一連のプロセス
サプライチェーンとは、原材料の調達から商品やサービスを消費者に提供するまでの一連のプロセス(流れ)を表す経営用語です。サプライチェーンにかかわる企業の供給活動がエンドユーザーに向かって鎖(チェーン)のように連鎖していくことを指します。
例えば、コンビニのおにぎりを例に挙げてみましょう。おにぎりの原材料である米や海苔などの材料、おにぎりを作る製造、ラッピングに必要な包装、指定された店に運ぶ物流などサプライチェーンは複数の企業が関わっています。サプライチェーンは最終的な商品のみならず製造過程単位にも存在しています。
サプライチェーンと混同しやすいバリューチェーンとは?
サプライチェーンと混同されやすい言葉にバリューチェーンがあります。サプライチェーンが複数の企業を対象としているのに対して、バリューチェーンは1つの企業が対象です。
企業内のマーケティングからアフターサービスまでを含んだ全ての活動にバリュー(価値)を付加するチェーン(連鎖)を意味しています。バリューチェーンでは総務や経理など、生産活動に直接かかわらないコスト部門も価値を付与する活動としてチェーンに含めます。
サプライチェーンが抱える問題
製造にかかわる企業は、いずれかのサプライチェーンに属しており、サプライチェーンの構造に関する問題に直面しています。近年は自然災害やパンデミックの影響で材料費の高騰などの影響を受けることが珍しくありません。サプライチェーンの一部が停止すれば、サプライチェーンにかかわる全体が機能不全に陥る可能性もあります。
また、サプライチェーンを構成する企業が自社の利益を追求するあまり情報開示を怠り、企業間の情報共有が不十分になるケースもあります。在庫状況や今後の生産計画などが不明な場合、サプライヤーの見通しが立たなくなる点もサプライチェーンの問題点といえるでしょう。
サプライチェーンマネジメントとは何か?
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、サプライチェーン全体の供給を最適化する取り組みです。原材料のサプライヤーから消費者の手に商品が渡るまでのサプライチェーン全体をマネジメントします。各企業が個別で最適化を図るのではなく、各企業が連携して全体を最適化する手法です。各工程をスムーズにして効率化することで、コストやリスクを調整し、利益の最大化を図ります。
サプライチェーンマネジメントを行うメリットとは
サプライチェーンマネジメントを行えば、以下のような経営上のメリットを得られます。
さまざまなリソースの最適化
サプライチェーン間で情報を共有することで、各工程で必要な人材のみを配置でき、人手不足または人手過多を解消する「人的リソース」の最適化が可能になります。
また、過剰な製品供給や原材料調達を避けることも可能です。在庫や原材料の過不足を防ぐことで、倉庫などの保管コストの削減にもつながり、「物的リソース」の最適化もできます。サプライチェーン間の情報共有が各工程の業務効率化や生産性向上につながり、全体的な最適化も可能になります。
収益性の向上
人的リソースの最適化により、人手不足や人手過多を解消することが重要です。また、需要予測や在庫情報などの情報共有による物的リソースの最適化を行うことで、業務上のムリ・ムダを発見できるようになるでしょう。結果的に過剰な人的リソース、在庫、原材料などのコスト削減ができるようになり、収益性の向上につながります。
生産性の向上
サプライチェーンにかかわる業務にはさまざまなムダがあります。特に確認の際に生じる待機時間は、付加価値を生みません。サプライチェーンマネジメントで各工程の情報をリアルタイムで共有できれば、各社の業務効率化にもつながります。
サプライチェーンマネジメントに取り組んだ企業の具体例
サプライチェーンマネジメントに取り組みたいと思っても、何から始めたらよいかわからない担当者は多いでしょう。そこで、実際にサプライチェーンマネジメントに取り組んだ企業の3つの事例を紹介します。
キリンビール株式会社の事例
キリンビール株式会社では、グループの全事業領域とバリューチェーン状の全機能を対象とし、業務プロセスの変革を実行しています。製造から物流までのトータル能力やコスト削減に向け、システムを活用した最適化シミュレーションを整備し、物流コストの削減、業務負担の軽減、業務効率化などを目的にサプライチェーンマネジメントの最適化に取り組んでいます。
花王株式会社の事例
花王株式会社では、原材料の調達、生産、物流、販売までのプロセスを総合管理するため、積極的にサプライチェーンマネジメントに取り組んでいます。
卸店を通過せず8万店の届け先に商品を直接届ける取り組みも実施しています。さらに、サプライチェーンコストの効率化に向け、需要に応じて1,500アイテム全ての在庫をコントロールすることで、サプライチェーン全体の在庫を最適化するシステム開発を行いました。
株式会社トーハンの事例
出版取次大手の株式会社トーハンは、書籍の在庫管理から仕入、物流、営業までのデータを一元管理し、書店や出版社とシステムで連携しています。書店と読者が最適なタイミングでつながれるように、トーハン物流センターにおける発送作業を効率化し、供給スピードを早めることに成功しました。
サプライチェーンマネジメントの手順
サプライチェーンマネジメントの最適化を検討する企業も多いでしょう。ここでは、サプライチェーンマネジメントを導入するための具体的な方法を手順に沿って解説します。
自社の課題を明確化して計画を立てる
サプライチェーン全体でムリ・ムダを発生させているような工程、収益性を損ねているような工程を全て洗い出しましょう。現状分析を行う際は、曖昧な表現を防ぐため数値化することがポイントです。サプライチェーンマネジメントを取り入れることで期待できる効果を予測し、取り組むべき優先順位を決めましょう。
担当者を決める
サプライチェーンマネジメントを実行する統括責任者を決めます。統括責任者はスケジュールを管理する役割もあるため、見通しが立てやすい経験者や自社のサプライチェーンにくわしい人物が最適です。次に各工程からプロジェクトメンバーを選出します。
必要なシステムを選び、導入する
サプライチェーンマネジメントを最適化するには、システム上での情報共有を可能にするデジタル化が有効です。自社の課題に必要なシステムを選定・導入する具体的な施策を実践しましょう。
効果を算出する
あらゆるリソースのコスト削減結果や収益面などの効果を算出します。システムの導入前後でどのくらいの人員削減につながったか、在庫量や物流コストがどのくらい削減できたかなど、計画時の期待効果に対しての達成率を数値で確認することが大切です。
フィードバックして改善する
サプライチェーンマネジメントは、一度の取り組みだけで目標に到達することはほとんどありません。フィードバックして改善を目指すことが重要です。導入の効果のみならず、新たに発生した課題も洗い出しましょう。フィードバックは各部門と共有することで、問題意識を高められます。
サプライチェーンマネジメントには注意点やデメリットがあることも把握しておこう
サプライチェーンマネジメントの手順で解説したとおり、改善までには時間、コスト、担当者などさまざまなリソースが必要になります。結果が出るまでには時間がかかること、多くのリソースが必要なことを各部門に情報共有し、意識統一することが成功のカギとなります。
特に縦割り組織の慣習が根強い企業は、意識改革に時間がかかるので注意しましょう。プロジェクトに参加する従業員が活動しやすいように、時間や労力が必要なことを事前に周知し、理解してもらう必要があります。
まとめ
サプライチェーンとは、生産者から消費者へ届くまでの一連のプロセスを指し、多くの企業がかかわっています。サプライチェーン構造ならではの問題を解決するためには、サプライチェーンマネジメントを実践し、利益の最大化を目指す必要があります。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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