管理職に必要な7つの心構え!マネジメントの基本と求められるスキル・マインドを解説
2023年01月05日 07:00
この記事に書いてあること
「管理職に登用されたものの、今の自分で対処できるのか不安」
「管理職として求められる役割を果たせているのか自信がない」
このような悩みを抱えていませんか。部下から信頼され、部署やチームの成長を促す管理職になるには、どういった点に留意する必要があるのでしょうか。
この記事では、管理職に必要な心構えとマネジメントの基本スキルについて解説しています。管理職として気をつけておきたいポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
そもそも「管理職」とは
はじめに、そもそも管理職とはどのようなポジションであるのかを整理しておきましょう。
管理職は役職の1つ
管理職は組織における役職の1つです。会社によって違いはありますが、一般的な役職として次のものが挙げられます。
| 役職名 | 種別 | 管理職 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 会長 | 役員 | 取締役会の議長を務める | |
| 社長 | 役員 | 会社の代表者・取締役の代表を務める | |
| 取締役 | 役員 | 経営全般に関与する社長の補佐役を務める | |
| 部長 | 従業員 | ◯ | 部門を統括する |
| 次長 | 従業員 | ◯ | 部長の補佐役を務める |
| 課長 | 従業員 | 課を統括する | |
| 係長 | 従業員 | 業務単位での取りまとめ役 | |
| 主任 | 従業員 | 現場・作業単位での取りまとめ役 |
役職は「役員」と「従業員」に大きく分けられます。このうち役員は経営者であり従業員ではないため、労働基準法の適用対象にはなりません。一方、管理職は一般社員を管理する立場にありますが、あくまでも従業員であることから労働基準法の対象となります。
管理職の役割
管理職の主な役割として、次の4点が挙げられます。
事業目標の達成
統括する部や課に与えられた事業目標を達成することは、管理職として非常に重要な役割です。部門の事業目標を達成することが、経営目標の着実な達成へとつながります。
業務管理
事業目標を達成できるよう、日々の業務を適切に管理することも管理職にとって大切な役割です。業務の進捗状況を把握し、課題や問題が見つかった場合は適宜対処します。
人材育成
管理職は部下を育成する役割も担っています。会社が将来にわたって安定的に事業を営んでいくには、社員一人ひとりが業務知識やスキルを向上させていく必要があるからです。
勤怠管理
労働基準法に則り、部下の勤怠を適切に管理することも重要な役割の1つです。労働時間の上限を超過していないか、有給休暇を適切に取得しているか、といった点をチェックします。
非管理職(一般社員)との違い
管理職は労働基準法における「管理監督者」に該当します。自己裁量で業務を遂行できる余地が一般社員よりも広がることから、残業手当が支給されない点が大きな違いです。
また、評価基準に関しても管理職と一般社員では大きく異なります。一般社員は各自の担当業務に対するパフォーマンスや成果が評価対象となる一方、管理職は部下の成果や成長、組織への貢献度などが評価指標となります。
管理職に必要な心構え7選

ここからは、管理職に求められる心構えを紹介していきます。これから管理職になる方はもちろんのこと、すでに管理職として就業している方も、次に挙げる7つの心構えをもっておくことが重要です。
- ・組織全体の成長を目指す
- ・部下が成果をあげられるようサポートする
- ・部下の責任を自ら負う覚悟をもつ
- ・一貫性のある行動・判断を重視する
- ・伝えること以上に傾聴に重点を置く
- ・他部署や取引先との連携を重視する
- ・ストレスコントロールを意識する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
組織全体の成長を目指す
自身が統括する部署やチームさえ成果をあげればよいという考え方に偏らず、会社全体の成長を目指すことは非常に重要な心構えです。管理職は一般社員よりも経営層に近い立場にあり、会社としての経営目標を実現する責任を負っています。組織全体の経営目標や事業目標から逆算して、自部署が果たすべき役割を深く考えることが大切です。
部下が成果をあげられるようサポートする
管理職自身が実務で成果をあげようとするのではなく、部下が成果を出せるようサポートする必要があります。部下の課題を共に解決する姿勢で臨み、必要に応じて指導・助言をするのが管理職というポジションです。部下が成果をあげられるよう、全面的に協力する必要があるでしょう。
部下の責任を自ら負う覚悟をもつ
部下の責任を自ら負うことは、管理職として非常に重要なスタンスの1つです。部下の失敗やミスは、上司の指導不足が原因であるという考え方を徹底する必要があります。部下のスキルや業務理解度によっては商談に同行したり、実務の手本を見せたりする役割を担うことになるでしょう。また、部下が得意先などへ謝罪に伺う際には、上司も同行した上で誠実に対応することが求められます。
一貫性のある行動・判断を重視する
管理職には一貫性のある行動や判断が求められます。その時々で指示が変わるようでは、部下が混乱するだけでなく、信頼を損なうことにもなりかねないからです。自身の発言が部下に影響を与えることを認識し、判断軸をしっかりと定めておく必要があります。日頃の言動や仕事に対するスタンスなども、部下から見た「上司像」に大きく影響する要素です。発言や判断、行動に責任をもち、自信をもってチームやプロジェクトを率いていく必要があります。
伝えること以上に傾聴に重点を置く
部下の指導は管理職にとって大切な役割の1つですが、管理職から部下へ伝えること以上に、相手の話にじっくりと耳を傾けることが重要です。しっかりと話を聞いてくれる管理職は、部下から信頼を得られる傾向があります。自身の考えや主張を一方的に伝えるのではなく、傾聴に重点を置いて対応するのがポイントです。こうした姿勢は、取引先からの信頼を得られるコミュニケーションのあり方を部下に身をもって示すことにもなります。
他部署や取引先との連携を重視する
他部署や取引先といった、自部署以外との連携を強化することも大切です。部署や会社を越えた協力体制を築いておくことで、仕事を進めやすい環境を築けます。また、トラブルが発生した際にもスピーディーに対応できる可能性が高まるでしょう。自部署の都合で物事を捉えるのでなく、多方面の関係者との利害関係を踏まえて判断することは、経営的な視点に立った業務遂行を実現する意味でも重要なポイントです。
ストレスコントロールを意識する
管理職は一般社員と比べて担うべき役割や責任が増大するため、ストレスコントロールを意識する必要があります。一方で、自身のストレス耐性をごく短期間のうちに高めるのは容易ではありません。自分自身の内面を整える時間を設けるなど、ストレスやプレッシャーに対処するための手段を確立しておくことが大切です。
マネジメントの基本スキル

管理職に求められる基本スキルとして「ポータブルスキル」「専門スキル」「マネジメントスキル」「経営スキル」の4つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポータブルスキル
ポータブルスキルとは、所属する組織や業種を問わず発揮できる汎用的な能力のことです。具体的には、情報収集力や論理的思考力、課題発見力、問題解決力などが挙げられます。一般社員よりも一段高い視座から物事を捉え、現状抱えている課題の本質を見抜くとともに、課題解決に向けて必要な情報を見極め、解決への道筋を立てることが重要です。また、多方面から情報を収集し、解決策を複数用意できるようにするために、日頃から部署を横断してコミュニケーションを深めておくことが求められます。
専門スキル
専門スキルとは、所属部門において業務遂行のために必要とされる能力のことです。自らも実務を担うプレイングマネージャーの場合、自身の業務に追われてマネジメントがおろそかになるようでは管理職としての役目を十分に果たせません。余裕をもって実務を処理するキャパシティが求められます。自身は実務に直接携わらない場合でも、「やろうと思えば自分でも十分にこなせる」状態にしておくことは、部下を指導する上で不可欠なスキルといえるでしょう。
マネジメントスキル
マネジメントスキルとは、業務管理や部下の管理を遂行するための能力のことです。チームの状況を的確に把握し、進捗管理を行う能力が求められます。また、自部署の方針を明確に示して共通認識を形成し、目標達成へと導くリーダーシップも欠かせません。このほか、部下がオーバーワークに陥って疲弊することのないよう、勤怠管理を適切に実施することもマネジメントスキルの1つです。
経営スキル
経営スキルは企業経営に求められる能力の総称です。管理職と一般社員との違いとして、経営的な視点に立つ要素がいっそう求められる点が挙げられます。会社の理念や経営方針を深いレベルで理解し、実務に落とし込む能力が求められるでしょう。実務や自部署の管理に埋もれてしまうのではなく、組織全体を俯瞰する視座の高さを意識することが重要です。こうした経営スキルは上級管理職ほど求められるため、早い段階から意識的に身につけていく必要があります。
管理職になるメリット

ここまで、管理職としての心構えと求められるスキルについて解説してきました。一方で、人によっては「管理職を目指すべきか迷っている」「役職に就いたのは本意ではなかった」といったケースもあるでしょう。管理職になるメリットを知ることは、こうした懸念や不満・不安の解消に役立つ可能性があります。管理職になることで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。
部下の成長と自分の成長を同時に実感できる
一般社員にとって、自分が成長したと実感することは仕事のやりがいにつながります。管理職の場合、自身の成長だけでなく部下の成長もやりがいの源となる点が大きなメリットです。部下が自信をもって仕事に臨めるようになったり、後輩の指導に携われるようになったりするなど、成長を目の当たりにできることは管理職ならではのやりがいといえるでしょう。
より経営層に近いポジションで仕事に携われる
管理職になると、「事業をつくる側」により近いポジションで働くことになります。自ら仕事を生み出したり、主体的に意見を述べたりする機会が多くなっていくでしょう。自身の提案が会社に影響を与えていると実感する場面が増えることは、管理職だからこそ得られるメリットといえます。裁量が広がる分、責任も一般社員より重くはなりますが、経営感覚を身につけたい方にとっては非常に適したポジションです。
管理職として気をつけておきたいポイント
管理職にとって重要な課題の1つが、部下との信頼関係の構築です。とくに新任の管理職が失敗しやすいポイントとして、3つの注意点を押さえておきましょう。
自分のやり方・考え方が唯一の正解と捉えない
管理職は部下を指導・育成する立場にあるものの、自身がこれまでに経験してきた仕事の進め方や考え方が唯一絶対の正解とは限りません。この視点が抜け落ちていると、部下に自分の考えを押し付けてしまったり、相手を否定してかかったりする原因となります。とくに自分とは異なるタイプの部下と接する際には注意が必要です。部下の声に耳を傾け、相手を理解しようと努める姿勢を意識しましょう。
自分の成果より部下の成果こそが重要
一般社員の頃とは評価指標が大きく変わる点にも注意する必要があります。自身の担当業務を通じて得られた成果によって評価されるのではなく、部下があげた成果や部署としての成果が問われる点を十分に認識しておかなければなりません。とくにプレイングマネージャーの場合、自身の担当業務で成果を出そうとするあまり、肝心な管理職としての仕事がおろそかになってしまうようでは本末転倒です。プレイヤーとマネージャーの役割の違いをはっきりと認識し、部下に成果をあげてもらうための働きかけを最優先する必要があります。
時間や気持ちに余裕のある働き方を心がける
多くの場合、部下は常に忙しそうにしている上司に対して話しかけにくいと感じる傾向があります。管理職自身に余裕がない状態では、部下の話をじっくりと聞いたり、余裕をもって判断を下したりするのは難しいでしょう。タイムマネジメントやストレスコントロールを心がけ、時間と気持ちに余裕のある働き方を実践していく必要があります。業務量が多い場合でも余裕をもって判断できるだけの余白を残せるよう、時には「任せられることは人に任せる」と割り切って考えることも大切です。
まとめ
本記事では、管理職に求められるスキルやマインドについて解説してきました。管理職に必要な心構え・基本スキルは次のとおりです。
【管理職に必要な心構え】
- 1.組織全体の成長を目指す
- 2.部下が成果をあげられるようサポートする
- 3.部下の責任を自ら負う覚悟をもつ
- 4.一貫性のある行動・判断を重視する
- 5.伝えること以上に傾聴に重点を置く
- 6.他部署や取引先との連携を重視する
- 7.ストレスコントロールを意識する
【管理職に求められる基本スキル】
- ・ポータブルスキル
- ・専門スキル
- ・マネジメントスキル
- ・経営スキル
これらのポイントを意識していくことは、成果のあがるチームや組織を形成するための土台となるでしょう。今回紹介したポイントや注意点を参考に、管理職としていっそうの成長を目指してみてはいかがでしょうか。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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