ペーパーレス化を進める方法を5ステップで解説!取り入れるメリットと失敗を防ぐための対策とは?
公開日:2024年06月12日
更新日:2026年06月08日
この記事に書いてあること
多様な働き方が浸透しつつある現代においては、テレワークなどの柔軟な働き方に対応するための仕組みづくりが急務となっています。また、生産年齢人口が減少に転じたことにより、生産性向上を実現するための取り組みも重要な課題の1つです。
本記事では、現代のビジネスシーンに求められている「ペーパーレス化」について、推進するメリットや失敗を防ぐための対策、具体的な進め方の手順をわかりやすく解説しています。電子帳簿保存法との関わりや、ペーパーレス化に役立つツール例もあわせて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ペーパーレス化とは
はじめに、ペーパーレス化に関する基本事項を確認しておきましょう。ペーパーレス化が可能な書類の例や、推奨される背景を理解しておくことが大切です。
紙媒体を電子化すること
ペーパーレス化とは、従来は紙でやり取りされていた書類を電子化し、紙の使用量を削減するための取り組みのことです。ビジネスシーンに限らず、紙媒体を電子化する流れは社会全体で進みつつあります。
たとえば、電子チケットやスマートレシートといった仕組みはペーパーレス化の顕著な例といえるでしょう。紙のチケットやレシートを発行することなく、それらの役割を電子データで代替しているからです。紙媒体を電子化することで場所を問わず迅速な書類のやり取りが可能になるほか、発行された書類の紛失や汚損を防げるといった利点があります。
ペーパーレス化が可能な書類の例
ペーパーレス化が可能な書類は、社内向けの文書と社外向けの文書に大きく分けられます。
社内向けの文書とは、会議資料や業務マニュアル、人事労務関連書類などのことです。パソコンやタブレット、スマートフォンといった端末でこれらの書類を作成・確認・共有できる仕組みを確立することで、社内文書の迅速なやり取りが可能になります。
社外向けの文書とは、請求書や領収書、注文書、契約書といった証憑のことです。取引先や顧客との間で交わされるこれらの書類を電子化することにより、タイムラグを最小限に抑えた取引ができるようになります。
ペーパーレス化が推奨される背景
ペーパーレス化が推奨される背景には、次の3つの要因があります。
働き方の多様化
テレワークに代表されるように、場所を問わない働き方が浸透しつつあります。ペーパーレス化を通じて業務に必要な書類を電子的にやり取りできるようになれば、就業場所によらず業務を進めやすくなるでしょう。
DX推進に向けた気運の高まり
DX推進が多くの業界で求められていることも重要な要因といえます。さまざまなツールやシステムを効果的に活用し、ビジネスモデルや組織体制に変革をもたらすには、業務でやり取りされる書類を電子化しておくほうが望ましいからです。
電子帳簿保存法などの法改正
電子帳簿保存法の改正も重要な要因の1つです。後述するように、同法では電子取引データはデータのまま保存することが義務付けられています。対象となる書類をデータで扱うよう基本ルールを定めることで、法改正への対応をスムーズに進められるでしょう。
ペーパーレス化を進めるメリット

企業がペーパーレス化を推進することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な5つのメリットは次のとおりです。
業務効率化につながる
紙媒体の書類をデータ化することにより、業務効率化につながる効果が期待できます。紙の書類を印刷・郵送したり、保管場所を確保したりする必要がなくなるからです。また、書き損じなどが発生した際には、データ上で訂正できるため書類を再度発行・郵送する手間を軽減できます。
また、書類の検索性が向上することも大きなメリットです。クラウドツールを活用すれば、就業場所を問わず必要な資料を閲覧・利用できるでしょう。書類を探す時間が短縮されたり、必要な書類を取りに行くための移動時間が削減されたりする効果が期待できます。
コスト削減や業務環境の改善に寄与する
ペーパーレス化に伴うコスト削減効果も期待できます。紙の書類を電子化することで、用紙代やトナー代、郵送代が節約されるからです。また、書類の保管に必要なスペースが節減され、オフィス空間を有効活用しやすくなるというメリットもあります。
さらに、電子化された書類は情報共有の面でも有利です。必要な書類を素早く確認できる仕組みを確立することで、業務の属人化を回避しやすくなる効果も期待できるでしょう。
セキュリティ対策に役立つ
ペーパーレス化はセキュリティ対策の一環としても有効な施策です。書類の紛失やシュレッダーのかけ忘れなどのリスクを低減する効果が期待できます。
適切なセキュリティ対策が施されたツールを活用することで、情報の外部漏えいや不正利用を未然に防ぐことも可能です。紙媒体の場合、鍵のかかる場所に保管するといった物理的な対策を講じるしかありません。セキュリティ対策を講じるための手段が多様化することも、ペーパーレス化を推進するメリットの1つです。
多様な働き方に対応できる
多様な働き方に対応しやすいことも、ペーパーレス化を推進するメリットといえます。場所を問わず各種資料や書類を閲覧・利用できるため、テレワークやフリーアドレスといったワークスタイルとの親和性が高いからです。
たとえば、「オフィスに出向かなければ確認できない書類がある」「特定の部門や担当者が保管・管理している文書がある」といった状況では、必然的に就業場所が制限されてしまいます。ペーパーレス化は、こうした制約を緩和するための措置としても効果的です。
BCP対策の一環としても有効
ペーパーレス化はBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の取り組みの一環としても効果を発揮します。事業所が水害や火災といった事態に見舞われた際、紙の書類は汚損や焼失によって利用できなくなるリスクと隣り合わせです。一方、データがクラウドに保存されていれば、被害を免れた端末や新たな端末からアクセスして従来どおり閲覧・利用できます。このように、ペーパーレス化の推進は業務上重要な文書を保護するための対策としても有効です。
ペーパーレス化の失敗を防ぐための対策

ペーパーレス化には多くのメリットがある反面、進め方を誤るとかえって現場が混乱したり、書類のやり取りが煩雑になったりするリスクを兼ね備えています。ペーパーレス化の失敗を防ぐには、次の点に留意しておくことが重要です。
ペーパーレスを推進する意義や目的を周知する
組織全体でペーパーレス化を推進する意義や目的を従業員に周知しましょう。ペーパーレス化に伴い、既存の業務フローが変更されるケースは少なくありません。従来の手順に慣れていた従業員にとっては、かえって手間が増えたと感じられるおそれがあります。ペーパーレス化によって得られる中長期的なメリットや推進する意義を丁寧に説明し、現場の理解を得ることが大切です。必要に応じて説明会や研修を実施し、従業員の懸念や疑問を解消しておくことをおすすめします。
運用開始後のフォローに注力する
ペーパーレス化の仕組みを構築すること自体をゴールに設定するのではなく、運用開始後のフォローを重視しましょう。ツールの操作方法や保存要件への対応など、現場が戸惑いやすい点に速やかに対応していくことが大切です。従業員が疑問を自己解決できるよう、社内FAQやマニュアルを整備し、よくある質問を適宜反映させていくことをおすすめします。
法令に則ったツールを活用する
ペーパーレス化の仕組みを構築するためにツールを導入する際には、各種法令への対応状況を十分に確認しましょう。法令への対応が不十分なツールを導入してしまうと、法令を遵守した運用方法を自社で確立しなければなりません。結果的に対応の漏れや遅れが生じる原因となります。
とくに後述する電子帳簿保存法では、対象書類の保存要件が明確に定められています。電子帳簿保存法に対応済みのツールを活用することで、業務効率の向上とコンプライアンスの強化を両立できるでしょう。
ペーパーレス化と電子帳簿保存法
ペーパーレス化と関わりの深い法令の1つに電子帳簿保存法があります。電子帳簿保存法で認められている保存要件と、対応の基本的な手順について確認しておきましょう。
電子帳簿保存法とは
1998年7月に施行された「電子帳簿保存法」は、事業者が従来紙で発行・保存してきた「領収書」「請求書」「発注書」などの帳簿書類を電子データとして保存することを認める法律です。国税庁によると、電子帳簿保存法は会計処理の場においても高度情報化やペーパーレス化が進むなかで、「適正公平な課税を確保」しながら「納税者等の帳簿保存に係る負担軽減を図る」ために制定されたと説明されています。
具体的には、電子で作成した書類をそのまま保存する「電子帳簿等保存」、紙で受け取った書類をスキャンして保存する「スキャナ保存」、電子で受け取った書類をデータで保存する「電子取引データ保存」の保存区分が設けられています。また、証憑書類の保管期間が従来よりも短縮されたことも大きな特徴です。紙の証憑書類は7年間の保管が必要でしたが、電子帳簿保存法の保存要件を満たした上で電子保存されていれば、原本の即時廃棄が認められています。
電子帳簿保存法で認められている保存要件
電子帳簿保存法で認められている保存要件を満たすには、次の運用ルールを遵守する必要があります。
- ・紙で授受した書類:紙のまま保存してもよい
- ・紙の書類をスキャン:任意(原本を廃棄する場合は所定の保存要件を満たす必要あり)
- ・電子取引データ:データのまま保存(紙に出力した状態での保管は不可)
対象書類をデータで保存する場合、「真実性の確保」「可視性の確保」が求められます。具体的には、タイムスタンプの付与や、訂正・削除履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の整備などにより、真実性を確保する必要があります。また、日付・取引金額・取引先による検索が可能な状態で保存されている必要があります。
データの訂正・削除履歴が残り、かつシステム上で取引ごとの検索が可能な仕組みが備わっていれば、これらの保存要件を満たせるでしょう。したがって、電子帳簿保存法に対応済みの会計ソフトなどを活用することで、自社で対応すべき事項を最小限に抑えられます。
電子帳簿保存法への対応フローチャート

電子帳簿保存法への対応は、基本的に以下の考え方にもとづいて進めましょう。
①紙で授受した書類→紙のまま保存orスキャンして原本を廃棄(任意)
②電子取引データ(PDFなど)で授受した書類→電子データのまま保存(義務)
つまり、電子帳簿保存法において保存要件が義務化されているのは電子的に授受・保存されるデータのみです。一方で、紙で授受する書類を含むすべての書類を電子化することで一元管理が可能になり、検索性が向上する効果が期待できます。可能であれば、ペーパーレス化を機にデータ保存への一本化を検討してみてはいかがでしょうか。
ペーパーレス化を進める手順を5ステップで紹介

では、ペーパーレス化は具体的にどのような手順で進めればよいのでしょうか。基本的な進め方を5つのステップで紹介します。
ステップ1:ペーパーレス化を推進する目的を明確にする
最初のステップは、ペーパーレス化を推進する目的を明確化することです。ペーパーレス化のメリットを踏まえ、自社が解決したい課題や今後の事業戦略との関連性を意識して進める必要があります。
目的が曖昧なままペーパーレス化を推進すると、達成目標が定まらず施策が中途半端になってしまったり、意義を感じられない従業員が現れたりする原因となりがちです。社員向け説明会の場で質疑応答の時間を設けるなど、現場の担当者との対話を重視しつつ推進することが求められます。
ステップ2:既存の紙媒体を分類する
次に、現状どのような紙媒体が業務で使用されているのか、実態を把握しましょう。その上で、どの範囲までペーパーレス化を推進すべきか見極める必要があります。
とくに取引先との間で授受される書類に関しては、相手先のシステム対応状況なども踏まえて判断しなければなりません。一度にすべての書類を電子化するのではなく、まずは社内文書から着手するのも1つの方法です。
ステップ3:ツールを選定する
ペーパーレス化する書類が決まったら、目的を達成するために必要なツールを絞り込んでいきます。ツールの存在ありきで導入を進めるのではなく、目的に合ったツールを選定することが重要です。
たとえば法令対応が主な目的であれば、電子帳簿保存法に対応済みの会計ソフトや文書管理システムなどが候補になるでしょう。実際にツールを使用する担当者にとって操作しやすいか、自社が必要とする機能が備わっているか、既存ツールと連携できるか、といった点を検証するために、無料トライアル期間などを活用することをおすすめします。
ステップ4:保存・運用に関するルールを策定する
導入するツールが決定したら、ペーパーレス運用を前提とした業務フローを策定し、周知を図ります。ルールを定める際には、基本的な業務の進め方のほか、禁止事項を具体的に記載しておくことが大切です。
一例として、クラウドシステムに私物のパソコンやスマートフォンからアクセスしてもよいか、公衆無線LAN環境下での使用を許可するか、といった点を明記しておくことをおすすめします。場所を問わず複数の端末からアクセスできるクラウドシステムの利点が裏目に出ないよう、実際の利用シーンを想定したルールを定めましょう。
ステップ5:定期的に効果測定を実施する
運用開始後は、当初の目的がどの程度達成されているか定期的にチェックすることが大切です。残業時間の削減目標や業務で使用する紙の量など定量的な目標を事前に定め、効果測定の指標を明確化しておくとよいでしょう。
事前に定めた運用ルールが実態と合わないようなら、再度業務フローの整理やルールの改定を行い、改定事項を社内に周知します。ペーパーレス化の導入自体を目的化するのではなく、具体的な改善効果をゴールに設定するのがポイントです。
ペーパーレス化に役立つツール例
ペーパーレス化の仕組み構築に活用できるツールは多岐にわたります。ペーパーレス化を推進する目的や自社の課題に合わせて、導入すべきツールを判断することが大切です。ここでは、代表的なツール例を紹介します。
オンラインストレージ
クラウド上に電子データを保存し、共有するためのツールです。オフィス内外を問わず複数の端末からアクセスできるため、場所を選ばない柔軟な働き方を実現できます。また、データが常に最新の状態に保たれることも大きなメリットです。
アクセス権限の設定が可能なツールを選ぶことで、情報漏えいや不正利用のリスクを回避できます。さらに、データの保存場所がサービス提供事業者のサーバーへと移行するため、BCP対策の観点からも有効なツールといえるでしょう。
文書管理システム
業務で使用する書類を一元管理するためのツールです。電子化された書類を用途や目的ごとに分けて整然と保存できます。
書類のカテゴリ分けやタグ付けなどの機能が備わっているツールであれば、検索性が向上することも大きなメリットです。必要な書類を素早く見つけられるようになることで、業務効率の向上を図る効果が期待できるでしょう。
勤怠管理システム
勤怠に関する報告・申請・承認のほか、労働時間や有給休暇取得状況の管理などをオンラインで完結するためのツールです。紙のタイムカード廃止や、出社場所を問わない出退勤管理が可能になります。
ツールによっては、残業時間の上限に近づいている従業員をアラートで通知する機能が備わっているものもあります。こうした機能を活用することで、働き方改革の推進が促されるでしょう。
ワークフローシステム
社内の申請・承認フローを電子化するためのツールです。申請者・承認者の双方が場所を問わず利用できるため、書類のやり取りで発生しがちなタイムラグの解消につながります。
また、書類のステータス管理が可能な機能が備わっているツールであれば、承認者の対応漏れを防ぐ効果も期待できます。まずは社内の業務フローからペーパーレス化を推進したい事業者様や、承認印の存在がペーパーレス化を推進する上でのネックとなっている事業者様におすすめです。
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電子契約システム
契約書の取り交わしをオンラインで完結させるためのツールです。紙ベースの契約書に付き物の郵送や押印、控えの郵送といったフローが省略されることで、時間や労力の軽減につながります。速やかな契約締結が可能になることは、電子契約システムを導入する大きなメリットの1つです。
また、電子契約システムは重要書類の紛失防止にも寄与します。PDFなどで電子的に書類を保存することにより、保管場所の削減にもつながるでしょう。契約書を取り交わす機会が多い事業者様におすすめのツールです。
まとめ
ペーパーレス化の推進は、紙媒体の書類を多く扱う企業ほどハードルが高いと感じられるかもしれません。まずは社内文書を対象に導入し、段階的に適用範囲を広げていくなど、無理のない進め方を検討することをおすすめします。
ペーパーレス化に際してとくに迷いやすいポイントは、「電子化すべき書類」「紙のまま扱ったほうがよい書類」の判断基準や、より具体的な取り組みのステップ、課題解決に向けたツールの選定方法などでしょう。これらのポイントをまとめたわかりやすい資料をご用意しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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