【連載】働き方改革を成功に導く「コミュニケーションの見直し」と「コラボレーションの活性化」 Vol.2
前回コラムでは、「コミュニケーション」と「コラボレーション」の意味について紹介しました。第2回のコラムでは、働き方改革を進める上でのコミュニケーションの重要性について考えていきたいと思います。
仕事を進めるうえで、社内の関連部門、本社や経営層と様々な人や組織と協力、連携してコミュニケーションをとる必要があります。最近では社内だけでなく、お客様やパートナーの協力会社とプロジェクトを組んで仕事を進めることも多くなっています。また、ICT技術の発達に伴い、モバイルワークや自宅でのテレワークが取り入れられることでワークスタイルも大きく変わろうとしています。
このような環境では、「情報共有が進まない」、「働く場所が違うため、すぐに集まれない」、「外出先のメンバーや協力会社とは社内ネットワークがつながらない」といったコミュニケーションに関する課題も多くなります。ビジネスにおいて、多様化したコミュニケーションに対応できるようすることが非常に重要になります。
コミュニケーションスタイルの分類の1つに「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」があります。
コンテクストとはコミュニケーションの基盤である言語・文化・共通知識・価値観・考え方を意味します。
ハイコンテクスト文化とは、このコンテクストの共有度が高く、多くを語らなくてもお互いが相手の意思を察して、なんとなく通じてしまう環境のことを言います。日本は世界で最もハイコンテクストな文化といわれています。「以心伝心」、「あうんの呼吸」、「一を聞いて十を知る」という言葉があるように、日本人はあまり伝える努力をしなくても相手に伝わるコミュニケーションに慣れているのです。
一方、欧米はローコンテクスト文化といわれています。異文化や異民族との接触の歴史などから、共通のコンテクストがない相手とのコミュニケーションが多くなります。そのため言語によるコミュニケーションの重要性が高く、論理的で曖昧さのない話し方を身につけることが大事とされています。
では次に、コミュニケーションをうまくとる秘訣について考えてみましょう。
経営学者のドラッカーは「コミュニケーションを成立させるのは受け手である」と述べています。単に話し手が自分の考えを発信することではなく、相手がその意味を理解し共有して初めてコミュニケーションが成立するものと考えられています。ドラッカーの考えでは、「コミュニケーションの成立は話し手と受け手が心を通い合わせるプロセス」が必要になるのです。
ビジネスの場におけるこのプロセスは、日常的な話し合う場・意見交換の場の創出や目指すべき方向性の共有共感などが該当するのではないでしょうか。
またドラッカーはコミュニケーションをうまくとるためには、「コミュニケーションは感情や知覚など人間的なプロセスであることを理解し、相手の立場や期待を知り、相手に合わせてこちらの要求を伝える必要がある」と述べています。つまり”相手の理解できる手段”で、”相手の期待することの範囲内”で、要求を伝えることがコミュニケーションをうまくとる秘訣というわけです。
ビジネスの場では、いろいろな部門や専門性を持つ人が集まってプロジェクトチームを組むことが増えています。プロジェクトチームは、「異なる専門性や知識を持つ人たちが、目標に向かって協力し、新しい価値を生み出すこと」を目的として立ち上げられます。まさにコラボレーションを代表する形の1つです。
しかし、異なる分野の人が集まる場合、背景知識や文化がばらばら、つまり「ローコンテクストな状態」になることもが多くなります。以心伝心を期待しても伝わらない環境なのです。こうしたコラボレーションの場面でこそ「コミュニケーション」が重要になります。
ドラッカーのコミュニケーションの秘訣は「ローコンテクスト文化」に慣れていない私たち日本人が、コミュニケーションを上手くとるための大きなヒントになるのではないでしょうか?
多様な人や組織、ワークスタイルの人が集まるビジネスの場では、コミュニケーションにおける問題も多くなりがちです。ドラッガーのコミュニケーションの秘訣、”相手の理解できる手段”で、”相手の期待することの範囲内”で、要求を伝えるといったことを取り入れてみるのはいかがでしょうか。
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