事例を通して学ぶ金属3Dプリンターならではのメリット

この記事では、海外企業のJohn Zink Hamworthy Combustion(JZHC)がDesktop MetalのStudio System™を導入した事例を通して、金属3Dプリンターならではのメリットをお伝えします。既に様々な金属3Dプリンターが市場にリリースされていますが、機種紹介ページではどうしてもその機種の特徴に関する説明が中心となってしまいます。改めて、一般的な3Dプリンター(樹脂材料の3Dプリンターを含めたアディティブマニュファクチャリング技術)のメリットと、金属材料が使えるからこそのメリットを整理してお伝えすることで、金属3Dプリンターだからこそ実現できることをお伝えします。

金属3Dプリンターを有効活用した4つの例

従来工法ではできない、
3Dプリンターだから実現できたこと
樹脂材料では難しい、
金属材料だからこその特徴
30年前の部品を金型なしで造形 熱酸化装置の部品で燃焼に耐えられる耐熱性
治具製造の内製化 重量のある部品を持ち上げるための強度
従来工法では難しい、中に溝がある複雑な形状の再現 高温のブルーム(煙)が通る部品でそれに耐える耐熱性
従来工法を前提としない、自由な発想による新しい形状の再現 燃料が蒸発する時に発生する気化潜熱に耐える耐熱性

John Zink Hamworthy Combustion(JZHC)について

JZHC社は排出制御装置と燃焼装置の設計と製造における世界的なリーダー企業です。オクラホマ州を本拠地として、エネルギー、石油、ガス、石油化学を含むさまざまな産業分野で顧客に貢献しており、燃焼器からガス回収システム、蒸気制御システムまで、あらゆるものを製造しています。

古い部品を金型レスで造形
「熱酸化装置のバーナー口金」

熱酸化装置のバーナー口金に関連する画像1
熱酸化装置のバーナー口金に関連する画像2

課題

熱酸化装置では効率よく廃棄物を破壊するために、最後の工程で高温で燃焼させます。そこに搭載されるバーナー口金は炎を形成するシステムの要となる部品ですが、30年以上作られておらず、金型も存在していませんでした。

3Dプリンターで解決できたこと

当時の図面から3Dデータを作り、Studio System™で造形したところ、見事に造形ができました。金型を作る場合には数千ドルのコストがかかり、それが届いてから製造が始まるので、納期も数ヶ月かかってしまいます。しかしStudio System™なら金型は不要なのでコストは数百ドルで済みますし、納期も数週間程度です。

金属3Dプリンターでないといけない理由

高温の炎を形成する部品なので、樹脂材料でできた造形物が耐えられる温度ではありません。金属材料の耐熱性があって、初めて実現できる部品製造です。

治具製造も内製化
「旋盤用部品のハンドル治具」

旋盤用部品のハンドル治具に関連する画像1
旋盤用部品のハンドル治具に関連する画像2

課題

今回対象となるのは旋盤に取り付けるツールです。取り外す際につかめる場所がなく、重量があるのに、上部の小さいパーツを指先でつまんで持ち上げる必要があり、作業者の大きなストレスになっていました。

3Dプリンターで解決できたこと

ツールの上部の小さなパーツに取り付けるハンドルを熟練工が設計し、3Dプリンターで造形することができました。切削だと曲面の再現に時間がかかり、材料も多く消費します。3Dプリンターなら時間、材料、両方の資源を有効活用できます。

金属3Dプリンターでないといけない理由

最初はプラスチックで造形していましたが、1週間程度で壊れてしまっていました。そこで、Studio System™で造形すれば問題ない、という結論に至りました。金属材料の強度があるから実現できたことです。

3Dプリンターでしか出来ない形状
「レーザー切断機のノズル」

レーザー切断機のノズルに関連する画像1
レーザー切断機のノズルに関連する画像2

課題

レーザー切断機のノズルです。切断中のスラッグを取り除くため、片方の口からはアシストガスを噴射しながら、反対側ではプルーム(煙や水蒸気)を発生させます。中に溝が複数ある複雑な形状となっていました。

3Dプリンターで解決できたこと

そもそも従来工法を前提としておらず、3Dプリンターでないと再現できない形状です。

金属3Dプリンターでないといけない理由

最初はPLAで造形したところ、結果は良かったものの、ノズルの口の部分が溶けて固まり、使えなくなってしまいました。Studio System™による金属材料での造形なら、耐熱性がありますのでその心配はありません。

既成概念から開放されたからこそできた設計
「空気と燃料の混合比率を変える噴霧器」

空気と燃料の混合比率を変える噴霧器に関連する画像1
空気と燃料の混合比率を変える噴霧器に関連する画像2

課題

燃料の燃焼量を減らして効率を上げることに懸命に取り組む中で、空気と燃料の混合比率(空燃比)を変えることで燃焼量を減らせることに気が付きました。噴霧器を使って混同の比率を変えれば、燃料の流量を抑えることができます。しかし従来工法を想定した設計では、大きな改善が見込めませんでした。

3Dプリンターで解決できたこと

従来工法では棒状の材料を切削で必要な形状にし、その後ボール盤で穴を空けていました。中に空気を送り込む方法を考える中で、そもそもの発想を変えて、穴の外側の部分を取り除き、中心から管を出そうと考え、狙い通りの結果を得られました。アディティブマニュファクチャリング技術の理解で、思考が自由になりました。更に、穴を丸いものではなく、計算機流体力学で最適なものにすることで気流が大幅に改善しました。燃料油の流量は従来の3分の1程度となりました。

金属3Dプリンターでないといけない理由

燃料が蒸発する時に発生する気化潜熱を中央や外に伝える部品で、当然高い耐熱性が必要となり、樹脂材料でできた造形物が耐えられる温度ではありません。金属材料の耐熱性があってこその部品製造です。形状確認による試作の効率化だけではなく、金属3Dプリンターなので造形物がそのまま最終部品となる点もポイントです。

改めて考える、金属3Dプリンターのメリット

一般的な3Dプリンター導入のメリットと、金属3Dプリンターだから実現できることを整理してみましょう。

一般的な
3Dプリンター導入のメリット
金属3Dプリンターだから
実現できること
  • 内製化による形状確認の効率化
  • 内製化によるコスト削減
  • 内製化による納期短縮
  • 従来工法にとらわれない自由な設計が可能
  • 材料によるが、強度、耐熱性、電気伝導率、熱伝導率、あるいは見た目の美しさなど、金属材料ならではの機械特性が実現できること
  • 生産性の条件が合えば、試作からそのまま最終部品製造にまで使えるケースが増えること

金属3Dプリンターのメリットとして、よく「内製化によるコスト削減や納期短縮」、「従来工法にとらわれない自由な設計が可能」といったことがあげられます。しかしこれらは樹脂材料の3Dプリンターでも同じことです。3Dプリンター、アディティブマニュファクチャリング技術によりメリットが見込めるものの、樹脂材料ではやりたいことが実現できない、という場合に金属3Dプリンターという選択肢になると思います。本体価格や付帯設備、工事費用などを含めるとそれなりの投資となりますが、見込めるメリットも大きなものになるケースが多いと思います。

John Zink Hamworthy社担当が伝える、
Studio System™の使いやすさ

金属粉末を使わないので、安全に作業できて、防護服を着用する必要がない。

動画の中では、「電源を入れるだけで使える。」とのコメントもあります。実際には取扱いの注意点がないわけではありませんが、粉末の取扱いがないので安全に使えること、設置環境に要するコストが少なくて済むことは明確なメリットです。

アディティブマニュファクチャリング技術の限界は想像力の限界、
思いつくものは何でも造形できる。

3Dプリンターでの造形を前提にすると設計の自由度が広がることについては、随所でコメントがあります。「アディティブマニュファクチャリング技術により何かの価値が得られるのに、金属3Dプリンターを導入していない企業は既に後れをとっている。」とのコメントすらありました。

※現行商品はStudio System™2となっており、上記メリットはしっかりと継承されています。

いかがでしたでしょうか。今回の事例をまとめた動画もございますので、是非ご覧ください。

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