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ヒューマンエラーへの対策とは?防止策・発生時の対応についても解説

From: バックオフィスラボ

2025年05月28日 07:00

この記事に書いてあること

仕事上のミスは防ぎたいものですが、人間が行うことにはミスが付き物です。こうしたミスは一般的に「ヒューマンエラー」と呼ばれます。

この記事では、ヒューマンエラーが発生する原因と対策を講じる手順について、わかりやすく解説しています。ヒューマンエラーを減らすためのポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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ヒューマンエラーとは?

はじめに、ヒューマンエラーの定義と主な種類について解説します。ヒューマンエラーの具体例とともに見ていきましょう。

人間のミスに起因する事故やトラブルのこと

ヒューマンエラーとは、判断ミスや操作ミスなど、人間が原因で引き起こされるエラーの総称です。人はたとえどれだけ気を付けていても、勘違いや思い込みなどによってミスを起こす可能性があります。ミスの内容によっては、重大な事故やトラブルに発展するケースも少なくありません。よって、ミスが起きないようにするとともに、どのような状況でミスが発生しやすいのかを事前に予測し、対策を講じておくことが大切です。

ヒューマンエラーの主な種類

ヒューマンエラーには、大きく分けて「意図的なヒューマンエラー」と「過失によるヒューマンエラー」の2種類があります。

意図的なヒューマンエラーとは、原因がはっきりしているミスのことです。定められた手順やルールに則って作業をしていなかったり、工程を省いたりすることによって引き起こされるケースが多く見られます。

過失によるヒューマンエラーとは、いわゆる「うっかりミス」のことを指します。手抜きをするつもりはなかったものの、勘違いや思い込み、見逃し、聞き間違いなどが原因でミスにつながるパターンです。

ヒューマンエラーの例

業務において発生しやすいヒューマンエラーの例を紹介します。

【意図的なヒューマンエラーの例】

  • 機械を操作する際、ルールどおりに指差呼称をしなかったために事故が発生した
  • 検品の工程を1つ省略したことで、不良品を見落としてしまった
  • ダブルチェックを怠った結果、お客様の宛名が異なる状態で納品された

【過失によるヒューマンエラーの例】

  • 無関係な相手をプロジェクト関係者と思い込み、重要なメールを誤送信してしまった
  • 納期を見間違えたことにより、期日までに作業を終えられなかった
  • 不注意で機械の操作ボタンに触れ、危険な状況で動作させてしまった

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ヒューマンエラーの主な原因とは?

ヒューマンエラーが発生する原因は多岐にわたるため、すべての要因を挙げるのは容易ではありません。ここでは、主な原因として想定される6つのパターンを紹介します。

記憶によるもの

必要な情報を覚えていなかったり、思い出せなかったりすることは、ヒューマンエラーの原因となり得ます。たとえば、アポイントの日時をメモするのを忘れてしまい、アポイント自体を忘れてしまうといったケースです。不正確な記憶にもとづいて見積書を作成したところ、顧客が注文した内容とは異なっていた、といったケースも記憶が原因のヒューマンエラーといえます。記憶に頼るのではなく、きちんとメモを取る・曖昧な点は確認するよう徹底することが重要です。

認知によるもの

必要な情報が不足していたり、伝え方が適切ではなかったりしたことが、ヒューマンエラーの原因になる場合もあります。一例として、作業伝票に記載された日付が発送日なのか必着日なのかが不明確だったり、作業時の注意点を一部の関係者にしか伝えていなかったりするようなケースです。正しい情報にもとづいて業務を遂行できなければ、ミスが発生しやすくなると言えるでしょう。情報を受け取る相手や伝わり方を考慮して、丁寧に伝達することが大切です。

判断によるもの

状況理解が適切になされていないことや、明確な判断基準が示されていないこともヒューマンエラーを誘発する原因となりがちです。たとえば「顧客から問い合わせがあったので、対応してほしい」とだけ伝えられた場合、問い合わせの内容や緊急度・重要度を判断できません。必要な情報を共有する範囲や手段を明確にし、具体的な対応方法などを決めておく必要があります。判断を個々の従業員に任せきりにするのではなく、会社や部門としてマニュアルやガイドラインの整備・共有をすることで判断基準を定めることが重要です。

行動によるもの

設備・機器の不備や操作性の問題によって、それらを扱う従業員のミスが発生しやすい状況になっている場合もあります。書類が山積みになっており適切な作業スペースが確保されていなかったり、人が頻繁に行き来する場所であるにもかかわらず配線が露出している状態になっていたりすれば、事故やトラブルにつながる恐れがあります。整理整頓や設備・機器のメンテナンスを適切に実施することは、ヒューマンエラーを防ぐ上で重要なポイントの1つです。

疲労によるもの

従業員の心身に疲労が蓄積し、集中力や注意力が低下していることも、ヒューマンエラーが発生する原因となります。長時間を要する作業であるにもかかわらず適切な休憩時間を設けていなかったり、集中する必要がある業務を騒がしい場所で行わざるを得ない状況が続いたりすると、ミスが発生しがちです。労働基準法を遵守して休日や休憩時間を設けるのはもちろんのこと、無理のない作業配分や静かな作業環境を整えることも大切です。

手抜きによるもの

必要な工程を省略したり、ルールを遵守して作業を進めていなかったりすることも、ヒューマンエラーを誘発する原因となりがちです。ルールを設ける目的や必要性が十分に理解されていなかったり、慣れによる慢心がルールの軽視につながったりすることも少なくありません。定期的にマニュアルの読み合わせを実施したり、作業手順の確認を行ったりすることにより、基本に立ち返る意識づけを日常的に行うことが重要です。

ヒューマンエラー対策の手順とは?

ヒューマンエラーを防ぐには、まず必要な対策を見極める必要があります。対策を講じる際の基本的な手順を見ていきましょう。

1. 情報を収集する(現状把握)

はじめに、ヒューマンエラーが現状どの程度、どのような場面で発生しているのかを把握します。過去に発生した事故やトラブルのうち、ヒューマンエラーが原因となっている可能性が高いものを抽出し、当時の状況を関係者にヒアリングするなどして状況を把握しましょう。

実際に事故やトラブルに至ったケースだけでなく、未然に回避された「ヒヤリハット」についても詳しくヒアリングをすることが大切です。ヒヤリハットの事例も含めて把握しておくことで、今後起こり得る事故やトラブルの回避に役立ちます。

2. 現状分析

次に、ヒューマンエラーが発生した原因を分析し、適切な対応方法を検討します。事故やトラブルが発生した原因を突き詰め、どうすれば回避できたのかを十分に検証することが大切です。

現状分析を行う際には、複数の視点から検証する必要があります。事故やトラブル発生時の当事者だけでなく、複数の部門やポジションの従業員が参加する検討会などを開催し、ヒューマンエラーが発生する要因を漏れなく洗い出していくことが重要です。

3. 防止策の決定

分析結果を踏まえて、今後の再発防止策を話し合います。再発防止策は具体性があるかどうかが重要なポイントです。「次回はもっと気を付ける」といった抽象的な防止策に留まることのないよう、現状の業務フローや指示系統に踏み込んで対策を講じる必要があります。

ヒューマンエラーがなくならない理由の1つに、ミスやトラブルの原因を「人」に見出してしまうことが挙げられます。どの従業員が業務遂行を担ったとしてもミスやトラブルを回避できるよう、仕組みのレベルから防止策を講じることが大切です。

ヒューマンエラー防止策とは?

ヒューマンエラーの減少につながるポイントを紹介します。すでに重大なミスやトラブルが発生したかどうかを問わず、あらゆる業務フローにおいて下記のポイントを意識していくことが大切です。

人的作業を減らす

ヒューマンエラーは人が介在する業務において発生します。裏を返すと、人が携わる作業そのものを減らすことはニューマンエラーの抑制につながる有効な対策の1つです。

すべての人的作業を削減・省略するのは現実的ではなかったとしても、自動化できる作業や削減できる工程が存在することは十分にあり得ます。作業の進め方や手順を丁寧にチェックし、見直しが可能な作業を洗い出していくことが重要です。

業務効率化や情報共有に役立つツールの活用

クラウド型AIツールやRPAなど、業務の自動化・省力化に役立つツールを積極的に活用するのも効果的な対策といえます。人の手や目視によって処理・判断される要素を減らしていくことにより、判断や認知が主な原因となっていたミスの発生を抑制できます。

また、業務遂行に必要な情報を適切に共有するための仕組みを構築することも重要です。担当者が気を利かせて報告・相談することを期待するのではなく、必要な情報がそろうまで次の工程へ進めない仕組みにするのが望ましいでしょう。業務管理ツールや進捗管理ツールを活用し、こうした仕組みを構築していくことが求められます。

フールプルーフの実践

フールプルーフとは、業務上のエラーが発生しない仕組みづくりのことを指します。たとえば、水が入っていないと電源をオンにできない仕様にすることで空焚きを防いでいる電気ケトルは、フールプルーフの考え方を取り入れている好例です。業務においてもヒューマンエラーが起こり得ない仕組みになるよう、設計や計画の段階で工夫しておく必要があります。一例として、二人で操作しなければ機器が作動しない仕様にすることで、自然とダブルチェックが組み込まれるような仕組みを作ることが挙げられます。

作業マニュアルの整備

作業の工程や手順、注意点などを明文化したマニュアルを整備することも重要です。担当者の勘や経験則に依存した業務の進め方は、ヒューマンエラーの温床になりかねません。マニュアルを作成する過程で、わかりにくい作業手順や判断ミスが起こりやすい工程が浮き彫りになる場合もあります。整理整頓や機器類のメンテナンスなど、ヒューマンエラーの防止につながる対策をマニュアルにも記載しておくと周知徹底に役立つでしょう。

運用体制の見直し

ヒューマンエラーを未然に防ぐには、仕組みを整備すると同時に運用体制を適切なものにしていくことも大切です。見落としや確認漏れが発生するリスクを抑制するためにダブルチェック体制を整えるなど、ミスやトラブルを未然に防止するための運用体制を二重三重に構築しておく必要があります。

ただし、チェック体制が厳重になるほど工程が増え、業務負荷も大きくなりがちです。運用体制の見直しは、ヒューマンエラーが発生するリスクの高い業務から優先的に行うことをおすすめします。

業務環境の見直し

ヒューマンエラーが発生しにくい業務環境を整備していくことも大切です。作業を進めにくく、ミスを誘発しかねない状況が放置されているようなら、環境そのものを見直す必要があります。

たとえば、適切な作業スペースの広さが確保されていないと、必要な書類がすぐに見つからなかったり、作業に必須の工具などが扱いにくくなったりしがちです。作業スペースの広さや明るさ、騒音の有無などをチェックした上で、担当者が集中しやすい環境を整えていく必要があるでしょう。

作業内容の見直し

作業内容を根本的に見直すことも、ヒューマンエラーの抑制につながるポイントの1つです。簡素化できる作業や自動化できる作業、そもそも不要な作業がないか、先入観を排して検証していくことが求められます。

組織においては、かつては必要だった作業の意味合いが変化していき、現在ではすでに必要性が薄れているものの、慣習的に続けられている作業が残っている場合があります。ルールや作業フローについても、単に慣習的に残されているものがないか1つひとつ点検していくことが大切です。

リテラシー向上のための取り組み

ヒューマンエラーを抑制するためのリテラシー向上のための取り組みも求められます。従業員のリテラシーが高まることで、ミスやトラブルが発生しやすい状況を予測しやすくなるほか、トラブルが発生した際にも冷静に対処できるからです。

たとえば、危険予知トレーニングの実施や、所定のライセンス取得者のみ作業に従事できるルールの導入など、教育訓練の仕組みを充実させていきましょう。

ヒヤリハットの共有

ミスには至らなかったものの、重大なミスにつながるリスクのあった事例を共有していくことも大切です。ヒヤリハットの事例を共有・蓄積する仕組みを導入し、再発防止策を提案しやすい環境を整えていくことをおすすめします。

ヒヤリハットに関する情報を共有する上で重要なポイントとなるのが、「ミスは誰にでも必ず起こるもの」という共通認識を形成しておくことです。ミスをしそうになったことを隠そうとしたり、取り繕ったりするのではなく、積極的に共有して再発防止に役立てる組織風土を醸成していくことが求められます。

発生したヒューマンエラーの共有

実際に発生したヒューマンエラーの事例を共有し、再発防止に役立てていくことも大切です。どのような状況下で、どのようなミスが発生したのかを詳細に共有することによって、同じミスが発生するのを防ぎやすくなります。

ミスやトラブルの事例を共有する際には、当事者を責めるようなニュアンスにならないよう注意が必要です。情報共有の目的が再発防止であることを周知徹底し、誰にでも起こり得る事例として共有するスタンスが求められます。

ヒューマンエラーへの対策は状況把握と原因分析が第一歩

人が携わる業務において、ヒューマンエラーを完全に回避するのは困難です。だからこそ、ヒューマンエラーが起こり得るという前提に立って対策を講じていく必要があります。今回紹介したヒューマンエラーの原因や対策の進め方、ヒューマンエラーを減らすためのポイントを参考に、まずは現在の状況把握と原因分析を進めていきましょう。

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記事執筆

バックオフィスラボ編集部 (リコージャパン株式会社運営

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