ヒューマンエラーへの対策とは?防止策・発生時の対応についても解説

From: バックオフィスラボ

2020年02月20日 08:00

この記事に書いてあること

企業において対策が必要なヒューマンエラーについて、主な発生原因や防ぐための対策手順、防止策等を分かりやすくご紹介します。

ヒューマンエラーイメージ

自社において、ヒューマンエラーを防止するための対策を講じたいと考えている担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、ヒューマンエラーの対策について解説します。発生する原因や防止策なども紹介するので、自社に該当する部分を把握して、最適な対策方法の導入に役立ててください。

ヒューマンエラーの原因とは?

まずはヒューマンエラーの意味を理解し、発生する原因を説明します。

ヒューマンエラーとは?

ヒューマンエラーとは、人間の行動によって生じる業務上のミスを意味します。人はどんなに気を付けていても、勘違いをしたりミスをするものです。人が引き起こすミスによって、大きなトラブルや事故など意図しない結果を引き起こしてしまうこともあります。

ヒューマンエラーの要因

ヒューマンエラーの要因は、主に故意や手抜きによる意図的な行動と、うっかりミスなど意図的でない行動の2つに分けられます。故意や手抜きによる行動とは、マニュアルや作業ルールに従わないことで発生するミスのことです。一方で、うっかりミスは知識や経験、理解などの不足によって起こります。

ヒューマンエラーが起こる12種類の原因とは?

ヒューマンエラーが起こる原因は主に12種類あります。ここで説明する「不注意」「パニック」「単調作業による意識低下」は、人間の本能や意識が影響している問題です。
どのようにミスが発生するのか、以下でより詳しく解説します。

危険軽視・慣れ

危険軽視や慣れによるミスは、業務に慣れた頃に起こりやすいものです。業務に慣れてくると、「このくらいは大丈夫」というように危険を軽視するようになり、普段では起こさないようなミスをしてしまいます。新人が業務に少しずつ慣れた頃や何年も働いているベテランに起こりがちです。

連絡不足

連絡不足によるヒューマンエラーとは、言い換えれば、コミュニケーションエラーのことです。このエラーは、複数人で作業するような大きな現場で発生しやすいものです。作業する人全員に指示が明確に伝わっていないことで、思わぬトラブルが発生してしまいます。

無知・経験不足

業務に対して知識や経験が不足していると、ミスが発生しやすいものです。特に新人に多いエラーですので、まずは徹底した教育やマニュアルの整備が必要になります。また、新人は積極的に業務を繰り返すことで、いち早く業務に慣れることも?切です。

集団欠陥

現場で正しい意識統一がなされていないことが原因で起こるヒューマンエラーです。たとえば、安全第一ではなく、生産性や効率を求める雰囲気の現場での危険なミスがこのタイプのヒューマンエラーに該当します。集団欠陥によるヒューマンエラーには個人ではなく組織的な対策が必要です。

近道・省略行動

「効率的に終える」「楽をしたい」といった近道・省略行動の考えにより、正しい作業手順を伴わないことでミスが発生します。近道・省略行動はコンプライアンスの問題でもあるため、集団欠陥と同様に組織的な対策が必要です。

場面行動本能

ひとつの業務に集中することで起こるエラーです。全体を見ることができず、他でミスが起こっていても見落としてしまいます。業務に慣れていない新人は、目の前のことに必死になり、場面行動本能によるエラーを起こしやすくなります。

錯覚

錯覚によるヒューマンエラーは、指示を聞き間違えたり、思い込みによって起こるエラーです。指示に関して、伝達方法の改善や認識する側の工夫により防止できます。

加齢による身体機能低下

加齢による身体機能低下によるヒューマンエラーは、記憶力や認識力、身体的機能の低下によって起こるエラーです。中高年や高齢者に起こる可能性があります。また、身体の機能低下を自覚せずに業務を行うとミスをしやすくなるため注意が必要です。

疲労

疲労もヒューマンエラーが起こる原因です。疲労が蓄積すると、体が思うように動かなくなり、事故につながる可能性が高くなります。作業者はしっかり健康管理を行い、こまめに休憩をとることが大切です。責任者は、作業者の疲労度合いや健康状態をきちんと確認する必要があります。

不注意

不注意によるヒューマンエラーは、注意散漫や集中の継続によって起こるエラーです。作業に集中しすぎてしまうと、周囲への注意が欠如しがちになります。そのため、作業中は周りの人としっかりコミュニケーションを取り合うことが大切です。

単調作業による意識低下

同じ作業を長時間繰り返しているときにもエラーが起こりやすくなります。単調作業を続けていると、突然予期せぬことが起こったときに素早く対応できなくなるケースがあります。単調作業は注意散漫になりがちなことから、「不注意」とも通じるところがあります。

パニック

パニックによるヒューマンエラーは、想定外の状況に直面したときに起こるエラーです。人間はパニックに陥ると冷静な判断ができなくなり、ミスする可能性が高くなります。そのため、事前に起こる可能性がある状況を想定しておく必要があります。

ヒューマンエラー対策の手順とは?

コラムイメージ

ヒューマンエラーの発生、また発生に備えるための対策手順を解説します。

検知
ヒューマンエラーを防ぐには、迅速な発生の検知が重要です。そのための仕組みづくりとして、ダブルチェック体制などが挙げられます。ダブルチェックは作業者以外の人が作業内容をチェックするため、見落としを確認できます。また、ヒューマンエラーを防止できなかった場合の対策を事前に構築しておくこともポイントです。

情報収集
ヒューマンエラーの対策を適切に講じるには、情報収集も必要です。書籍や外部のセミナーに参加して、報告や調査による事例や対策方法を知ることで、自社で活用できる方法を見つけられるでしょう。また、社内の報告から、事例として適切な対策を講ずることも可能です。

分析
ヒューマンエラーが発生した際には、要因やどのような事故につながったのか分析することが重要です。発生する可能性のあるヒューマンエラーの要因もあわせて検証しておきましょう。

対策
分析したあとは、分析結果に基づいた防止策を決定します。防止策は社内で情報共有し、浸透させておくことが?切です。

例えば、建設業界などでは「ヒヤリ・ハット」として関係者に情報を共有しています。「ヒヤリ・ハット」とは、エラーを起こしそうになった一歩手前の事例のことです。ヒューマンエラーが発生する前に、その要因を取り除くための重要な情報となります。

ヒューマンエラー防止策とは?

コラムイメージ

ここまでヒューマンエラーの原因、対策の手順を解説してきましたが、最後にどのような防止策をすればよいのか具体的に説明します。

人的作業を減らす
ヒューマンエラーは、人間の行為によって起こるエラーです。そのため、エラーが起こる可能性のある業務に対する人的作業の削減が防止策として挙げられます。すべての人的作業を削減するのは難しいものの、工数削減や、作業方法の見直しをするといいでしょう。

クラウド型AIでの業務効率化
実際に人的作業を減らすためには、ヒューマンエラーが起こりがちな業務に対してクラウド型AIの導入が有効です。クラウド型AIの導入で業務効率化が図れますし、人件費の削減や他の重要な業務へのリソース配分も可能になります。

フールプルーフ
フールプルーフとは、業務上のエラーが発生しない仕組みづくりのことです。たとえば、水が入っていない場合、スイッチをオンにできない仕様で空焚きを防止できる電気ケトルは、フールプルーフの考えに基づいています。業務においても設計や計画の段階で、ヒューマンエラーが起きないような工夫や仕組みづくりをしておくことが重要です。

業務環境の見直し
ヒューマンエラーをなくすためには、業務環境の直しを行うことも大切です。わかりづらい作業手順や、作業者の能力にマッチしない業務の割り当てにより、ミスが起こりやすくなります。業務環境の見直しにおいては、作業マニュアルの改善や整理整頓、適切な人材配置などを行うようにしましょう。

リテラシーの向上をはかる
ヒューマンエラーによるリスクに対するリテラシーの向上を図ることも大切です。リテラシーを高めることで、予期せぬトラブルが起こったときでも冷静に対処できます。そのためには、危険予知トレーニングの実施や、ライセンス取得者のみ作業可能とするライセンス制度の導入など、教育訓練の充実が必要です。

まとめ

ヒューマンエラーが起こる原因は「連絡不足」や「危険軽視」など様々です。自社においてどれが発生しやすいかを事前に把握しておくことが大切になります。また、ヒューマンエラーを防止するためには、社内での教育制度の充実や業務環境の見直しなど徹底した対策も必要です。人間が起こすミスであることから、クラウド型AIの導入やフールプルーフの考えを採用することも重要なポイントといえます。

この記事で紹介した対策手順、防止策を参考にして自社で最適な対策を講じてください。

記事タイトルとURLをコピーしました!

https://www.ricoh.co.jp/magazines/back-office/column/human-error/

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

バックオフィスラボに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ