再生可能エネルギーの導入で得られる環境・経済面での効果とは?活用企業の事例もご紹介
2024年07月19日 09:08
この記事に書いてあること
地球温暖化や環境破壊といった深刻な問題に対処し、持続可能な未来を築くための解決策として世界中で「再生可能エネルギー」への注目が高まっています。
再生可能エネルギーは化石燃料の使用に代わるクリーンで無尽蔵のエネルギー源として地球と人類の未来に新たな希望をもたらしています。
ここでは再生可能エネルギーの環境面、経済社会面でのメリットや企業、自治体などの取り組み事例をご紹介いたします。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーとは使用しても枯渇しない、自然界に存在するエネルギー源のことを言います。
おもな再生可能エネルギーとしては、太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスなどがあります。
これらのエネルギー源は太陽や風といった自然から直接エネルギーを取り出すため、燃焼によるCO2排出がほとんどありません。
この再生可能エネルギーが地球や我々の経済社会にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
【環境面】再生可能エネルギーのメリット

再生可能エネルギーの普及は環境保護と持続可能な発展において重要な役割を果たします。
特に、温室効果ガスの排出削減、大気汚染の抑制、そして廃棄物の発生が少ないという点で多くの環境面でのメリットがあります。
- ・温室効果ガスの排出量を減らせる
- ・大気汚染の抑制に繋がる
- ・廃棄物の発生が少ない
- ・エネルギー源が枯渇せず永続的に利用できる
温室効果ガスの排出量を減らせる
再生可能エネルギーの使用は化石燃料を燃焼させることなく電力を生産するため、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量を大幅に削減できる最も効果的な手段の一つです。
太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー源は燃料の採掘、輸送、燃焼といったプロセスで発生するCO2排出を伴わないか、あるいは非常に少ない量のみです。これにより地球温暖化対策における重要な取り組みとして再生可能エネルギーの導入が推進されています。
大気汚染の抑制に繋がる
化石燃料の燃焼は、SO2、NOx、PM2.5などの大気汚染物質の主要な発生源です。これらの物質は人間の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、酸性雨の原因となり生態系にも害を及ぼします。
一方、再生可能エネルギーはこれらの汚染物質の排出を大幅に削減し大気質の改善に寄与します。特に都市部では清潔な空気は市民の健康を守る上で極めて重要です。
廃棄物の発生が少ない
再生可能エネルギーの利用は、発電プロセスにおいて固体廃棄物や有害な副産物をほとんど、または全く生成しません。特に太陽光や風力は発電中に廃棄物を生じることがなく環境への負荷が非常に低いエネルギー源です。
バイオマスにおいても使用される原材料は自然界から得られる有機物であり適切に管理すれば廃棄物問題を最小限に抑えることが可能です。
エネルギー源が枯渇せず永続的に利用できる
太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーは地球が存続する限り存在し続けるため、石油や石炭などの化石燃料のように枯渇することがありません。自然界で常に循環しているエネルギーであることに加えて、資源の分布に偏りがなく世界各地で利用できます。
また再生可能エネルギーを導入すると化石燃料への依存度を減らしてエネルギー自給率を向上させることが可能です。その結果、エネルギー安全保障の強化にもつながります。
【経済社会面】再生可能エネルギーのメリット

再生可能エネルギーの導入と普及は単に環境保護のみならず経済社会面においても多大なメリットをもたらします。
- ・エネルギー自給率を向上できる
- ・エネルギー安全保障の強化に繋がる
- ・雇用創出の機会が増える
- ・地域経済が活性化する
それぞれ見ていきましょう。
エネルギー自給率を向上できる
再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、地域に存在している資源から生産されます。
そのため、国や地域が自らのエネルギーを生産・消費することが可能となり外国からのエネルギー輸入に依存するリスクを大幅に減少させることができます。結果として、エネルギー自給率の向上を実現しエネルギーの安定供給に貢献します。
エネルギー安全保障の強化に繋がる
再生可能エネルギーの利用拡大はエネルギー供給源の多様化を促しエネルギーの安全保障を強化します。
地政学的な不安定性や国際市場の変動から影響を受けやすい化石燃料の輸入依存度を下げることが可能になります。これにより、エネルギー価格の急激な変動や供給途絶のリスクから国民経済を守ることができます。
雇用創出の機会が増える
再生可能エネルギー分野は、設計、製造、設置、運用、保守といった幅広い分野で新たな雇用機会を創出します。これは特に地方や過疎地域において新たな産業基盤の構築と経済活性化のチャンスを提供します。
太陽光発電や風力発電などのプロジェクトは地域の雇用創出の機会を増やし持続可能な経済成長を促進します。
地域経済が活性化する
再生可能エネルギーの普及により地域資源の活用が促進されます。これは地域で生産されたエネルギーを地域内で消費することにより地域経済の自立と循環を促進します。
エネルギーの生産から消費までの過程が地域内で完結することで地域外への資金流出を防ぎ地域内での資金循環を活性化させます。これは地域社会の発展に大きく貢献し、地方創生の一環としても期待されています。
再生可能エネルギーのデメリット

再生可能エネルギーは環境に優しく持続可能なエネルギー源として注目されていますがその導入と利用にはいくつかの課題が存在します。
発電量が不安定になりやすい
コストがかかる
設置場所が限られている
発電量が不安定になりやすい
再生可能エネルギー源の最大の課題の一つはその発電量が不安定であることです。太陽光発電や風力発電などは天候や時間帯、季節によって発電効率が大きく変動します。
例えば、夜間には太陽光発電が機能せず風が弱い日には風力発電の効率が下がります。このような不安定性はエネルギー供給の安定性を確保する上で大きな課題となります。
コストがかかる
再生可能エネルギーの導入には発電設備の設置や維持管理に関わる初期投資が必要です。特に技術が新しい場合や大規模な設備が必要な場合にはそのコストはさらに高くなります。
また、不安定な発電量を補うためのエネルギー貯蔵システムや既存の電力ネットワークへの統合にも追加の費用が発生します。これらのコストは再生可能エネルギーを一般的なエネルギー供給源として普及させる上での障壁となることがあります。
設置場所が限られている
再生可能エネルギー発電設備の設置可能な場所はその種類によって地理的・環境的条件に大きく依存します。風力発電は一定以上の風速が保証される地域でなければ効率的に運用することができません。
同様に、太陽光発電は日照条件が良い地域でのみその真価を発揮します。これにより一部の地域では再生可能エネルギーの導入が困難になる可能性があります。さらに、適切な地域でも自然保護区域や住宅地など設置に適さない場所が存在することが、設置場所の選定をさらに複雑にします。
企業による再生可能エネルギーの使い道の具体例
再生可能エネルギーは実際にどのような形で導入されているのでしょうか。ここでは、企業による具体的な導入事例を紹介します。
参考:経済産業省資源エネルギー庁|再生可能エネルギー事業事例集
【事例①】太陽光発電を使ってブルーベリー栽培
ハウステンボスによる事例では太陽光発電を活用したブルーベリー栽培が行われています。このプロジェクトでは太陽光パネルを使用して電力を生成するとともに、ブルーベリーの栽培に最適な環境を提供しています。
太陽光パネルが設置された約2,300㎡のエリアでは再生可能エネルギーを農業に組み込むことで電力と食料の両方を現地で生産し、テーマパークの持続可能性と環境保全への取り組みを示しています。
参考:自家消費型営農型太陽光発電観光農園事業
【事例②】バイオマス発電を使った自治体事業
真庭市のバイオマス発電事業は地域の森林資源を活用した官民連携プロジェクトです。この事業では間伐材や製材端材を燃料として使用し地域内で持続可能なエネルギー供給を実現しています。
発電所は年間約330日、24時間稼働し、年間約148,000トンの燃料を必要とします。この取り組みは地域の林業の振興、廃棄物問題の解決、そして再生可能エネルギーの普及に貢献しており地域経済の活性化及び森林資源の良好な循環の構築を目指しています。
参考:バイオマス産業杜市“真庭”における発電事業
【事例③】水力発電を使った地域振興
広川町では広川防災ダム周辺での小水力発電事業を通じて地域振興を目指しています。このプロジェクトは国土交通省のダム再生ビジョンに基づき、地元雇用創出や地域活性化を目標に掲げ民間事業者との協力のもと進められています。
資源エネルギー庁の補助金を活用し流量調査や事業者の公募などが行われました。この取り組みは小水力発電の導入促進と地域経済の活性化に貢献する事例として注目されています。
参考:広川町小水力発電事業による上広川地区の振興
まとめ
再生可能エネルギーは環境保全と経済発展を両立させる鍵となり得る持続可能なエネルギー源です。
その多様な種類とメリットは今後のエネルギー政策や社会構造の変革において中心的な役割を果たすでしょう。
一方で発電量の不安定性や初期投資の高さなどの課題も存在します。
これらの課題を乗り越え再生可能エネルギーのさらなる普及を目指すことが持続可能な未来への道を拓くことに繋がります。
企業や自治体による具体的な取り組み事例からもわかるように再生可能エネルギーの活用は、地域社会や経済にも大きなメリットをもたらしています。
これからも再生可能エネルギーを中心とした持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みが進められることが期待されます。
※本記事に掲載の会社名および製品名はそれぞれの各社の商号、商標または登録商標です。
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