納品書の正しい保管方法とは? 法人・個人別保管期間と電子対応を解説
公開日:2026年05月21日
この記事に書いてあること
納品書が手元に溜まってしまい、いつまでどのように保管すべきか悩んでいる方に向けて、具体的なルールを解説します。この記事では、法人や個人事業主ごとの法的な保管期間と、紙や電子データによる適切な保管方法をお伝えします。読み終わると、法律違反のリスクを抑えつつ、業務の手間を省く書類管理の仕組みを整えるヒントが得られます。納品書は適切なルールに従って保管することが重要です。
品書は証憑書類として保管義務がある
納品書は、取引の事実を証明する書類として証憑書類の一つとして扱われることが多い書類です。証憑書類とは、取引が実際に存在した事実を裏付けるための客観的な証明資料のことです。会社法や法人税法といった複数の法律によって、これらの書類は一定期間捨てずに残しておくことが義務付けられています。そのため、確認が終わったからといってすぐに破棄してしまうと、法律上のリスクが生じる可能性があります。万が一税務調査が入った際に取引内容を証明できる書類全体が十分に提示できない場合、仕入控除が認められず、結果として追徴課税を受ける可能性もあります。
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【法人・個人別】納品書の保管期間
納品書の保管期間は、事業の形態によって法律で定められている年数が異なります。法人と個人事業主では適用される法律の基準が違うため、自身の状況に合わせた正しい期間を把握しておくことが重要となります。以下に、それぞれのケースにおける具体的な保管期間を整理しました。
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事業形態 |
原則の保管期間 |
適用される主な法律 |
例外や特例措置 |
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法人 |
7年 |
法人税法 |
欠損金が生じた事業年度は10年間の保管が必要となる |
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個人事業主 |
5年 |
所得税法 |
消費税の課税事業者に該当する場合は7年間に延長される |
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法人(会社法基準) |
10年 |
会社法 |
帳簿書類としての性質を持つ場合は10年間の保管が求められる |
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インボイス発行事業者 |
7年 |
消費税法 |
法人・個人を問わず、適格請求書に該当する書類は7年保管 |
法人の場合は原則7年または10年
法人が納品書を保管する期間は、法人税法において原則として7年と定められています。この7年という期間は、書類を受け取った日から数えるのではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から起算するというルールが存在します。たとえば、決算日から2ヶ月後が申告期限であれば、そこから7年間は書類を手元に残しておかなければなりません。さらに、赤字が発生して欠損金の繰越控除を受ける事業年度については、保管期間が10年に延長されます。
なお、会社法では会計帳簿や重要な書類について10年間の保管が求められています。納品書がすべてこれに該当するとは限りませんが、実務上は安全策として、保管期間を10年間に統一して運用している企業も多く見られます。
個人事業主の場合は原則5年または7年
個人事業主の場合、青色申告と白色申告のいずれであっても原則としての保管期間は5年となります。確定申告の期限の翌日から起算して5年間は、納品書などの証憑書類をいつでも確認できる状態にしておく義務があります。ただし、消費税の課税事業者となっている場合は、消費税法の規定が適用されて保管期間が7年に延びる点に注意しなければなりません。インボイス制度が開始されて以降は、適格請求書発行事業者として登録している個人事業主も多くなっています。そのため、将来的な税制変更や課税事業者への移行を見据えて、最初から7年間保管するルールを社内で設けておくことをおすすめします。
紙で受け取った納品書の保管方法

取引先から紙で郵送されたり、商品と一緒に梱包されたりして届く納品書は、物理的な管理スペースが必要となります。時間が経つにつれて膨大な量になるため、後から目的の書類をすぐに見つけ出せる工夫が欠かせません。紙の書類を整理し、安全に長期保管するための具体的な手法を解説します。
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保管方法 |
メリット |
デメリット |
適している企業規模や状況 |
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取引先別ファイリング |
特定の企業との取引履歴を時系列で追いやすい |
取引先が増えるとファイルの数や管理の手間が膨大になる |
取引社数が限定的で、1社あたりの取引回数が多い企業 |
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月別ファイリング |
月次の締め作業や経理処理と連動して管理しやすい |
過去の特定の取引先を探す際にすべての月をまたいで探す手間がある |
取引社数が多く、毎月の経理処理をルーティン化している企業 |
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倉庫での段ボール保管 |
オフィスの執務スペースを広く有効に活用できる |
取り出しに時間がかかり、環境によっては劣化のリスクがある |
過去数年分の参照頻度が低い書類を大量に抱えている企業 |
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スキャナ保存 |
物理的な保管スペースを削減し、検索性が向上する |
導入時にスキャナー機材や対応システムの準備が必要となる |
ペーパーレス化を推進し、リモートワークでの閲覧を想定する企業 |
【関連記事】ペーパーレスとは? 電子帳簿保存法などの法律についても徹底解説 | 働き方改革ラボ | リコー
取引先別または月別にファイリングする
紙の納品書を日常的に管理する際は、検索のしやすさを意識したファイリング方法を選ぶことが大事です。一般的な方法として、取引先ごとに個別のファイルを用意するやり方と、月ごとにすべての書類を一つにまとめるやり方の二通りが存在します。取引先別の方法は、特定の企業との過去のやり取りを振り返る際に非常に便利といえます。一方で月別の方法は、決算や月次の経理処理と連動しやすく、作業の抜け漏れを防ぎやすいのが特徴です。自社の経理フローや取引先の数に応じて、どちらのルールが業務に合っているかを慎重に検討してみてください。
一定期間経過後に段ボールで倉庫保管する
ファイリングした納品書がオフィス内に溢れてしまうと、日常の業務スペースを圧迫してしまいます。そのため、直近1〜2年分の書類だけを手元に残し、それより古いものは段ボールに詰めて外部の倉庫や専用の書庫に移動させる運用が効果的となります。箱に収納する際は、外側に「〇〇年度分・廃棄予定日〇〇年〇月」と大きな文字で明記しておくことがポイントです。このように期限を可視化しておくことで、法定保管期間を過ぎた際に迷わず廃棄処分を進めることができます。湿気や直射日光による紙の劣化を防ぐため、風通しの良い環境を選ぶことも忘れないようにしましょう。
電子帳簿保存法に基づくスキャナ保存を活用する
紙で受け取った納品書をそのまま紙として残すのではなく、スキャナーやスマートフォンで読み取って電子データとして保存する選択肢もあります。電子帳簿保存法のスキャナ保存制度を利用すれば、法令で定められた要件を満たした運用を継続して行うことを前提に、原本である紙を破棄することが可能となります。これにより、オフィスの収納スペースを劇的に削減できる効果が期待できます。導入の際は、解像度やタイムスタンプの付与、検索機能の確保といった法律が定める要件をクリアする専用システムを利用することが確実といえます。初期準備に手間はかかりますが、長期的な視点では管理コストの大きな削減につながるはずです。
電子データで受け取った納品書の保管方法
昨今では、PDF形式などでメールに添付されたり、クラウドシステム経由でダウンロードしたりする電子データの納品書が増加しています。電子取引で受け取ったデータは、紙に印刷して保存するのではなく、データのまま保存することが法律で義務付けられました。ここでは、電子データを適切に保管するための具体的な手順を説明します。
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データ保存の要件 |
概要と目的 |
具体的な対応方法の例 |
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システム概要書の備え付け |
利用しているシステムの仕様や操作方法を確認できるようにする |
システムの操作マニュアルやオンラインヘルプをいつでも閲覧可能にする |
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見読可能装置の設置 |
保存したデータを明瞭な状態で速やかに画面で確認できるようにする |
オフィス内にPCのディスプレイやプリンターを常備しておく |
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検索機能の確保 |
税務調査時などに特定の取引記録を素早く抽出できるようにする |
「取引年月日」「取引金額」「取引先名」で検索できる仕組みを構築する |
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真実性の確保 |
データが改ざんされていないことを客観的に証明できるようにする |
タイムスタンプを付与するか、訂正削除履歴が残るシステムを利用する |
【関連記事】電子帳簿保存法「電子取引データ保存」に向けた事務処理体制や保存ルール見直しのポイント | 中小企業応援サイト | RICOH
電子取引データの保存義務化について
電子帳簿保存法の改正により、電子メールやインターネット経由で受け取った納品書は、電子データのまま保存することが義務化されています。以前のように、PDFデータを紙に印刷してファイリングする運用は、原則として認められなくなっています。ただし、具体的な要件や例外的な取り扱いについては、国税庁が公表している最新のガイドラインを確認することが重要です。
このルールは法人だけでなく個人事業主にも適用されるため、早急な対応が必要といえます。電子データとして保存する際は、真実性の確保と可視性の確保という厳しい要件を満たすことが求められます。法律に準拠した運用ルールを社内で策定し、全従業員に周知徹底することが第一歩となります。
検索要件を満たすファイル名での保存手順
電子データを保存する上で特に注意すべきなのが、後から目的の書類を探し出せる検索機能の確保です。専用のシステムを導入せずにパソコンのフォルダ内で管理する場合は、ファイル名の付け方に工夫を凝らす必要があります。具体的には、「20260407株式会社〇〇100000.pdf」のように、「日付」「取引先名」「金額」の三つの要素をファイル名に含める方法が推奨されています。このような統一された命名規則を設けることで、OSの標準検索機能を使って特定の条件に合致する納品書を簡単に探し出せるようになります。手作業による入力ミスを防ぐため、社内で明確なマニュアルを作成しておくと安心です。
クラウドストレージや専用システムを活用する
ファイル名の変更を手作業で行うのは、書類の件数が増えるにつれて担当者の大きな負担となってしまいます。そこで役立つのが、電子帳簿保存法に対応したクラウドストレージや経理専用の管理システムを活用する方法です。これらのシステムを導入すると、多くの場合、アップロードした納品書からAIが自動で日付や金額を読み取り、検索要件を満たした状態で整理してくれます。さらに、多くのサービスではタイムスタンプの自動付与や操作履歴の保存機能も備わっているため、真実性の確保も容易にクリアできるのが魅力といえます。セキュリティ対策も万全なサービスが多いため、情報漏洩のリスクを抑えつつ効率的な保管が実現します。
納品書を保管する際の注意点

納品書を保管する業務においては、法律の遵守だけでなく、日々のイレギュラーな事態への対応も想定しておく必要があります。インボイス制度への対応や、万が一書類を紛失してしまった場合の対処法など、実務で直面しやすい疑問点をあらかじめ整理しておくことが大切です。トラブルを未然に防ぐための重要なポイントをお伝えします。
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注意すべきケース |
発生しうるリスク |
適切な対応策や予防策 |
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インボイス制度の適用 |
仕入税額控除が否認され、自社の消費税負担が増加する |
受領時に適格請求書発行事業者登録番号の有無と記載事項を必ず確認する |
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納品書の紛失 |
取引の事実証明ができず、経理処理が停止してしまう |
発覚後すぐに取引先に事情を説明し、正しい内容で再発行を依頼する |
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再発行時の記載ミス |
故意に事実と異なる内容を記載した場合、虚偽の書類を作成したとみなされ、刑事責任を問われる恐れがある |
発行日や金額を原本と一致させ、再発行であることを明記する |
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保管期間終了後の廃棄 |
顧客情報や取引金額などの機密情報が外部に漏洩する |
専門の溶解処理業者に依頼するか、目の細かいシュレッダーで裁断する |
インボイス制度における適格請求書としての扱い
インボイス制度が始まって以降、納品書が適格請求書(インボイス)としての役割を担うことが可能になりました。請求書ではなく納品書に登録番号や適用税率などが記載されている場合、その納品書を法定期間にわたって適切に保存しなければ、消費税の仕入税額控除を受けることができなくなります。受け取った納品書がインボイスの要件を満たしているかをその都度チェックし、要件を満たしているものは他の書類と区別して大切に保管する習慣をつけることが重要です。経理部門と現場の担当者が連携し、書類の確認フローを標準化しておくことをおすすめします。
紛失した場合の再発行依頼と対応
どれだけ慎重に管理していても、移動中や整理の過程で納品書を紛失してしまうトラブルは起こり得ます。もし手元に見当たらないことに気づいた場合は、そのまま放置せず、直ちに取引先に連絡して再発行を依頼してください。再発行された納品書を受け取る際は、日付や金額が当初のものと完全に一致しているかを念入りに確認することが求められます。事実と異なる内容が記載されていると、税務上重大な問題に発展する可能性があるからです。紛失を防ぐためには、受け取ったらすぐに所定のファイルに綴じるか、即座にデータ化するルールを徹底するとよいでしょう。
保管期間を過ぎた納品書の適切な廃棄手順
法定の保管期間を無事に経過した納品書は、いつまでも手元に残しておく必要はありません。しかし、そのまま一般的なゴミとして捨ててしまうのは非常に危険といえます。納品書には取引先の企業名や担当者名、具体的な取引金額といった機密情報が多数記載されているからです。紙の書類を処分する際は、オフィス用のシュレッダーで細かく裁断するか、専門の溶解処理サービスを利用して復元不可能な状態にすることが鉄則となります。電子データの場合は、システム上から完全に削除し、バックアップファイルにも残っていないことを確認する手順を踏むようにしましょう。
※法令の解釈や要件は改正される場合があります。最新情報や正式な取り扱いについては、国税庁などの官公庁が公開する資料をご確認ください。
まとめ:納品書の保管方法を見直して業務効率化を図ろう
この記事では納品書の保管方法について解説してきました。
- ・法人の納品書保管期間は原則7年、会社法考慮や赤字年度は10年となる
- ・個人事業主は原則5年だが、消費税課税事業者の場合は7年保管が義務付けられる
- ・電子取引で受け取ったデータは紙に印刷せず、検索要件を満たして保存する
- ・紙の書類は取引先別や月別に整理し、一定期間後は段ボール等で倉庫保管する
- ・インボイス要件を満たす納品書は仕入税額控除に影響するため確実な保管が必須である
納品書の保管業務は、紙と電子データが混在することで煩雑になりやすく、検索や整理に多くの時間を取られてしまうケースも少なくありません。特に、スキャナ保存や電子帳簿保存法への対応を進める中で、「データ化や入力作業に手間がかかる」と感じている方も多いのではないでしょうか。
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