電子請求書の正しい保存方法は? 電子帳簿保存法に対応した手順を解説
公開日:2026年05月20日
この記事に書いてあること
取引先からメールで送られてきた電子データ形式の請求書を、とりあえずそのままパソコンのデスクトップに保存していませんか。実は、電子請求書の保存方法は「電子帳簿保存法」という法律によって細かく定められており、適切なルールに沿って対応しないと、法的なトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、電子請求書の保存方法で悩んでいる経理担当者や個人事業主の方に向けて、法令のポイントを押さえながら具体的な保存手順やファイル名の付け方を分かりやすく解説します。読み終わると、専用システムを使わずに自社で対応する方法から、効率的なシステム管理のコツまでを理解でき、実務へ反映できるようになります。
※本記事の内容は、執筆時点の法令や公表資料をもとに一般的な考え方を解説したものです。法令の解釈や要件は改正される場合がありますので、最新情報や正式な取り扱いについては、国税庁などの官公庁が公開する資料をご確認ください。
電子請求書の保存方法は「電子帳簿保存法」によって定められている
取引先からメールで送られてきたPDFの請求書や、クラウドサービスからダウンロードした請求書は、電子帳簿保存法では「電子取引データ」として扱われます。これらの電子請求書をどのように保存すべきかは、国税庁が管轄する電子帳簿保存法によって明確にルール化されているのをご存知でしょうか。保管方法が適切でない場合、税務調査の際に書類として認められない事態を招く恐れがあります。
ここではまず、なぜ保存方法に気を配る必要があるのか、どのようなデータが対象になるのかという基本的な前提についてお伝えします。
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項目 |
概要 |
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法律の名称 |
電子帳簿保存法 |
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管轄機関 |
国税庁 |
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対象となるデータ |
メール添付のPDF、クラウド発行の請求書など |
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主な目的 |
データの改ざん防止と検索性の確保 |
【関連記事】電子帳簿保存のメリットと設備投資や導入のポイント | 中小企業応援サイト | RICOH
紙での保存は原則不可となった背景
電子帳簿保存法の改正により、電子データで受け取った請求書は、電子データのまま保存することが義務付けられており、紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません。これまでは、メールで送られてきたPDFをプリンターで出力し、紙の請求書と同じバインダーに綴じて保管していた方も多いはずです。
しかし、社会全体のペーパーレス化の推進や業務のデジタル化を背景に、電子で受け取ったものは電子のまま保存することがルール化されたという経緯があります。法律の改正に対応するためには、紙からデジタルへと管理方法を大きく切り替える重要があります。新しいルールに慣れるまでは大変に感じるかもしれませんが、長期的に見れば紙の保管スペースを削減できるという利点も存在します。
保存対象となる電子データの具体例
電子帳簿保存法において保存の対象となるのは、PDFで届いた請求書だけではありません。取引先とインターネットを通じてやり取りした取引情報はすべて「電子取引データ」として扱われるため注意が必要です。
例えば、メールの本文に直接取引金額が記載されている場合や、スマートフォンのスクリーンショットで保存した領収書、さらにはEDI取引(電子データ交換)によるデータも対象に含まれます。どのようなデータが保存義務の対象になるのかを事前に把握しておくことで、大切なデータの保存漏れを防ぐことにつながると思いませんか。
電子請求書を適法に保存するための2つの要件
電子請求書を保存する際には、国税庁が定める「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。ただ単にパソコンのフォルダに保存するだけでは、税務調査などの際に適法と認められないケースがあるため気をつけてください。法律の要件と聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、目的を理解すれば対応の方向性が見えてきます。ここでは、それぞれの要件がどのような意味を持っているのかを詳しく解説します。
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要件の名称 |
目的 |
具体的な対応例 |
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真実性の確保 |
データの改ざんを防ぐこと |
タイムスタンプの付与、事務処理規程の策定など |
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可視性の確保 |
データを探しやすく読みやすくすること |
取引先名や金額での検索機能、ディスプレイの設置など |
真実性の確保(改ざん防止のための措置)
真実性の確保とは、保存した電子請求書が後から不正に書き換えられたり、削除されたりするのを防ぐためのルールです。国税庁が公表している電子帳簿保存法に関する資料によれば、保存したデータが改ざんされていないことを証明するために、タイムスタンプを付与する方法や、訂正削除履歴の残るシステムの利用などが推奨されています。
専用のシステムを導入しない場合は、改ざん防止のための「事務処理規程」を自社で作成し、そのルールに従って運用するという方法を選択することも可能です。どの方法を選ぶべきかは、自社の規模や予算に合わせて検討することが大切です。
可視性の確保(検索機能の確保と見読性)
可視性の確保とは、税務署の職員や社内の担当者が、後から電子請求書を速やかに確認できるようにするためのルールです。具体的には、パソコンやディスプレイを設置してデータを明瞭な状態で確認できるようにする「見読性」と、目的のデータをすぐに探し出せる「検索機能の確保」が求められます。
検索機能については、原則として「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つの項目でデータを絞り込める状態にしておく必要があります。ファイルを探すのに時間がかかってしまう状態は、法律の要件を満たしていないと判断される可能性があるため注意が必要です。
【具体例】パソコンのフォルダを使って電子請求書を保存する方法
専用のシステムを新しく導入しなくても、パソコンの標準機能を使って法律の要件を満たす保存方法を実践することは十分に可能です。特に取引件数が少ない中小企業や個人事業主の方にとっては、この方法がコストもかからず始めやすいのではないでしょうか。実務の中でどのようにデータを整理すればよいのか、具体的な手順を知っておくと安心です。ここでは、具体的なファイル名のルールや管理のコツについてお伝えします。
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手順 |
概要 |
目的 |
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1.ファイル名の変更 |
日付・相手先・金額をファイル名に入れる |
検索要件を満たすため |
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2.索引簿の作成 |
表計算ソフトで取引情報をリスト化する |
検索をより容易にするため |
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3.事務処理規程の策定 |
改ざん防止のルールを定めて守る |
真実性の確保を満たすため |
検索要件を満たすファイル名の付け方
パソコンのフォルダで管理する場合、電子請求書のファイル名を特定のルールに従って変更することで、可視性の要件である検索機能を満たすことができます。具体的には、「20241031株式会社A10000.pdf」のように、取引年月日、取引先名、取引金額をアンダーバーでつないでファイル名に含めます。こうすることで、パソコンの検索窓に「株式会社A」や「10000」と入力するだけで、対象の請求書をすぐに見つけ出せるようになります。手作業でのファイル名変更は少し手間がかかりますが、社内でルールを統一することで日々の管理が大幅に楽になります。
索引簿を作成して一元管理する方法
ファイル名の変更に加えて、表計算ソフトなどを使って「索引簿」を作成する方法も有効な管理手法です。ファイル名には「001」「002」といった連番だけを振り、その連番と取引年月日、取引先名、取引金額をExcelなどの表に入力してリスト化します。この方法であれば、一つひとつのファイルに長い名前を入力する手間が省け、一覧表のフィルター機能を使って簡単に目的のデータを探し出すことができます。国税庁のウェブサイトでも索引簿のサンプルが提供されているため、フォーマット作りに迷った際は参考にしてみるのも良い方法です。
参考:国税庁「索引簿の作成例」
事務処理規程を定めて運用する
真実性の確保を満たすために、コストをかけずにすぐ実施できるのが「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を策定し、運用する方法です。この規程には、社内で誰がデータを保存するのか、誤って保存した場合の訂正や削除のルールはどうするのかといった運用手順を記載します。
国税庁のホームページには、法人用と個人事業主用の規程のひな型がワード形式で用意されています。自社の状況に合わせて社名や担当者名を一部書き換えるだけで簡単に導入できるため、ぜひ活用を検討してみてください。
参考:電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(法人の例)
参考:電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(個人事業者の例)
法人における電子請求書の保存期間(原則7年間)
電子請求書をいつまで保存しなければならないのか、その期間についても法律で定められています。もし保存期間中にデータを誤って削除してしまったり、パソコンが故障してデータが消えてしまったりすると、税務調査の際に問題となる可能性があるため注意が必要です。確実なバックアップ体制を整えておくことが、企業のコンプライアンスを守る上で重要になります。
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対象 |
保存期間 |
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法人 |
原則7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間) |
※ 個人事業主(青色申告)の場合、請求書は所得税法上「その他の書類」に該当し、原則として5年間の保存とされています。ただし、消費税の課税事業者(インボイス制度の対象事業者を含む)の場合は、仕入税額控除の要件として7年間の保存が必要となるため、実務上は7年間保存するケースが一般的です。
電子請求書の保存期間の考え方
法人の場合、電子請求書は法人税法に基づき、原則として7年間保存する必要があります。保存期間は、請求書を受領した日からではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から起算されます。例えば、3月決算の法人であれば、当該事業年度の確定申告期限(原則5月末)の翌日から数えて7年間、電子請求書を含む取引関係書類を保存しなければなりません。
また、保存期間中にデータを誤って削除したり、パソコンの故障や入れ替えによってデータが失われたりすると、税務調査の際に適切な対応ができなくなるおそれがあります。そのため、電子請求書は社内のパソコンだけで管理するのではなく、クラウドストレージやサーバー上でバックアップを取り、長期間にわたって安全に保存できる体制を整えておくことが重要です。
欠損金が生じた場合の特例措置
法人の場合、赤字である欠損金が生じた事業年度については、保存期間の特例措置が適用される点に留意してください。青色申告書を提出した事業年度において欠損金が生じ、その繰越控除の適用を受ける場合は、請求書を含む帳簿書類を10年間保存しなければなりません。
平成30年4月1日より前に開始した事業年度の欠損金については9年間という規定になっています。自社の毎年の経営状況によって保存すべき期間が変わるため、余裕を持って社内ルールを10年間保存に統一しておくと管理が複雑にならず安心です。
効率的かつ安全に保存するなら専用システムの導入がおすすめ

ここまでパソコンの標準機能を使った手動での保存方法をお伝えしてきましたが、取引件数が増えてくると、ファイル名の変更や索引簿の入力といった作業は大きな負担になります。そこで業務の効率化に向けて検討したいのが、電子帳簿保存法に対応した専用のクラウドシステムや経理システムの導入です。手作業によるミスを防ぎ、経理担当者のストレスを軽減するためにも、システムを活用する利点は大きいです。
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比較項目 |
手動での保存(フォルダ管理) |
専用システムの導入 |
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初期費用・月額費用 |
かからない |
サービスに応じた費用が発生 |
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作業の手間 |
毎回の手入力が必要で負担が大きい |
自動読み取りなどで負担が軽い |
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セキュリティ |
パソコンの故障や誤削除のリスクあり |
クラウド上で安全にバックアップ |
【関連記事】ペーパーレスとは? 電子帳簿保存法などの法律についても徹底解説 | 働き方改革ラボ | リコー
手作業による管理ミスの防止と業務効率化
専用システムを導入する大きな利点は、手作業による入力ミスを減らし、業務にかかる時間を大幅に短縮できることです。多くのシステムにはAIによる文字認識機能が搭載されており、アップロードした請求書のPDFから取引先名や金額、日付を自動で読み取ってくれます。これにより、面倒なファイル名の変更作業から解放され、本来の経理業務に集中できるようになります。
また、タイムスタンプ付与や訂正削除履歴が客観的に確認できるシステムを利用する場合には、事務処理規程の整備を省略できるケースもあります。ただし、保存方法や運用状況によって求められる対応は異なるため、自社の運用に合った方法を選択することが重要です。
JIIMA認証を受けたシステムを選ぶメリット
新しくシステムを選ぶ際には、「JIIMA認証」を受けているサービスを選ぶとより安心です。JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が、電子帳簿保存法の要件を満たしているソフトウェアに対して与える公式な認証のことです。この認証マークがついているシステムであれば、法令対応の観点から一定の基準を満たしていることが確認されているため、導入時の判断材料になります。導入後のトラブルや機能不足を避けるためにも、システムの公式サイトで認証の有無を事前に確認してみてください。
電子請求書の保存方法に関するよくある質問

電子請求書の保存に関して、実務の現場では「こういうケースはどう処理すればいいのか」という疑問が数多く生じます。法律の原則は理解できても、例外的な対応を求められる場面は少なくありません。ここでは、多くの人が実務の中でつまずきやすいポイントを質問形式で取り上げ、具体的な解決策を提示します。
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質問内容 |
解決策の概要 |
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メール添付の請求書はどうする? |
PDFとしてパソコンやシステムに保存する |
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紙で届いた請求書も電子化が必要? |
紙のままで保存可能だが、スキャナ保存も選べる |
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パスワード付きPDFの扱いは? |
パスワードを解除した状態で保存するか、別表で管理する |
メールに添付された請求書はどう保存すればいいですか?
取引先からメールにPDFの請求書が添付されて送られてきた場合、そのPDFファイルをパソコンの特定のフォルダや専用システムに保存する必要があります。メールのソフト上で閲覧できる状態のまま放置しておくだけでは、検索要件などを満たすことが難しいため、適法な保存とは言えません。必ずファイルとして手元にダウンロードし、先ほど解説したようなルールに則ってファイル名を変更するか、システムにアップロードする手順を踏んでください。
相手先から紙で届いた請求書も電子化が必要ですか?
取引先から郵送などで紙の請求書が届いた場合、それを無理に電子データに変換して保存する義務はありません。紙で受け取った書類は、従来通り紙のままバインダーに綴じて保存することが認められています。ただし、社内の業務効率化やペーパーレス化をさらに進めたい場合は、スキャナーやスマートフォンで読み取ってデータ化する「スキャナ保存」という制度を利用することも可能です。スキャナ保存には別途細かい要件が定められているため、導入の際はガイドラインをしっかりと確認することが大切です。
パスワード付きPDFの請求書はどのように保存すればよいですか?
取引先から送られてくる電子請求書の中には、パスワードが設定されたPDFファイルが添付されているケースもあります。パスワード付きPDFであっても、電子帳簿保存法上の「電子取引データ」に該当するため、要件を満たした形で電子データのまま保存する必要があります。
保存にあたっては、税務調査時などに速やかに内容を確認・提示できる状態にしておくことが重要です。そのため、パスワードを解除したうえで保存する、またはパスワードの管理方法を社内ルールとして明確にしておくといった対応が求められます。いずれの場合でも、検索要件や見読性を確保できない状態で保存することは、適切な保存とは認められないおそれがあるため注意が必要です。
※法令の解釈や要件は改正される場合があります。最新情報や正式な取り扱いについては、国税庁などの官公庁が公開する資料をご確認ください。
電子請求書の保存方法のまとめ
この記事では、電子請求書の保存方法について解説してきました。
- ・電子で受け取った請求書は紙に印刷せず電子データのまま保存する義務がある
- ・保存の際は改ざん防止の措置と検索機能の確保という2つの要件を満たす必要があ
- ・パソコンのフォルダで管理する場合はファイル名や索引簿で検索できるように工夫する
- ・手作業の負担を減らすならJIIMA認証を受けた専用システムの導入を検討する
電子請求書の保存は、フォルダ管理やExcelルでも対応可能ですが、取引件数が増えるほど手作業の負担や管理ミスのリスクは大きくなります。特に、検索要件の対応や改ざん防止の運用を継続するには、想像以上に手間がかかると感じる方も多いのではないでしょうか。
こうした課題を解決するには、電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの活用が効果的です。リコーのクラウドOCRサービスなら、請求書のデータ化から整理・検索までを自動化でき、法令対応と業務効率化を同時に実現できます。まずは自社に合うかどうか、資料で具体的な機能をご確認ください。
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記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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