人材育成計画とは|作り方や必要なスキル・計画書の具体例を解説
2024年06月26日 07:00
この記事に書いてあること
人材育成計画は、従業員の成長を促し、企業の業績向上を目指すために重要な施策です。これにより、モチベーションの向上や離職率の低下といった効果も期待できます。効果的に運用するためには、経営戦略に基づいて必要な施策を考えることが求められます。本記事では、人材育成計画の概要や作成方法、必要なスキルについて解説します。企業内での人材育成を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
人材育成計画とは
人材育成計画とは、社員育成の目的や時期、具体的な施策を明文化したものです。経営戦略に基づき、企業にとって必要な人材を育成するために策定されます。計画を立てる際には、経営戦略と共に、ミッション・ビジョンなど企業の方向性を考慮することが重要です。
人材育成計画の目的
人材育成計画は、企業全体の活動に影響する施策です。ここでは、人材育成の目的を解説します。
企業の利益に貢献する人材を育成する
人材育成計画の目的は、企業の利益に貢献する人材を育成することです。計画には、四半期や半期なものから、5年や10年をかける長期的なものまであります。企業の発展には、従業員の成長が必要不可欠です。人材育成によって、業務改善や新規事業の創出が促進され、結果として企業の業績を向上させることが可能です。
企業の継続的な成長
もう一つの目的は、企業の持続的な成長のためです。今後、様々な業界で人手不足が深刻化すると考えられています。人材育成計画を通じて従業員のスキルが向上し、個人の能力を発揮できるようになれば、生産性の向上にもつながります。企業が従業員にとって自らの存在価値を認識できる環境を提供すれば、離職率の低下も期待できます。優秀な人材の流出を防ぎ、事業に貢献する人材を育成することは、企業の持続的な成長にとって極めて重要です。
人材育成計画を構成する要素
人材育成計画には、以下の4つの要素が必要です。
- ・組織の理念やビジョンが含まれている
- ・具体化された理想の人物像を設定している
- ・計画が人材のレベルに合致している
- ・段階に応じて目標を設定している
企業の理念やビジョンをもとに、理想の人物像を具体的に設定し、人材のレベルに応じた段階的な目標を作成します。人材育成計画の内容が具体的であるほど、実感が得やすくなります。人材の育成に成功しやすいだけでなく、従業員のモチベーション維持にも効果的です。
人材育成計画の作成に必要なスキル
人材育成計画の作成には、いくつかのスキルが必要です。以下に、重要なスキルについて簡潔に説明します。
現状や課題を把握するスキル
人材育成計画を立てる前に、企業の現状や課題を把握する必要があります。現状を把握できていないと、人材育成の方向性を決められません。企業に必要な人材を育成するため、組織全体と従業員の個々の課題を見つけます。現状や課題は観察すると同時に、従業員に直接ヒアリングを実施します。
目標・計画策定のスキル
企業の目標を適切に設定し、計画に落とし込むスキルも必要です。目標を明確にすることで、適切な人材育成計画も立てることができます。計画作成の際は、目標から逆算して具体的なスケジュールに落とし込みます。また、目標や計画を立てる前に、従業員の得意な分野や苦手な分野を把握することで、人材育成における戦略を立てられます。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルには、相手に合わせて分かりやすく説明する力や、相手のモチベーションを高める語りかけが含まれます。人材育成計画は、従業員や経営層とのコミュニケーションのうえに成り立つものです。ヒアリングを行う際は、必要な人材がどういった人物像かを明確にできるよう、相手の意見に耳を傾けながら、的確な質問を投げかけます。
人材育成計画の作り方
効果が出やすい人材育成計画には、作成時に踏まえるべき要素がいくつかあります。ここでは、人材育成計画の作り方を解説します。
目標を立てる
人材育成の目標は、実現可能であることが重要です。従業員のレベルを段階ごとに分けて、努力して達成できる目標を設定します。立てるべき目標は、1日・1週間・1か月といった短期と、半年・1年・5年といった長期に分けて決めていきます。
自社の現状を把握する
自社の現状を把握する際は、従業員が現時点でできている業務と、そうでないものを振り分けます。管理職や他の従業員などにヒアリングを行い、設定した目標と従業員の現状が乖離していないか、確認を行います。自社の現状把握は繰り返し行い、目標は適時調整も必要です。
必要なスキルを整理する
目標と現状を把握した後は、従業員に必要なスキルを洗い出す工程です。様々な部署人のメンバーと協力して、必要なスキル習得のアイデアを出すのも良いでしょう。同時に、スキルの種類や習熟度に応じて、習得までに必要な日数も割り出します。
スキルを取得する手段を決める
スキルを取得するために、研修やOJTなど、取り組み手段をどうするかも重要です。育成手段は多岐にわたるため、担当者や上司と相談しながら最適なものを選びます。また、従業員本人の意向を尊重して選ぶことで、積極的に参加してもらいやすくなります。スキルの取得はオフラインやオンラインを使い分けて、適切な手段で人材育成計画を実行します。
人材育成計画の例
リコージャパン株式会社は、社員の自律的な成長を支援するため、充実した教育制度を提供しています。新入社員から中堅社員まで各段階に応じた研修プログラムが整備され、プロフェッショナル認定制度や新任管理職研修も実施されています。さらに、アドバイザー制度やキャリアプラン申告制度など、社員一人ひとりのキャリア形成をサポートする仕組みも導入されています。
人材育成計画作成のポイント
人材育成計画は、対象の従業員ごとに内容が異なります。ここでは、従業員別に人材育成計画を作成する際のポイントを解説します。
新入社員に向けた人材育成
新入社員は業務でわからないことが多いため、まずはビジネスマナーから教育しましょう。教育を進める中で、企業のルールや文化に対して、質問しやすい環境を構築します。また集合研修だけでなく、OJTなどを通して従業員1人ひとりに合わせた教育も必要です。人材不足の影響で新入社員の獲得競争が激化しているため、人材育成の体制整備は重要です。
中堅社員に向けた人材育成
中堅社員は、人によりキャリアの希望が異なります。管理職になりたい人や、専門分野で活躍したい人などさまざまです。1人ひとりの将来的なキャリアを想定して、育成計画を立てましょう。また、中堅社員は自身のキャリア成長のために、転職活動を活発に行う傾向があります。人材の流出を防ぐためにも、従業員の将来性を考慮して計画を立てることが必要です。
管理職に向けた人材育成
管理職には、チーム視点を持った実務の役割を意識させる必要があります。組織の生産性やマネジメントなど、チームでの成果の出し方を学ぶことが重要です。また、管理職は自身の仕事に取り組むだけでなく、チームメンバーの管理も欠かせません。負担がかかりすぎないよう、軽減するサポート体制やマネジメントで困った際に相談できる担当者も必要です。
人材育成の例
従業員のスキルの見える化
新潟県柏崎市の株式会社テック長沢は、従業員のスキルを見える化し、RPAによる業務自動化を実現しました。社内システムを構築し、スキルマップと動画マニュアルで適材適所の配置と効率的な教育を行っています。DXセレクション2022で表彰され、さらなる生産性向上と経営改革に取り組んでいます。
従業員のスキルの見える化やRPAによる業務の自動化を兄弟タッグ経営で実現 テック長沢(新潟県)
外国人職員の教育に注力
千葉県の株式会社ニチモは、遊休施設を活用した低コストの住宅型有料老人ホームを運営しています。外国人介護職員の積極的な採用と教育プログラム構築により介護人材を確保、ICT活用による職員の負荷軽減や介護用具の開発にも注力し、ビジネスの拡大へと取り組んでいます。
有料老人ホームの新たなビジネスモデルにICT ニチモ(千葉県)
まとめ
人材育成計画は従業員を育成し、企業も成長させる施策です。従業員の現状と目標を把握し、個人に合った計画を立てることで、育成に成功しやすくなります。ただし、従業員ごとに計画内容は異なります。1人ひとりに合わせた適切な目標設定を行うことで、効果的な人材育成が可能です。
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記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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