3Dプリンター出力サービスによりスピード開発!
釣りシーズンの到来に合わせて業界初のルアーを発売。

釣具メーカーとして知られるがまかつ様は、伸長著しいルアー市場へと新たに乗り出すことを計画しました。2015年秋に新規プロジェクトを立ち上げ、《鯛ラバー》と呼ばれ人気のあるルアーに、業界初の方式を採用した商品を発案しました。しかし鯛釣りシーズンが始まる翌年春までは時間がなく、商品化できるかどうか厳しい状況でした。そこで今回の商品の中核となる部品の試作にリコーの「3Dプリンター出力サービス」を利用し、開発期間を大幅短縮、半年という驚くべきスピードで翌年春に新商品「桜幻」を発売しました。
ルアー市場では最後発ながら、瞬く間に釣り船の船長や釣り人達の話題となり評価を得ています。

株式会社がまかつ様
画像:3Dプリンター出力サービスによりスピード開発!<br>釣りシーズンの到来に合わせて業界初のルアーを発売。

(株)がまかつ 釣鈎製造部 松島 彰吾氏

ルアーに使用する内部部品の試作を3Dプリンター出力サービスで

ルアー市場に参入する新たな商品を企画したものの、ルアー内部の釣糸を通す部品は複雑な形状で、滑らかさも求められるため、従来の切削方法では必要品質および納期とも満たせないことが予想されました。その試作を3Dプリンターでできないかと考え、リコージャパンに相談・依頼したところ、短期間かつ低コストでの商品化に成功しました。

これまでの課題
新製品には特殊な形状の部品があり、
従来用いていた切削加工では表現が困難。
製品企画から発売シーズンまで時間がなく、
従来の手法では商品投入が間に合わず、
商機を逃す可能性があった。
今まで3Dプリンターによる試作品の経験はなく、納期・品質を満たせるか判断ができなかった。
3Dプリンター活用による効果
3Dプリンターの特性を活かし、複雑な形状でありながら高い精度の試作品を製作。
3Dプリンターにより試作工程を大幅に短縮でき、1週間という短期間(従来の1/3)で試作を実現。
技術専任スタッフが経験に基づき、最適な材料・方式を選定したことにより、求める以上の品質・納期を満たすことができた。

導入した機器/サービス

背景・課題

従来工法の切削方式では、特殊な形状の表現が難しい

今回、ルアー市場に新たに商品参入するにあたり社内で新商品開発プロジェクトを発足。プロジェクトでは、「スイベルソケットシステム」と呼ばれる、真鯛の動きに合わせてシンカー(おもり)とルアー本体が分離する業界初の方式を企画しました。しかし、これを実現するにはシンカーとルアー本体の着脱部および釣り糸を通すための穴をガイドする部品に直径2mm以下の微細かつ複雑な特殊形状が求められるため、従来工法の切削では試作が困難と想定され、実際、試作担当者からも、「これは成型屋さん泣かせだね」と言う意見も出るほどでした。

画像:従来工法の切削方式では、特殊な形状の表現が難しい

発売シーズンに合わせて短期間での製作が必要に

新商品企画案がまとまった秋口から、次の真鯛シーズンに使ってもらうためには、翌年の春までの半年で発売する必要がありました。量産前の試作とフィールドテストにかけられる時間が圧倒的に不足しており、従来の切削工法などでは工期的にも難しい状況でした。

新商品開発プロジェクトは、商機を逃さず新商品発売するために、微細かつ複雑な形状の特殊部品の試作を短納期で実現しなければならないという、大きな問題に直面しました。

画像:発売シーズンに合わせて短期間での製作が必要に

「スイベルソケットシステム」を実現した
鯛ラバー「桜幻(OHGEN)」

リコージャパンからの提案をきっかけに3Dプリンターでの試作を検討

プロジェクトがこの大きな問題の解決のための着目したのが、3Dプリンターによる試作でした。
「以前より、リコージャパンからの3Dプリンターに関するインナーセミナーやコンサルティング提案を通じて、実機や造形サンプルを見ていたため、ルアー試作開発への大きな可能性を感じていました。」 
(がまかつ 松島様)

初めて手掛けるルアー商品であり構造も複雑なため、限られた期間内で求める試作品が出来上がるか社内から不安の声もありましたが、真っ先にリコージャパンに相談したところ、「3Dプリンター出力サービス」での造形を提案されました。

導入のポイント

技術者が試作用途を十分理解して、最適な材料と造形方式を提案

早速、リコーにルアー部品試作の相談をしたところ、3Dプリンター出力サービスの技術担当者と、新製品にかける強い思いとこだわりを共感。その技術担当者から、今回の試作造形のポイントとして、「海中でのフィールドテストに耐える強度を保ちつつも、糸が切れない様に動かせる滑らかさが必要」との提案がありました。この考えは、試作において私たちが最重要と考える点でした。ルアー試作を熟慮した提案をもらったことで、「リコーになら安心して試作を任せられる」と確信しました。

また、3Dプリンターには様々な造形方式や利用可能な材料があり、正直どれを選んで良いか分かりませんでした。しかし、技術担当者が試作用途を十分に理解し、全ての造形方式や材料での試作の可能性を考慮の上、微細で滑らかな表現の再現性が高いマテリアルジェット方式と、耐水性と強度、柔軟性のある光硬化性樹脂の組合せを提案いただいたので迷いはありませんでした。

画像:技術者が試作用途を十分理解して、最適な材料と造形方式を提案

(株)がまかつ 釣鈎製造部 松島 彰吾氏

試作品の品質を決めるデータのサポートも

実際の設計データを3Dプリンターで高品質で造形するためには、データに関する様々な注意点やノウハウが必要とのことで、造形データに関するフォローもしていただきました。
当初用意した設計CADデータを「より質の高い試作品を提供するため」ということで、リコーにデータの修正および造形データへの変換を行っていただきました。3Dプリンターの利用は初めてだったので、こういった点を細かくサポートしてくれるのは非常に助かりました。

また、秘匿性の高い設計データを取り扱うという点から、リコー独自のセキュアなネットワーク環境が整っているという点も安心できました。

画像:試作品の品質を決めるデータのサポートも

(株)リコー 3Dプリンタ技術スタッフ 小川 淳彦

導入の効果

従来工法では実現が困難だった、特殊形状の部品試作に成功

今回の新ルアー商品開発成否は、核となるシンカー(おもり)とルアー本体の着脱をガイドする部品試作が鍵でした。当初は従来通りの切削での試作の方向で社内検討を重ねましたが、実現は困難であることが分かりました。
3Dプリンターによる試作は初めてながらも、リコーから最適な造形方式や材料を提案頂いたことで、部品の特殊な形状を忠実に再現でき、耐水性や強度などの品質面も予想以上の仕上がりでした。
実際のフィールドテストでも、期待以上の機能を発揮。鯛釣りの初心者のほとんどが、2〜3匹の釣果を上げることができ「鯛が認めてくれた品質!」と、新製品への期待も高まりました。
その後、「桜幻」として発売された本商品は、ルアー市場としては最後発ながら人気の商品へと成長しました。

画像:従来工法では実現が困難だった、特殊形状の部品試作に成功

※画像はイメージです。  3Dプリンタ Projet3500HD Max

切削加工の1/3の期間で試作し、釣りシーズンに新商品を発売

新商品の発売を次の鯛釣りシーズンに間に合わすためには、プロジェクトに残された時間は僅かで、試作とフィールドテストの工程を如何に早期に完了するかが課題でした。仮に次のシーズンに発売できなかった場合、さらに1年後のリリースになってしまい、商機を大きく逃す可能性があるため、何としても、発売を間に合わせたいと考えていました。
3Dプリンターを活用した結果、切削加工であれば20日間かかるところ、わずか1週間という短納期かつ1/10のコストで試作品を仕上げることができました。また、3Dプリンターでは、試作品を複数同時に製作することができたため、試作とフィールドテストのサイクルを短期間で回すことができ、商品開発をスムーズに進めることができました。その結果、試作着手後の翌月には金型を発注、量産体制に入ることができました。

画像:切削加工の1/3の期間で試作し、釣りシーズンに新商品を発売

桜幻(OHGEN) 鯛ラバーQ

今後の展望

従来工法では難しい試作は、今後も3Dプリンターを活用していきたい

新たなルアー市場参入の為に立ち上げたプロジェクトにおいて、3Dプリンターの活用で、当初の問題点がクリアされ、驚くべきスピードで新商品の投入が実現できました。
業界初の新方式「スイベルソケットシステム」を搭載した商品「桜幻」は、釣り人にも鯛にも認められる人気商品となりました。

社内でも3Dプリンターの活用で、従来工法では困難な形状も試作ができるとわかり、「新たな商品を生み出すための”強み”として活用できるのではないか」と期待が高まっています。

今後も競争の激しい釣具市場において、お客様の求めるニーズに応える新たな商品を、いち早く届ける為、3Dプリンターを上手に活用していきたいと考えています。

画像:従来工法では難しい試作は、今後も3Dプリンターを活用していきたい
特設ページ 出力サービスで最終製品を製造