3Dプリンター 用語集

サポート材

3Dプリンターを使った造形は、底面からモデルが作成される。サポート材は、そのまま積層する事が難しい形状(例:庇(ひさし)のような形状)を造形する場合に必要である。もしサポート材がないと、せり出した部分が固化する前に落ちてしまい、所望の造形物を生成する事ができない。サポート材は、モデル造形後に取り除かれる(モデル形状や、サポート材の材質により、サポート材除去作業の難易度は変わる)。

画像:サポート材

積層ピッチ

造形を積み上げていく間隔のことを積層ピッチと呼ぶ。3Dプリンターでは、ごく薄い層を少しずつ積み上げてモデルを造形していく。積層ピッチが小さいほど、造形物の密度が高くなるので、強度が増して、表面も滑らかになる。ただし、造形できるものの精度には、その他のさまざまな条件も関わるため、一概に積層ピッチ=精度とは言えない点に注意が必要である。

画像:積層ピッチ

造形サイズ

3Dプリンターによって一度に出力できる造形物の大きさ。本体の大きさに必ずしも比例するものではないため、注意が必要。造形サイズの大きなプリンターであれば、大きなものを出力できるだけではなく、小さな造形物を一度に複数製作することもできる。

中空構造

画像:中空構造

中が空洞になっている構造で、従来構造に比べて、軽量化や低コストのメリットがある。3Dプリンターでは、中空構造のモデルを直接作る事が可能である。

鋳造(ちゅうぞう)

主に鉄、アルミ、銅、真鍮などの金属を融解状態にして、型に流し込み成形する加工法。鋳造に用いられる型を、鋳型と呼ぶ。近年では、3Dプリンターで複雑な砂型を造形し、鋳型に用いることもある。

熱可塑性樹脂

加熱をすることで軟化し、冷却すると硬化する樹脂。熱溶解積層法(FDM)の3Dプリンターの素材には、フィラメント状にした熱可塑性樹脂が使用される。

 

材料押出堆積法/熱溶解積層法(FDM)

3Dプリンターの造形方式のひとつ。熱可塑性樹脂を溶かして押出成形することで、一層ごとに造形物を構築していく。ABS樹脂・ポリカーボネート樹脂などを使用でき、強度のある造形物を作りやすい反面、積層間に凹凸ができてしまうため、滑らかな表面造形が求められるものには向かない。現在、低価格3Dプリンターではこの方式が主流となっている。
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バインダージェッティング

3Dプリンターの造形方式のひとつ。インクジェットヘッドから液体の結合剤を噴射し、石膏や樹脂粉末を一層ずつ固めていく方式。インクによる着色が可能なため、フルカラーモデルを作成できる機種もある。短時間で出力できる反面、強度が必要なものには向かない。また、粉塵対策など設備環境にも気を遣う必要がある。
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光硬化性樹脂

紫外線など特定の波長の光によって硬化する樹脂。樹脂の分子が重合することによって、液体から個体に変化する性質を利用して、光造形方式やマテリアルジェッティング方式の3Dプリンターの素材として用いられる。

光造形(SLA)

3Dプリンターの造形方式のひとつ。3Dプリンターの造形方式としては、もっとも古くからある方式。液体状の光硬化性樹脂を、紫外線レーザーで一層ずつ硬化させて積層する。高精細かつ表面の滑らかな造形物を作成することができるが、使用できる素材の特性上、太陽光による劣化などが起こりえる。
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フィラメント

FDMやマテリアルジェッティングの3Dプリンターでの出力に使われる、リール状の樹脂。2次元のプリンターでのインクに相当する。

 

粉末焼結積層造形(SLS)

3Dプリンターの造形方式のひとつ。粉末状の素材にレーザーを照射して焼結させ造形物をつくる。レーザーを用いるため高精細な造形物を作成可能。また、ナイロンや金属素材が使用できるので、最終製品や成形型の製造にも用いられることがある。
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マテリアル

3Dプリンターで造形を行う素材のこと。3Dプリンターでの造形に用いられるマテリアルは、樹脂が主流である。ABSやポリカーボネート、ナイロンなどの強度のある樹脂から、アクリルをベースとした光硬化性の樹脂など、さまざまな樹脂が用いられる。3Dプリンターの方式や機種によっては石膏をマテリアル として用いるものや金属の加工が可能なものも存在する。また、バインダージェッティング方式の3Dプリンターでは石膏などが使われる。3Dプリンターの方式や機種によっては金属の加工が可能なものも存在する。

マテリアルジェッティング

3Dプリンターの造形方式のひとつ。紙を印刷するインクジェットプリンターの原理を応用し、インクジェットヘッドから噴射した樹脂を紫外線で固めて積層する。微細な粒子を噴射して積層面を造形するため、高精細でなめらかな表面のモデルを造形しやすく、精度が求められる造形物の出力に適しているが、光硬化性樹脂を使用するため強度や耐久性には注意が必要。
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ラピッドツーリング(Rapid Tooling)

ラピッドプロトタイピングと同様に、射出成形鋳造に用いる型や治具などを短期間でつくることをラピッドツーリングと呼ぶ。鋳型の製造コストを抑えられるのはもちろん、必要な時に必要なものをすぐに出力できるため、治具などをストックしておかなくて良いというメリットもある。

ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)

デザインや形状などを確認するため、試作品を文字通り短期間(Rapid)で製作すること。3Dプリンターの普及にともない、これまで数日から数週間を要していた試作品の製造が大幅に短縮できるようになり、コストの削減につながっている。

ラピッドマニュファクチュアリング(Rapid Manufacturing)

3Dプリンターを用いて、最終製品を製造すること。型などをつくらずに、最終製品を製造できるので、開発から市場に出るまでのスピードを大幅に短縮できる。1回につくれる量に限りがある3Dプリンターの性質から大量生産には向かないが、受注生産品などの少量の製品をつくる際には大きなアドバンテージとなる。

ロストワックス

ロウを用いた鋳造方法のひとつ。ロウでつくった原型を鋳砂や石膏で覆い固めた後に、ロウを溶かすことによって出来た空洞に、金属を流し込んで鋳物を製造する。

AM(Additive Manufacturing)

素材を付加していくことによって、造形物を製作していくこと。積層によって立体造形をつくり出す3Dプリンターはこの手法にあたる。日本では3Dプリンターという用語が一般的だが、国際的にはAdditive Manufacturing Technologyという呼び方が正式とされている。

STL形式

3Dデータを保存するファイルフォーマットのひとつで、全ての形状を微小な三角形の平板(ポリゴン)で表現する。非常に単純なデータ形式のため汎用性が高い一方、物理的に整合が取れていないモデルも表現できてしまうため、造形に用いる際には注意が必要

3Dスキャナー

物体を3Dオブジェクトとして読み込むための装置。スキャンの方式は、接触式、非接触式に大別され、それぞれに異なる利点がある。3Dプリンターの普及にともない、個人で使える低価格の3Dスキャナーも登場してきている。

3D切削機

樹脂や木材、金属などの素材を刃物を用いて削り取り、希望する寸法や形状にする切削加工を、3D-CADデータを基に自動で行う装置。素材を積層して造形物をつくりあげていく3Dプリンターとは反対に、ブロック状の素材を削って造形物を製作する。3Dプリンターよりも使える素材の制限が少なく、実際の製品で使われるものと同等の材料を使うことができるという特長を持つ一方、刃の届かない所は加工できないため、中空形状などの複雑な加工には不向き。