「従来の印刷からPODへ」
デジタル印刷サービスを充実させ、"情報を活かす"サービスのプロフェッショナルを目指す。
代表取締役会長 青柳 泰秀 氏
日本が高度成長期を迎える直前の昭和27年、青写真の感光紙製造と焼付けサービスという複写業に加え、製図トレースを担う企業として創業。戦後の復興期需要が高まりつつある中、複写業は順調な成長をみせる。後を追うようにスタートした印刷業は、最大時には軽オフセット印刷機4台、オフセット印刷機3台、写真製版機、写植機を抱え、製図トレースを含めた複写業、マイクロフィルム関連業とともに、アオヤギを支える事業へ。しかし、平成に入り大きな転換期を迎える。
「複写業は昭和50年から60年代がピークでした。平成に入ってPCが普及し書類の社内制作が増え、受注案件は減少。現在ではピーク時の3分に1ほどになっているでしょう。印刷を取り巻く環境も大きく変わりました。デジタル化が進み、DTP(DeskTop Publishing)が当然のことになり、オフセット印刷は価格競争の時代に。競争入札も増え、この金額で受注できる印刷会社があるのかと驚くことも。アオヤギは価格競争を避けたいという思いもあり、徐々に付加価値の高いカラー印刷へシフト。同時にデジタル印刷機の必要性も感じはじめていました」と代表取締役、青柳泰秀会長は語る。
アオヤギのデジタル印刷機導入は早い。1994年に導入するも、POD(Print On Demand)に使用していたわけではなかった。当時500部、1,000部という大量の複写案件が多くあり、高速な出力機で対応することが狙いだったという。その後、増設と更新によって、現在はRICOH Proを含めたPOD機5台体制に。より高画質が必要な案件、多品種・小ロットと短納期を求められる案件など、得意先のニーズに合わせてPOD機を選び、印刷を行っている。
また2012年ビジネスセンター開設に伴い、RICOH Pro C751EXを導入。PODを利用できるサービスなどを提供している。
2006年、アオヤギは年賀状印刷を受注する。下請け案件ではあるが、34,000件(1件あたり平均80枚)という大量の印刷案件である。
「全国展開企業からの仕事なのですが、九州・四国・中国(山口県・広島県)における年賀状印刷です。拠点が福岡だったことで、歴史と実績があるアオヤギが選ばれました。1年目は既存設備の他社POD機で印刷を行いましたが、スピードに課題が残りました。翌年RICOH Proが発表されたことで、早速テスト導入。印刷品質、印刷速度ともに納得できるレベルで、購入を決定しました。年賀状印刷は、11月と12月に集中するため、印刷から発送まで、すべてにスピードが要求されます。この課題に、RICOH Proは高速印刷で見事に応えてくれました」印刷ソリューション統括部の工藤政博部長は、失敗が許されない緊張感の中、PODの潜在能力の高さを感じたという。
得意先の学習塾では、夏期冬期などの短期講習において教師が個々で専用教材を手作りしていた。講習直前に仕上げた原稿を出力して綴じた教材は、短期講習の受講料に対し不釣り合いに見えたという。そこでアオヤギではPOD教材の提案を行った。「短期講習の教材は実にさまざま。4教科3コースそれぞれ1~30種類の教材は、合計で約100種類にもなります。教師からの原稿に修正を加えてデータベース化。表紙も新たにデザインしオンデマンド印刷後、製本。結果は上々。教師の手間を軽減するとともに、高品質な見栄えに生徒、父母からも高い評価を得た上、生徒が学校へ持参するようになりPRにもなっているとか。またそれぞれの教材に、生徒の氏名を印刷することで、名前の書き忘れによる紛失もなくなったそうです」POD教材への高評価が、教材の発注管理システムの提案にもつながったと、工藤統括部長は語ってくれた。
新設会社からの受注拡大を図り、名刺制作を提案。全社員800名分のデータベースを改良、バリアブルソフトを連携しテンプレートを構築。氏名を選択するだけで自動面付け、レイアウト編集が可能に。PODに自動入稿という仕組みを付加することで、短納期低価格を実現し、お客様の業務改善につながった。
アオヤギ社内でも実践している総合カタログの分冊化。44ページの総合カタログは分厚くかさばる。4ページのサービス別カタログは、得意先のニーズに合わせて使用でき、説明しやすく分かりやすいと好評だ。一冊ごとに得意先の社名や日付を印刷することで、プレゼンテーション効果も期待でき、営業ツールとして高いパフォーマンスを発揮している。総合カタログをPODで制作すれば、分冊化は容易。得意先にも同じスタイルで採用されている。
RICOH Pro導入以降、高品質と安定した印刷能力が評価され、年賀状印刷は年々受注量を増やし、2012年の11、12月は73,000件もの年賀状を印刷。「1日平均で約1,000件。早期注文割引の締切直後にあたる11月第1週と12月第1週には、1日3,000件を超すことも。そうなると夜の11時くらいまでRICOH Proを動かすことになります。この2ヶ月間、日中はフル稼働です。土日も印刷するため、金曜の夜は必ずリコーにメンテナンスに来てもらい、清掃をはじめ、隅々までチェック。そのおかげもあり、重大なトラブルもなく完了できました。まさに年賀状印刷は、RICOH Proがなくては不可能な案件といえます」情報データ技術部データ処理チームの平田和孝次長は、これ以上依頼が増えると体制を考え直さなければと語る。
2012年に開設されたビジネスセンターにもRICOH Proが導入されている。「このビルには九州の主な経済団体が入居していて、アジアからの訪問も多く、会議後に記念撮影し、食事会の後、写真をRICOH Proでクリアホルダーに印刷しプレゼント。これが好評です。皆さん、想像以上の高画質に驚かれています」瀬川大和所長は「コンビニオフィス」として利用してもらえる存在を目指している。
「PODは、情報を活かすサービスのひとつ。PODにシステム構築という仕組みを加えることで、自動入稿・自動校正などが可能に。これは得意先にとって、納期、品質、コストでの業務改善につながるはずです」青柳会長は、プロフェッショナル化を推進することがアオヤギらしさだと語った。
70kgの薄い紙も使用可能な用紙対応力に感激
RICOH Pro C901Sは、用紙関連の機能が高く使いやすいと制作担当の岩永氏は語る。「ペーパーカタログ機能を使い、よく使用する紙を登録しておくことができるので、操作性は各段によくなりました。また用紙対応の幅が広がったことがうれしいです。70kgベースの薄い紙も、詰まることなくきれいに印刷できますし、マット系の紙も大丈夫です。得意先もさまざまな用紙を希望されますし、そのニーズに応えられている実感があります」
A4チラシ1,000枚を、朝受注し夕方納品
処理チームの百済氏は、超短納期の案件にも応えられるようになったと語る。「A4サイズのカラーチラシ1,000部の案件。枚数的にはオフセット印刷なのでしょうが、リクエストが超短納期のため、RICOH Proで対応することに。朝、データを受け取り、当日の夕方には納品しました。スピード重視の得意先にも納得いただき、すぐ後にまた1,000部、また1,000部といったリピートをいただきました」
11月、12月の年賀状印刷でRICOH Proが使用できなかった際は、ビジネスセンターのRICOH Proを活用。トナーが同じで印刷品質が変わらないため、非常に助かったとのこと。
表裏見当の精度が高く、名刺印刷の品質が向上
「精度が全体的に向上しています。傾き補正もきれいに合うようになり、表裏見当もぴったりです。パンフレットやチラシも当然ですが、とくに名刺制作には気を使いますから。品質向上にもつながっています。他では色の再現性もよくなっていますね。音も静かになりました」
「目立つ機能ではありませんが、運転を止めないでトナー交換ができるのは、スピード重視のアオヤギに合っていると、けっこう気に入っています」
アオヤギ株式会社
本ページに掲載されている情報は、2013年4月現在のものです。