月間25万枚から60万枚に増大した取扱説明書の印刷業務を最適な出力環境の提案でサポート
東京スカイツリー®のLED 照明でも知られるパナソニック ライティングシステムズ株式会社様は、お客様のニーズに的確に応えていくことに加え、競争力のある事業体制の確立を目指していらっしゃいます。
同社の伊賀工場では「人と環境にやさしい高効率生産工場」をコンセプトに、LEDを主体とした住宅用照明器具の製造を行われていますが、このコンセプトは照明器具の生産だけでなく、製品に同梱される取扱説明書の生産にも反映され、最善の出力環境構築に向けた取り組みをされています。
※東京スカイツリーは東武鉄道株式会社及び東武タワースカイツリー株式会社の登録商標です。
伊賀工場では、従来、取扱説明書の印刷はすべてアウトソースしていました。しかし、環境や省エネへの関心の高まりや、LED 技術の進歩による付加価値の拡大により、住宅用照明器具の出荷量はこの数年、大幅に増大しています。そこでアウトソースしていた取扱説明書の印刷業務についても、生産性向上とコスト削減といった経営資源最適化の観点から、段階的に社内での製作にシフトし、現在はすべて内製されています。
「蛍光灯などの既存光源のビジネスモデルは、一度ランプを開発すると、そのランプを複数年使いながらデザインを変えていくというスタイルでした。LEDは半導体技術を用いた製品のため、コア技術が日々進化し、性能が向上しています。そのため開発や発売サイクルは短期化し、売れ筋製品の入れ替わりも劇的に速くなったのです。そういった状況の中で、1週間以上のリードタイムが必要な外注で取扱説明書を印刷していたのではスピードが追いつきませんし、大量に印刷しないとコストメリットがありません。また、製品の生産終了時に、取扱説明書の在庫が大量に残ってしまうことは、環境にやさしい高効率生産工場にふさわしくありません。内製ならば1~ 2日前に印刷用データが完成していれば対応が可能です。さらに、取扱説明書の印刷部数を調整し、在庫量を削減することで、最終的な廃棄量も非常に少なく抑えられます。また、取扱説明書のストアを工場内に設けたことで、複数の取扱説明書に共通部分があることが明らかになったため、記載内容を集約することで、生産性を上げることができました」(馬場様)。
具体的な出力部門での作業はどのようなものでしょうか。
「新製品の概要と取扱説明書の情報が、開発部門から私たちの器具製造チームに送られ、印刷管理を私たちが行っています。当社では、製品は計画生産と需要連動型生産の2通りの生産体制をとっていますが、取扱説明書については全ての品番をストアに常備し、管理在庫を下回った分を補充(印刷)します。大量・少量のロットが混在し、印刷総量は大きな数になります」(馬場様)。
伊賀工場が取扱説明書の内製化に着手されたのは2006年、当初は印刷機からスタートし、生産枚数の増大にともない、2009年にモノクロPODプリンターRICOH Pro 1357EXの2台体制へと移行します。そして現在は、高速処理を実現するプロダクションプリンターRICOH Pro1357Mの3台体制で、月産60万枚の印刷業務に取り組まれています。
「内製化を始めたときは、インクを使用する印刷機だったので、片面を刷って乾燥させ、もう片面を刷るという作業が必要でした。一日中、印刷にかかり切りで、機械がトラブルを起こすと、インクで手が汚れて作業の効率が低下することもありました」(山西様)。
「印刷機は手差しのトレーが1つしかなく、用紙の補給を頻繁に行わなければならないのが大変でした。さらに、取扱説明書に保証書が印刷されていましたから、裏と表の切り取り線を合わせることが必要で、これは職人技が求められる作業でした。生産枚数が月間25万枚に達したときは、機械の許容範囲をオーバーしている状態でした」(清水様)。
「照明器具の高機能化によって、取扱説明書の種類も増え、枚数も1~2枚から3~5枚へと倍以上になりました。そこで、2009年にモノクロPOD(Print On Demand)プリンターのRICOH Pro 1357EXの2台体制へと移行しました。これにより両面印刷が可能になり、印刷の不良品率も減り、印刷量に見合う出力環境が一時的に整いました。しかし、製品の高機能化に加え、LED製品の比率が高まったことで、取扱説明書の記載内容を増やす必要が出てきたのです。POD 向けプリンターのRICOH Pro 1357EX2台では処理速度が追いつかなくなってしまったため、2012年にはプロダクションプリンターのRICOH Pro1357M に移行し、品質とスピードを確保しました。ところが出力量は増え続け、繁忙期には月間80万枚に到達するようになりました。2台体制での対応は限界で、その影響で残業の必要も出てしまったため、リコーに相談し、2台体制から3台体制へ移行することにしました。これにより品質とスピードを落とさず、業務効率も改善し、残業もゼロにすることができました」(馬場様)
3台のRICOH Pro 1357M によって取扱説明書の新たな生産体制を構築したことで、作業環境や生産効率はどのように変化したのでしょうか。リコーのサポートについてもうかがいました。
「印刷機の時代と比べると、RICOH Pro1357Mでの作業のしやすさは、雲泥の差があります。当時は、印刷機の間を走り回るほどでしたが、今はプリンターを稼動させながら、印刷の後工程となる折込みなど、別の作業ができるようになりました」(山西様)。
「RICOH Pro 1357Mを導入して印字品質は向上したものの、繁忙期には終日フル稼働の状態です。リコーから『全国でも有数の印刷量』と聞いていましたが、やはり汚れが出てくることもあります。逐次メンテナンスを依頼するとダウンタイムが長くなりますので、定期的に点検・部品の交換に来て頂いています。今はリコーのサポートおかげで、安心して業務を回すことができています」(清水様)。
「印刷機の時代からのお付き合いですから、リコーのサービスマンは、ノンストップで稼動させなくてはならないという私たちの状況をとてもよく理解して頂いています。定期点検だけでなく、機械にトラブルが発生しても、速いときは5分で駆けつけてくれます」(山西様)。
「現在、印刷の指示に関しては、リコーの文書管理システムRidoc Document Systemで行っていますが、画面で品番を選ぶ仕組みになっています。ストアの在庫をバーコードで管理し、バーコード入力で印刷できるようにすれば、より作業効率が高くなります。現在は、人が入力を行っているので、間違いがゼロというわけにはいかないのですが、自動化を進めることで、限りなくゼロに近づけていきたいと考えています」(馬場様)。
リコーはこれからも、柔軟な発想でお客様のご要望に最適な提案を行ない、業務の生産性向上やコスト削減などの課題解決に貢献してまいります。
2006年に取扱説明書の内製化を進めるにあたって、オフィス向けプリンター・メーカーのイメージが強かったリコーが、月間25万枚の印刷ニーズに応えられるのだろうかという懸念がありましたが、結果的に、現在の月間60万枚体制に至るまで、リコーとともに印刷環境の改善を実現してきました。従来のRICOH Pro 1357EXの2台体制から、2013年には、生産能力の高い RICOH Pro1357Mの3台体制へと移行しました(中面・システム図を参照)。LED 化による新製品発売サイクルの短期化・取扱説明書の枚数増という環境の変化に対して、以下の課題を解決しています。
パナソニック ライティングシステムズ
株式会社
本ページに掲載されている情報は、2014年2月現在のものです。