病院で扱う書類は、患者様の病状や診療内容を記録したカルテの他にも、問診票や、かかりつけ医からの紹介状、入院計画書等、さまざまな紙書類が存在する。今回、電子カルテシステムの導入に伴い、多数の紙書類と格闘するハートライフ病院様をバックアップしているのが、リコーのカラーレーザープリンター複合機である。
深い緑をたたえた山に抱かれ、眼下には太平洋が広がる自然環境の中に静かに立つハートライフ病院様。沖縄の中部医療圏の方々のための総合病院として、『笑顔で親切、ハートライフ病院』をスローガンとし、真心をこめて患者様と接することを大切に、日夜、患者様の治療にあたっている。そんなハートライフ病院様が、いま特に力を入れているのが血液内科での骨髄移植である。通常、骨髄移植は、骨髄移植推進財団に認定された病院でしか手術ができない。同病院は沖縄県で唯一、非血縁者間での成人の骨髄移植が可能な病院であり、他県への移送が体力的・経済的に厳しい患者様の助けとなっている。
地域医療支援病院でもある同病院では、2011年、電子カルテシステムの導入を行った。「毎日の来院者数が400人を超える現在、なるべく職員の労力を減らしたい。私どもはそこに主眼をおいています」というのは、佐久川廣副院長。「紙カルテを病棟から持ち出すことはできません。しかし、電子カルテであれば、病院内のどこからでもカルテの閲覧・記入ができます。それにより仕事を効率的にこなすことができる。それが大きなメリットですね」
カルテ自体を電子化しても、手書きのサインが必要な同意書や、他病院からの紹介状など、まだまだ紙で運用せざるを得ない書類が存在する。この書類も含めて患者様の情報を一元管理するべく、書類を電子化するためのスキャナーが必要になった。さらに書類を電子化する際、診療科によっては、紹介状や同意書など一度に20~30枚の書類の取り込みが必要なため、ADF(自動原稿送り装置)は必須と考えた。
機器選定の際、目にとまったのがIPSiO SP C301SFだった。新たに必要となったスキャナー機能に加え、コピー、プリンター機能を集約できる複合機であれば、現状のOA機器の設置スペースを利用できる。「まずマシンが小さいこと。さらにプリントスピードはもちろん、スキャナー性能も十分でした」(安里係長)結果、SP C301SFはすべての診療科とナースステーションなど、電子カルテに関わるほぼ全ての部署に36台が設置された。「当病院では紙書類をすべてスキャンせず、必要性を見極めて電子化しています。たとえば患者様が手書きで記入した問診票だけを素早くスキャンして電子カルテへ。作業時間も患者様の待ち時間も減ります」(當銘副部長)同病院の場合、完全なペーパーレス化は求められていない。やみくもに紙書類を減らすことよりも現場の利便性が優先される。実際に複合機を導入後、増えた紙書類があるにも関わらず、仕事の効率は向上した。
社会医療法人かりゆし会
ハートライフ病院 看護師長 宮平 典子 様
「実際に導入してみて驚いたのですが、故障が少ないです。正直、現場は使い方が荒いので、こんなに安定して動いてくれるとは意外でした」そう教えてくれたのは医療情報管理室の當銘秀之副部長。「以前使っていたカラープリンターは、各診療科で機種がバラバラでした。そのため、故障したらそれぞれのメーカー保証にしたがって修理やメンテナンスをする必要がありました。さらに人事異動があると、各個人でドライバーをインストールし直すなどの手間もかかっていました。その点、今回は故障も少なく、複合機もこの一機種に揃えましたので、どこに異動してもすぐに使えます。また、トナーもまとめて買うことができるようになったので、コストも削減できましたね」(當銘副部長)
現場の評価も上々だ。SP C301SFの簡単なメンテナンスは看護師たちが行っているが、従来多かった紙詰まりなどはほとんどなく、トナー交換も簡単で使い勝手が良いと好評を得ている。ナースステーションでは、問診票や入院患者様の経過をまとめた看護要約や転院用のデータなど、さまざまな書類のスキャンやプリントに使われている。また、サーモグラフィなどは結果が一目で分かるようにカラー出力して説明に使用したり、各診療科でも予定を色分けした入院計画書を作成するなど、書類に工夫を凝らすことで患者様へのホスピタリティをより高めることに成功している。
電子カルテシステムの運用と、それに伴うカラーレーザープリンター複合機の導入によって業務の効率化に成功したハートライフ病院様。「今後は、導入した複合機をさらにどう活用していくかだと思います。でもそれは、我々が『こう使ってください』と指示するのではなく、各診療科で必要に合わせてアイデアを出して使っていってほしいと思っています。実際、こだわりのあるドクターは『これはカラーで出力したい』と、所見票に患部のカラー写真を入れて、説明の際に患者様に渡すなどして活用しています。」(安里係長)
これは当初、医療情報管理室で考えていた以上のかたちで活用された一つの例である。この例をとっても、説明資料に添付する患部画像を取り違えることなく紐づけるなど、今後もリコー製品が活躍する場はまだまだありそうだ。リコーは現場の要望をキャッチし、素早く応えることでさらなるバックアップを続けていく。
医療情報管理室 係長 安里 竜 様
自分たちの頭の中には『プリンターは壊れるもの』という認識がありました。診療科ごとにバラバラのプリンターを使用していた頃は故障トラブルも多く、本当に苦労していましたので。それが今では、故障がほとんどありません。本当に助かっています。また今回、A4カラー複合機の導入と同時に、医療向けのデジタルカメラもご提案いただきました。試しに使用してみたところ、撮影した画像データを無線LANで送信することができる本機は、セキュリティの厳しい電子カルテ端末にデータ媒体を直接挿すことなしに作業を進められて便利だとの声が多く、こちらも導入させていただきました。現場には「こうなったらいいな」という要望はまだたくさんあります。これからも密に連携しながら、様々な面でのバックアップを引き続きお願いしたいと思っています。
社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院
本ページに掲載されている情報は、2012年2月1日現在のものです。