「アイデアを形にし、次々に提案」
RICOH Proを営業部に導入することで、POD提案が身近で現実的なものに。
取締役営業本部長 根岸 健太氏
東京神楽坂に拠点を持つ光陽メディアの中軸は、データ制作を含めた印刷・製本事業。長年の実績に支えられ、お客様から大きな信頼を得ている。またデジタルサイネージ、電子書籍、Web制作といった電子メディア分野にも進出し、クロスメディアニーズにも対応できる体制づくりを進めている。61周年を迎える光陽メディア。「お客様にとって、なくてはならない存在になろう」というスローガンを掲げ、印刷を受注するだけではなく、お客様が本当に必要としているコトやモノを提供できる企業を目指している。
近年停滞する印刷市場の中、光陽メディアも苦戦してきた。2000年代に入りフィルムレスの時代を迎え、プリプレス部門の売上も下降。モノをつくる力も落ちていたという。転換期は2008年。プリプレスの再構築をテーマに、外注案件を社内で処理していくことに。
「お客様の情報を形にするという役割を、制作部門は担っています。社員が編集作業を含め制作できる技術教育を進めてきたこともあり、一時期外注に頼っていた案件も社内でこなせるようになりました。現在JAGAT※の『DTPエキスパート認証』は社員の半数以上である60数名が保有。また『クロスメディアエキスパート認証試験』の合格者も増えてきています」自身も両資格を保有している根岸健太営業本部長は、営業職として大きな自信になっていると語る。
「今や印刷を受注するだけでは仕事になりません。まずお客様の話をよく聞き、困りごとをとらえ、その印刷物の目的を知らなければなりません。そこからメディアやコンテンツのサポートなど、提案が生まれてきます」
人材教育を進め提案型企業への転換を図る光陽メディアでは、それまで独立していた制作部を営業部へ組込む組織変更を行う。
「営業と制作が同じ部門になることで、自分たちの関係が近くなると同時に、制作チームにとってはお客様との距離も縮まったと、非常に好評です」根岸営業本部長は、組織変更がもたらす変化に期待している。
改革を進める光陽メディアでは、中国大連での制作部門立上げによる制作コスト削減にも挑戦し、その成果は数字となって現れている。
「人材育成、組織変更、制作コスト削減により、提案する環境は整ってきましたが、そのための設備がありません。お客様にとって、なくてはならない存在になるためには、POD(Print On Demand)を導入し、提案を形にする必要があったのです」
POD導入の目的は、新たな売上の増加。オフセット印刷の代替ではなく、提案により新たな仕事を獲得することだ。営業部では機種選定の数ヶ月間を利用し、POD提案について多くのミーティングを行った。「自分のお客様で、POD提案がよろこばれそうな案件をすべて洗い出したのですが、その際具体的にしたアイデアのいくつかは、RICOH Pro導入後すぐに提案でき採用されました」若松友和部長代理は、導入前に具体的なアイデアを共有できたことが非常に有効だったと語る。
「RICOH Proをどう位置づけるかが、重要になると考えていました」と語る、コンテンツ制作部の大塚美世子部長。「オフセット印刷機の代替え、小ロット印刷機という事もあるでしょう。しかし私たちは、RICOH Proを営業部の提案のための道具としてとらえていましたから、営業本部への設置を訴えました。営業と制作のスペースにあることで、物理的な近さはもちろん、いつでも提案のアイデアを形にできるという精神的な近さが、予想を超える成果を生んでいる気がします」
保険商品の案内は年齢によって掛金が異なるなど、いかに分かりやすくできるかがポイント。PODのメリットを活かした多品種小ロット対応の年齢別リーフレットの提案は、お客様が困っていた課題を解決するヒット提案になったとのこと。年齢別リーフレットの減り方を見ながらそのエリアのユーザー層分析も可能で、お客様の評価は上々。提案は、段数やサイズを調整した専用ラックにも拡がっている。
20年来のお客様の定期的な冊子案件。通常はオフセット印刷により、表紙をカラーで中面はモノクロ印刷の48ページ冊子だが、納品までにどうしても数部必要ということで、PODを提案。オフセット印刷よりも単価は高くなるのだが、品質と短納期に満足いただき、受注となった。
「少部数増刷が受け入れられた案件もあります。通常オフセットでは1000部、2000部単位の増刷なのですが、RICOH Proを使用したPODでの増刷を提案。モノカラー96ページの冊子サンプルで了解を得て、400部を増刷。全く問題がないと高評価を受けました」出版も手がける光陽メディアにとって、PODによる少部数増刷は強力なサービスとなりそうだ。大塚部長は、初版から少部数で発行できるオンデマンド出版にも、注目しているという。
RICOH Pro導入後、営業と制作により毎月POD事例報告会を定期開催している。成功事例を共有するのが主な目的。「各営業は、成功事例を自分のお客様に置換え考えているようです。毎回この会の直後には、営業からサンプル制作の依頼や相談が急増します。1件のうちわチラシの成功例によって、30件の提案が実施され5件が受注に至りました」成功事例を共有することが、次の提案を生み出すヒントになっていると語る大塚部長。導入後の受注案件数にも現れている。
PODの売上は、RICOH Pro導入前に比べ約7倍に。POPなど小ロット案件の内製化と、POD提案に付随する案件の受注増により、1件あたりの売上も飛躍的に向上した。
光陽メディアでは初めてのPOD機選定にあたり、RFP(提案依頼書)を作成し4社へ依頼。
「サンプル作成では、わざと無理なお願いも。無理な課題に対し、どのような提案をいただけるのかが重要でした。この件に関し全く触れていないメーカーもある中、リコーの提案は『現状では難しいがどうしたら可能になるか』というものでした。私たちが選定の基準としたのは、機械自体の優位性ではなく、私たちとこの事業を推進してくれるパートナーにふさわしいかどうかです。営業支援体制や保守体制を重視したのは、いうまでもありません」
根岸営業本部長、大塚部長は、出版領域に対し、POD出版プラス電子書籍というクロスメディア提案の具体的な戦略を用意しているという。パートナーとしてのリコーにも、大いに期待していると締めくくってくれた。
美しいインデックス
POD部門を3名のスタッフとともに動かしている山本チーフ。「従来から設備されていた校正用のプリンターと同じ感覚で使用できます。操作で困ることはありません。加えて設定次第で、納品するそのものに仕上がるのには本当に感動しました」
「ページの多い冊子や出版物の場合、サイドインデックスの仕上がりを気にされる方が多いのですが、RICOH Proのインデックスの仕上がりには、いい意味で驚かれています。出版に携わる者として本づくりのこだわりに応えられるのは、うれしいですね」
安心できる保守サービス
RICOH Pro使用の中心となる立場上、メンテナンスサポートを重視していた山本チーフだが、導入後の保守サービスに非常に満足しているという。
「たとえば紙づまりなどで印刷する箇所が傷ついてしまったりすると、オペレーターには手に負えなくなります。RICOH Proではそうならないようきめ細かなサポートがあります。週に一回メンテナンスに訪問してくれますし、その際、こちらが想定したトラブルの質問にも丁寧に答えてくれます。電話で相談できるプロダイヤルも助かりました」現在営業部と大塚部長から、提案のためのサンプルづくり依頼が約30件。山本チーフ自身も立体のスタンドPOPのアイデアを形にしたいとのこと。「営業からのリクエストは、どんどん難しくなっていきます。しかしこちらもプロですしRICOH Proを使えるのですから、できないとは言いたくありません」頼もしいスタッフたちが、光陽メディアの提案型ビジネスを支えている。
株式会社光陽メディア
本ページに掲載されている情報は、2012年9月現在のものです。