「PODをビジネス成長の柱に」
カラーPODが、弘前の街とお客様に新たな活力を提供する。
代表取締役
漆澤 知昭 氏
りんご畑に迎えられるロケーションに建つアサヒ印刷。1982年、弘前市で印刷業を起こし、一般企業の複写伝票をはじめ名刺、ハガキ、封筒などの事務用印刷物を中心に受注。弘前で伝票印刷といえばアサヒ印刷と定評のある、地域に密着したビジネスを展開している。
IT機器販売のキャリアを持つ漆澤知昭代表取締役は、2000年の入社以来モノクロ中心の印刷からの脱却を考えていた。
「将来を考えれば社内でのカラー印刷は不可避です。入社後、まずインクジェットプリンターを導入し、カラー内製化をスタートさせました」
それまで伝票などの事務用印刷が約8割を占めていたアサヒ印刷は、続けてカラーレーザープリンターを導入。近年の小ロット印刷へのニーズ拡大もあり、名刺やハガキ、チラシなどのカラー印刷の受注は徐々に増えていった。しかしレーザープリンターは、経年劣化による印刷品質の低下が目立つようになっていたと、営業部の山中俊彦部長は語る。「以前からレーザープリンターで画像を印刷した際の、カラー部のテカリが気になっていました。フルカラー印刷のクオリティ面で、お客様の満足は得られるか。印刷会社の営業として自信を持って提案できるか。たえず不安でした。また厚い用紙を使用すると、とたんにスピードが遅くなり、生産性にも課題を抱えていました」
漆澤代表はカラー印刷の内製化を進める中、弘前という比較的小さな印刷市場に適しているのはPOD(Print On Demand)だと感じはじめていた。
「弘前市で、大量にカラー印刷する案件はそれほど多くはありません。1,000部未満でもオフセット印刷することがよくあります。小ロット印刷に適しているPODの方が、お客様にもメリットが大きいのではと、考えるようになりました」
漆澤代表は「IGAS2011」、「SOPTECとうほく2012」といった展示会や青森でのPODのイベントにも足を運び、最新のPODについて学習したという。なかでも、すでにRICOH Proを導入していた北海道の印刷会社を視察する機会は、リアルなPODビジネスの現状を、肌で感じる貴重な体験になった。
2012年後半に入り、アサヒ印刷は岐路に立つ。漆澤代表は、全国展開の街づくり支援活動のひとつである「津軽ひろさきマーチング委員会」の代表を兼ねており、地元の風景のイラストを使ったオリジナル商品の制作を担うことに。この時期は、年賀状の受注も集中する。しかし、肝心のカラープリンターに不安を抱えている。さらに500ページ、80部、短納期の製品マニュアルの受注も重なった。
「当初製品マニュアルは外注で凌げましたが、つづけての受注には正直焦りました。現状の体制では対応が厳しい状態でした。そんな時、RICOH Proの新製品がタイミングよく発売。サイズ的にも価格的にも、まさにアサヒ印刷にぴったり」漆澤代表は、目指していたPODが可能になると、直感したという。
「津軽ひろさきマーチング委員会」は地域活性化を支援する活動。弘前の身近な風景イラストを使用したオリジナル商品は、市民が地元をPRできること、多くの方々に弘前を知ってもらうことを目的としている。「支援商品は、今のところポストカード、カレンダー、一筆箋、ぽち袋ですが、徐々に増やしていきたい。イラストは20種類。RICOH Proは、イラストのカラー再現性もよく、非常に満足しています。弘前での成果を、マーチング委員会の全国大会で発表したいですね」漆澤代表は語る。
アサヒ印刷では、2013年春より封筒カラー印刷を新商品として打ち出すことに。「弘前で封筒へのカラー印刷を行っている印刷会社はまだ少なく、この商品でアサヒ印刷の独自性を出していきたい。新商品の準備ができ、社員がRICOH Proに慣れてきたこともあり、そろそろ自信をもってPODをアピールしていきたいと考えています」
「年賀状受注体制にも自信が持てるようになりました。パンフレットもカラー年賀状に力を入れて制作し、これまで5対5だったカラー印刷の比率が、結果として7対3にまでアップしました。受注総数に大きな変化はありませんでしたが、カラー印刷が増えた結果、売上アップにつながっています」山中部長は年賀状のカラー比率アップをよろこびつつ、それ以上にカラー再現性の美しさが営業としての自信につながると語る。
「お客様に提案する以上、自分が納得できるカラー品質を提案できなければ、いい仕事になるはずがありません。RICOH Proのおかげで、今後は色にこだわった提案ができそうです」
「RICOH Pro導入後、地元酒造メーカーのラベル印刷をPODで提案してみました。500~1000枚ほどのラベルですが、これまでのオフセット印刷と遜色のないカラー品質にお客様も満足していただき、しかも短納期で、在庫をもたずに済むというポイントも高評価でした。これまではかなり余分に印刷し、追加注文に合わせ出庫していましたが、在庫ラベルを大量に廃棄することもあったようです」
漆澤代表は、オフセット印刷からPODへの変更をポイントカード印刷でも提案。短納期と安定したカラー再現性により、これまで以上の評価を受けたという。
「既存のオフセット案件をPODで提案することで、20~30%のトータルコスト削減に。短納期、すぐれたカラー再現性、コスト抑制は、アサヒ印刷にとって大きな力になります」
「アサヒ印刷には伝票印刷という得意分野があります。しかしそれだけに頼っていては、持続的な成長は望めません。私はPODをビジネス成長の柱として育てようと思っています。伝票印刷と同様に、PODについてもWeb to Printのシステムを構築中です。青森でのリコー1号機という自負を胸に、地域に密着した印刷会社として、PODと伝票印刷で独自の存在感を発揮していきたい」
PODの可能性を信じる漆澤代表。未来を見据えたアサヒ印刷のチャレンジは、すでに始動している。
A4サイズ8ページ中綴じ冊子を、超短納期で納品
アサヒ印刷の制作チームは、DTP課の藤林康隆氏、成田理力氏と営業部制作担当の田澤薫氏の3名体制。それぞれの得意分野がPOD案件にも活きている。冊子物に経験豊富な藤林氏は、RICOH Proが冊子制作のイメージを変えたという。
「あるイベントプログラムについて、A4サイズ8ページで800部をすぐに欲しいという案件がありました。ちょうどRICOH Proの導入テストを終えたばかりというタイミング。いくらモノクロ印刷でデータ入稿とはいえ、翌日アップは厳しいと思いましたが、中綴じまで済ませて800部、超短納期を無事完了できました。これまでであれば受けられなかったですね」
自分で撮影した写真を、カラー印刷封筒サンプルに活用
封筒カラー印刷は、アサヒ印刷にとって大切な新商品。効果的なPRが必要だが、魅力的なサンプルが準備されている。プロ並みの腕前を持つ成田氏の美しい風景写真が、PODのすぐれたカラー再現性を強力にアピールしている。
「岩木山や奥入瀬渓流といった地元の風景写真を、封筒にRICOH Proで印刷しサンプルにしています。カラー再現がすばらしく、苦心して撮影したかいがあります」
デザインをすぐにチェックでき、納得して仕上げ
「A4サイズ両面カラーのチラシ案件で、従来はオフセット印刷をしていました。200~300枚という印刷でしたので、PODで提案することに。デザインも私が担当しましたが、制作しながらRICOH Proでチェックできる環境は、制作側として非常に助かります。納得できるカタチで仕上げることができ、お客様からカラーもデザインも高い評価をいただきました」レイアウトデザインを得意とする田澤氏にとって、RICOH Proは信頼できるパートナーだという。
有限会社アサヒ印刷
本ページに掲載されている情報は、2013年8月現在のものです。