「RICOH Proは、制作部門の仲間」
企画、デザイン、ライティング、編集、出版など、30名を超える
クリエイティブ部門の校正業務をサポートする不可欠な存在。
代表取締役社長 門田 晶子 氏
昭和19年創業の渕上印刷は、2014年に70周年を迎える。「先陣を切って新たなことに取り組むという精神は、渕上印刷のDNAです」と語る代表取締役社長、門田晶子氏。祖父、渕上晋氏は鹿児島市において活版印刷を創業。その後オフセット印刷を開始し、印刷業の土台を築いていく。また早くから出版の領域にも進出し、郷土の文化や歴史など鹿児島での情報発信にも力を入れていたという。
南九州において新しい技術、設備を先駆けて取り入れチャレンジする企業精神はオフセット輪転、DTP、CTPへと引き継がれ、渕上印刷は九州を代表する印刷会社として飛躍していく。
「当社は、手作業でフィルムを扱う時代から制作製版部門スタッフが充実しており、今なお健在です。DTPの時代を迎え印刷業務自体が大きく変化していく中、多くの印刷業が人材の入れ替えを選択しました。しかし当社はスタッフにDTPトレーニングを課し、スタッフ自らの努力が現在のDTP環境を作り上げています。同時にグラフィックデザイナーの採用も行い、30名の精鋭制作チームが、渕上印刷のクリエイティブ部門を牽引しています」門田社長は、モノづくりへのこだわりのためには、制作の人材確保は譲れないと語る。
渕上印刷では出版に関わる業務を担っていたこともあり、早くから企画プランナー、ライター、カメラマン、編集者も在籍していたという。
渕上印刷はDTPのスタートにあわせ、校正用のプリンターをクリエイティブ部に導入する。「当時のプリンターはカラーの再現性が不安定で、あくまで文字校正用と考えていました。やがて、プリンターのカラー再現性が向上するにつれ、デザイナーのメイン出力機、得意先へのカラー校正用出力機として活用されるようになってきました」クリエイティブ本部長、武田尚満氏は当時を語る。「しかしその後、出力数の増加にともない、トラブルが多発するようになりました。デザイナーの確認用、得意先ヘの校正用ですから、ストップしてしまっては非常に困ります」
トラブルに対するメーカーの答えは、耐久枚数を超えているとのこと。武田本部長はプリンターのタイプは問わず、渕上印刷の用途に適した出力機を比較検討しなければと考えた。
「従来機のメーカー推奨値は、月に5,000~8,000カウント。実際は10,000を超えることもあります。一度ストップしてしまうと、修理後色が変わってしまうため、その色の調整のためにさらに時間がかかってしまいます」渕上印刷にとって、制作工程で不可欠な出力機のダウンは、生産性を大きく阻害してしまう。
クリエイティブ部と同社の品質技術室は互いに協力し合い、新たな校正出力機導入への検討がはじまる。文字品質、カラー再現性といった校正に対する品質はもちろん、耐久性、サポート体制、価格などを含め10数項目で各社の機種を比較したという。「当社には数社のPOD(Print On Demand)機が導入されています。それぞれ用途は異なりますが、各部門に欠かせない機材です。リコーを含め各社からの提案が揃った段階で、それぞれの機種を詳細にチェックし、最高のポイントを獲得したのが、RICOH Proでした」
「RICOH Proは、特に文字の出力に秀でていました。校正はカラーも大切ですが、本番のオフセット印刷並の文字出力が重要です。この文字に関しては、どの機種よりも美しく正確に再現されていました」武田本部長は、リコーのPOD機が、校正を主とする制作工程での出力機に適していると判断した。
社内のクリエイティブ部は外部のクリエイターとも協力し、30種を超える定期刊行物を編集発行している。市町村広報誌、観光情報誌、自社媒体のフリーペーパーなど、その種類はさまざま。発行も隔月、季刊など、一年を通じてクリエイティブ部の誰かがたえず冊子制作に関わっている。「内校、外校、印刷見本として、すべてRICOH Proで出力しています。
特にデザイナーはレイアウトやデザインのチェックに少なくとも4~5回は出力し確認しているようです」渕上印刷は、自社媒体の鹿児島ブランディング情報誌『リージョン』を季刊で出版している。創刊は2005年9月。現在、34号を数える。フリーペーパーでありながら、A4/44ページ、美しい写真と読み応えのあるコンテンツを掲載。鹿児島を発信するメディアとして支持されている。「発行部数は35,000部ほど。県内では銀行、書店、ホテル、コンビニなどに設置いただいていて、東京都の鹿児島アンテナショップなど県外への設置も増えています。RICOH Proは、校正出力に活躍中です。文字も画像もオフセット印刷並のクオリティですから、安心して校正チェックができているようです」門田社長は、渕上印刷の顔になりつつある『リージョン』の成長に期待していると語る。
渕上印刷ではRICOH Proをクリエイターの出力機としてとらえ、校正用途に特化して使用している。
「校正用出力機に求める条件は、以下の3点です。
・安定して稼働すること
・カラー再現性が安定していること
・オフセット印刷に近い刷り色を出せること
この条件をRICOH Proは満たしました。しかもRIPが高速化されていて、出力速度はこれまでの3倍くらいに感じられます。全体の作業短縮に貢献していることは間違いありません」と、武田本部長は語る。
定期刊行物以外にも、パンフレットやポスターなど、さまざまな商業印刷を受注している渕上印刷では、オフセット印刷のほぼすべての校正をRICOH Proが担っている。導入以前は、ピーク時に営業の校正出力待ちで行列ができることもあったというが、安定した稼働がつづく現在は、出力待ちはほとんど見られなくなったという。
「2014年は創業70周年です。社員のいろいろなアイデアを活かし、次の方向性をつくりながらブランドの強化を図ることが、私の役割。スローガンである『よろこび 伝わる モノづくり』の下、記念プロジェクトの成功を通して私たちが関わるすべての皆さんに、よろこびが伝わる仕事を目指していきます」
ゼロからモノづくりができる体制と企画を生み出すスタッフこそ、渕上印刷の強みだと門田社長は語ってくれた。
制作現場の要求は、安定稼働とカラー再現性とサービス体制
「既存設備は機械的なトラブルが多くなっていました。ストップする度に定着ドラムなどを交換したりすると、それまで時間をかけて合わせた色が出なくなるわけで、最初からやり直しになってしまいます。これがつらい」クリエイティブ部画像処理担当の新田博志氏は、制作現場の切実な思いを語る。
「RICOH Proが導入され稼働もカラー再現も安定しましたが、PDFで出力したときの透明効果や特殊な乗せの再現性の高さも、よくなった点でしょう」
よく使う用紙のコート系シナールと、ニューV マット本紙を使用でき、校正の精度も向上
校正出力にはインクジェットプリンターも使っているが、用紙が限定されるため、導入後はRICOH Proの出番が多くなったという。使用頻度の高い用紙は、コート系シナールと、ニューVマット。多様な用紙を使う渕上印刷では、複数の用紙をセットできるRICOH Proの給紙トレイが使いやすいそうだ。
得意先からの赤文字入り校正紙をスキャナで取り込み、作業を効率化
クリエイティブ部デザイナーの髙崎和哉氏は、スキャナーを有効活用している。
「得意先がチェックした赤文字入りの校正紙は共有したいので、RICOH Proのスキャナーで取り込みPDFにして、遠方のデザイン会社へ送ったり、出力して手元で修正したりしています。またテキスト原稿をスキャンし、OCRにかけてテキストデータを読み取ることも増えました」
夜中までかかっていた150ページ商品カタログの校正出力が、短時間で終了
「毎年受注しているA4カラーの150ページほどの商品カタログがありますが、その校正出力には、これまで夜中までかかるのが普通でした。RICOH Proは印刷速度もRIPも速いため、短時間で出力できます。これまでの3分の1くらいに短縮でき、助かっています」
渕上印刷株式会社
本ページに掲載されている情報は、2014年1月現在のものです。