「RICOH Cloud OCR for 請求書」は、紙や PDF の請求書を文字データ化するクラウド型の AI 帳票認識 OCR ソリューションです。リコー独自の帳票解析技術と画像処理技術を搭載した AI が、請求書に記載された請求金額、請求日、請求元名称などの情報を自動認識して一括データ化します。データ化した情報は、CSV ファイルにて会計システムや銀行支払いシステムと連携できます。今回は 2019 年 5 月に「RICOH Cloud OCR for 請求書」を導入した、リコージャパンの経営企画本部 業務センター 発注売上業務室において、導入の背景や導入の効果、今後の展望について聞きました。
困りごと 1
毎月の請求書枚数が約3,500枚。基幹システムへの入力や内容チェックが煩雑で時間もかかっていた。
解決 1
請求書の記載情報をAIで自動抽出し、データ化。
入力にかかる手間と時間を大幅に削減できた。
困りごと 2
月末月初に請求書業務が集中するため、請求書の確認作業も多く、モレやミスが発生していた。
解決 2
データ化した請求書情報をRPA連携することで、請求書業務を自動化でき、モレやミスがなくなった。
困りごと 3
「紙」の請求書を元に行なうので、事務所から離れられない。家庭や生活環境に応じたテレワークができない。
解決 3
請求書業務のデジタル化により、メンバーの在宅勤務が可能になった。
はじめに、発注売上業務室の概要や、請求書処理の仕事の流れなどを教えてください。
宮澤:発注売上業務室はリコージャパンのバックオフィスとして、仕入先様の商品・サービスの発注から仕入処理業務までを行なっています。
ここには全国の仕入先様から、郵送やファクス、メール添付の PDFの請求書が1ヵ月に約3,500件ほど送られて来ます。それらの請求書をすべて印刷し、支社ごとに仕分けし、確認・処理・案件を特定し、紙を見ながら紐付けをします。
でも、どうしても転記ミスが起こるので、それを防ぐためのチェックを何重にもすることを繰り返しています。最終的には仕入れ処理(データ入力)する人が各項目をチェックするのですが、請求書のフォームが各仕入先様で違うので、たいへん気を遣う作業です。
また、紙の請求書の記載情報をもとに作業するため、事務所から離れられないこともたいへんでした。“紙の運用” ということが、業務上の最大のネックだったと言えるでしょう。
請求書が1ヵ月あたり約3,500 件とのことでしたが、それは平均的に到着するのですか?
鈴木:いえ、やはりどうしても月末に集中します。データ入力は現在16名で行なっているのですが、この膨大な作業を、月末はほとんど毎日残業しながらやっていました。
請求書では、請求金額(税抜 / 税込み)や請求日付はもちろんですが、担当支社番号、仕入先様番号、各案件番号も、指定の場所に正確に入力しなければなりません。さらに営業部門からは売上の集計が一刻も早く欲しいので、「早く仕入処理してくれ」という電話も頻繁にかかってきます。いちばん忙しいのは、毎月20日頃からですね。昼食を食べないでやらないと終わらない。終業後にプライベートな予定などとても入れられない。
宮澤:スタッフから「月末の夜にコンサートに行きたい」と言われても、それはちょっと…という感じでした。
「RICOH Cloud OCR for 請求書」を導入して3ヵ月くらい経ちましたが、仕事の状況は変わりましたか?
鈴木:ハイ、月末でも終業後にプライベートな予定を入れられるようになりました! 複合機に請求書をスキャンするだけで、請求金額・請求日・請求元名称・請求番号などを一括してデータ化してくれるので、入力作業が本当にラクになりました。導入から3ヵ月過ぎたことへの“慣れ”もあると思いますが、いまとても助かっています。
従来は作業時間の目処が立たないことがありましたが、「RICOH Cloud OCR for 請求書」を導入してからは、仮に処理が残っていても完了時間の想定がつくので、とても安心感が大きくなりました。
宮澤:最初はいろいろな戸惑いもありました。でも成果が出始めたら、全員が「OCR、OCR」となっていました。現在では「RICOH Cloud OCR for 請求書」がないのは考えられないですね。AI による帳票の自動認識の学習効果が出てきたら、もっと精度が上がると思っています。また、紙請求書のスキャン作業はオフィスで実施しますが、その後の作業やPDFで受取った請求書の処理はクラウド上でも可能なので、在宅勤務を実施するメンバーも増え、働き方の変化を実感しています。
運用上で改善した点、また新しいやり方を工夫した点などはありますか?
鈴木:請求書を読み込む場合、紙が曲がっていると読み取り精度も落ちてしまいます。請求書は折られてる場合が多いですから。サイズがまちまちなのも困ります。
あと小さいサイズの伝票とか、手書きのものとか、カーボン複写のものとか。それら複合機の ADF に入らないものやOCRでは読み取りにくいものは、「イレギュラーなもの」として従来通りの手入力にすることにしました。
あと内容的に「イレギュラーなもの」と言うと、例えば、1枚の請求書に異なる案件の金額が複数記載されているものです。他には、週ごとに区切られているもの、担当者ごとになっているものなど、いろいろあります。
宮澤:これは「RICOH Cloud OCR for 請求書」の読み取り精度の問題ではなく、請求書管理のシステム上の問題ですね。最初は「イレギュラーなもの」を OCR でどう処理しようかと悩みました。しかし複雑なものは時間をかけても仕方ないので、それは従来のやり方で処理することにしました。
そこに時間を費やすのではなく、もっと生産的なことに時間を使おうと。この“OCRする/OCRしない”というハイブリッドな工程にしたことで、作業がとても効率的になりました。
宮澤:これは「RICOH Cloud OCR for 請求書」の読み取り精度の問題ではなく、請求書管理のシステム上の問題ですね。最初は「イレギュラーなもの」をOCRでどう処理しようかと悩みました。しかし複雑なものは時間をかけても仕方ないので、それは従来のやり方で処理することにしました。
そこに時間を費やすのではなく、もっと生産的なことに時間を使おうと。この“OCRする/OCRしない”というハイブリッドな工程にしたことで、作業がとても効率的になりました。
業務についての今後の展望や、構想などがありましたら教えてください。
鈴木:私たちは月末は多忙ですが、月初・月中の手の空いた時間を活かして、AIの読み取り精度を高める事前学習を行ないました。3回ほど様々な様式の請求書を学習補正することで、約95%近い正読率を得ることに成功しました。
宮澤:現在、女性スタッフは約7割で、このうち4名が子育てしながら働いています。お子さんの都合で出勤できない時など、これからは「RICOH Cloud OCR for 請求書」を活用すれば、自宅で作業できるようになります。
来年の東京オリンピック開催の際も、都内の交通渋滞を避け、自宅で作業できるのはラクですよね。こういう部門はやはり女性が多いので、家事や子育ては避けて通れない問題ですから。
請求書処理の現場は、どこも同じような課題や悩みを抱えていると思いますが、「RICOH Cloud OCR for 請求書」によるデジタル化と、CSVデータのやりとりがもっと一般的になれば、経理関連の仕事は劇的に変わってゆくと思います。その先にデジタルオフィスやテレワーク、「働き方改革」への取り組みがあると思いますが、それに向けた第一歩という点で、「RICOH Cloud OCR for 請求書」の導入はたいへん大きな意味があると思います。
本ページに掲載されている情報は、2019年9月現在のものです。
RICOH Cloud OCR for 請求書の特長、メリット、業務改善例、製品詳細を
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