複雑な施設形状と遠隔立地で、安定・安心Wi-Fi環境を実現し、業務効率化により残業を大幅に削減できました。
季節イベントなどの入居者とのふれあいの時間を増やせるよう、業務効率向上へのICT化を推進される雄愛園様。特に各種記録業務に介護スタッフの大きな時間が割かれていることを憂慮し、モバイル端末を活用した記録業務の効率化を目指して、施設内でのWi-Fi環境の整備に取り組みました。 “複雑な施設内での電波の死角”と“遠隔立地ゆえの運用保守”が懸念されましたが、それを「ITKeeper 無線LANパック」でどのように解決されたのか、お話をうかがいました。
課題
効果
ICTによる記録業務効率化と残業時間削減を目指して
雄愛園様では介護支援ソフトウェアを導入し、デスクトップパソコンで請求業務をICT化されていましたが、ソフトウェアの“ケアの記録”機能は未活用でした。様々な記録業務の負荷で介護スタッフの残業が平均約2時間に及んでいるため、ソフトウェアの活用で記録業務を効率化する必要性を感じていました。「例えば手書きの日誌は毎日A3両面の量になり、1つの日誌に複数人で書き込むため時間がかかっていました。またスタッフごとに表現が微妙に違ったり内容が重複していたりと、情報共有には非効率的でした。」(佐々木様)
そこで2018年夏、新たなICT化計画がスタート。iPadやノートパソコンとWi-Fi環境を導入することで、各種記録業務(日誌・バイタル管理・ナースコール連携など)を介護業務支援ソフトウェアへ統合し、ペーパーレス化による効率化を目指しました。
●入り組んだ施設形状と遠隔立地が、Wi-Fi導入の懸念事項に
その際の懸念の一つが、施設の入り組んだ形状でした。施設内でのモバイル端末の安定接続には、無線LANアクセスポイントの最適な配置が必要です。“見えない”電波状況を把握しての配置は難しいと思われました。
もう一つの懸念は、拠点都市から離れた施設の立地でした。機器・設備の地元販売店である小林株式会社は遠距離で、Wi-Fi環境などの保守が危惧されました。「施設のある雄武町は、当社の北見市から車で約3時間です。冬の交通規制もある土地柄なので、万一の際の確実な保守対策が必要でした。」(石川様)
見えない電波の“見える化”と、導入~保守のワンストップサービスで解決
そのような課題の解決策として選ばれたのが、リコージャパンの「無線LANパック」でした。事前調査によるWi-Fi環境の”見える化”が、まず評価されたとのことです。「雄愛園様はどこに機器を設置するべきかわかりにくく事前調査が重要でした。調査から導入まで一連の流れでできるので、これ以上ない選択でした。」(石川様)
●全国拠点網による迅速保守も選定のポイントに
小林株式会社の拠点からは、迅速な駆けつけ対応は困難です。しかし「無線LANパック」により、紋別市のリコージャパンの最寄り拠点から車で1時間ほどでエンジニアが駆けつけられます。「アクセスポイント配置と運用保守に不安がありました。それが、調査からスピーディーな保守まで一貫して対応してもらえ、助かりました。」(佐々木様)
安定・安心Wi-Fiで業務効率化。残業時間を大幅短縮
2019年5月、Wi-Fi環境の構築が完了し、施設内のどこでも接続が可能になりました。iPad9台とノートパソコン3台を導入して、様々な記録業務をICT化。スタッフが現場で情報を入力・閲覧できる環境が整いました。
当初は不慣れなスタッフから「手書きがいい」との声もありましたが、使ううちに意識が変わり、今ではスタッフたちが自主的に勉強会を開くほど浸透しつつあるそうです。「特に日誌作成の負担が軽減されました。ICT化により用語・表現がある程度統一され、入力した内容が再利用できて同じことを何度も書く必要もありません。情報の共有度が高まり、記録業務に時間がかからなくなりました。」(佐々木様)
その効果で平均約2時間だった残業時間が、15~30分程度に短縮されたとのことです。
“残業ゼロ”への意気込みと入居者とのふれあいの時間増加
人手不足がいわれる介護業界で15~30分の残業は珍しいかも知れませんが、佐々木様の目標はさらに上です。「定時退園できる“残業ゼロ”を目指したい。」と意気込みを話されます。そして何よりの効果として、「スタッフが入居者とのふれあいの時間を増やせるようになってきている。」とのこと。「Wi-Fiは安定しているので、iPad・ノートパソコンを段階的に増やし、月1回の研修で現場に定着をはかりつつあります。また外出先からスタッフが、各種情報にアクセスできるような環境も整えていきたい。」(佐々木様)との計画もうかがいました。
取材協力:株式会社バッファロー