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日本漁船保険組合 本所(旧漁船保険中央会)様

お客様事例紹介

「ドットプリンター + 専用用紙」の帳票システムを全面的に見直し
Mapping Suite導入により電子化/ペーパーレス化を推進

・全国各地の漁船保険組合にネットワーク経由で情報システムを提供
・ ドットプリンター+専用用紙の旧来システムに複数の課題が浮上
・帳票の電子化により、カット紙化とモバイルでの印刷などを実現
・生成したPDFをPC画面に自動表示させるアドオン開発を行い、確認を簡便化

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長年使用してきた帳票システムにコスト・運用面で課題が浮上

画像:渡辺 優 氏
渡辺 優 氏
システム部
部長


画像:古賀 智博 氏
古賀 智博 氏
システム部 システム課
課長代理

日本漁船保険組合様は、全国45の漁船保険組合(以下、組合)を会員として設立された中央団体で、組合が引き受けた各種漁船保険(普通損害保険、漁船積荷保険など)の再保険や、情報処理サービスなどを事業としている。漁船損害等補償法に基づく漁船保険には日本の漁船の大半が加入しており、2011年3月の東日本大震災では、岩手・宮城・福島の3県を中心に全国で2万隻以上の漁船が被害を受け、日本漁船保険組合ではその再保険金として450億円以上の支払いを行った。この額は例年のほぼ3倍という。まさに、漁業を安心して営むのに欠かせない再保険サービスを提供しているのが日本漁船保険組合なのである。

日本漁船保険組合では、各組合が保険業務を行うのに必要なシステムを日本漁船保険組合のデータセンターに集約し、提供している。各組合は、PC(PCOMM端末)を使ってネットワーク経由で日本漁船保険組合の基幹サーバー(IBM i)にアクセスし、利用する。各組合には10台前後のPCと2 ~ 3台のドットプリンターおよびラインプリンターがあり、組合で帳票の出力が必要な場合は、センターの基幹システムに照会し、その結果を各組合のドットプリンターまたはラインプリンターで出力するという形態を取ってきた。

しかし、長年継続してきた運用形態に「いくつか課題が浮上していました」とシステム部の渡辺優部長は振り返る。

「 1つは、約80種類ある帳票ごとに専用用紙が必要で、その制作と保管に大きなコストがかかっていました。また、全国に計110台あるドットプリンターとラインプリンターの保守費用も多額で、さらに帳票の付け替えや複写用紙の仕分といった実務作業の負荷も軽減へ向けた取り組みが必要になっていました」

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2社の帳票電子ツールを実機でテストし比較検討

町田 勝正 氏
町田 勝正 氏
システム部 システム課


高野 雄一郎 氏
高野 雄一郎 氏
システム部 システム課

そこで日本漁船保険組合様では、これらの解決へ向けて2010年9月から検討作業に入った。そして3カ月の討議の結果、帳票の電子化という結論に至った。その狙いを渡辺氏は次のように語る。

「 ペーパーレスが叫ばれている昨今、それを日本漁船保険組合の基幹システム上で実現できないかと考え、検討を進めました。専用帳票を電子化(PDF化)できれば、レーザープリンターへの出力や電子メールでの送付などが可能になり、専用用紙とドットプリンターの廃止や実務担当者の作業の軽減、将来的なコスト削減につながると考えました」

また、日本漁船保険組合では2008年からモバイルシステムを導入しており、「電子化できれば、組合の担当者が漁協などの現地へ出向いた際にも、簡易プリンターや漁協のプリンターに接続してその場で帳票印刷できるため、業務効率と利便性が格段に向上する」(システム部システム課の古賀智博 課長代理)ということも加点となって電子化の選択に至った。

帳票の電子化ツールはIBM i上で稼働する2社の製品を検討することとし、2011年6月に提案依頼書を送付した。提案書に明記された技術的要件は、次のとおりである。

● 既存アプリケーションを全く変更しない
● IBM iのスプールファイルの電子化
● 電子化されたデータをPC画面に自動表示できる
● 外字への対応
● 帳票ごとにデザイン・設計が可能
● 異なる様式の複写帳票を別々のデザインで設計できる

ところが、ここで問題が浮上した。2製品とも「電子化されたデータをPC画面に自動表示」する機能を標準で備えておらず、作り込みが必要になるからであった。「生成されたPDFを自動表示させるのは確認のためで、それがないとPDFが作成されたのかどうかを確認する必要が出てきます。その手間を省くために、自動表示を必須の機能としました」とシステム部システム課の高野雄一郎氏は説明する。

製品の比較検討は、2つの製品を日本漁船保険組合のIBM i(開発環境)へインストールし、漁船保険システムの実データを使用して行った。その結果、「初期費用とランニングコストの割安さ、1種類の帳票から段階的に導入できる」(渡辺氏)点を評価して、リコープリダクトプリントソリューションズ・ジャパンの「Mapping Suite」の採用を決めた。「一方の製品は、PDFを自動表示させるのにMapping Suiteよりも細かい作り込みが必要で、費用と手間がかさむと考え不採用としました」と渡辺氏は語る。

2011年8月に本番機(IBM i)へ導入し、12月からサービスを開始した。また翌2012年2月にはバックアップ機への導入も終えた。現在まで「特に問題なく、順調に稼働している」という。

現在、作り替えが必要な専用帳票をMapping Suiteの帳票作成ツール「MapDraw」を使って順次、作成中である。担当の町田勝正氏(システム部システム課)は「扱いやすく、細かい作り込みも簡単に行えます」と評価する。

今後は、専用用紙を使用する帳票を減らしていき、ドットプリンターやラインプリンターを削減していく計画。また、帳票に関わる業務を個々に見直していき、「帳票出力が不要なものは電子データのやり取りで済むよう切り替えていきます。Mapping Suiteの導入によって、業務を見直していく基盤ができたと考えています」と渡辺氏は語っている。

画像:日本漁船保険組合 本所(旧漁船保険中央会)のMapping Suite導入後の帳票関連システム
図表 日本漁船保険組合 本所(旧漁船保険中央会)のMapping Suite導入後の帳票関連システム

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お客様のご紹介

名称: 日本漁船保険組合 本所(旧漁船保険中央会)
設立: 1952(昭和27)年
本部: 東京都千代田区
会員数: 漁船保険組合45組合
引受隻数: 18万7886隻(2010年)
保険金額: 1兆54億4987万円(2010年)
職員数: 50名(2010年)
事業内容: 全国45の漁船保険組合が引き受けた普通保険などの再保険事業、情報処理業務など
URL: http://www.ghn.or.jp/ 日本漁船保険組合 本所(旧漁船保険中央会)のウェブサイトへ)

本記事はi Magazine2012年11月号に掲載されたものです。(C)i Magazine 2012