大修館書店様は、高校生を主なターゲットとする『ベーシックジーニアス英和辞典 第2版』と『ジーニアス総合英語』に、ARサービスRICOH Clickable Paperを導入されました。
高校生と親和性が高いスマートフォンを学習ツールに採用され、紙とデジタル、双方の良さを融合したコンテンツアプローチで、高校生の英語力習得を幅広くサポートしています。
【導入前の課題】
【導入後の効果】
1918年、大修館書店様は、主に学生を対象とした参考書を手掛ける出版社として創業されました。以来、「後世に残る良書の出版」という理念のもと、文教分野において、ロングセラー、ベストセラーを数多く出版されています。また紙媒体だけではなく、デジタルコンテンツの開発や電子書籍の分野でも、豊富な実績をお持ちです。
ICT*の急速な進化と普及により、書籍の在り方、活用方法は、これまでになく多様化しています。こうした状況の中、大修館書店様がRICOH Clickable Paperを導入された背景について、販売部 デジタル開発担当 北村尚子課長は、「書籍とデジタルコンテンツをいかに融合し、どう効果的に届けていくかが課題になっていた」とお話しくださいました。
「当社は、高校教育に関する商品を多く手掛けています。これまでは、書籍にCDを添付したり、パソコンからWebサイトにアクセスしてもらう方法で、語学の発音データなどを提供していました。でも今の高校生は、音楽を聞くのも、インターネットでの検索も、すべてスマートフォン、という世代。ですから、せっかくデジタルコンテンツを用意しても、高校生には届きにくい状況となっていました。
また細かなデジタルコンテンツは、単発では商品になりにくく、書籍とセットになることで価値が上がります。従来の手法では、書籍との一体感に欠けるという課題がありました。」
リコーは、大修館書店様の課題に対し、文字に強いARサービス、RICOH Clickable Paperを提案しました。
「提案を受け、リコーさんのARサービスは、当社の商品と親和性が高いと感じました。何よりも認識力が非常に高い。辞書のように文字が多くても、ペンやマーカーで書き込みがされた状態でも、認識精度は保たれたままです。
また商品としての寿命が長い書籍において、出版後も、リンク先を変更するだけで情報更新が可能になることに、新しい可能性を感じました。設定ツールによる操作も簡単ですし、ぜひ導入を検討したいと、編集部に相談しました。」
販売部と編集部で協議された結果、高校生を主なターゲットとする『ベーシックジーニアス英和辞典 第2版』と、参考書『ジーニアス総合英語』への導入が決まりました。
1987年刊行の『ジーニアス英和辞典』は、約30年にわたり学習英和辞典のトップランナーとなっています。その伝統を受け継ぐ2冊に導入された背景について、編集第二部 森田三千代課長に伺いました。
「語学分野の書籍編集において、発音をどう伝えるかは、非常に重要なポイントです。北村からRICOH Clickable Paperの話を聞き、高校生が日常的に使用しているスマートフォンをかざすだけで、音声データに簡単にアクセスできる点に、メリットを感じました。
しかもページ全体でも特定のエリアでも、任意の場所に複数のURLを紐付けられるので、学習をサポートする多様なコンテンツを提供できます。
当社が出版する様々な書籍のなかで、特にジーニアスは、勝負ができる商品、勝負すべき商品です。来春に向けた主力商品としてジーニアスから生まれた新刊を打ち出したいと考えていた時に、タイミングよくRICOH Clickable Paperに出会うことができました。」
辞書への本格的なARサービス導入は、前例がほとんどなく、先進的な事例となります。
具体的に、どのように活用されているのか、編集第二部 佐藤純子様にお聞きしました。
「従来の辞書は、分からない単語を調べるもの、知識をインプットするものです。それに対して、『ベーシックジーニアス英和辞典 第2版』は、スマートフォンと一緒に使うことで、発音や会話という“発信する力”も学べる辞書。発信力については、文部科学省も強化を図っている分野です。ARサービスで楽しみながら、インプットとアウトプットを、バランスよく学んでもらえたらと思います。」
他社商品と明確な差別化が図られた新刊は、新高校1年生向けの商品を学校へ紹介してまわるにあたり、頼もしい営業ツールとなっているそうです。
「競合他社も、工夫を凝らした商品を展開している文教市場において、ARサービス対応の辞書という、特徴的な商品を打ち出すことができたのは、営業的にも強みになります。
スマートフォンを教育現場でどう活用するかは、学校の方針や先生によって賛否が分かれるところなのですが、想像以上に好意的な評価をいただいています。実際にその場でARサービスを体験いただけることも、先生方の興味や関心につながっているのだと思います。」
北村課長は、かねてからの課題であった、書籍とデジタルコンテンツの融合について、確かな効果を感じられていると言います。
「RICOH Clickable Paperはマーカーレス*なので、書籍ならではの読みやすいレイアウトは保ったまま、動的なデジタルコンテンツにつながります。そのため、ごく自然に両者を関連付けて理解できるのです。この一体感は、私達の想像を超えるものでした。
また製作過程にも効果が表れています。紙面への制約がないため、印刷後でもURLを紐付ける作業ができます。その結果、CD付きの書籍を出版する場合と比べて、製作スケジュールを短縮することができました。また今後、書籍を改訂する際、CDを作り直す手間やコストが発生しません。」
今後の展開について、引き続き北村課長にお話しいただきました。
「他の書籍への展開のほか、マーケティングへの活用にも可能性を感じています。将来的には『大修館アプリ』にし、プッシュ通知ができるようになれば、読者の購買傾向に合った新刊のご案内ができますし、ブランド力向上にもつながるでしょう。
文教分野におけるARの可能性について、今後もリコーさんに相談しながら、商品開発からマーケティング、プロモーションまで、様々な形で活用していきたいと思っています。」
具体的な利用イメージは、株式会社大修館書店様の以下WEBページにてご覧いただけます。
■ベーシックジーニアス英和辞典 第2版
https://www.taishukan.co.jp/bg2/
■ジーニアス総合英語
https://www.taishukan.co.jp/gsogo_media/