大規模災害発生時や限られた医療資源で最大多数の救命・治療を行うには、正確な情報をいち早く多くの関係者と共有することが不可欠です。新潟大学医学部災害医療教育センター様は、災害医療現場での迅速な情報共有に加えて、平時は教育事業の充実を図るツールとしてIWBを導入されました。
大規模災害を想定した訓練では、災害対策本部と搬送拠点をIWBでつなぎドクターヘリなど多機関の航空機の搬送計画をリアルタイムに共有。一方、普段の会議やシンポジウムや教育事業にも活用していくことで次世代の医療人材育成につなげています。
【導入前の課題】
【導入後の効果】
限られた医療資源を最大限に活用するには、
組織を超えて早く正確に情報共有を図ることが重要です。
新潟大学医学部災害医療教育センター様では、災害発生時に活躍できる医療人材を育成するとともに、大規模災害を想定した災害医療訓練の企画、後方支援につながる新しいツールの検証などを通じて、地域全体の医療体制強化を促進されています。当センターの特任講師 和泉邦彦先生は、時間・人材・資機材が限られている災害時には、組織の壁を超えて、早く正確に多職種の人と情報共有を行うことが重要だと話します。
「災害時には、言葉や文字で説明するより手書きの図を見せた方が早く正確に伝わるというケースが多々あります。PCで精緻なデータをつくるより、その場で手書きしてすぐに共有するスピードの方が大切なのです。
ただこれまでは、手書きの図を迅速に遠隔地と共有する方法がないことが課題となっていました。携帯電話のカメラで図を撮影しメールで送信しても、受信側でプリントアウトする手段がなかったり、ようやく印刷できても混乱した状況下では他の資料に埋もれてしまったり、タイムリーな情報共有は困難でした。」
こうした状況を改善するツールとして、和泉先生はIWBに可能性を感じられたそうです。
「災害医療関連の学会に参加した際、愛知や東京の訓練でIWBが活用されている事例を知りました。一刻を争う災害時に、リアルタイムに遠隔地と大画面で情報を共有でき、しかも双方から手書きで修正・追記ができるという点に興味をもち、当センターとしても導入し検証を行いたいと考えました。
さらに、災害発生時だけではなく教育事業にも展開できる点が、導入の決め手になりました。有事にも平時にも使える利便性にメリットを感じ導入を決定しました。」
IWBに直接書き込み、双方から手書きでリアルタイムに更新。
遠隔地と最新の情報を瞬時に共有できるようになりました。
2019年11月、東北地方7県合同のDMAT参集訓練においてIWBが活用されました。
当訓練は新潟県沖を震源とする大地震を想定したもので、IWBは広域医療搬送を支援するツールとして新潟県庁の災害対策本部と、新潟空港のSCU(被災地外の災害拠点病院に傷病者を広域搬送するための医療施設)に設置されました。和泉先生にIWBを活用した効果を伺いました。
「医療機関をはじめ消防や海上保安庁など様々な組織が関わる広域医療搬送では、災害対策本部が決定した情報を、随時SCUへ伝えていく必要があります。今回の訓練ではドクターヘリなど多機関の航空機のフライトプランを直接IWBに書き込むことで、瞬時に最新の情報を共有できるようになりました。刻々と変化する状況を受けてプランを修正する際も、双方から書き込めるのでタイムラグがありません。
フライトプランが大画面に表示されることにも大きなメリットを感じました。IWBに表示することでその場にいる全員に情報を提供できます。紙で印刷するのとは伝達力が全く違いますね。SCUの医師たちも、自分の担当している傷病者の搬送はいつなのか、どれくらい時間があるのかをリアルタイムに把握できることで、より適切な治療を行えるようになります。」
IWBを使用した初めての訓練でしたが、操作面などで混乱はなかったでしょうか。訓練に参加された皆様の様子を伺いました。
「皆さんIWBを使うのは初めてでしたが、最初に基本的な説明をした後はとてもスムーズに使いこなされていました。ホワイトボードに書き込むのと同じ感覚なので、初めてでも違和感がなかったのだと思います。
県庁でもSCUでも多くの方がIWBから情報を得ており、導入の効果を実感しています。県庁職員や防災航空隊のほか、訓練を見学に来られた他県の先生方にも好評でした。」
普段の会議やシンポジウムでも活用しており、
IWBは医療人材の育成にも有効なツールだと思います。
新潟大学医学部災害医療教育センター様では、訓練以外でもIWBを活用されています。
「大学構内の会議や学外とのWeb会議やシンポジウムなどでIWBを活用しています。今後はさらに教育事業でも本格的に活用していく予定です。例えば、当センターと新潟薬科大学をつないだ遠隔教育ができれば、学生の論文作成指導などがよりスムーズに行えるように思います。また、教育の場でIWBのような新しい機器を積極的に使っていくことは、次世代の医療人材を啓発することにもなるでしょう。」
和泉先生は今後も検証を重ね、さらに活用シーンを広げていきたいと話しを続けます。
「11月の訓練では、災害対策本部とSCUをつなぎフライトプランを共有しましたが、災害の規模や被災エリアによって、共有すべき情報の種類も、IWBを設置すべき場所も変わってきます。例えば、新潟大学医歯学総合病院に多くの傷病者が運ばれてくるという時には、IWBで診療部門と学内の本部をつなぎ、傷病者の情報をリアルタイムに共有することもできるでしょう。
IWBの機能を使いこなすことでさらに有用な使い方ができると思いますので、今後も検証を重ね災害を想定した訓練でも平時の教育現場でも幅広く活用していきたいと思っています。」
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お客様情報
導入製品
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