活用の背景
企業の社会的な責任を 更新頻度が高い季節メニューにLIMEX
セブン&アイ・フードシステムズは、カラープロダクションプリンターRICOH Proで出力した石灰石を主原料とする新素材『LIMEX』のメニューを利用し、資源循環(アップサイクル)の仕組みを構築した。
同社が運営するカフェ『麴町珈琲』の各店舗で使用したメニューを回収し、ペレット化した素材でファミリーレストラン『デニーズ』のドリンクバー用トレーに再製品化している。
同社の持株会社であるセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイHD)は、グループ全体で国内に約2万2,500店舗を展開し、1日に約2,500万人の来店客を迎える。それだけに社会的な責任が大きく、グループ内のCSR(企業の社会的責任)活動やSDGs(持続的開発目標)の意識づけが経営の重要な位置を占める。
セブン&アイ・フードシステムズはそのセブン&アイ・HDの事業会社で、主にフードサービスを担う。現在、ファミリーレストラン、ファストフード、カフェなど約700店舗を運営。その中で麴町珈琲は首都圏に6店舗を構える。今回の資源循環モデルで利用するLIMEXは麴町珈琲の更新頻度が高い季節メニューに採用されている。
課題と効果
印刷直前までメニュー開発。カフェで使うメニューには美しさも必要。
2011年に創業し、新素材の開発を手掛ける株式会社TBMが開発したLIMEXは、紙やプラスチックの代替素材で、原料の水、森林や石油などの枯渇資源の使用量を抑えるとともに、再利用を可能にしている。
同社執行役員 サスティナビリティ推進室長 兼 CSR統括委員会 コンプライアンス部会長の日比 浩介氏はLIMEXを利用した資源循環のきっかけについて「スタートはリコージャパンから紙にかわる名刺素材として提案頂いたことです。その時は資源循環ができる素材という認識は全くありませんでした。その後、再利用できることが分かり、当社でチームを組んで当社の店舗内で再利用できる製品を検討した結果、循環経済に貢献できると判断しました」と説明する。
麴町珈琲で利用する季節メニューは約3ヵ月おきに約500部が印刷される。少部数になると単価が上がるオフセット印刷に比べ、RICOH ProによるPOD(プリント・オン・デマンド)が適していた。また、通常であれば、印刷の1ヵ月前に新メニューの決定が必要だったが、PODの利用により、印刷直前までメニュー開発の時間に費やせている。
また、麴町珈琲のターゲットは30代から40代の女性。座席スペースの取り方、テーブルや椅子のサイズ、照明を工夫し、くつろぎやすく洗練された雰囲気の店舗づくりを意識している。一方、メニューは店舗に合うようデザイン性を意識しながらも、耐久性と耐水性を保つために、ポリエチレンの余白が四隅に出てしまうパウチ加工が欠かせなかった。
「カフェで使うメニューは美しさも求められます。パウチがなくても耐水性、耐久性があるLIMEXにリコーのプロダクションプリンターで印刷することで、発色が良く、オフセット印刷と比べて遜色がありません。パウチのコストが省かれ、経済的なメリットも生まれています」という。
今後の展望
ゴールに向けた角度で行動 利用範囲を広げて障がい者雇用支援
株式会社 セブン&アイ・フードシステムズ
執行役員
日比 浩介 様
同社の資源循環モデルは規模としてまだ小さいが、グループ内で循環経済を具現化した初のケースとして反響が大きい。今後、同社が着目しているのはLIMEX名刺の回収スキームである。人事異動や組織改編で無駄になる名刺は同社だけでも段ボールひと箱分になる。グループにとどまらず、社外にも取り入れられる資源循環モデルにすることで、社会的なスキームに広げることができる。
日比氏は「2050年の目標に向けて各事業会社は試行錯誤しています。お弁当の容器に関しても新しい素材を検討中です。2050年はまだ先のように見えますが、早くスタートし、ゴールに合わせた角度で行動していかなければなりません。初動によって2050年の着地点が決まると思います」と展望。加えて特例子会社のテルベに設置されたRICOH ProでLIMEXの印刷量を増やし、障がい者雇用支援も見据えている。「LIMEXに適した印刷物はグループ会社にあると思います。それらの一部でもテルベで内製化できれば障がい者雇用に寄与でき、CSRにつながると認識しています。」と、LIMEXから広がる副次的な効果にも期待を寄せる。
お客様プロフィールと導入製品
企業情報
お客様名称 |
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株式会社 セブン&アイ・フードシステムズ |
本社所在地 |
〒102–8415 東京都千代田区二番町4-5 |
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