時代は移り変わり、PHSサービスの終了時期が近づいています。そして最近では、そのPHSの代わりになるものに注目が集まってきています。今回は、2021年1月のPHSサービス終了に伴う病院・介護施設・企業が取るべき対応と共に、代替手段の一つとしておすすめのIP無線アプリを導入する際のポイントをご紹介します。
PHSとは「Personal Handy-phone System」の略称で、1995年から主に一般の若者の間で急速に普及が進みました。PHSの特徴として、電波が比較的微弱であることが挙げられます。この特性を活かし、病院や介護施設などの医療機関でも構内PHSとして広く利用されるようになりました。
そして時代は流れ、携帯電話の台頭などを受け、PHSは競争を余儀なくされました。やがてスマートフォンが登場し、どんどんPHSの契約数が減少していき、2020年7月にはPHS提供事業者よりサービス終了の旨が告げられました。その後、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、携帯電話への移行手続きが困難な企業や施設の状況を受け、2021年1月31日までに延期されました。
また、PHSと同様に事業者利用の多い「アナログ簡易無線機」については、簡易無線局のデジタル化を受け、2022年11月30日に終了の旨が告げられています。2022年12月1日以降にアナログ簡易無線機から電波を発射すると、不法無線局開設により罰則(1年以下の懲役刑または100万円以下の罰金)の適用を受けることになる旨が、総務省ホームページで確認できます。
いずれもスマートフォンの普及やデジタル化など、IT技術や通信機器の進化が背景にあります。
PHPサービス終了を受け、これまで構内 PHSを利用してきた病院・介護施設・企業はどのような影響を受け、どのような課題が生まれているのでしょうか。
まず PHSサービス終了というのは、あくまで、屋外での外線電話番号を利用した通話サービスの終了を指しているため、医療機関や企業内での内線番号による通話は対象ではありません。つまり、構内の既存設備を利用した院内通話などは、 2021年 2月以降も使用はできるということです。
しかし PHSサービスの終了により、 PHS端末の開発は今後ますます減少していくことが予想されており、故障・修理対応もままならず、費用も高額化していくでしょう。
そのため、病院・介護施設・企業は、構内 PHSの継続利用をしながらも、次なる時代に合った通信機器の導入を検討していくことも必要といえます。
具体的には、IP無線などの新しい通信技術を導入することが求められます。IP無線は、インターネットを利用した通信手段であり、広範囲での通話が可能で、PHSに代わる有力な選択肢となります。
病院や介護施設においては、緊急時の迅速な対応が求められるため、信頼性の高い通信手段が不可欠です。企業においても、業務の効率化や安全性の向上のために、最新の通信技術を導入することが重要です。PHSサービスの終了に伴う影響と課題を理解し、適切な対応策を講じることが求められます。
具体的に、PHSサービス終了後に病院・介護施設・企業はどのような対応を取るべきでしょうか。
まずは、機能面、使いやすさの面、コスト面から最も適しており、代替えとなりうる内線端末を検討しておくのをおすすめします。
その候補となる方法を3つご紹介します。
最も注目されているのが、スマートフォンで使うことのできるIP無線アプリです。IP無線とは、主に携帯電話の電波を使って無線通話ができるもので、従来の無線機と異なり、広範囲に多者間通話を可能にするのが特長です。スマートフォンにIP無線アプリをインストールして使用します。トランシーバーアプリとも呼ばれています。
スマートフォンは従来、医療機器への影響が問題視されていましたが、現在はPHSと同じ水準の電波に抑えることができるといわれています。
スマホIP無線アプリを利用すれば、例えば介護施設などでは、従来のPHSと同様に、スタッフ同士が1対1で連絡を取り合うことができるほか、グループ内のスタッフへ一斉発信したり、各スタッフの位置情報の確認をしたり、チャット機能でテキストや画像の送受信をしたりと、コミュニケーションの幅がぐんと広がります。そして、よりスタッフ同士が施設内で連携しやすくなります。
そのため、特に一刻一秒を争う緊急対応が必要な医療機関では、PHSの次なる通信機器として、スマートフォン対応のIP無線アプリは非常に有効といえます。
sXGPとは、「Shared eXtended Global Platform」のことで、従来、PHSで利用していた周波数帯を、スマートフォンの通信方式であるLTE(Long Term Evolution)で利用可能にする仕組みです。施設内にPHS設備持っている場合に、その設備を流用しやすいというメリットがあります。また、通話だけでなくデータ通信もできるのも特長です。電波出力についてもPHSと同様に微弱で、医療機器への影響も少ないといわれています。
PBXとは、「Private Branch eXchange」のことで、「構内電話交換機」を指します。PBXを設置することで、例えば、企業の代表番号にかかってきた電話を複数の社員の電話機で受けられるほか、社員同士が社内で通話することも可能です。そのPBXをクラウド環境で利用するのがクラウドPBXです。交換機本体や設置工事が不要となるため、初期費用が抑えられるメリットがあります。このクラウドPBXでインターネット回線を利用して構内通話の仕組みを作ることができます。
先に選択肢の一つとして取り上げたスマホIP無線アプリですが、
実際に病院・介護施設で導入する際には、次のポイントを押さえることをおすすめします。
IP無線を導入する際に検討したいのが、IP無線機という選択肢もあるということです。IP無線機とは、IP無線を使って通信ができる専用機器です。従来の無線機やトランシーバーのような見た目をしているのが一般的です。IP無線を通じて複数人通話などが可能です。
IP無線を利用する仕組みはIP無線アプリと変わらないため、IP無線機も合わせて検討すると良いでしょう。
IP無線機とIP無線アプリの大きな違いは本体の有無です。IP無線アプリはスマホにインストールするのでスマホを別途用意する必要がありますが、IP無線機はそれ単体で利用できます。環境に合わせて選択しましょう。
初期費用や運用費用について、できるだけコストを押さえたい場合、コストだけでなく長期的なコストパフォーマンスの視点でとらえましょう。すでに業務用スマホを利用している場合、IP無線機を新規で購入するよりも、IP無線アプリを契約したほうが安価に済みます。また使い慣れたスマホならIP無線アプリの操作を習得するだけで使えます。
その他、使いやすさ、音質、複数人通話の利便性など、業務のパフォーマンスを考えて導入しましょう。
IP無線アプリを導入する際には、ぜひメリットとデメリットの両方を押さえておきましょう。
IP無線はインターネット回線を用いるため、従来の無線機と比較して通信範囲が広くなります。距離を気にすることなく通話ができます。
従来のPHSは1対1の通話しかできませんでしたが、IP無線アプリならグループ通話機能で複数人同時に話ができます。
IP無線はインターネット回線を利用するため、電話回線と比べて混雑時につながりやすくなります。典型的な例が、大震災などの災害時です。日本中が一斉に連絡を取り合う中で、携帯電話通信網は混雑してつながりにくくなりますが、インターネット回線であればそれと比較してつながりやすいと考えられます。
IP無線アプリはスマホがあれば月額使用料を支払えば利用できますが、同時にスマホのデータ通信料が発生します。安価なプランに加入しておくなど、工夫して対処する必要があります。
インターネット回線は、通信障害が起きることがあります。そのため、IP無線の通信に影響が出ることは知っておく必要があるでしょう。
PHSサービス終了に伴い、病院や介護施設、企業は、これまでの構内PHSに代わるものを選ぶ時期にきています。
時代の進化に合わせ、新たな技術を柔軟に受け入れて、最新の情報を取り入れながら、業務効率化をはかる最適な手段を見つけていくのをおすすめします。
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