トランシーバー、インカムなど従来の無線機器に比べて多くのメリットがあるIP無線。企業における導入も増えていますが、実際の使い方はどのようなものなのでしょうか?使い方や活用法、便利なIP無線アプリの使い方などもご紹介します。
IP無線とは、携帯電話やスマートフォンが利用するインターネット回線を利用して通信するシステムです。声や音をパケットデータに変換し、インターネット回線にのせて通信します。
携帯電話との違い
スマートフォンなどの携帯電話と比べ、 IP無線は一度に大人数の相手と通話が可能であったり、強制起動による発信が可能であったりする特長があります。よって携帯電話よりもグループコミュニケーションに向いているといえます。
従来の無線との違い
IP無線は「無線」という名がついていますが、従来の無線が長くて 2kmまでの通信が限度だったところ、 IP無線は携帯電話がつながるところであれば距離や場所を問わず通信が可能であるという特長があります。すでに交通機関やイベント会場、大型店舗、作業現場などあらゆるシーンで活用されています。
また従来の無線機は利用時に免許の申請が必要ですが、 IP無線には免許申請等が不要なため、すぐに誰でも使用できます。
インカムやトランシーバーとの違い
スタッフ同士のグループコミュニケーションツールとして、インカムやトランシーバーも広く使われています。しかし通信エリアが狭いほか、出力が弱く混信もしやすいといったデメリットがあり、活用できる場が限定的です。その点、 IP無線の通信エリアは携帯電話がつながる全国であり、広範囲である点、インターネット回線であるため混信もないという点が優れていると言えます。
IP無線には、IP無線機本体を利用する方法と、IP無線機能が使える専用アプリをスマートフォンにインストールして利用する方法の大きく2種類があります。
IP無線機はトランシーバーのような見た目のものから、車載用のものまでさまざまな種類があります。IP無線アプリは、用意した業務用スマートフォンや従業員の私用スマートフォンにインストールするだけで使えるため、機器を増やす必要がなく、手軽というメリットがあります。
IP無線機は、一般的にどのように使用するのか、その使い方をご紹介します。
IP無線機を使うには、まず電源を入れる必要があります。IP無線機によって入れ方は異なりますが、電源を入れると携帯電話の画面に表示されるような電波の強度レベルが表示され、通信可能な状態になります。
発信するときには、まず呼び出ししたい相手を選びます。対象者1人に発信するには、その相手の番号をテンキーで入力し、発信ボタンなどを押します。相手とつながれば通話ができます。IP無線機によっても異なりますが、通話ボタンを押しながら、マイクに向かって話すのが一般的です。
着信があったらランプが点滅して通知音が鳴るなどして通知がくるので、ボタンを押して通話を行います。送信相手からの音声は自動で受信し、スピーカーから声が聞こえてきます。イヤホンマイクを装着してIP無線機につなげることで、ハンズフリーでの通話も可能です。
グループ通話を行うためには、一般的に、話をしたいグループを作成し、そのグループの番号に対して発信する形となります。
IP無線は、インターネットを介して音声やデータを送受信する通信手段であり、その活用範囲は非常に広いです。
特に、以下のような場面での利用が考えられます。
建設現場では、広範囲にわたるエリアでの連絡が必要です。IP無線を使えば、建設現場のどこにいても、リアルタイムでの連絡が可能となります。これにより、作業の効率化や安全性の向上が期待できます。特に、緊急時の迅速な対応が求められる場面では、IP無線の即時性が大いに役立ちます。
大規模なイベントやコンサートでは、多くのスタッフが広範囲に配置されます。IP無線を使うことで、各スタッフがスムーズに連携を取り合うことができます。例えば、警備員、案内スタッフ、技術スタッフなどがリアルタイムで情報を共有することで、イベントの運営が円滑に進行します。
医療機関では、医師や看護師が迅速に情報を共有することが求められます。IP無線を使えば、病院内外のどこにいても、リアルタイムでのコミュニケーションが可能です。これにより、緊急時の対応が迅速化され、患者の安全性が高まります。また、IP無線は音声だけでなくデータの送受信も可能なため、患者の状態や治療計画などの情報を即座に共有することができます。
物流業界では、ドライバーや倉庫スタッフがリアルタイムで連絡を取り合うことが重要です。IP無線を使うことで、配送ルートの変更やトラブルの報告が即座に行えるため、業務の効率化が図れます。また、GPS機能を併用することで、車両の位置情報をリアルタイムで把握することも可能です。
災害時には、通常の通信手段が使えなくなることがあります。IP無線はインターネットを利用するため、通常の電話回線が使えない場合でも連絡が取れることが多いです。これにより、迅速な避難誘導や救助活動が可能となり、被害を抑えることができます。
続いて、IP無線アプリの使い方をみていきましょう。ここでは、IP無線アプリの製品の一つ「Buddycom(バディコム)」を例に挙げて解説します。
IP無線アプリは、一般的なスマートフォンアプリと同様の手順でインストールします。インストール後、IDとパスワードを入力してログインします。ログインは初回のみで2回目以降はログイン不要で使えます。
発信するには、中央の大きい「グループ通話」というボタンを押しながら話します。同じグループ内のメンバーに対して発話が可能です。ボタンの上部にグループ名が表示されていますが、グループ名を押すとグループ選択画面が表示され、グループの変更が可能です。
受信するには、グループ選択画面「聞く」をONにしたグループからの発話が自動的に流れてきます。
メニューの「CHAT」を選択すると、過去に通話した内容がテキスト化されたものや、テキストチャットの内容が表示されているのを確認できます。過去の通話は録音されているので、タップすると再生が可能です。業務中、手が離せないときなど聞き逃してしまうというときでも、確認ができるので便利です。また、文字を入力することでテキストチャットも行えますが、送信されたテキストは音声で読み上げることもできます。
メニューの「LIVE」を選択すると、「LIVE」という左下の丸いボタンを押すだけで映像と音声の配信が可能になります。ZoomなどのWeb会議システムと異なり、事前会議設定や相手の応答が不要で、配信する側の準備が整っていれば、配信がすぐできるという点に特長があります。音声通話同様、自動的に記録に残り、あとから再生も可能です。
メニューの「MAP」を選択すると、グループメンバーの位置が地図上に現れます。これはスマートフォンのGPS機能を利用したもので、エリア内にいる人だけにしぼって発信ができる機能です。例えば、小売り業で一定のエリア内の複数店舗のスタッフに発信したいときや、運送業でエリア内を走行中のドライバーに連絡したいときに便利に使えます。
IP無線の使い方をご紹介しました。IP無線はエリアを問わず誰でも簡単に利用できるというメリットがあります。また、グループ発信を基本としている点や、相手の状況を問わず、音声を発信してメッセージを伝えられる点が、業務のグループコミュニケーションに最適といえます。
特にIP無線アプリはスマートフォンにインストールするだけですぐに簡単に使えるメリットがあります。
今回ご紹介した「Buddycom」については、アプリの画面を実際にご覧いただきながら使い方の説明も交えたリコージャパンのセミナー動画「声と映像で現場が変わる!ニューノーマル現場最前線」も合わせてご覧ください。
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