フリーアドレスを導入する企業が増えています。部門横断的なプロジェクトを進めやすいというメリットがあることが背景にあるといえるでしょう。一方で、デメリットも少なからずあり、特にストレスを感じやすいという点は見逃せません。
では、フリーアドレスを導入した場合、どのようなストレスを感じることがあるのでしょうか。この記事では、フリーアドレスとストレスの関係性について解説します。
目次
フリーアドレスがストレスになる要因として、主に以下5つが挙げられます。
それぞれのストレスの要因について、詳しく解説します。
オフィスの各席に、電源口が設置されていないケースがあります。この場合、ノーフリーアドレスの本来のねらいは、同じプロジェクトのメンバーや同じ目的を持った社員が席を隣にして仕事することで、これまで得られなかった効果を期待するという点にあります。ただし、仲が良い社員同士がフリーアドレスで隣り合って仕事すると、ついつい話が盛り上がることもあります。
すると、自分が仕事をしたくても相手に話しかけられてストレスを感じる場合があります。仲が良い社員同士が集まることによる弊害は、仕事の能率が低下するだけでなく、周囲に迷惑をかけてしまうケースもあります。
本人同士は、小声で会話しているつもりでも、周囲からすれば迷惑に感じることがあります。
席が固定されている会社の場合、何も考えなくても自分の席が用意されています。一方で、完全フリーアドレス制を採用している会社の場合、自分が使用する席がどこになるのか検討しなければなりません。
人によっては席を選ぶことがストレスになるケースがあります。また、ある程度自分が使用する席が決まっている場合でも、隣に誰が座るのかが把握できないのもフリーアドレスの特徴です。
もし、あまり話をしたことがない社員が隣となった場合、気まずい雰囲気となりストレスを感じてしまいます。特に、人と話をするのが苦手な方は集中力の低下を招く可能性もあります。
完全フリーアドレス制を採用した場合、同じ部門の社員であっても席が分散します。固定された席である場合はスムーズに会話できますが、フリーアドレスの場合はどこにいるのかを把握するのが難しいです。
社員にスマートフォンやPHSなどを支給している場合、電話連絡により居場所を特定可能です。また、フリーアドレスの管理を容易におこなえるシステムを導入することで、誰がどの席にいるのかを把握可能です。
もし、上記のような対応を図っていない場合、探すこと自体にストレスを感じてしまいます。
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フリーアドレスを採用することで、OJTを進めづらいという点が挙げられます。実務的な教育をおこなう場合は、実際に仕事をしながら実戦形式で教育するOJTが有効的です。OJTは、基本的に新入社員や配属されたばかりの社員が、先輩から教えてもらう形で進める形で進めます。
フリーアドレスの場合、教えてもらう側としては、近くに指導員となる社員がいないことでコミュニケーションが取れず、ストレスを感じてしまうことがあります。これがきっかけで、新入社員が孤立を感じて退職してしまう可能性もあります。
フリーアドレスの場合、常に同じ席で仕事するわけではないため、その日の仕事が終了した段階で毎回席から荷物を撤収しなければなりません。
ノートパソコンなどのデバイスだけで仕事できる社員は、手間ではありません。一方で、書類や文房具などを使って仕事する社員にとっては、毎回荷物を片付けるのが大変な場合があります。また、メモなどの付箋も仕事終わりに毎回剥がさなければいけません。
余計な作業をストレスと感じてしまうケースもあります。
フリーアドレスを導入するにあたり、ストレスを感じさせない対策が必要です。特に、以下のようなコツがあります。
それぞれのコツについて、詳しく解説します。
固定席を導入していた会社が、いきなり完全フリーアドレスを導入しても社員は戸惑うものです。よって、いきなりすべての席をフリーアドレス化するのではなく、部分的にフリーアドレスを進めるなどの対応が必要です。
例えば、固定席を用意しつつフリーアドレスの席をいくつか用意して、必要な場合のみ利用するなどの方法があります。これにより、フリーアドレスの使い方などを理解してもらい、最終的に完全フリーアドレス化する方法がおすすめです。
また部署単位でフリーアドレスを導入することも有効です。
フリーアドレスのレイアウトは、特にどのようなものを導入しなければならないなどのルールはありません。導入する会社が、目的を達成するために必要なレイアウトを採用する形が一般的です。
フリーアドレスでストレスを感じる原因として、人見知りの場合は隣に知らない社員が座るのを嫌がるというケースがあります。そこで、背面式のレイアウトにすることでプライバシーを確保して仕事に集中できるようになります。
フリーアドレスのレイアウトには、ほかにも以下があります。
会社がフリーアドレスに求める狙いを達成できるレイアウトであると同時に、利用者にとってストレスを与えにくいレイアウトとすることも重要です。
フリーアドレスの場合、固定席のように荷物を置きっぱなしにして退社できません。そこで、個人用のロッカーを準備することで対策を取れます。
それ以外にも、会社の共有物、傘、コートなども収納できるスペースがあると、片付けの手間を減らせます。
フリーアドレスでは、社員同士のコミュニケーションを図る目的で導入する場合が多いです。ただし、社員によっては仕事だけに集中したい場合もあります。
運用側のマインドセットとして、社員に過度なストレスを与えないようにコミュニケーションを強要しない対応が必要です。
フリーアドレスにより、社員がどの席で仕事しているのかを把握できずにストレスを感じている場合、座席管理システムを導入するのがおすすめです。座席管理システムとは、フリーアドレスにおいて座席の予約やチェックイン・チェックアウトなどを容易におこなえるシステムのことです。
座席管理システムでは、ほかにもインスタントメッセージ機能や会議室の予約などのオプションが付いている場合があります。社員を探すだけでなく、前もって席を予約することで来社する際の憂鬱な気持ちを軽減できます。
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ここでは、フリーアドレスに関するよくある質問について紹介します。質問に対する答えも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
フリーアドレスに向いている業務としては、主に外回りが多い営業職が挙げられます。席にいる時間が少ないため、あえて固定席を用意しなくてもフリーアドレスで来社した時だけ使える席を用意する場合が多いです。
また、システムエンジニア職をはじめ、普段からリモートワークで対応できる業務は、基本的にフリーアドレスに向いているといえます。
フリーアドレスの導入に失敗してしまう主な理由は、導入目的が不明確なまま導入してしまうことです。「他社が成功していたから」などの安易な理由で導入しても、成功しにくいです。
また、セキュリティの問題で失敗する場合もあります。大企業かつ来客が多い職場の場合は、自社社員を見極めにくくなるケースがあります。その結果、情報漏えいにつながるケースがあります。
フリーアドレスは1987年に日本で発案された、といわれています。当時は、外回りの多い営業職の社員は席を共有化して、空席を減らす狙いがありました。
ただし、固定電話が主流で携帯電話が普及していなかったため、定着しなかったのです。現代では、携帯電話も普及して座席管理システムなどの便利な仕組みが登場したことで、徐々に普及しはじめています。
さらに、2017年から政府が推進している働き方改革関連法により、社員の多様な働き方を実現するためにフリーアドレスが最適という側面もあります。決して日本人ワーカーに向いていないとは言えず、むしろ積極的に導入した方がよい会社も多いです。
フリーアドレスを導入するにあたって、利用者のストレスには十分な配慮が必要です。特に、コミュニケーション面でストレスを感じる場合が多いため、社員にコミュニケーションを強要しないなどを配慮する必要があります。
フリーアドレスをストレスに感じる社員が多い場合、導入そのものが失敗だったということになりかねません。今回紹介したポイントに注意して、ストレスを与えないような運用を心がけてください。
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