2023.10.26
目次
株式会社LIFULL様の法務部門が扱う年間相談件数は約1,700件で、あらゆる契約類型を取り扱っています。同社では、契約業務の効率化のためにRICOH Contract Workflow Serviceを採用し、法務相談・承認申請・契約締結・契約管理の各機能の段階的な導入により、契約業務の合理化を実現しました。 株式会社LIFULL グループ経営推進本部 法務グループ グループ長 平島 亜里沙 様と同グループ 佐藤 浩太 様に、導入時のポイントや運用の効果について伺いました。
株式会社LIFULL様のグループ経営推進本部法務グループでは、さまざまな法務相談を年間1,700件ほど取り扱っています。同社の法務グループ長である平島亜里沙様によると、RICOH Contract Workflow Service(以下、RICOH CWS)導入前の法務部門では、法務相談にメーリングリストを使っていました。また、紙文書での回覧や紙の契約書の製本・押印・郵送・保管を行っており、紙と手作業による関連作業の非効率やナレッジの共有にも課題がありました。締結済みの契約書は紙をファイリングして保管するとともに、それぞれの法務担当者が社内データベースへ契約内容を手入力して管理していました。
「法務相談では相談メールをメーリングリストに送ってもらっていました。ほかのメンバーの担当する案件がリアルタイムで目に入るのはよかったものの、自分の担当案件が埋もれるために見落としもあり、検索性や新たなメンバーが過去の履歴を探せないという課題もありました。また承認申請の依頼者は、紙で依頼書を作り、依頼書の提出のために出社が必要でした。こういった課題を解決したいと考えて、ツールを探しました。」(平島様)
株式会社LIFULL
グループ経営推進本部
法務グループ グループ長
平島 亜里沙 様
RICOH
CWS導入のきっかけについて、「紙がなくなり、法務相談から承認申請*、保管まで一気通貫できるようなシステムがあれば楽になるだろう、と思いました。しかし、システムの導入検討時には相談から保管まで一気通貫するサービスがなかなかありませんでした。他社のオンプレミスのシステムはさまざまなカスタマイズに対応していたのですが、導入・維持コストが高く、技術に精通していない法務が時間をかけてカスタマイズするのは難しそうだったので、法務での扱いやすさとコスト面から検討しました。」(平島様)
RICOH CWSを選定した理由については、「それぞれの機能を別々のツールとして導入すると、ツール間の操作も増えて大変になると思いました。法務相談の結果から承認申請に進み、契約締結が完了すれば同じシステム上で保管できる、という一連性を重視してRICOH CWSを選びました。電子契約は各社製品を検討してクラウドサインに決めましたが、RICOH CWSと連携できることが一番の決め手でした。」(平島様)
平島様は導入時の混乱を避けるために、RICOH CWSの機能を段階的に導入して運用を開始しました。
「まずは導入のハードルが低い法務相談からスタートしました。続いて、承認申請の利用を開始しました。その後、電子契約連携の機能を使って締結した契約内容がRICOH CWSの契約管理へ自動保管されることになり、過去の契約データもRICOH CWSで一括管理できた方が便利だろうと考え、自社のデータベースに保管していた過去の契約データを、リコーのデータベースへ移管する作業をリコージャパンにお願いしました。」(平島様)
運用開始前には社内向けマニュアルを作り、説明会も実施してスムーズな導入を図りました。こうして新たな運用フローへと着実に移行していきましたが、その前段階では契約業務全体の見直しを行い、社内の運用ルールも変える必要が出てきました。特に大きな課題となったのが、押印業務の流れでした。
「以前の押印業務では、事業部の担当者が取引相手や契約の名称などを依頼書に記入して、印刷した契約書と一緒に法務へ持参しており、承認申請のために出社しなければならない人もいました。事業部の担当者が提出した書類を法務で受け付け、内容・形式のチェックを行い、法務から押印権限者に確認と押印を依頼して、戻ってきた契約書の最終チェックを法務で行っていました。このように、承認申請から完了までに手間と時間がかかっていたことが大きな課題でした。また当時、社長と本部長、部長が印鑑を持っていて、それぞれが担当範囲の契約の押印権限を持っていました。押印者の手が空いている時間に印鑑を押してもらえるのですが、いつ押印してもらえるかがわからないため、担当秘書や押印者と『これは急ぎなので、いつまでに押してください』というやりとりをするにも手間と時間がかかっていました。」(平島様)
また、同社では印鑑を持つ人が多かったため、押印権限者の席がある各フロアへ郵便のように法務の担当者やアシスタントが押印待ちの書類を配りに行くなどして対応していました。
組織の複雑化とともに、法務部門では増大する法務の仕事の抜本的な効率化を迫られます。そこで平島様は、依頼書の代わりにRICOH CWSの承認申請機能を使ってシステム上で承認手続きができるように、まずは運用フローを変更しました。
「以前の押印のフローでは上長、部長、本部長、実際に押印する人の全員に紙の依頼書を回覧していましたが、RICOH CWSの機能を使い承認申請の申請・承認ができることで、出社の手間や書面を持って社内を行き来する手間や時間が激減しました。」(平島様)
「その後しばらくは、印鑑を持つ人の数は特に変更せずにきたのですが、コロナ禍が始まり出社頻度が激減し、電子契約の導入を検討し始めたことで、印鑑の種類や押印権限者の数をシンプルにしようと考えました。以前は、押印権限者は皆印鑑を押したいのかな、と思っていたものの、思い切って『印鑑を押したいですか? なくしてもいいですか?』と聞いてみると、印鑑の廃止と法務への権限委譲を了承してもらえました。今では代表取締役の認印の押印やそれに代わる電子押印の承認作業も法務部門で行うことで、押印作業はほぼ一本化されています。」(平島様)
こうした押印業務の改善により、法務のDX推進は加速しました。押印に関わる社内実務の流れは大きく変わり効率化され、事業部の担当者はRICOH CWSを使いリモートで法務相談や承認申請の依頼ができるようになりました。
「契約業務が1つのシステムで完結され、効率化されました。運用ルールを変えてなじむまではマニュアルの作成や更新・社内浸透の努力も必要であり、それなりに大変でしたが、今は一気通貫して使えています。1つの機能を使っても、ほかの機能を使っても、料金が一緒なのもありがたいです。」(平島様)
RICOH CWSの運用開始後、押印業務の見直しの最中に入社した同法務グループの佐藤浩太様は、RICOH CWSが導入された職場を見て、「契約業務のDXを推進している環境で働きたいと思っていました。
前職ではすべて紙で対応しており、弊社と同じ課題を抱えていました。
当時、リーガルテックの展示会でRICOH CWSを知り興味をもっていましたが、実際に使ってみると、契約業務の各工程が連携されていて、ペーパーレスでスムーズに進めることができ、これまでの負担が大幅に軽減されました。」と振り返ります。
「RICOH CWSには過去案件の記録も共有されており、その中から必要な情報を容易に検索できるので、リサーチ時間を削減できました。また、類似案件やトラブル対応について、過去の法務担当者と異なる対応を防げるので、対応の一貫性も担保できます。」(佐藤様)
株式会社LIFULL
グループ経営推進本部
法務グループ
佐藤 浩太 様
RICOH
CWSの操作感について、「直観的に操作しながら、特に苦労せずに覚えられました。電子契約連携では、起票した日に締結まで完結することもあり、『こんなに早いのですね』と社内からも驚かれました。」(佐藤様)
「承認申請完了後に電子契約へと進むと、承認後の『変更あり/変更なし』の表示が出るのですが、『変更なし』と青い表示が出れば再度ファイルを開いて書類の中身を確認する手間がなくなります。『変更あり』と赤く表示されたときだけ変更箇所を確認すればよいので、確認に余計な時間がかからず、本当に助かります。」(平島様)
「作業の時間を削減し、より重要な、法務の価値を出す業務に時間を割くことができるのが大きいです。今後は、蓄積したナレッジの検索性を向上させる機能も使いたいです。」(佐藤様)
基本的な機能の運用にも慣れ、確かな手応えを感じられている法務グループでは、担当案件のそれぞれの質や重みのデータをRICOH CWSを利用して把握できれば、担当者へのサポートや業務の評価にも使えそう、という新しいアイデアも出ています。
同社は法務でもQCD(品質・コスト・納期)が求められるため、法務グループでは相談から返答までの時間の計測を始めており、法務部門の社内プレゼンスの向上と業務改善のために創意工夫を続けられています。
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