電子帳簿保存法改正やインボイス制度などの法改正によって企業の電子化ニーズが高まり、取引帳票の電子化に向けていま大きく舵を切っています。そのような中で、特に受領請求書業務は紙でのやり取りによる課題が多く、対策に取り組もうとしている企業が増えています。本コラムでは、受領請求書業務を電子化・効率化するための3つのパターンと、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
バックオフィス業務の中で、いまだ紙による業務課題が多いのが受領請求書業務です。紙で受取っているがゆえに、請求書の内容を手入力でデータ化していたり、注文書等との金額確認を目検で行っていたり、さらに郵便のタイムラグが発生して締め日業務を圧迫する、受取のために出社しなければならないなど、様々な業務負荷の原因となっています。
『経理財務・会計担当者のテレワークの対応状況に関する調査』によると、経理部などのバックオフィス部門でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進まない理由として、70%以上の経理が「紙での請求書等の対応がネックになっている」と回答しています。また、『日本の経理をもっと自由に「1000人に聞いた経理に関する調査2021」』によると、取引先に請求書電子化に取り組んでもらいたいと希望している経理は、約9割(88.1%)にものぼっています。このような結果から、請求書は電子で受取りたい、電子化していきたいという現場の強い希望があり、優先順位が非常に高いということがわかります。
引用:
Money Forward 「経理財務・会計担当者のテレワークの対応状況」
https://mfkessai.co.jp/news/press-20200427
引用:
ROBOT PAYMENT 日本の経理をもっと自由に「1000人に聞いた経理に関する調査2021」
https://www.robotpayment.co.jp/keiri_liberty/
このように電子化ニーズの高い受領請求書業務を電子化するには、大きく3つのパターンに分類できると考えられます。
ここからは、それぞれ特徴やメリットデメリットについて詳しく解説していきます。
OCR処理でデータ化
代行入力サービスで
データ化
電子データ取引
「OCR」とはOptical Character Readerの略で、紙やPDFなどのテキスト部分を認識して文字データに変換する光学文字認識技術のことを指します。OCRによる一般的なデータ化フローとしては、まず紙をスキャナなどでPDF化し、OCR処理をかけて中身をデータ化します。その際、100%の精度でデータ化することは理論上不可能のため、最終的に人の目でデータを確認し必要に応じて修正するという流れとなります。
これまで手入力でデータ化していた業務をOCR処理に移行させることがメインとなるため、現状の運用フローからの変更が比較的少なくて済むこと、採用にあたっては請求書を送付する側には影響がない点などがあり、手軽にスタートできるのがメリットです。その反面、OCRは理論上は100%の精度で読み取ることができないため、必ず目で見て確認し必要に応じて修正する作業が発生する点はデメリットとなります。
取引先に請求書を送付してもらう際、請求書を代行業者の指定の住所に郵送してもらったり、WEB上のストレージにアップロードするなどして、代行業者の方で請求書を受け取って中身をデータ化するサービスです。主に請求書の受取やデータ化作業を効率化することが可能となります。
受取や入力などの業務を切り離すことができるため、効率化効果が大きく他業務に集中できること、また請求書の受取のために出社をする必要がなくなりテレワークを促進することが可能です。
一方で、費用が高額になりがちな点やリードタイムが発生する点はデメリットになります。また、請求書の受取先を代行業者に変更するため取引先へ宛先変更を依頼したり、業務を切り離すことから業務ノウハウがなくなり、将来的に電子取引が主流となった場合に自社に業務を戻したくても簡単に戻せなくなるリスクも想定されます。
一般的に取引先と一緒に同じシステムを使うことで、紙やPDFではなく電子データ化された状態で請求書などの帳票やり取りを行う取引方法です。データでやり取りするため帳票授受がスムーズになること、受領後の手入力や照合作業を効率化することが可能です。イメージしやすいところだとEDI取引や、弊社の企業間取引デジタル化ソリューション「RICOH Trade Automation」が該当します。
受領請求書業務全体を効率化可能なため非常に効果が大きく、また電子データのため100%正しいデータで受領が可能で、OCRや代行入力業者などのようにデータ化後の確認は不要となります。さらに受取や入力のリードタイムもなく即座に受取ることができるため、締め日業務を圧迫することもありません。
一方で取引先からのシステム利用承諾が必要な点や、紙受領から電子データ取引への過渡期には一部で紙運用が残るため電子データ取引と紙取引が混在することがあります。ただし効率化効果が大きいため、実際に導入している企業様ではその点を割り切って運用されているところが多いようです。
ここまで受領請求書業務を効率化するための3つのパターンについてお伝えさせて頂きましたが、貴社にマッチしそうなパターンは見つかりましたでしょうか。
最後に、どのパターンを選ぶかにおいて一つご参考にしていただきたいのは、3年後や5年後の将来を考えて選択していくことです。冒頭でもお伝えしましたが、直近の電帳法改正やインボイス制度の施行などの法改正によるデジタル化の推進や、デジタル庁が取り組んでいる請求書の標準フォーマット仕様「日本版Peppol」の導入・推進検討も進んでいます。実際にデジタル庁のホームページでも、政府が「バックオフィス業務のデジタル完結の実現」を目指していると明言しており、これから加速度的に電子データ取引が進むと思われます。
このような大きな流れも意識して頂きつつ、貴社のバックオフィス業務の経理業務改善に取り組んではいかがでしょうか。
今回のコラムの内容を詳しく記載した資料をご用意しております。
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