教員研修の重要性が高まる中、徳島県の鳴門教育大学では、教育委員会や学校と連携し、RICOH Unified Communication System Advanced(以下、RICOH UCS Advanced)を活用した遠隔サテライト教員研修を展開しています。リコー製品に限らず様々なシステム・デバイスをつなぐことができるため、これまで受講が困難だった遠隔地の拠点、僻地の学校からも研修参加が可能になりました。
研修機会の充実と移動に伴う時間・コストの大幅削減により、受講者数は増加。学校間の交流も活性化され、地域一体となった多角的な教育力向上が図られています。
【導入前の課題】
【導入後の効果】
鳴門教育大学が展開するサテライト教員研修実施の背景について、鳴門教育大学 大学院 阪根健二教授に伺いました。
「次世代を担う子どもたちの多様な能力、未来を生き抜く力を育むため、教員自身が知識や技術を刷新し続けることが求められています。一方、学校現場では、少子化・小規規模校化により教員同士が学びあう機会が減少。団塊世代の大量退職も重なり、有効的な校内研修が困難となる中、国立大学を中心に地域一体となって教育力向上を図っていくことが重要となっています。鳴門教育大学では、様々な教員研修を行ってきましたが、研修会場への移動時間・コストが負担となり、参加したくてもできない先生方が多くいらっしゃいました。
こうした課題を解決するため、徳島県教育委員会と協定を締結し、ICTを活用したサテライト教員研修を展開しています。どの地域の学校からも90分以内に主要な研修会場にアクセスできるよう、県南の阿南市と県西の美馬市にサテライト研修室『つながルーム』を開設しました。」
サテライト教員研修の基本的なスキームは構築されましたが、次のステップとして地域全体を網羅するような普及につなげていくためには、スキームを進化させていく必要があったと、阪根教授は振り返ります。
「研修の継続、普及に不可欠なのは簡便性です。どんなに素晴らしい機能でもICTの専門家がいないと使えないのであれば、せっかく確立したスキームもすぐに立ち消えてしまいます。そうならない方法を検討しているときに鹿児島県徳之島町の先行事例*を見て、RICOH UCS Advancedに興味を持ちました。
専門家いなくても、現場の先生方だけで実にスムーズに遠隔授業を展開されているのを実際に見て、これなら本学が求める簡便性に合致している、と。音声が途切れることがない安定性も選定のポイントになりました。
その上、多様な機器と接続可能と聞き導入を決定。最初は、四国5大学で展開している単位互換授業に導入し続いて教員研修にも展開しました。」
導入の効果について、引き続き阪根教授に伺いました。
「教育現場のICT環境は地域や学校によってバラバラです。ある拠点ではA社のテレビ会議システム、こちらの学校ではB社のWeb会議システムというように様々な環境が混在しています。以前は、専用機器のある拠点でしか研修を受講できなかったのですが、RICOH UCS Advancedは、様々な遠隔会議システムに接続できWEBブラウザでも参加できデバイスを問わず柔軟につなぐことできるので、受講できる施設が広がりました。今では各小中学校からも参加ができるようになり、移動時間ゼロで受講できるようになっています。
その結果、受講者数は約1.5倍の1188名に増加。インターネット環境の無い会場でも、タブレットとWi-Fi™ルーターだけを持ち込めば、どこからでも受講できますので、徳島県内の阿南市、美馬市に加え、香川県の高松市とも接続しています。固定式にはない手軽さやフレキシブルな機能を活かし、模擬授業の配信、教育相談への活用も進んでいます。」
さらに機器の操作性についてお伺いします。使い勝手はいかがでしょうか?
「期待通りの簡便性を実感しています。機器を扱うのは指導主事の先生方で、機械に苦手意識のある方もいらっしゃったのですが、RICOH UCS Advancedはとにかく操作が簡単。どの拠点でもスムーズに運営できています。」
RICOH UCS Advancedの導入により、研修を受講される側ではどのような効果を感じられているでしょうか。美馬市教育委員会 教育長 村岡直美様にお話しを伺いました。
「先生の感想で最も多いのは、出張に伴う時間・コストの負担が大幅に軽減され研修を受講しやすくなった、という声です。
特に、へき地の小規模校では大きな効果が生まれています。教員が少ない分、業務の調整はさらに難しく美馬市外への出張が困難なのはもちろん、学校によっては『つながルーム美馬』に来るのも1時間ほどかかるため思うような研修参加はなかなか叶わない状況でした。
現在はRICOH UCS Advancedの導入により、市内の全学校から受講できますので地理的要因や学校の規模に関わらず、より多くの先生に教員研修を受けていただけるようになりました。」
研修内容については、どのような声が届いていますか?
「『直接会って話をしているようだった』、『スムーズに意見交流ができた』など、臨場感を評価する声が多いです。鳴門教育大学の先生から専門的知見やアドバイスを直接得られることが、先生方の意識向上につながっています。」
最後に、今後の遠隔サテライト研修の展開について、阪根教授に再びお話しいただきました。
「RICOH UCS Advancedは遠隔での研修や授業への普及に不可欠な簡便性を備えていますので、引き続き教員研修の継続・浸透を進めていくとともに、地域の様々な交流を活性化するツールとして幅広く活用していきたいと考えています。例えば、RICOH UCS Advancedを使って合同校内研修を実施したり、小規模校では不可能な多様な意見交換を図ったり、小学校と中学校をつないで児童が交流する取り組みなど、県内外へさらに広がっていく可能性のあるツールとして今後も期待しています。」
導入製品
■RICOH Unified Communication System Advanced
■RICOH Unified Communication System P3500