コラム 11

コラム

FAXで受領する注文書は電子帳簿保存法での電子取引保存の対象なのか?

企業の営業部門において、インターネットが普及した昨今でも、顧客に見積書を送付したり、注文を受信して納期回答を送付するのにFAXを利用していることが多いようです。
最近の複合機(MFP)では、受信したFAXを紙で出さずにそのままイメージファイルとして電子保存できたり、紙を利用せずに、パソコンからデータを印刷のような操作でそのままダイレクトにFAX送信できる機能を持っています。これは「ペーパーレスFAX機能」と呼ばれています。業務改善の手段として紙保存でなく、この機能を利用して、FAX受信した注文書等をPCやサーバにイメージ情報としての電子保存することは有効です。

ところで、電子帳簿保存法によって令和4年1月1日から、見積書、注文書といった情報の電子的なやり取りは、電子取引として可視性、真実性を満たした電子的保存が義務化されました。
そしてペーパーレスFAXでの取引は電子取引と定義されているのです。

なお、現状、要件を満たさない電子取引保存に対する罰則に関しては令和5年12月31日まで宥恕されていますがこれが最終期限とされています。

前述の内容を表した図

複合機でのペーパーレスFAX機能では日付時間情報によって、受信したデータに202211011201.pdfなどといったファイルの名前を自動的に付けます。また、受信したイメージデータはPCの画像加工ソフトでの改ざんが可能です。これでは電子帳簿保存法での可視性、真実性を満たした保存にはなりません。
営業部門で、このことに気づかずに、ペーパーレスFAXでの電子取引保存要件を満たさない保存を継続していると、法令違反になってしまう可能性があるのです。

それを防ぐには、受信したFAX取引書類をペーパーレスでなく、受信と同時に複合機から紙出力して保存すれば紙取引きと見なされますが、これでは業務改善を犠牲にしてしまいます。それならば、ペーパーレスFAXと電子帳簿保存法保存要件を満たすクラウドサービスなどでの保存と組み合わせることによって、業務改善と法令順守を両立できます。
急いで営業部門でのFAX取引保存状態を点検することをお勧めします。令和5年12月31日はすぐやってきます。

  • 本文に掲載されている情報は、2022年11月現在のものです。
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