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リコー 教えて電子帳簿保存法
コラム 19

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コラム

電子帳簿保存法対応とDX

非効率な業務を見直すいい機会に

「電子帳簿保存法対応」というと、「法改正だから仕方ない」とどうしても「やらざるを得ない」感が漂います。
しかし、そもそも電子帳簿保存法が制定され、何度も改正されているのは、会計(納税)業務のデジタル化を進め、効率化を図っていこう、つまり会計業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しやすいようにしようというのが本来の目的です。

考えようによっては、電子帳簿保存法対応を社内DX推進のきっかけにすることで、会社全体の生産性を高め、収益率を高めることにつなげることもできるはずです。

すこし話はずれますが、会計業務とも関連性が高い「承認業務(ワークフロー)」の電子化について見てみましょう。

企業において承認業務・決裁業務は欠かせないものです。特に組織の規模が大きくなればなるほど、承認者も増え、いわゆるハンコの数も増えていきます。コロナ禍による緊急事態宣言の際には「ハンコ出社」などと揶揄されることもありましたが、業務上の「責任の明確化」という意味では重要な意味を持つことも確かです。

画像:電子帳簿保存法対応とDX

その一方で、事業環境が大きく変化したり、それに合わせて大規模な組織変更を行う企業は少なくないのにも関わらず、それに合わせ承認フローを見直すことをすることなく、前例通りのフローで業務を続けているところは少なくないのではないでしょうか。

承認の電子化、いわゆるワークフローシステムを導入した企業に話を聞いてみると、意外にも「システム導入より承認フローの見直しに時間がかかった」といいます。どういうことなのでしょうか。

「フローをシステム化する際、同じ書類でも、条件によって承認・決裁者や承認フローが細かく分かれて、システムに載せにくい」、「あらためてシステム化するために承認フローを見直すと、なぜこの人や部門が決裁しなくてはいけないのかという『謎決裁』が出てきたりする」といいます。

これは、昔作られた承認フローが、なんの見直しもされずに前例主義で踏襲されてきた上に、見直さなくても業務に大幅な影響がなかった結果、放置されてきたことに他なりません。

そして、システム化、言い換えるとDXはそのような「非効率」な承認フローを見直すきっかけになるというのです。

よく誤解されがちなのですが、DXにおけるIT化は目的ではなく、手段なのです。今の業務のあり方を疑い、見直し、効率化する上で、人手では大変なもの、面倒なものをIT化する。大切なのは業務を根本から「見直す」ことです。

その意味では、「電子帳簿保存法対応」も会計業務、経理業務を根本から見直すいい機会です。取引先との見積書や請求書などの証憑類のやり取りの方法、社内における処理フロー、会計システムや基幹システムなどとの連携などなど、それぞれの業務を棚卸しし、やり方を見直し、その上で工数がかかるものをシステム化していく、システム同士をつなげて、自動化を進めていけば、「月末・月初に集中する経理業務の残業」をなくすことも夢ではありません。

今一度、電子帳簿保存法対応をDXのよい機会として、前向きに取り組んでみませんか。

※本文に掲載されている情報は、2023年月6現在のものです。

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国税庁の電子帳簿保存制度特設サイトもご活用ください
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