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リコー 教えて電子帳簿保存法
コラム 23

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コラム

経理担当者が電子取引保存法開始後に対応する事って?

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に関して、現状では紙に印刷して保存する方法が認められています。2024年(令和6年)1月1日以降に行う電子取引については、紙での保存は認められず、電磁的記録を保存しなければなりません。今回のコラムでは、実務の側面から制度改正後の経理担当の業務について説明します。

現状の経理担当が対応している事

中小企業の経理担当の方々から日々、業務について相談を受けます。その中でも特に多い相談が「従業員の経費精算」に関することです。従業員が出張に行った、接待した、消耗品等を購入した。これら従業員の経費の精算に関して、従業員が各々のやり方で申請してくる、期限を守ってくれない等の困りごとが多いのですが、解決策として、例えば経費精算システムの導入、会社ルールの明確化、仕組み化等を提案し、担当者の皆様と改善に向けて取り組んでいます。

画像:経理担当者が電子取引保存法開始後に対応する事って?

電子取引保存法開始後の経理担当が対応しなければならない事

今後、このような課題を抱える状態で開始されるのが、電子取引保存の対応になります。現状の「従業員の経費精算」の場合に最も多い運用が、請求書や領収書をエビデンスとして紙で提出する方法です。当初から紙で受領している場合(①)も、インターネットでダウンロードしたデータやメールに添付されているデータを紙で印刷した場合(②)も、全て紙にして経理担当に提出しています。
制度開始後は、①についてはこれまで同様、紙での提出、紙での保存が認められますが、②については紙での保存が認められず、データでの保存が義務となります。

制度開始までに経理担当が準備しておくこと

制度開始後の「従業員の経費精算」の変更点としては前述した通り、②の運用が課題となります。これまでは全て紙印刷して経理に提出すればよかった運用ですが、今後は下記のケースが想定されます。
ケースA)データ帳票を一旦紙で打ち出して経理担当に提出し精算、並行して元データも併せて経理担当にデータにて提出、経理担当がデータを保存する。
ケースB)従業員がデータを経理担当に提出し精算、経理担当がデータを保存する。
いずれにしても、従業員が「どこから」「どのように」データを受領しているのかの捕捉が必要となります。
加えて、制度上、タイムスタンプを付すのか、専用のシステムを利用するのか、社内規程を作成するのかといった対応を検討しなければなりません。

2023年10月開始のインボイス制度対応に追われているうちに、あっという間に2024年の制度開始を迎えます。早い段階から「従業員の経費精算」に関する運用確認を実施していただくことをお勧めします。

OAG税理士法人
大谷 洋一郎

※本文に掲載されている情報は、2023年9月現在のものです。

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国税庁の電子帳簿保存制度特設サイトもご活用ください
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