コラム 25

コラム

会社が受領した「紙」の帳票を「紙」のまま7年間保存することの大変さ

寄稿 OAG税理士法人 大谷 洋一郎

2023年10月から適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が始まりました。この制度が始まると、会社が受領したインボイス、例えば請求書、領収書等を7年間保存しなければなりません。今回のコラムでは、「紙」から「データ」に変換する際の実務対応と留意点について説明します。

「紙」で保存することの会社負担

仕事柄、多くの企業様に訪問しますが、その際に「紙で受領した請求書はどうやって保存していますか?」とお聞きすると、「ファイリングして保管している」とか「段ボール箱に入れて保管している」との回答がほとんどです。中には倉庫まで見せていただき、倉庫に積みあがった段ボールを苦笑いしながら紹介されるケースもありました。

会社の専有面積の一部を何も生み出さない紙保管スペースとして利用し、コストだけ負担している。とても非効率な経営です。加えてインボイス制度が始まると帳票の保管期間7年間が義務化、そして、これまでと比較して帳票の保管量の増加が想定されます。

前述の内容を表した図

「紙」ではなく「データ」で保管

このような状況下で、「会社が受領した「紙」の請求書や領収書を「データ」に変換して、「データ」で保存したいのだけどどうしたらよいか」といったお問い合わせが最近増えています。ある担当者の方から「スキャンして保存すればいいと思ってそうしているけど、何か問題あるかな」と聞かれました。スキャナ保存制度の対応はできていますかと確認したところ、「ん?スキャナ保存制度?なにそれ」といった回答。慌てて制度の概要と対応の説明をしました。

スキャンしてデータにするにも要件がある

電子帳簿保存法の中にスキャナ保存制度があります。その名のとおり、相手方と書面によりやり取りした請求書などの書類について、スキャナ等で読み込み、スキャン等したデータを保存することができるしくみです。なお、この「スキャナ等」には、スキャナや複合機の他、一定の要件を満たしたスマートフォンやデジタルカメラも含まれます。

スキャナ保存制度の活用は保管場所のコスト削減だけではない

このスキャナ保存制度活用の実例として、保管場所のコスト軽減メリットの他、例えば、紙の請求書を受け取った従業員がスキャニングによりデータ化し、これをワークフローシステムに載せることにより、請求書の支払申請⇒承認⇒経理処理⇒電子保存の一連の業務フローを一挙に効率化した会社がありました。また、テレワークが増加した影響により、スマートフォンのカメラ機能を活用して、従業員の経費の立替払いの際に受け取った紙の領収書などをデータ変換し、これを経費精算システムに載せて経費精算事務を効率化させた会社もありました。

今後7年間、紙帳票を保管し続けるのか、データに変換して効率化を進めるのか。インボイス制度、電子取引保存法制度等の対応を踏まえて、対応いただくことをお勧めします。

  • 本文に掲載されている情報は、2023年11月現在のものです。
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