屋外用デジタルサイネージとは、駅前や店舗前、ビルの壁面など、屋外環境下で情報発信や広告宣伝を行うことを目的として設計された電子看板システムを指します。その重要な役割は、通行人や運転手の注意を一瞬で引きつけ、効率的に情報を伝達することにあります。従来の静的なポスターや看板と比べ、動画やリアルタイム情報といった動的なコンテンツを用いることで、高い集客効果と視認性を実現する、現代のOOH(Out of Home)広告の核となるメディアです。
しかし、屋外環境は非常に厳しく、一般的な屋内用ディスプレイとは根本的に設計が異なります。屋外用サイネージの特長は、太陽光による画面の見づらさ、雨や風、塵埃の侵入、そして極端な温度変化といった過酷な自然環境に耐えうるように、特殊な筐体構造と専用機能が組み込まれている点です。
主な種類としては、遠距離からの視認性に優れ、壁面などへの超大型化に適したLEDビジョンと、映像の美しさやタッチ操作に対応しやすく、店舗前や軒下などに設置される液晶ディスプレイ型サイネージがあります。屋外サイネージの導入成功は、単に価格で選ぶのではなく、この後の項目で解説する設置環境に適した環境耐性や輝度、防水性能といった必須要件をクリアできるかどうかにかかっています。
高輝度(1500~2500カンデラ)のタッチパネル式屋外設置デジタルサイネージです。防塵防水対応の筐体にディスプレイが組み込まれています。筐体内の温度を維持するために、ファンやヒーターで自動調整できるものがよいです。タッチされていない時でも情報発信としての役割があるため、40インチ以上が望ましいです。外部からの衝撃でディスプレイが破損しないように強化ガラスになっているとトラブル発生のリスクを抑えられます。
屋内に設置の場合でも窓ガラス越しに屋外へ向けて設置する場合は、外光が入ってくるため700カンデラ以上が必要となります。直射日光が当たる場所では2500カンデラぐらいで熱対策がされているディスプレイを選定することが望ましいです。ガラスとディスプレイの間に熱がこもらないように近づけて設置します。ケーシングで固定して取り付ける場合には、メンテナンス時にディスプレイの取り外しができるように設置する必要があります。STB(セットトップボックス)等の機器はディスプレイの裏に収納できるようにコンパクトなモノにするとメンテナンス時の対応が行いやすくなります。
32インチ~86インチ、高輝度(1500~2500カンデラ)のディスプレイが目安です。防塵防水対応の筐体にディスプレイが組み込まれています。筐体内の温度を維持するためにファンやヒーターで自動調整できるものを選定することがポイントとなります。外部からの衝撃でディスプレイが破損しないように強化ガラスになっているとトラブル発生のリスクを抑えられます。
120インチ以上の大型サイズの屋外デジタルサイネージです。価格や品質面でLEDディスプレイが有効です。屋外用のLEDディスプレイは5000カンデラ以上となり、外の明るい場所でもしっかりと見せることができます。どれだけ離れた場所から見るかによってピッチ(画像の細かさ)が変わってきます。例えば、10メートル離れた場所であれば10ミリメートル、4メートル離れた場所であれば3.9ミリメートル以下といった選定となります。設置する壁の強度が十分か事前に確認が必要です。また、映像コントローラーやSTB(セットトップボックス)などの周辺機器の格納方法を検討しておく必要があります。日中と夜とで明るさが自動で調整されることが望ましいです。
屋外環境で安定的に、かつ効果的に運用するためには、屋内用とは一線を画す特長的な機能と仕様が不可欠となります。これらは、機器の耐久性と視認性を担保する上で特に重要ですが、スムーズな運用と設置の確実性に関わる要件も同様に重要です。
高水準の防水・防塵性能(IP規格)への対応が必須です。機器が雨や砂埃から保護されていることを示すIP規格は、特に風雨に晒される場所ではIP55以上の防塵・防水レベルが求められ、ディスプレイ本体や内部のSTB(セットトップボックス)への水の浸入や細かなちりの侵入を防ぐ、密閉性の高い構造が必要です。
また、真夏の高温や真冬の低温による故障(熱暴走など)を防ぐため、筐体内部にはクーラーやヒーター、ファンなどが搭載され、周囲の気温に応じて自動で環境に適した温度を維持する徹底した温度管理機能が組み込まれています。さらに、外部からの衝撃やいたずらによる破損を防ぐため、画面には強化ガラスが採用され、筐体自体も頑丈な素材でケーシングされていることに加え、設置場所の風圧荷重に耐えうる強度を持つことも重要な仕様となります。
情報の訴求力を高めるには、太陽光に負けない高輝度が求められます。直射日光下でも高い視認性を確保するためには、画面の明るさを示す輝度が非常に重要で、屋内用が350~1,500カンデラ毎平方メートル程度であるのに対し、屋外用は1,500カンデラ毎平方メートル以上、直射日光が当たる環境では2,500~5,000カンデラ毎平方メートル以上の高輝度モデルが選ばれます。
加えて、日中と夜間とで明るさを自動で調整できる照度センサーを搭載していることが、夜間のまぶしさを軽減しつつ不必要な電力消費を抑える運用を可能にします。
大型のLEDビジョンを選定する場合は、離れた場所からでもきれいに見えるよう、画素間の距離を示すピッチ(mm)を設置距離に合わせて選定することも重要な仕様となります。ピッチが小さいほど高精細になりますが、その分コストも上がります。
効率的な運用のため、屋外サイネージのコンテンツ更新やスケジュール管理を効率的に行うには、インターネットを通じて遠隔から一括管理できるクラウド型配信システムへの対応が必須であり、現地に赴くことなく、遠隔のPCから迅速にコンテンツを差し替えられる柔軟な運用体制が求められます。安定した稼働のためには、設置場所における電源の確保と、コンテンツ配信のためのネットワーク環境を事前に整備することが前提となり、特に屋外設置工事と合わせて、電源・通信の配線ルートを検討する必要があります。
最後に、屋外に設置する場合、各自治体が定める屋外広告物条例を遵守しなければならず、設置許可の申請や建築基準法に基づく構造上の安全性の確保が求められるため、これらの法令・条例に適合した製品仕様や、設置工事の計画が不可欠な要件となります。
屋外用デジタルサイネージを選ぶに当たっては、単に製品の価格やスペックを比較するのではなく、長期的な運用を見据えた戦略的な視点で判断することが重要です。導入を成功させるために、ぜひ次のような具体的なポイントを押さえて検討を進めることをおすすめします。
まず、導入前に現地の環境調査を行い、設置要件を具体的にクリアできるかを見極めることが大前提です。先述の通り、IP規格や輝度(カンデラ)については、設置場所の環境を正確に測定し、オーバースペックな機種を選定しないことが初期費用の無駄を避ける鍵となります。特に、直射日光が当たらない軒下であれば、輝度が高い機種を選ぶ必要はありません。
さらに、屋外設置においては、機器の価格だけでなく、設置工事における基礎工事費、電源やネットワークの配線費用、そして屋外広告物条例などの法令・設置許可要件を満たせる構造であるか、壁の強度や風圧荷重に耐えられるかといった実務的な費用と安全性を事前に確認しておく必要があります。初期投資を抑える方法として、全額購入ではなく、リースやレンタルといった調達方法も検討することで、キャッシュフローをより良い状態に保つことも有効です。
屋外機器は雨風や温度変化に晒されるため、屋内用と比較して故障のリスクが高まります。万が一トラブルが発生した際に、機器の停止による機会損失を極力抑えるため、デジタルサイネージ提供会社のサポート体制は手厚く確認しておく必要があります。24時間体制の遠隔監視サービスの有無、故障時のオンサイト保守が可能か、修理や部品交換にかかる対応時間がどの程度かといった具体的な内容まで確認しておきましょう。また、設置場所によっては道路交通法などの規制が関わる可能性もあるため、法令遵守と安全性を確保できる経験豊富なベンダーを選ぶことが、長期安定運用の基盤となります。
デジタルサイネージを設置した後、コンテンツ制作をどのような体制で行っていくのかをあらかじめ検討しておくことは、ランニングコストの管理上不可欠です。コンテンツ制作が自社で行えない場合には、外部への委託も選択肢に入りますが、ランニングコストを抑えるためには、テンプレート機能が充実したクラウド型CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を選び、簡単な更新や差し替えを自社で迅速に行う内製化を目指すことが重要です。また、コンテンツ自体も、屋外環境では歩行者の視線に入る時間が短いため、動画は短尺で文字を大きく、視認性の高い配色にするなど、屋外の特長を踏まえて戦略的に磨け上げていくことが、集客効果と費用対効果を高めることにつながります。
屋外用デジタルサイネージの設置がますます広がりを見せており、商業施設のエントランスや店舗の前、さらには公共施設の軒下やビルの外壁、工事現場のフェンス、そしてバス停やタクシー乗り場など、街の至る所でその姿を目にするようになりました。
多様な場所で活用されている屋外用デジタルサイネージですが、設置することでどのようなメリットがあるのか、ご紹介します。
店舗や施設が屋外にデジタルサイネージを設置し、通りかかった見込み客に対してメリットのある情報を掲出すれば、集客につながります。
屋外では看板やポスター、建物の色や柄、装飾など、目につくものはさまざまです。その中で、デジタルサイネージは動画で情報を訴求できるため、屋外でも目を引きます。従来の看板やポスターと比べて視認性が高いため、情報を見てもらいやすいメリットがあります。
デジタルサイネージはもともと情報更新が容易というメリットがありますが、屋外では特に重宝します。従来の看板やポスターは、掲出にわざわざ屋外に出向いての作業が必要になり、作業員が風雨にさらされることもあります。また、遠方であれば情報更新のたびに、貼り直しにわざわざ出かける必要があります。複数、掲出場所があれば手間と時間を要します。
その点、デジタルサイネージであれば遠隔のPCから更新ができるので、わざわざその場に出向く必要はありません。複数設置場所があっても、情報内容が同じであれば一括で更新もできます。
タッチディスプレイの屋外用デジタルサイネージを導入することで、通行人とのインタラクティブな体験を提供することができます。ユーザーは自分の興味に応じた情報を選択して閲覧することができ、よりユーザーニーズを満たすことができます。
屋外用のデジタルサイネージと、屋内用のデジタルサイネージとでは機材にどのような違いがあるのでしょうか。その違いを具体的に見ていきましょう。
屋外用デジタルサイネージは、雨だけでなくホコリや砂ぼこりなどにも常にさらされるため、高水準の防水・防塵機能が求められます。具体的には、ディスプレイ本体を強化ガラスや防水シールなどで厳重にケーシングしているほか、機器内部への水の浸入や細かなちりの侵入を防ぐための通気孔や排気口にも防塵フィルターが備えられているケースが多いです。
また、STB(セットトップボックス)をはじめとしたコンテンツ再生機器が外気に直接さらされないように、筐体内に収納スペースを設けている製品は、雨天や風の強い環境でも機器を保護できます。
こうした構造を採用することで、防塵・防水を示すIP規格(IP65やIP66など)の取得にも対応しており、屋外でも支障なく運用できる高い耐久性を実現しています。
夏は温度上昇によりディスプレイやSTB(セットトップボックス)の故障が起きる可能性があるため、クーラーやファンヒーター搭載で自動で温度調節できるようなケーシングされたディスプレイを選ぶ必要もあるでしょう。
直射日光にさらされる環境に置く場合、ディスプレイは一定量の画面の明るさが必要となります。画面の明るさを示す「輝度」は、「cd/m2(カンデラ毎平方メートル)」という単位で表されますが、屋内用デジタルサイネージは350~1,500カンデラ毎平方メートルほどである一方、屋外用デジタルサイネージは1,500~3,000カンデラ毎平方メートルほどが一般的です。
デジタルサイネージにはさまざまなタイプがありますが、屋外用デジタルサイネージのコンテンツを更新する場合には、インターネットを通じて遠隔から配信管理のできるクラウド型が便利です。
他に直接USBメモリやDVDプレーヤーのような再生機器をつなげて配信するスタンドアローン型や、パソコン端末からLANを通じて配信するオンプレミス型がありますが、屋外では物理的に実現がむずかしいことがあります。
屋外用デジタルサイネージは、電源をどこから引き、ネットワークにつなげるための環境はどのように準備するのかをよく検討する必要があります。そうした環境に合った機材や一括で依頼できるパートナーを選ぶことがポイントです。
屋外用デジタルサイネージは、様々な活用用途があります。
小売店がお買い得の商品などを屋外設置のデジタルサイネージにコンテンツ配信することで、通りかかった見込み客の集客につながります。
例えば駅や空港などではバス乗り場やタクシー乗り場、周辺の主要な施設などの地図を屋外に掲出することで道案内になります。また、利用者がタッチすることで詳細を確認できるような、タッチサイネージも観光案内の表示などに大変有効です。情報更新も容易に行え、多くの情報を発信できるので看板よりも便利です。 デジタルサイネージに掲出することで道案内になります。
市民や通行人に対して、必要な情報を啓発することもできます。例えば、マンション・ビルの工事現場で仮囲いの外に工事日程などの案内事項を掲出したり、地域の災害情報の共有や避難場所の案内を配信することで、災害時の素早い対応が可能となり、社会貢献になります。
鮮やかな映像やクリエイティブなコンテンツを通じて、ブランドのイメージを強く印象付けることができます。特に、動きのあるコンテンツは視覚的に印象を残しやすく、ブランド認知度を高める効果があります。
屋外用デジタルサイネージは、ディスプレイの大きさや機能、設置環境への対応度合いによって価格が大きく変動します。
導入にあたって押さえるべきポイントをご紹介します。
屋外用デジタルサイネージを導入する際、ディスプレイのサイズや解像度、防水・防塵性能などの機能性はもちろん、設置環境への対応度合いによっても価格帯が大きく変動します。
昼夜を問わず高い視認性を確保するためには高輝度ディスプレイが求められますが、その分コストも上がる点が特徴です。さらに、システム全体を管理するコンテンツ管理システムの導入費用や、カスタマイズ機能を追加する場合はソフトウェア面でのコストがかさむこともあるため、事前に必要な要件を明確にしておくことが重要です。
導入時は初期費用だけでなく、運用段階で発生するトータルコストにも注意が必要です。電気代やインターネット通信費、定期メンテナンスなどのランニングコストは意外と負担が大きく、導入前に複数の見積もりを比較し、正確な予測を立てておくことが大切です。故障修理や交換部品の手配といった保守サポートにも費用がかかるため、長期的な視点でコスト全体を見通しておくと、余計な出費を抑えやすくなります。リースやレンタルを用いることで初期投資を抑え、実際の効果を見極めたうえで長期利用への切り替えを判断する方法も有効です。
導入後はコンテンツ更新や効果測定を行うための人員やシステム拡張が必要になるケースがあるので、あらかじめ導入目的や運用体制を明確にしておくことが重要です。
複数のベンダーから見積もりを取り、設備やサポート範囲を比較検討することで、コストと効果のバランスを調整しやすくなります。こうした総合的な検討を行うことが、屋外用デジタルサイネージ導入の際は必要になります。
屋外用デジタルサイネージの活用事例をご紹介します。
仙台市中心部商店街活性化協議会では、デジタルサイネージを活用して商店街や地域の魅力を発信し、街全体の活性化を図っています。商店街のアーケードに設置された大型LEDビジョンは、観光情報や企業CMを配信し、広告収入を得ることで事業の収益源としても機能しています。また、地域のイベント情報やライブ配信を通じて、観光客や地元住民をイベントに誘導し、地域全体の回遊を促進しています。これにより、商店街に新たな賑わいを生み出しています。
日本医科大学付属病院では、新病院のロータリーにデジタルサイネージを設置し、巡回バスの情報や病院からのお知らせ、防災情報を配信しています。3種類のバス情報を集約し、遠隔からの情報更新やWebコンテンツの自動更新を活用して、職員や地域への負担を軽減。ディスプレイを3分割することで、多様な情報を柔軟に提供し、来院者の利便性向上とともに災害拠点病院としての機能強化を実現しています。
横浜幸銀信用組合は、ビジネス拡大に向けたブランディング強化の一環としてリコーデジタルサイネージを導入し、店外へ向け大画面で魅力を効果的に発信しています。現在11店舗に設置され、西日本エリアの7台は広告代理店へ運用を委託し、コンテンツ作成から遠隔配信まで一括して任せることで情報更新を手軽にしています。商品の案内やキャンペーン、店舗独自の情報など多彩なコンテンツを柔軟に提供可能となり、PR・ブランディングが強化され、認知度が高まり、新規顧客数が増加しました。
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