事業を通じた社会課題解決の取り組み

リコージャパンでは、事業とSDGsの同軸化を掲げ、社員が日々実践している活動は、「製品・サービスを通じてお客様と進めるSDGsへの貢献」(事業を通じた社会課題解決の取り組み)と「自社+パートナーと取り組むSDGsへの貢献」と捉えています。

地球温暖化や資源の枯渇など環境問題が叫ばれる中、ビジネスシーンにおける環境配慮型製品への期待はますます高まっています。リコーではお客様のニーズに応え、優れた環境性能を持つ複合機「RICOH IM C6010」など7機種16モデルを2023年2月に発売しました。

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    再生プラスチック使用率、製品ライフサイクルで排出されるCO2、待機時の消費電力など(リコー調べ)

A3複合機で世界初*2、約50%*3に再生プラスチックを使用

リコーが新たに開発したA3カラー複合機は、お客様の業務効率化を支援し、業務のDXに貢献する最新鋭のエッジデバイス。幅広い用紙対応力や快適なスピード、高度なセキュリティなどデジタル複合機としての優れた性能と、従来よりも高い環境性能を両立しています。
環境性能における最大の特長は、50%を超える再生プラスチック使用率。再生プラスチックとは、廃棄されたプラスチックを回収して原料の一部とするもので、新規に投入する資源の使用量を抑え、環境負荷の低減に貢献することができます。一方で再生プラスチックは、一般的なプラスチックに比べて流動性が低く、成形が難しいという課題があります。また、流動性にばらつきがあると、部品品質のばらつきも大きくなります。こうした点から従来の再生プラスチック使用率は1~5%を目安としており、例えば、前身機(RICOH IM C6000)での再生プラスチック使用率は6%でした。しかし、今回の新製品ではこの数値を大きく引き上げ、A3複合機では世界初となる50%以上という高い使用率を実現しました。

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    2023年6月22日時点、北米EPEAT(Electronic Product Environmental Assessment Tool)登録情報より(リコー調べ)

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    本体総樹脂量の重量比

画像:A3複合機で世界初*2、約50%*3に再生プラスチックを使用

各部門のプロフェッショナルの連携で目標を達成

再生プラスチック使用率50%という目標をクリアするためには、回収材をより多く使用した再生プラスチック材料を安定的に調達することが不可欠です。しかし、プラスチック材料メーカーには当初、リコーが求める再生プラスチック材料がありませんでした。そこで、リコーグループの環境ビジョンに共感していただいた複数のメーカーと連携して再生プラスチック材料の開発に着手しました。
再生プラスチック使用率50%というのは製品全体の平均値であるため、部品によって使用率は異なります。例えば、重量の大きな割合を占める外装カバーでは80%を狙うといったように、部品ごとに使用率の目標値を細かく定め、かつ再生プラスチックの特性である品質のばらつきを吸収できるよう、それぞれ設計を見直しました。また、新材料に対して、部品技術や設計部門の評価を受けながら基準以上の強度・品質を確保するよう試行錯誤を繰り返しました。
このように、材料開発と部品開発を同時並行で行うという開発手法により、トップクラスの環境性能を持つA3カラー複合機は誕生したのです。

  • 再生プラスチック(左)を80%使用した製品前面パネルのプラスチック(右)

画像:各部門のプロフェッショナルの連携で目標を達成

製品ライフサイクルで排出されるCO2を約27%削減

もう一つの大きな特長が「優れた省エネ性能」です。複合機ではトナーを溶かすために定着ローラーを温める必要がありますが、より低い温度で溶かすことができれば電力を節約することができます。新製品では、トナーの融点を前身機から12℃下げるなどの技術革新により印刷時の省エネ性能を向上。スリープモード時の省エネ性能についても向上しており、消費電力を前身機の約50%に抑えました。そのほかにも、輸送時の梱包材を発泡スチロールから紙製包装材に切り替え、トナーボトルの防湿袋やラベルシールを削減するなど、本体以外の材料についても徹底して見直しを行いました。その結果、ライフサイクル全体のカーボンフットプリント(CFP)で見ると、「RICOH IM C6010」の場合では、前身機よりも約27%削減することができました。製品群トータルでは全世界で年間約8万8,000tのCO2排出量削減を見込んでいます。
リコーグループの国内事業を担うリコージャパンは、この新しい複合機をお客様に導入いただくことにより、ライフサイクル全体の環境負荷削減と経済性の両立を目指していきます。

カーボンフットプリント(CFP)の削減

  • 衝撃シミュレーション技術により従来の発泡スチロール製と同等の緩衝性能を実現。プラスチック使用量を前身機に比べ約54%削減しています。「日本パッケージングコンテスト2022」で「大型・重量物包装部門賞」を受賞しました。

画像2:カーボンフットプリント(CFP)の削減
画像1:カーボンフットプリント(CFP)の削減

生産性向上や働き方改革などをもたらすDXは、今や業種や企業規模を問わず必須の取り組みと なっています。リコージャパンはお客様の困りごとを捉えながらDX実現を支援するソリューションを展開するとともに、自治体のDXにも注力しています。

リコージャパンのDXを象徴する「スクラムシリーズ」

リコージャパンがデジタルサービス主体のビジネスへと舵を切る中で、重要な役割を果たしているのが「スクラムシリーズ」です。これは、業種・業務別のソリューションをパッケージ化した中小企業向けの「スクラムパッケージ」と、個々のお客様のニーズに合わせてカスタマイズする中堅企業向けの「スクラムアセット」から構成されています。
スクラムパッケージは、個々の製品・サービスによる断片的な業務改善提案ではなく、お客様の業務フロー全体を捉えた課題解決を提案することが特長で、全国に支社・販売拠点を持つリコージャパンの豊富な実践事例が活かされています。スクラムアセットは、アプリケーション導入、セキュリティ構築などの知見をアセット化し、最新技術と組み合わせたソリューションとして提案。リコージャパンのシステムエンジニア(SE)約1,300名が、前身となるIT・ソリューションサービス専門の関連会社であった時代から培ってきたノウハウが活かされています。
累計販売本数は2023年3月末時点で、スクラムパッケージが29.9万本、スクラムアセットが1.5万本を超えており、多くのお客様から支持をいただいています。

画像:リコージャパンのDXを象徴する「スクラムシリーズ」

シームレスな連携により、さらなる相乗効果を生み出す

2つのソリューションはこれまで、顧客層の違いから事業部門を分け、それぞれに企画を行ってきました。しかし、「お客様の業務課題を解決する」という点において目的は同じ。そこで、パフォーマンスの最大化を図ることを狙いに、2023年度より「スクラム企画センター」として部門を統合しました。これにより、互いの強みを活かしながら提供価値を高めていく、よりシームレスな体制となりました。例えば、スクラムパックの企画では、各業種のスペシャリストであるプロデューサーが1パックあたり約100件の顧客訪問を行い、業務課題の抽出を行っていますが、これらの情報がスクラムアセットの企画に反映されることもあります。
また、スクラムシリーズの対象はお客様企業だけにとどまりません。リコージャパンでは現在、行政・自治体のDXにも力を入れており、着実に成果をあげつつあります。今後、社会全体のDX実現に向けて、提供価値を拡大していきます。

【事例 1】スクラムパッケージ 建設業

有限会社 原口電設 様 (佐賀県佐賀市)

有限会社原口電設様は、公共施設・ビル・住宅などの電気設備工事全般を請け負っている会社です。同社では、入札対応や積算・施工管理の効率化のためにスクラムパッケージを一括導入され、多くの書類業務の改善に着手されました。
公共工事の入札では精度の高い積算が求められますが、同社はこれまで紙媒体の資料を参考に手作業で積算を行っていました。約1週間かかっていた積算作業が導入後は約3日に効率化されるとともに精度も改善され、落札への手応えを感じられています。また、施工計画書の作成や現場写真の管理などの作業時間も大幅に短縮。IT補助金の活用で導入コストも半分以下に圧縮されました。

画像:有限会社 原口電設 様(佐賀県佐賀市)

【事例 2】スクラムアセット 菓子食品総合商社

コンフェックス株式会社 様 (東京都渋谷区)

お菓子の総合商社 コンフェックス株式会社様は、約1,200社のメーカー、20,000種類以上のお菓子を取り扱い、自社でも商品の企画・開発を行っています。2021年春、DX本部を新設し、IT化やマーケティング推進、業務改善などを統合的に変革していく取り組みを開始されました。
テーマの一つとなったのが受注業務の効率化です。これまで各拠点にファックスで注文書が届いた場合、時間をかけて手入力をしており、業務効率を阻害していました。これを解消するため、リコーのクラウドアプリケーション「DocuWare」を導入。文書をデジタルデータとして取り込むOCR機能で手入力が不要になり、注文書の処理時間が10件あたり約50分短縮されました。さらに、クラウド化によって拠点外でも業務が可能になったことで、受注業務を本社に集約させるシェアードサービス化構想の実現に近づきました。

画像:コンフェックス株式会社 様 (東京都渋谷区)

地方自治体のワークプレイス変革支援
南城市役所 様 (沖縄県南城市)

南城市は、恵まれた地域資源や人々のネットワークを活かし、「いやしと健康」をテーマにした体験滞在交流型の観光振興と健康づくりに邁進されています。2006年に1町3村が合併して以来、従来の4庁舎を段階的に統合していく集大成として新庁舎移転プロジェクトに取り組まれ、そのパートナーとしてリコージャパンを選定いただきました。
プロジェクトでは市民の個人情報を守るため、「セキュリティ強化」を最優先事項として設定されました。そこでリコージャパンは、手のひら認証による入退館システムの導入やセキュリティ扉の設置などを提案。また、デスクやキャビネットの位置まで細かく設計を行い、オフィス空間としての快適さも両立しました。職員の皆様だけでなく来庁者の皆様からも好評をいただいています。

画像:地方自治体のワークプレイス変革支援  南城市役所 様(沖縄県南城市)

地域社会が抱える課題解決のために、まずはお客様の声に耳を傾け、ともに課題を抽出・共有。各拠点の強みや地元採用社員の「地域愛」を活かし、さまざまな分野のパートナーと連携しながら、製品やサービスを組み合わせた最適なソリューションを提供しています。

リコージャパンの重点お役立ち領域

地域社会のSDGs達成へ向けて「働き方改革」「環境」「防災/BCP」「教育」「賑わい創出」5つの領域を中心に、業務生産性の向上や働き方改革、地球温暖化対策、地域活性化など、地域社会が抱えるさまざまな課題の解決にお役立ちしてまいります。

重点お役立ち領域

画像:重点お役立ち領域

【事例】デジタル技術を取り入れた賑わいの創出

兵庫県伊丹市は、古くから日本酒づくりが盛んな街であり、令和2年度には「『伊丹諸白』と『灘の生一本』下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷」として日本遺産に認定されました。江戸時代に建てられた酒蔵を活かした日本酒とビールの魅力を発信する複合施設「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵ミュージアム」では、「清酒発祥の地 伊丹」の認知度を高めるため、2022年にミュージアムの展示リニューアルを実施しました。
リコージャパンが提案した、「子どもや海外からの観光客にも理解しやすく、より魅力を伝えるための展示」が採用され、展示物の理解を促進するためのデジタルサイネージを設置し、酒造りの動画を再生。工程をアイコン化し、展示を見るだけで酒造りの各工程が理解できるような工夫を行うなど、既存の展示の魅力を活かしながら、より多くの人へ訴求できる展示となりました。伊丹の今と昔を比較したAR*も作成し、楽しみながら歴史を体感することができます。
新しいデジタル技術を取り入れた展示は、伊丹市の水と米の良さを400年の伝統と革新による「酒のまち」の魅力を通して、これからも国内だけでなく世界にも伝えることに貢献していきます。

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    AR:Augmented Reality(拡張現実)

画像1:【事例】デジタル技術を取り入れた賑わいの創出
  • 伊丹の今と昔を楽しみながら学べる展示

画像2:【事例】デジタル技術を取り入れた賑わいの創出
  • デジタルサイネージによる酒造りの動画と工程アイコンの展示

主体的・対話的で深い学びにより、21世紀型スキルを身に付ける「未来を拓く新たな教育」が始まっています。リコージャパンでは、課題解決型 学習を実現させるためのICT環境整備のほか、教員の働き方改革やシステム整備のご提案など、教育現場のトータルでサポートを行っています。

学びの進化への貢献

子どもたちに「予測しにくい未来に対応できる生きる力」を醸成する、そのために主体的・対話的な深い学びで21世紀型スキルを身に付ける——未来を拓く新たな教育が始まっています。その手段として、自ら問題を発見し、問題を解決する過程で知識や経験を得ていく「PBL*1手法」や、教科など横断型の教育「STEAM*2教育」が推進されています。リコージャパンでは、STEAM教育推進のための環境から活用までトータルで支援しています。

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    PBL:Project-Based Learning

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    STEAM:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、アート(Arts)、数学(Mathematics)の5つの領域を統合的に学習する教育理念

【事例】 鎌倉市でのSTEAM教育促進の取り組み

神奈川県の鎌倉市教育委員会とリコージャパンは、子どもたちが将来飛び込む社会のものづくりに対応した教育を届けるため、「STEAM Lab」の実証事業に取り組んでいます。
鎌倉市立手広中学校の「STEAM Lab」には、ハイスペックパソコン、大型モニターや3Dプリンターなどの周辺機器、3Dモデリング用ソフトウェアといったデジタルファブリケーションの技術を利用し、教科横断的で多様な表現の手段を提供できる環境を整備しました。
一方、3Dプリンターで利用するフィラメントはプラスチックであるため、多くの学校で使われた場合は環境への負荷が課題となります。そこで、リコージャパンはリコーとともに鎌倉市教育委員会と協働で、廃プラスチックの一部をリサイクルし、3Dプリンター材料として活用する実証実験を開始しました。小学校で使用したプラスチック製のアサガオの鉢を回収し、リコーがフィラメントへの加工を行ったうえで、3Dプリンターが設置された中学校へ提供します。
今後もSDGsの観点に立った地域への還元、STEAM教育授業カリキュラムの開発および授業実践に取り組む予定です。

  • 手広中学校での体験の様子

画像:【事例】鎌倉市でのSTEAM教育促進の取り組み

ICT導入で先生の負担を軽減

学校現場では複雑で多様な課題に加えて人材不足も伴い、先生方の負担が増えています。リコージャパンではデジタルの活用により、多忙な先生方をサポートしています。例えば参加者側の時間的な拘束や、開催者側の労力やコストがかかる集合研修も、動画を活用することで、ネットワークにつながる環境であれば、いつでもどこでも受講することができます。また、機器に関する問い合わせ業務を軽減するチャットボットや、GIGAスクール構想で導入された端末の故障時のソリューションのパックも提供しています。先生方の働き方の改善こそが教育の質の向上につながると考え、本来の業務に専念できるような環境づくりを行っています。

医療・介護現場の慢性的な人手不足を解決するべく、リコーグループはICTの活用によって医療・介護従事者の業務を効率化し、同時に医療・介護を受ける方の生活の質の向上にもつながるサービスで貢献しています。

医療現場の業務負荷を軽減する医療機器管理支援サービス

これまで猶予・除外されてきた医師の時間外労働の上限規制が2024年度から適用されます。それに伴い、医師の担当業務の一部を他の医療従事者が実施する、いわゆるタスクシフトが進むことが予測され、医療機器の管理を担当している看護師や臨床工学技士等の業務負荷がさらに増大することが見込まれます。
そこで、クラウド型医療機器管理システムの導入と、オンサイトでの医療機器の基本点検サービスを、ワンストップで提供する医療機器管理支援サービス事業に2021年より参入しました。基本点検サービスは、医療やME*1機器の専門研修を受講した医療機器保守専任エンジニア*2が行います。医療従事者の業務負荷を軽減して臨床業務に集中できる環境づくりを支援し、医療機関のサービス品質の向上や安心・安全な医療現場の実現に貢献します。

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    ME:Medical Engineering(医療工学)。輸液ポンプ、人工呼吸器など病院・診療所において治療や診断・監視に使用される医療機器の総称

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    リコーグループでは医療機器保守専任エンジニアの育成を計画的に進めており、全国15事業所で医療機器修理業の認可を取得しています(2023年4月現在)

医療機器修理業の認可を取得している支社/事業所

画像:医療機器修理業の認可を取得している支社/事業所

科学的介護と業務効率化を実現する「リコーけあマルシェ」

統合見守りシステム「リコーけあマルシェ」により、介護スタッフは、スマートフォン上に集約された各種センサーやカメラなどの情報から入居者の正確な状態の把握や対応優先度を適切に判断でき、効率的にケアを提供できます。また、ある施設では入居者が怪我をされた際、映像エビデンスから介護スタッフもご家族も想定していなかった行動が確認され、再発防止策や介護スタッフを守ることにつながったケースもあります。入居者にはのびのびと過ごしつつも安全な日常を、介護スタッフにはICTのサポートで安心と働きやすさを提供するシステムです。

転倒・転落の予防

画像:転倒・転落の予防

リコージャパンでは、脱炭素社会の実現に向け、エネルギーを「減らす」「選ぶ」「つくる」「融通する」のアクションを柱にした脱炭素ソリューションを提供しています。自社での実践を通して培ったノウハウを活かした提案により、お客様のCO2削減に貢献します。

リコージャパンの脱炭素ソリューション

現在、2050年までのカーボンニュートラル実現を表明している国は150カ国を超え、企業にとっても脱炭素への取り組みは欠かせない要素となっています。事業活動における脱炭素化のカギとなるのが、エネルギーの効率的利用や太陽光などの再生可能エネルギーの拡大とその有効活用です。リコージャパンは、オフィス空間における照明や空調設備の省エネ化、それらをトータルで管理するエネルギーマネジメントシステムの導入、自家消費型太陽光発電システムの提案や、ガソリン車からEVへの切り替えなど、さまざまな視点からCO2削減を支援します。

画像:リコージャパンの脱炭素ソリューション

脱炭素に向けた取り組みで不動産価値向上に貢献

国内のCO2排出量の約30%はビル・工場・一般家庭などの建物(建設を含まない)から排出*されていると言われており、自動車の排ガスと同じく、建物の設備についてもCO2を減らしていくことが求められています。そうした中、欧米を中心に、環境性能の高い建築物を評価しようとする動きが広がっており、不動産価値が高まる傾向にあります。
リコージャパンではビルオーナーに対して、自治体の補助金を活用した照明や空調設備の見直しはもちろん、EMSの導入によるエネルギーの使用効率にも着目した提案を行っています。CO2排出を削減してビルの不動産価値が高まれば、優良テナントの誘致にもつながり、ビルの稼働率・収益性も向上します。リコージャパンは今後もオフィス空間のみならず、建物全体の価値向上を支援していきます。

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    出典:国土交通省「環境価値を重視した不動産市場形成にむけて」

画像:脱炭素に向けた取り組みで不動産価値向上に貢献

限りある資源を枯渇させず、社会を持続可能に発展させるためには、最小の資源やエネルギーで最大の効果を生み出すことが必要です。リコージャパンは、資源の付加価値を高めながら効率的に循環させる「循環型社会の実現」を目指しています。

製品のライフサイクル全体を俯瞰した事業活動へ

リコーは1994年に循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル」を打ち出しました。これは、リコーグループだけでなく、上流と下流を含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らしていく考え方を示したものです。このコンセプトに従って、モノづくりの段階から3R*設計を積極的に行い、長期間にわたって繰り返し使えるような製品開発を行ってきました。製品のライフサイクル全体を俯瞰した事業活動を行い、資源を循環させながら付加価値の最大化を目指すという視点は、現在、社会全体が推進しているサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方とも共通しています。

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    3R:リデュース・リユース・リサイクル

循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル」

画像:循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル」

製品再生・部品再生事業

製品を再生して使用するために最も重要なことは、設計段階であらかじめリユース・リサイクル・長期使用の視点を盛り込むことです。リコーグループでは、1993年にリサイクル対応設計方針(現在の環境適合設計方針)を策定しました。この方針に基づいて設計することで、リユース・リサイクル時の余分な工数やコストの発生を抑制しています。また、製品再生のためには、市場から効率よく確実に使用済み製品を集める必要があります。そこで、全国22の回収拠点を設置し、確実な回収に努めています。
今後、調達困難な部品を再生品で補うBCP(事業継続計画)対応など、再生事業の可能性を広げ、新規資源の使用量を削減していきます。

画像:製品再生・部品再生事業

環境経営の拠点「リコー環境事業開発センター」

製品再生・部品再生は、静岡県御殿場市にある「リコー環境事業開発センター」1カ所に集中させて効率化を図っています。同センターは「お客様とともに進化する環境経営」実現のための拠点となっており、オープンイノベーションによる新規環境技術の開発や、使用済み複合機のリユース・リサイクル技術の進化などに取り組んでいます。これからもリコーグループの今と未来の環境活動を発信していきます。

  • リコー環境事業開発センター

画像:環境経営の拠点「リコー環境事業開発センター」

「ラベルレスサーマル」で包装材の環境負荷を低減

ラベルレスサーマルは、リコーが開発したサーマルインクを包装材であるフィルムに部分コーティングし、その部分にサーマルヘッドやレーザー装置で熱を加えることにより直接印字するものです。商品名や原材料などの情報がパッケージに直接印字できるため、これまで貼り付けられていた紙ラベルが不要となります。間接資材となる紙ラベルなどの資源を削減できるとともに、可変情報を包装材に直接印字可能となり、資材や在庫の削減に寄与するため、環境負荷の低減に貢献します。

画像:「ラベルレスサーマル」で包装材の環境負荷を低減

プラスチック素材を判別し、資源の循環を促進する「樹脂判別ハンディセンサー」

プラスチックは、廃棄された後の焼却や埋め立ての環境負荷が大きいことが社会課題になっています。プラスチックをリサイクルして資源を循環させるためには、素材の分別が欠かせない工程です。
リコーの「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)など13種類のプラスチック素材が判別可能になっています。ハンディタイプで持ち運びしやすく、特別な知識がなくてもプラスチックの素材を判別でき、プラスチックの分別が容易となります。これまでは素材がわからず廃棄していたものを判別することで、資源の効率的な循環と脱炭素に貢献します。
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が2022年4月から施行されたことにより、特に製造業のお客様から関心を寄せていただいています。

画像:プラスチック素材を判別し、資源の循環を促進する「樹脂判別ハンディセンサー」

近年、社会構造の複雑化が進み、既存の製品やサービスの組み合わせでは解決できない社会課題も見られるようになってきました。リコージャパンは、お客様やパートナー各社と連携し、新たな価値を生み出すソリューション開発に取り組んでいます。

3社共同でDMの新たなソリューションを創出

リコージャパンでは、印刷業界のビジネス拡大支援を目的に、「RICOH BUSINESS BOOSTER」というコンセプトのもと共創活動を推進しています。その取り組みの一環として、2022年度、お客様であるクイックス様(印刷業)と、リコーのアクセラレータープログラムTRIBUSで採択されたスタートアップ企業であるクリエジャパン様と共同で、紙DMとデジタルを使った1 to 1コミュニケーションを実現する新たなソリューションを創出しました。
これは、紙のDMに印刷されているQRコード*を読み込むと、動画DXサービス「PRISM」で生成された個別に最適化された動画(パーソナライズ動画)を視聴できるというもので、「担当営業からあなたへ」というメッセージが掲載されており、リアルと同じような1 to 1でのコミュニケーションを感じることができます。これには、リコージャパンの印刷技術、クイックス様のデザイン制作の知見、クリエジャパン様のソリューション、それぞれの強みが活かされています。
DMのレスポンス率が平均0.5%から1.0%程度と言われる中、13.7%と非常に高い数値を獲得。こうした実績などにより、日本郵便が主催する「第37回全日本DM大賞」において銅賞を受賞しました。

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    QRコードは、(株)デンソーウェーブの登録商標です。

画像:3社共同でDMの新たなソリューションを創出

リコー次世代太陽電池*による環境共創プロジェクト

小売業界において、店舗運営における省エネ・脱炭素化は大きな課題です。リコージャパンは、リコーEH事業センターが開発しているさまざまな次世代太陽電池を活用した共創プロジェクトをセブン-イレブン・ジャパン様に提案。これらの太陽電池は、店内照明から屋外の太陽光といった幅広いシーンで発電が可能であり、これまで未活用であったエネルギーを有効活用することができます。2023年2月にオープンした埼玉県内のセブン-イレブン店舗にて次世代太陽電池を設置し、発電されたエネルギーを蓄電・店舗内設備に利用し、発電量のデータ取得を行います。この実証で得られた知見を、将来を見据えた環境提案につなげていきます。

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    既存のシリコン系太陽電池とは異なる特性を持つ太陽電池

画像:リコー次世代太陽電池*による環境共創プロジェクト
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