事業を通じた社会課題解決の取り組み

リコージャパンでは、事業を通じた社会課題解決の取り組みを「製品・サービスを通じてお客様と進めるSDGsへの貢献」と捉え、主にお客様の生産性向上、働き方改革、産業の基盤づくり、医療・福祉・教育の質の向上、持続可能な地域づくり、環境負荷削減などの活動を進めています

“はたらく”の変革

社会の変化に伴い、企業を取り巻く経営課題はますます多様化しています。お客様の困りごとの本質を捉えながら、課題を解決するためのデジタルサービスを提供しています。

脱炭素社会の実現

環境性能の高い複合機の提供の他、自社での実践活動で培った環境経営のノウハウでお客様の支援を行なっています。

循環型社会の実現

限りある資源を枯渇させず、社会を持続可能に発展させるため、資源の付加価値を高めながら効率的に循環させる「循環型社会の実現」を目指しています。

オープンイノベーションの強化

リコージャパンは、お客様やパートナー各社と連携し、新たな価値を生み出すソリューション開発に取り組んでいます。

経営課題を解決に導くデジタルサービスの力

社会の変化に伴い、企業を取り巻く経営課題はますます多様化しています。リコージャパンは、お客様の困りごとの本質を捉えながら課題を解決するため、お客様価値の高いデジタルサービスの提供に向け、ハードウェア、アプリケーション、サポート&サービスを組み合わせた業種および業務ごとの課題解決に貢献するソリューションモデルを拡充し、お客様への価値提供領域を拡大していきます。また、ソリューションの提供において、導入から活用までを一貫してサポートできる体制の強化も進めています。

お客様と共にデジタルで社会課題を解決する「スクラムシリーズ」

リコージャパンがデジタルサービス主体のビジネスへと舵を切る中で、重要な役割を果たしているのが「スクラムシリーズ」です。これは、業種および業務別のソリューションをパッケージ化した中小企業向けの「スクラムパッケージ」と、 個々のお客様のニーズに合わせてカスタマイズする中堅企業向けの「スクラムアセット」から構成されています。スクラムパッケージは、個々の製品やサービスによる断片的な業務改善提案ではなく、お客様の業務フロー全体を捉えた課題解決を提案することが特長で、全国に支社・販売拠点を持つリコージャパンの豊富な実践事例が活かされています。スクラムアセットは、アプリケーション導入、セキュリティ構築などの知見をアセット化し、最新技術と組み合わせたソリューションとして提案。システムエンジニア(SE)約1,300名のノウハウが活かされています。累計販売本数は2024年3月末時点で、スクラムシリーズとして41.3万本を超えており、多くのお客様から支持をいただいています。スクラムシリーズは、デジタル技術の活用によりお客様の業務効率化と生産性向上を実現することで、イノベーション創発に貢献します。また、社内実践で得たノウハウも踏まえて、今後は社会全体のDX実現とお客様と共にデジタルによる社会課題を解決することを加速させ、さらに提供価値を拡大していきます。

  • 注1)
    1人あたりの年間の労働時間=8時間/日×稼働230日として換算
  • 注)
    スクラムパッケージによる効果
生産性向上への貢献(時間創出効果) 5,675万時間(約3.1万人 注1の人材創出に相当)

マネージドセキュリティサービスによる経営課題の解決

昨今、サプライチェーンを標的としたサイバー攻撃や内部不正による情報漏洩などが頻発し、企業にとって情報セキュリティは重要な経営課題の一つとなっています。セキュリティ対策を自社で行なうためには、高度な知識を持つITエンジニアを採用または育成する必要がありますが、コストや人手不足の面から現実的ではありません。そこで、情報セキュリティシステムの運用・管理を、社外のサービス事業者に委託する「マネージドセキュリティ」という考え方が注目されています。リコージャパンでは、経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に準じたセキュリティサービスをレイヤー別にラインアップしています。また、すべてのレイヤーに対して、高度な分析・監視・運用を行なうマネージドサービスを付帯しており、最新の情報セキュリティに必要な「多層防御」を可能にしています。さらに、業種特有のリスクを考慮したGEMBA 向けセキュリティサービスも提供しており、お客様の負担を抑えながらトータルなセキュリティ対策を構築していただけます。

Pick Up 情報セキュリティ・コンサルティングサービス
お客様のセキュリティレベルを高め、ブランド力の向上に寄与する

情報セキュリティレベルを向上させるためには、物理的および技術的な対策だけではなく、組織的や人的な対策も不可欠です。こうしたニーズにお応えするため、リコージャパンでは情報セキュリティ・コンサルティングサービスを提供しています。お客様に寄り添い、お客様のレベルに合わせたリスク評価を実施し、実効性が高いセキュリティ対策の構築を支援するサービスで、基本となる社内ルールの策定を支援する「ポリシー策定支援サービス」、経営層から現場スタッフまでの教育を行なう「各種教育・研修サービス」、また確実に運用されていることを確認する「内部監査支援サービス」などがあります。お客様の状況に応じて、社内関連部門と連携して技術的な対策を支援することも可能で、コンサルタントの知見とソリューションの価値の両方を提供できることが強みとなっています。また、企業のブランドイメージや信頼性の向上につながるISMSやPマークの認証取得も支援しており、さらには、その知見や実績をもとに、認定を受けた指定研修機関としての「研修サービス」を展開しています。2023年度には、JIPDEC、JASAの2機関から優れた研修機関として表彰いただくなど、日本全国のセキュリティレベルの底上げに貢献しております。セキュリティリスクは日々変化していきます。今後も常に新しいリスクを注視し、真に強いセキュリティ体制の構築を支援することで、お客様企業のブランド力向上に貢献していきます。

情報セキュリティ・コンサルティングサービスによるご支援領域

前述の内容を表した図

「RICOH Smart Huddle」の提供

次世代ワークプレイスの実現を支援し続けているリコージャパンでは、時間や場所にとらわれない働き方のコンセプトとして「RICOH Smart Huddle」をリリースしました。これは、デジタルサービスとワークプレイスデザインを融合させることにより、リモートワークの普及により失われつつあった社員同士のつながり、社内文化や理念の共有、フェイス トゥ フェイスによる生産性や創造性の高いコミュニケーションを提供するものです。エッジデバイスとデジタルサービスを活用して時間と場所を自由に選択できる働き方を実現し、個人の能力を最大限に発揮させることで生産性や従業員エンゲージメントの向上を目指します。またフェイス トゥ フェイスによるハイブリッドなコミュニケーション環境の構築により、専門性を活かした新しい価値の創造を支援します。さらに地域間の格差や情報リテラシーの差を解消するワークプレイスや、環境に配慮したサステナブルなオフィス空間を提供することで、社会課題解決に貢献してまいります。

デジタルサービス

シンプルな操作性と使いやすさにこだわった映像・音声デバイスに加えて、360度カメラや監視カメラを含むイメージング技術、動画などデジタルコンテンツ制作、また、ITインフラなど包括的なデジタルサービスを提供します。

ワークプレイスデザイン

多様化した働き方に合わせ、リコーの強みであるデジタルサービスを活用し創造的でスマートな働く場を提供します。お客様のご要望やシーンに応じ、デザイン・設計から家具・什器の選定、工事の施行・監理までワンストップでオフィス構築を支援します。

AI(人工知能)を活用したソリューションの展開

人の価値観やビジネス環境が目まぐるしく変化する現代において、組織が進化し競争力を高めていくために、AIによるイノベーションが欠かせないものとなっています。ただし自社の業務で使いこなすためには、自社固有の用語や業務規程、マニュアルなどを理解していることも重要な要素となります。また、事前に学習していない情報に対してデタラメな回答を出力する、ハルシネーション(幻覚)の問題の解決も重要です。そこで、リコーでは、自社固有の情報を理解したAIが良き相談相手として一緒に働いてくれるサービスを開発し2024年度中の提供を予定しています。このソリューションのベースとなっているのが、高精度日本語LLM(Large Language Models)を自社開発できるAI人材の数と高い技術力です。また、AIに学習させるデータは非定型でデータ形式などもバラバラなことが多く、実用レベルにかなう文書生成、検索の精度を得ることが難しいことがありますが、過去から蓄積してきたOCR(光学的文字認識)技術などを使ってAIが使いやすいデータ環境を整備するサポートなども提供しています。さらには、AIアシスタントを使って業務を効率化できる中小企業および中堅企業向けの「Copilot(コパイロット)for Microsoft365」も2024年2月に提供を開始しています。今後、AI導入支援ワークショップやAIによる業務効率化の実践事例紹介を順次開始していく予定です。AIと人との垣根を取り除いていくことで、本格的なAI技術による革新を進めていきます。

保守サポート業務における専門用語例 自社情報を保有しないAIの解釈 自社情報を保有したAIの解釈
ジャム ジャムとは、果物や野菜の果実や皮、種などを砂糖やスパイスで煮込んだものです。 ジャムとは、給紙ジャム、レジストジャム、排紙ジャムなど、給紙系で用紙が止まってしまう現象のことです。
トレイ トレイは、食品を保管するために使用される容器です。 用紙をセットする給紙段です。

物流現場における働き方改革への貢献

2024年問題をはじめ、物流業界では多くの課題が顕在化しています。リコージャパンは、物流現場が抱える課題に対し、さまざまな視点から取り組みを進めています。

「2024年問題」をはじめとする社会課題への対応

2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用され、労働時間が短くなることにより輸送能力が低下し、モノが運べなくなる「2024年問題」が大きな課題となっています。この2024年問題に対して何も対策がなされなかった場合には、2030年には約36%注1の荷物が届けられなくなると試算されています。また、カーボンニュートラルに対する関心の高まりに伴い、CO2の排出抑制や省エネ、脱炭素エネルギーへの転換についても取り組みが求められるようになっています。こうした問題は事務機器を輸送する私たちの業界にとっても喫緊の課題となっています。リコージャパンでは、共同物流の視点で課題解決を目指す「動脈物流委員(JBMIA注2内)」に参画し、業界の垣根を越えて取り組みを進めています。具体的な施策の一つとして、「ラストワンマイル ワーキンググループ」への参加があります。ラストワンマイルとは、物流の最終拠点からお客様の元に届くまでの「最後の1区間」を指す言葉ですが、この区間での共同配送の実現に向けて、各社の配送データを分析しながら検討を進めています。

  • 注1)
    日本ロジスティクスシステム協会「ロジスティクスコンセプト2030」2020年1月
  • 注2)
    一般社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会
物流共同化による
社会課題解決で期待される効果
荷主企業および物流業者が連携し「ホワイト物流」の
実現に向けた取り組みを推進する。
納品基準(サービスレベル)の標準化を推進し、
労働環境を改善する。
温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを
推進する
効率のよい配送を実現することで、
CO2排出量を削減する。
国や行政と連携し、業界の垣根を越えて共同配送
実現に向けた取り組みを推進する。
業界各社で連携し物流における
「運べないリスク」を解決する。

共同配送の北海道エリアでの展開

共同配送に向けては都道府県別に配送密度の分類を行ない、共同化対象エリアの選定および展開計画を検討。低密度エリアの共同化から実現していく方針としています。北海道エリアについては、2021年11月より道北エリアで共同配送の試験的な実施を行なってきましたが、2022年11月から北海道全域での展開がスタートしました。既に、エリア細分化による配送効率の向上、車両数の平準化による共同配送の効果が表れており、2023年度において、車両数1,335台、CO2排出量約92トンの削減を実現しています。北海道に続き2023年7月から北陸エリア、2024年5月から東北エリアで展開を開始し、今後は中国、四国、九州などにも活動を展開していく予定です。

後述の内容を表した図

共同配送の様子

地域・社会課題解決への貢献

少子高齢化をはじめ地域や社会が抱える課題解決に向け、各支社の地域への愛を活かしながら、多様なパートナーとの連携のもと地方創生に取り組んでいます。

リコージャパンの重点お役立ち領域

地域社会のSDGs達成へ向けて「働き方改革」「環境」「防災/BCP」「教育」「賑わい創出」5つの領域を中心に、全国に拠点を持つ強みを活かし業務生産性の向上や、地球温暖化対策、地域活性化など、地域社会が抱えるさまざまな課題の解決にお役立ちしていきます。

SDGsを軸とした包括連携協定

リコージャパンでは地方自治体を中心に、地方創生および地域共創に係るさまざまな包括連携協定を締結しています。近年では「SDGs」をテーマとした協定も増えてきており、東京都足立区、大田区、熊本県上天草市、山梨県甲府市とSDGsに関する協定を締結しました。リコージャパンと自治体がお互いの資源やノウハウなどを連携し合いながら、SDGsの普及啓発を図るとともに、SDGsの達成に向けた取り組みを推進することで、持続可能なまちの実現を目指します。なかでも東京都大田区とは、区職員向けのSDGsセミナーを実施するなど以前から連携して取り組みを進めており、大田区のSDGs 未来都市への選定を契機に、リコーを含めた三者でSDGsに関する連携協定を締結しました。その実施事項の一環として、2024年1月、大田区立馬込第三小学校にて、リコーと協働してペロブスカイト太陽電池注1の実証実験を開始しました。未来を担う子どもたちの次世代エネルギーへの関心を高めるための取り組みにも力を入れています。今後もさまざまな地域課題に対し、リコージャパンとしての貢献領域を模索するとともに、SDGsを原動力とした持続可能な社会の実現に向けて取り組みを進めていきます。

  • 注1)
    ペロブスカイト太陽電池:有機材料で作られているため軽量で、照度の低いエリアや垂直設置でも発電が可能という特徴があり、既存のシリコン系太陽電池に代わる発電技術として注目を集めている

ピコ水力発電機の活用(遠野市)

岩手県遠野市では、豊かな地域資源を活かした小水力発電などの再生可能エネルギーの導入検討や、脱炭素に関する学習会の開催などに取り組んでいます。リコーとリコージャパンは遠野市宮守町達曽部地区において、ピコ水力発電装置の組み立てと発電実験、再生可能エネルギーと再生プラスチックについての講義およびグループディスカッションなどのワークショップを実施してきましたが、三者の取り組みをより強力に進めていくため、2023年9月に地方創生に関する連携協定を三者間で締結しました。締結後の取り組みの第一弾として、遠野市土淵町のたかむろ水光園でライトアップイベントを開催しました。このイベントには、リコーLIFEPARTS注1による「ピコ水力発電システム」を活用。たかむろ水光園の豊富な水資源を活かし、園内の小川に設置したピコ水力発電機によって発電を行ないました。日中にバッテリーに蓄電した電気も合わせて、約200 個のLED 照明を点灯。木々や小道を美しくライトアップし、地域の魅力を高めることに貢献しました。

  • 注1)
    リコーの新規事業創出の取り組み「TRIBUS」において、社内チーム「WEeeT-CAM(ウィットカム)」が提案したピコ水力発電のレンタルサービス
後述の内容を表した図

たかむろ水光園とピコ水力発電機

後述の内容を表した図

ピコ水力発電システム

新しい時代を生きる子どもたちの学びへの貢献(久喜市)

将来の変化を予測することが困難な時代に、子どもたちに必要となるのは、自ら課題を見つけ解決に向け行動する「生きる力」を身に付けること。子どもたちが自ら未来を切り拓く力を培うことは、子どもたちの主体性の尊重にもつながります。リコージャパンは、STEAM注1教育の実践に力を入れており、「久喜市版 未来の教室」を推進されている埼玉県久喜市と連携し、RICOH THETA、3Dプリンター、ドローンなどを導入いただき、授業展開をしています。久喜市立砂原小学校の防災の授業の中でRICOH THETAを活用し校内のバーチャルツアーを作成したり、災害時に障がいがある方が学校に避難された際、安心して過ごせるよう3Dプリンターで点字のプレートを制作しました。久喜市では、PBL注2やSTEAM 教育の推進により、子どもたち自身が課題を見つけ、どのように解決するかを考えるようになり、主体的に学習する子どもが増えたと言われています。リコージャパンでは、子どもたちの好奇心や社会課題を解決したいという思いに応えるため、今後も次世代教育を実現させるためのICT 環境整備にとどまらず、活用する教材、授業支援なども含めトータルで教育の質向上を目指します。

  • 注1)
    STEAM:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、アート(Arts)、数学(Mathematics)の 5 つの領域を統合的に学習する教育理念
  • 注2)
    PBL:Project-Based Learning

医療・ヘルスケア分野の業務効率化への貢献

医療や介護現場の慢性的な人手不足を解消するべく、ICTの活用によって、従事する方の負担軽減につながるサービスを提供しています。

医療現場の業務負荷を軽減する医療機器管理支援サービス

これまで猶予、除外されてきた医師の時間外労働の上限規制が2024年度から適用されたことに伴い、医師の担当業務の一部を他の医療従事者が実施する、いわゆるタスクシフトが進んでいます。しかし、病院全体の業務量は変わらず、看護師や臨床工学技士など他職種の負担増や人材確保が必要となります。リコージャパンでは2021年より、クラウド型医療機器管理システムの導入と、オンサイトでの医療機器の基本点検サービスを、ワンストップで提供する医療機器管理支援サービス事業に参入しています。基本点検サービスは、医療やME注1機器の専門研修を受講した医療機器保守専任エンジニア注2が行なっています。リコーグループでは同エンジニアの育成を計画的に進めており、2023年度135名から2024年度160名に拡充する見込みです。

  • 注1)
    ME:Medical Engineering(医療工学)。輸液ポンプ、人工呼吸器など病院・診療所において治療や診断・監視に使用される医療機器の総称
  • 注2)
    全国15事業所で医療機器修理業の認可を取得しています(2024年4月現在)

医療機器修理業の許可を取得している支店/事業所一覧
札幌北事業所、仙台東事業所、埼玉支店、品川事業所、名北事業所、京都五条事業所、堺筋/南大阪事業所、兵庫事業所、吉島/呉事業所、香川事業所、愛媛事業所、博多駅南事業所、熊本事業所

オンライン資格確認の導入支援

2023年4月から、すべての保険医療機関や薬局でオンライン資格確認が義務化されました。これは、マイナンバーカードのICチップに記録されている個人情報や保険資格を医療機関などに設置されている顔認証端末で確認する仕組みのことです。薬剤情報や特定健診情報をまとめて閲覧できるなどのメリットがあり、データに基づいた質の高い医療の提供が期待されます。リコージャパンでは、顔認証付きカードリーダーなど必要な機器の導入から、セキュリティのサポートまでワンストップで提供。2021年から全国の医療機関(医科、歯科)への導入支援を開始し、2022年度から2023年度の2年間で約11,000件の実績があります。2024年12月からは訪問看護ステーションも義務化対象となるため、支援対象の範囲が今後さらに拡大していく見込みです。

科学的介護への取り組み

科学的介護とは、介護者の「経験」ではなく、「科学的根拠」に基づいて提供される介護サービスのことを指します。厚生労働省では2021年より科学的介護情報システム(LIFE)を開始しています。科学的介護によって日頃の業務が改善(生産性が向上)され介護の質を維持・向上させていくことができます。また、生産性向上の促進策として、実践事業者に対して一定の条件により「加算」を算定できます。リコージャパンでは、介護施設のお客様に、生産性向上推進体制加算の対象となる「介護記録ソフト」「見守りシステム」「インカム注1」3つのデジタル機器の導入を中心にした支援サービスを提供しています。これにより、介護のDXの推進、経営の安定化にも貢献。入居者の皆様には、安心でその方らしい毎日の暮らしをご提供しています。

  • 注1)
    インターコミュニケーション

環境負荷の削減に貢献する製品の提供

リコーでは業界最高水準注1の環境性能を持つA3カラー複合機「RICOH IM C6010」をはじめ、さまざまな環境配慮型製品を提供しています。

  • 注1)
    再生プラスチック使用率、製品ライフサイクルで排出されるCO2、待機時の消費電力など(リコー調べ)

A3複合機で世界初注1、約50%注2に再生プラスチックを使用

リコーが2023年2月に発売したA3カラー複合機「RICOH IM C6010」など7機種16モデルは、幅広い用紙対応力や快適なスピード、高度なセキュリティなどデジタル複合機としての優れた性能と、高い環境性能を両立しています。環境性能における最大の特長は、50%を超える再生プラスチック使用率。廃棄されたプラスチックを回収して原料の一部としており、新規に投入する資源量を抑え、環境負荷の低減に貢献しています。再生プラスチックは一般的なプラスチックに比べて流動性が低く、成形が難しいという課題があります。そのため、前身機(RICOH IM C6000)での再生プラスチック使用率は6%でした。しかし、新製品ではこの数値を大きく引き上げ、A3複合機では世界初となる50%以上という高い使用率を実現しました。再生プラスチック使用率50%以上という高い目標をクリアするためには、回収材をより多く使用した再生プラスチック材料を安定的に調達することが不可欠です。そこで、リコーでは材料開発と部品開発を同時に行なうという開発手法に着手。複数メーカーと連携して再生プラスチック材料の開発を進めながら、部品ごとに使用率の目標値を細かく定め、例えば、重量の大きな外装カバーでは使用率80%にするなど設計を見直しました。また、部品技術や設計部門の評価を受けながら基準以上の強度・品質を確保しています。このような試行錯誤の結果、トップクラスの環境性能を持つA3カラー複合機が誕生しました。

  • 注1)
    発売(リリース発表)時点、北米EPEAT(Electronic Product Environmental Assessment Tool)登録情報より(リコー調べ)
  • 注2)
    本体総樹脂量の重量比
後述の内容を表した図

再生プラスチック(左)を80%使用した製品前面パネルのプラスチック(右)

製品ライフサイクルで排出されるCO2を約27%削減

もう一つの大きな特長が「優れた省エネ性能」です。新製品では、トナーの融点を前身機から12℃下げるなどの技術革新により、印刷時の電力を削減。スリープモード時の省エネ性能についても向上し、消費電力を前身機の約50%に抑えました。ライフサイクル全体のカーボンフットプリント(CFP注1)で見ると、「RICOH IM C6010」の場合、前身機よりも約27%の削減を実現しています。製品群トータルでは、全世界で年間約88,000トンのCO2排出量削減を見込んでいます。また、製品のライフサイクルで生じるCO2を、J-クレジット注2を活用してオフセット(相殺)するカーボンオフセットサービスも提供。リコージャパンは、高い環境性能を有する複合機とカーボンオフセットサービスをお客様に採用いただくことにより、ライフサイクル全体の環境負荷削減と経済性の両立を目指していきます。

カーボンフットプリント(CFP)の削減

前述の内容を表した図
  • 注1)
    原材料調達、生産、輸送、使用・維持管理、廃棄・リサイクルで排出された温室効果ガスの量を、CO2量に換算した値です。
  • 注2)
    温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度
  • 注)
    上記数値はRICOH IM C6010およびRICOH IM C6000(前身機)本体で算定したものです。給紙テーブルは含まれません。

製品のライフサイクル全体を俯瞰した事業活動へ

リコーは1994年に循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル」を打ち出しました。これは、リコーグループだけでなく、上流と下流を含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らしていく考え方を示したものです。このコンセプトに従って、モノづくりの段階から3R注1設計を積極的に行ない、長期間にわたって繰り返し使えるような製品開発を行なってきました。製品のライフサイクル全体を俯瞰した事業活動を行ない、資源を循環させながら付加価値の最大化を目指すという視点は、現在、社会全体が推進しているサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方とも共通しています。

  • 注1)
    3R:リデュース・リユース・リサイクル

循環型社会実現のためのコンセプト「コメットサークル」

前述の内容を表した図

製品再生・部品再生事業

製品を再生して使用するために最も重要なことは、設計段階であらかじめリユースとリサイクルと長期使用の視点を盛り込むことです。リコーグループでは、1993年にリサイクル対応設計方針(現在の環境適合設計方針)を策定しました。この方針に基づいて設計することで、リユースやリサイクル時の余分な工数やコストの発生を抑制しています。また、製品再生のためには、市場から効率よく確実に使用済み製品を集める必要があります。そこで、全国22の回収拠点を設置し、確実な回収に努めています。今後、調達困難な部品を再生品で補うBCP(事業継続計画)対応など、再生事業の可能性を広げ、新規資源の使用量を削減していきます。

RICOH MP C4504RC SPFについて
  • リユース部品平均81%使用(本体標準構成。定期交換部品を除く)
  • ライフサイクル全体でCO2排出を約19%削減(新造機比較)

RICOH MP C4504RC SPF

前述の内容を表した図
製品再生工程におけるリユース・リサイクル技術の実践

回収、選別

回収品の独自診断システムでの選別、ランク分け

分解、洗浄、組み立て

ロボットを導入することで省人化、品質の均一化などを実現

保証、出荷

新品と同一品質基準での品質保証


カーボンニュートラル実現に向けたソリューションの提案

リコージャパンでは、自社での実践を通して培った知見やノウハウを活かし、お客様の脱炭素への取り組みを支援するソリューションを提案しています。

お客様の脱炭素経営を支援

政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、社会全体が大きく脱炭素へと舵を切っています。今後、サプライチェーンでの脱炭素の情報開示が要請されるなど、多くの企業にとって経営の脱炭素化は避けて通れない課題であるとともに、新たなビジネスチャンスを創出する機会にもなっています。リコージャパンでは、お客様の目的統合から可視化、導入、ステークホルダーへの情報開示までのステップを支援する「脱炭素コーディネーター」と専門的な知識を持つ「ソリューションセールス」が、お客様に寄り添って脱炭素経営の実現に貢献します。

脱炭素支援のステップ

STEP1

目的の理解統合

STEP2

CO2排出量可視化

STEP3

CO2削減可能性の把握

STEP4

脱炭素ロードマップ作成

STEP5

脱炭素ソリューション提案

STEP6

結果情報開示(企業価値向上へ)

STEP1 脱炭素経営の目的の理解統合

リコーグループにおける環境経営をご紹介しながら、脱炭素達成に向けた最適なシナリオを構築します。

全国ZEB事業所のご紹介

前述の内容を表した図

リコーグループの各種報告書のご紹介

前述の内容を表した図
  • 注)
    写真は2023年度版

リコー環境事業開発センターのご紹介

静岡県御殿場市にあるリコー環境事業開発センターは「脱炭素社会の実現と循環型社会の実現」のための拠点となっており、オープンイノベーションによる新規環境技術の開発や、使用済み複合機のリユース・リサイクル技術の向上に取り組んでいます。また、製品再生・部品再生を同センター1ヵ所に集中させて効率化を図っています。これからもリコーグループの今と未来の環境活動を発信していきます。

後述の内容を表した図

リコー環境事業開発センター

STEP2 CO2排出量可視化(排出量見える化ツール)

脱炭素経営を始めるにあたり重要なのは、現状のCO2排出量を可視化すること。可視化することから得られるデータによって、排出量の多い月やエネルギーコストの大小などが明らかとなります。リコージャパンでは、可視化データを確認しながらリコーグループで培った脱炭素経営の知見やノウハウをもとに、お客様の脱炭素経営に伴走していきます。CO2排出量の可視化クラウドサービスではe-dash株式会社、アスエネ株式会社、株式会社ゼロボードの3社と業務連携しました。パートナー企業との連携によって、お客様の脱炭素経営にお役立ちするだけではなく、SBT注1認定取得やTCFD注2報告書作成などの支援メニューのご提案も可能になりました。

  • 注1)
    SBT: Science Based Targets
  • 注2)
    TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures
STEP3 CO2削減可能性の把握

現状分析からの運用改善策、設備検討

STEP4 脱炭素ロードマップ作成

カーボンニュートラル実現戦略作成

STEP5 脱炭素ソリューション提案

使うエネルギーを減らす

  • RICOH Smart MES(照明・空調制御システム)
  • EMS(Energy Management System)
  • LED化支援、省エネタイプ業務用エアコン
  • キュービクル

新たなエネルギーをつくる

  • 自家消費型太陽光発電システム
  • リコー太陽光発電O&M注1サービス
  • 注1)
    Operation & Maintenance(運用管理・保守)

使うエネルギーを選ぶ

  • 「リコー電力販売」再エネメニュー
  • EV 充電器トータルサポート

使うエネルギーを融通する

  • ポータブル蓄電池
  • 定置型蓄電池
  • V2H導入支援

街全体の脱炭素化サポート事業(三重県いなべ市)

三重県いなべ市は三重県北勢地域に位置する人口45,000人の街です。豊かな自然と山に囲まれた田園地域でありながら、中部圏、関西圏に隣接していることもあり、自動車関連の工場なども多く、農業と工業が共存している地域です。CO2排出量の実質ゼロを目指す「チャレンジ・カーボンニュートラルいなべ」を宣言。再生可能エネルギー導入の積極的な推進、防災レジリエンスの確保、電力の「地産地消」、豊かな自然との調和により、さまざまな地域課題の解決を目指し、持続可能なまちづくりに取り組んでいます。電力の「地産地消」の実現に向けては、地域新電力会社の「自然電力いなべ」を設立し、再生可能エネルギーの普及、エネルギーマネジメントを官民一体となり目指しています。今回、その取り組みを実現すべくリコージャパン、NR-Power Labがサポートし、市内の電力供給や蓄電池を使ったVPP(Virtual Power Plant)実証を進めています。この取り組みは2050年カーボンニュートラル実現まで「いなべ市」「自然電力いなべ」と一体となって続いていきます。

後述の内容を表した図

市域の北端にある、いなべ市農業公園

資源循環に向けた製品開発

限りある資源を枯渇させず、社会を持続可能に発展させるため、資源の付加価値を高めながら効率的に循環させる「循環型社会の実現」を目指しています。

プラスチック素材を判別し、資源の循環を促進する「樹脂判別ハンディセンサー」

プラスチックは、廃棄された後の焼却や埋め立ての環境負荷が大きいことが社会課題になっています。目的や用途に応じてさまざまな種類のプラスチックが存在し、混ぜると再資源化ができません。素材ごとに分けることが、資源循環を促進し、社会課題解決の第一歩につながります。リコーの「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」は、ハンディタイプで持ち運びしやすく、特別な知識がなくても素材を判別でき、プラスチックの分別が容易となります。これまでは素材がわからず廃棄していたものを判別することで、資源の効率的な循環と脱炭素に貢献します。既に、製造業、建設業、リサイクル業などのお客様、さらには環境教育の場でもご利用いただいています。

後述の内容を表した図

起動後は、樹脂に当ててボタンを押すだけの操作で判別が可能

ステークホルダーと挑む新たな「価値の共創」

リコージャパンは、お客様やパートナー各社と連携し、新たな価値を生み出すソリューション開発に取り組んでいます。

共創活動拠点「RICOH BIL TOKYO注1」がリニューアル

2024年2月、「RICOH BIL TOKYO」が田町エリアから品川エリアに移転、約20倍(約1,000㎡)に拡張してオープンしました。ここはリコーグループが描く共創イノベーションの思想を体現する施設であり、時代を動かすための新たな挑戦の場ともなっています。現代において、ますます複雑化している社会課題や経営課題は、既存のデジタルサービスでは解決が困難なものも少なくありません。それらの課題に対し、リコーが強みとする自然言語処理や空間認識といった最新のAI技術を活用しながら、お客様と共に本質的な解決の糸口を探り、新たなビジネスの創出へとつなげていく、そのための仕掛けが数多く盛り込まれています。

  • 注1)
    RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO
人の知的創造性を刺激してイノベーションにつなげる

RICOH BIL TOKYOには、技術者出身のビジネスデザイナーやDXコーディネーターが常駐しており、既にお客様との共創プロジェクトが複数進行しています。特長は、知的創造性を刺激する空間での対話から始まり、課題探索から仮説検証まで長い時間を過ごしていただくこと。それにより「お客様」から課題を共有する「パートナー」へと関係性が変化し、最終的には「コミュニティ」になっていくことを目指します。業務の効率化や生産性向上だけでなく、はたらく人が人ならではの創造力を発揮できる環境をつくることで社会課題を解決し、持続可能な未来を実現できると考えています。私たちは今後もワークプレイス・サービスプロバイダーとして、RICOH BIL TOKYOにおける共創イノベーションを推進していきます。

お客様との共創を登山に見立てて名付けた「ClimbersLounge」。オリジナルのアロマの香りが来訪者の感性を刺激する

次世代会議空間である「RICOH PRISM」では、5面を使用したプロジェクションマッピングを活用して来訪者の五感に働きかける

その日の対話で発言された言葉が情報の雨として映し出され、議論の内容を振り返ることができる「RICOHWAY」

オンデマンド印刷機にRPAを導入して業務効率化を促進

リコージャパンでは、2022年より印刷事業者のビジネス拡大を支援するために課題解決型の提案活動を強化する「RICOH BUSINESS BOOSTER」を展開しています。広島県の印刷会社である株式会社ニシキプリント様では、定型業務をソフトウェアロボットによって代行するRPA注1を導入いただきました。広島市の本社で印刷データを制作して指定フォルダに入れると、約60キロ離れた東広島工場のPOD(オンデマンド印刷)印刷機のモニターやメールを通じて通知が届きます。担当者が内容を確認して承認するだけで自動的に印刷が可能となり、印刷時間短縮や誤入力防止につながっています。株式会社ニシキプリント様は、創業当初から障がい者雇用に積極的に取り組む企業として知られています。定型的な業務の自動化が進むことで、障がい者が携わることのできる仕事の幅が広がっており、今後は製本などの工程でもRPAの導入を検討いただいています。

  • 注1)
    RPA:Robotic Process Automation
後述の内容を表した図

印刷機のモニターを通じて印刷を開始

ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始

2024年1月、リコーとリコージャパンは、株式会社因幡電機製作所、株式会社立花電子ソリューションズ、株式会社大阪エヌデーエスと連携し、次世代の太陽電池として注目を集めている「ペロブスカイト太陽電池」の実証実験を開始しました。ペロブスカイト太陽電池は、有機材料で作られているため薄くて軽く、垂直に設置しても効率よく発電できるという特徴があり、リコーの複合機の開発で培った有機感光体の技術が活かされています。本実証実験では、ペロブスカイト太陽電池の課題である、屋外での耐久性を検証します。また、どのような環境(気温や光の強さ)でどのくらい発電できるかを確認するため、センサーを使って温度・湿度・照度データを測定しています。さらに、日中蓄積した電力でLEDを点灯し、夕方から夜間の街灯として機能します。今回の実証実験を通じて、ペロブスカイト太陽電池の早期事業化を目指します。

後述の内容を表した図

実証実験に使用する庭園灯

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