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社会

企業が将来にわたって事業活動を継続していくためには、社員やお客様、取引先、地域社会など、あらゆるステークホルダーとの共存共栄が不可欠となっています。
リコージャパンにおいても、社員が最大限に能力を発揮しながら自律的な成長を促す「人財開発」「ダイバーシティ&インクルージョン」「健康経営」、自社の実践を通じてお客様への価値提供につなげる「社内DX」、あらゆる事業活動の基盤である「人権の尊重」、地域社会との共生を目指す「社会貢献活動」など、さまざまな分野の活動に取り組んでいます。

人的資本経営への取り組み

近年、人財を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」の考え方が注目されています。個人が自律的に学び、成長することではたらく歓びを感じ、事業成長を同時実現することを人的資本経営の基本的な考え方として取り組んでいます。

事業成長に寄与する人的資本経営の全体像

サービスインテグレーターとして、価値創造の源泉となるのは「人財」です。「社員がいきいきと誇りを持って働き、お客様から感謝される顧客価値創造企業」に向けて、①事業戦略に即した戦力の最適化、②事業成長につながる人的資本の強化、③人的資本の基盤の強化に指標を設定して取り組んでいます。

今後、経営戦略の達成に必要な人財ポートフォリオとのギャップと各カテゴリーで設定した指標を定量的に把握しながら、積極的な投資を行い、多様な経験と高い専門性を持つプロフェッショナル集団の形成を目指していきます。

画像:事業成長に寄与する人的資本経営の全体像

自律的成長を後押しする人事制度

人財の価値を最大限に引き出すべく、スキルの可視化と目標設定、公正な評価・処遇を実行するための組織づくりを推進しています。具体的には、2020年度から運用している「プロフェッショナル認定制度」と、2023年4月からスタートした「プロフェッショナル人事制度」を連携させ、社員の自律的成長を後押しする体制を整備しました。

● プロフェッショナル人事制度とプロフェッショナル認定制度

画像:プロフェッショナル人事制度とプロフェッショナル認定制度

私たちが目指す新しい働き方

プロフェッショナル認定制度

プロフェッショナル認定制度は「知識、技能、成果」の3要素・8段階で社員のスキルレベルを評価する制度です。これまでは営業職、サービス職、SE職を対象に実施してきましたが、2023年度からサポート職を加え、全社員を対象とした制度へと拡張しました。また、職種ごとの能力要件も随時アップデートしており、2024年度の認定に向けては、情報セキュリティをテーマにした能力要件を営業職に追加する予定です。この制度によって社員のスキルを可視化し、成長目標を明確にすることで自律的な成長を促していきます。

リーダーシップ開発への取り組み

働き方の価値観が多様化する中、リーダーシップの開発は重要性を増しています。組織職においては、360度フィードバック調査で自身を振り返り改善する仕組みや、これからのリーダーシップや現場の知恵をまとめた「リーダーシップ読本」の発行など、多くの仕組みやツールの充実に取り組んでいます。一方、個人においても、自律型社員として、自己リーダーシップを発揮し、高めていくことが重要となります。上司との定期的な1 on 1対話や、キャリア支援プログラムの展開など、自律的に成長する仕組みや機会を拡充しています。

外部資格取得支援

サービスインテグレーターに向けた社員のスキル強化を目的に、DXに関連する外部資格の取得支援を推進しています。「情報処理 情報セキュリティマネジメント」「CompTIA Network+」など職務に応じて重点外部資格を設定しており、学習や受験に向けた支援を行っています。また、取得資格はプロフェッショナル認定制度における能力要件とも連動しており、個人のスキルアップが事業戦略と合致する仕組みとなっています。

社内学習環境の拡充

社員の自律的成長を支援するため、さまざまな学びの機会を提供しています。2023年4月には、新しい学習プラットフォーム「リコージャパンデジタルアカデミー」をスタートさせました。デジタル人財として必要なスキル分野3,400本超のコンテンツを用意しており、6月からはパートナー向けにも展開を開始しています。そのほか、2022年度から開始した全社員が学習する「全社アップデートDay」も継続しています。

画像:社内学習環境の拡充

社内留学制度

実力を高めるとともに視野を広く持って活躍できる社員を育成するため、部署間を横断して経験を積むことのできる育成プログラムを用意しています。例えば、プロレベル1以上の若手社員を対象に、半期に5日間以内での体験を行う「若年層社員多職種体験」や、業種ごとのスペシャリスト育成を目的とした「短期・長期の留学制度」などがあります。

VOICE

社内留学制度利用者の声

愛知支社にて豊田市内のエリア営業を経験し、2021年4月から「製造業スペシャリスト育成プログラム」第3期生として学びました。座学だけではなく、リコーの工場見学や設計開発者のお話を聞くことで製造業に対する知識が深まりました。プログラムが終了し2023年4月から愛知に戻り、業種ソリューショングループの製造業担当として、同行支援やソリューション拡販に向けてのイベント企画などをしています。2年間で学んだことを現場でしっかり実践したいと思います。

画像:社内留学制度利用者の声

デジタルサービス営業本部
愛知支社
ソリューション戦略部
業種ソリューショングループ

横幕 ひと美

エンゲージメントサーベイ

リコージャパンでは毎年、社員のエンゲージメントの状況・要因を把握・分析し、結果から得られる課題に対峙することで企業価値の向上につなげています。調査では約60の設問からなるアンケートをとり、「エンゲージメントスコア」を算出。これを高めていくことを目標としています。

今後、人的資本経営を推進していくにあたり、社員の自律的成長の度合いやキャリア形成の充実度を測る指標として、スコアを活用していきます。

社内のDX

お客様にデジタルを活用したトランスフォーメーション(変革)を提案するには、まず自らが仕事のデジタル化にチャレンジしなければなりません。リコージャパンはDXのロールモデルとなるべく、さまざまな社内実践に取り組んでいます。

DX推進体制

リコージャパンでは、「社内DXの加速」と、それを基盤とした「お客様へのDX価値提供」を全社横断で推進する社長直轄の組織として「DX委員会」を設置しています。本委員会は、経営企画本部長が委員長を務め、IT部門(DX推進センター)やソリューション事業部門など各部門の代表者が参加し、月に1回開催しています。

2021年度には、DXのビジョン策定および全社員との共有、戦略の策定と実務への落とし込み、DX推進に向けた体制構築などの取り組みが評価され、経済産業省が定める「DX認定事業者」としての認定を取得しています。

2022年度は、前年に実施した自社のDXに関する強みと弱みの分析をもとに、ITインフラのスピード・アジリティの強化や、DX人財確保に関する対応策について議論を行いました。また、今後はエンゲージメントサーベイに「社内ITの満足度」の項目も加えて運用することとし、社員の声を反映したDXに向けて、さらなる深化を図っていきます。

社内DXの取り組み

2022年度は、RPAやクラウドサービスを活用した社内業務プロセスの自動化、電子契約による取引のデジタル化、AIを活用した業務改革など、重点テーマを定めて取り組みを推進しました。それと同時に、社内の優れた活動を一覧化・可視化し、ウェビナーなどを通じてお客様にご紹介するプロセスの環境整備を行いました。DX推進体制、基幹システム刷新、働き方改革、人財育成、DX認定取得など、お客様の関心事に合わせて提供できるよう、今後も取り組みを継続していきます。

Pick Up

PPFで創るスマート&高効率CE技術支援DX

RDPS第3サポート部は、首都圏を中心に東日本で活動するカスタマーエンジニア(CE)への技術支援を行っています。新型コロナウイルス感染症の流行以降、電話による問い合わせ対応をMicrosoft Teamsに置き換えるチャレンジを行ってきましたが、慣れない操作方法などから積極的な導入ができませんでした。しかし、デジタルサービスカンパニーにふさわしい新たな技術サポート実現に向けた絶好の機会であると捉え、プロジェクトを推進。そこで出会ったのがPower Platform(PPF)です。

PPFはプログラミングの知識がなくてもアプリケーションの作成ができるツールで、これを用いて、問い合わせ内容を自動投稿する「Teams自動投稿システム」や、検索型AIボットが既知問題に自動回答する「サポートDX」など、CE出身メンバーのアイデアを形にした運用を開発。高効率で最適なCEへのサポートを提供できる体制への変革に成功しました。現在、全国にある技術サポートグループに展開しています。

画像1:PPFで創るスマート&高効率CE技術支援DX

初期開発、全国展開メンバー

画像2:PPFで創るスマート&高効率CE技術支援DX

北海道展開メンバー

画像3:PPFで創るスマート&高効率CE技術支援DX

東北展開メンバー

画像4:PPFで創るスマート&高効率CE技術支援DX

西日本展開メンバー

  • Microsoft Teams、Teams、 Power Platformは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

ダイバーシティ&インクルージョン

リコージャパンでは、国籍、性別、年齢、障がいの有無、感性、価値観などのあらゆる「違い」を尊重するとともに、成果や貢献に応じた公平な評価に努め、会社と社員がともに成長していける組織づくりを進めています。

女性の活躍推進

女性社員の活躍推進については、これまで実施してきた「キャリアマーチャンダイジング研修」や「ポジティブアクション研修」など、さまざまな活動が成果として表れつつあります。2023年4月には、女性支社長が2名誕生したほか、採用面でも女性の割合が上昇傾向にあります。

今後は、プロフェッショナル認定制度のもとで能力に応じた公平な評価・処遇を行いつつ、個々の事業所や営業所における職場環境の改善など、女性の働きやすさ向上のためのサポートを行っていきます。

VOICE

女性支社長の声

インポスター症候群だった私が、D&Iやトップタレント研修を通じて「自分がまず始められることは、大きな成果を残す意識より今ある自分をアップデートするために、何をすべきかを考えること」だと気づきました。異業種交流・女性のためのリーダーシップコミュニケーション研究会に1年間参加し、自社の取り組みを俯瞰的に観察できたこと、他企業の方と交流を深められたことは大きな財産となり、多様性を企業成長の原動力にするダイバーシティ経営のフロントランナーとして、貢献していきたいと思います。

画像:女性支社長の声

デジタルサービス営業本部
山形支社長

伊賀上 真弓

イクメン・チャレンジプラン

子どもが生まれた男性社員を対象に、育児休業の取得を促進する独自の取り組み「イクメン・チャレンジプラン」を展開しています。このプランでは、上司の理解をはじめ、社員同士が助け合う組織風土の醸成を目指すことはもちろん、育児休業という新たな経験をきっかけに、取得者本人の「成長の機会」へつなげることを狙いとしています。また、社員の家族から感想をいただくなど事例をロールモデルとして紹介し、取得率の向上に努めています。

画像:イクメン・チャレンジプラン

障がい者雇用の取り組み

リコージャパンは、障がいを持つ方が能力を発揮し、安心して働くことができる環境づくりを進めています。採用活動においては、応募者が活躍できそうな業務を事前に把握し、入社選考時に多角的な視点から、人財と業務のマッチングを図っています。また、入社1ヶ月後面談をはじめ定期的にコミュニケーションの機会を設けるなど、社員の不安解消に努めています。こうした取り組みによって人財の定着が進み、2023年3月末時点で法定雇用率をクリアしています。

画像:障がい者雇用の取り組み

シニア人財の活躍支援

少子高齢化が進む日本社会と同様に、リコージャパンの社員構成もシニア層の割合が高まってきています。より一層のシニア人財の活躍を目的とし、2023年4月、プロフェッショナル人事制度の開始とあわせてシニア社員制度を見直しました。具体的には、60歳定年を迎える前、55歳頃からセカンドキャリアを描き「リスキリング」を実現するためのキャリア研修と、定年後の理想とする働き方を結び付けるマッチング制度を設置しました。今後、この制度を通じてシニア人財の活躍を支援していきます。

多様な勤務形態の実現

新型コロナウイルス感染症が2類相当から5類へ引き下げられたことに伴い、リコージャパンでは、リモートワークと対面型のハイブリッドな勤務形態へとシフトしました。「デジタルサービスの会社への変革」を目指すためには、お客様の現場に訪問してコミュニケーションの中から課題を掘り起こし、新たな価値創造や変革につなげていくことが重要となります。今後もリモートワークのメリットを活かしつつ、最も効率の良いワークスタイルが選択できるように仕組みの整備を進めていきます。

人権

人権の尊重はあらゆる事業活動の基礎であり、企業が果たすべき重要な責務です。リコージャパンは、リコーグループ人権方針に基づき、事業活動に関わるすべての人々の人権を尊重した行動を実践します。

リコーグループ人権方針

国際社会における人権課題の広範化を踏まえ、2021年4月に「リコーグループ人権方針」を定めました。本方針は、人権侵害の防止を目的としてリコーグループ内の人権に関わるすべての規定の上位に位置付けられ、グループ全役員および全社員に適用されます。

また、すべてのサプライヤーおよびビジネスパートナーにも、本方針の支持と実践をいただけるよう努めていきます。

人権

● リコーグループの人権尊重の推進フレームワーク

画像:リコーグループの人権尊重の推進フレームワーク

  • 人権デュー・ディリジェンス:人権に関する負の影響を認識し、それを防止・対処するために実施すべきプロセス

人権影響評価

リコーグループは、ビジネスを通じた人権への負の影響に対する評価を通じて、ステークホルダーごとに人権課題を特定しています。2021年度には、労働者保護の観点からリコーとリコーグループ生産関連会社を対象に、人権影響評価を開始しました。その結果をもとに、外部有識者のアドバイスを交えながら、経営幹部と協議のうえ、7つの顕著な人権課題を特定。それらの課題に対し、負の影響の防止・軽減への取り組みを推進しています。2023年度はリコージャパンも人権影響評価の実施を予定しています。

ハラスメント相談窓口の設置

セクハラ・パワハラの発生を未然に防ぐための施策として、全社員を対象にした情報発信やeラーニングでの意識啓発や、支社単位での独自教育にも積極的に取り組んでいます。また、ハラスメントの相談窓口は、「ほっとライン」を設置しています。寄せられた通報・相談に対しては、相談者のプライバシー保護に配慮しながら窓口担当部門が対応します。万が一、ハラスメントが起こった場合には、人事部門内の専門の担当者が対応し、適切な対応と再発防止に取り組みます。

LGBTQへの取り組み

リコージャパンでは、リコーグループ人権方針に基づき、差別や偏⾒のない、多様性に配慮した職場づくりを目指しています。LGBTQに関しても、セミナーやeラーニングなどを通じて、社内の理解促進に努めています。また、2022年度には、事実婚(同性婚含む)も各種慶弔制度に対応できるように、就業規則を見直しました。

健康経営

リコージャパンでは、「社員の心身の健康」が会社の発展の基盤であり、一人ひとりが生涯にわたって幸福であり続けるための基盤でもあるという考えのもと、誰もが安心していきいきと働き続けることができる職場環境の実現を目指しています。

健康経営戦略マップの策定

リコージャパンでは、健康経営によって実現したいこと、行動指標、健康投資施策、この3つを見える化した「健康経営戦略マップ」を策定し、取り組みを推進しています。健康関連の目標としては、アブセンティーズム*1の低減、プレゼンティーズム*2の低減、ワークエンゲージメントの向上を掲げ、がん予防、メンタル疾患の未然防止、肥満防止、女性特有の不調改善などにアプローチしています。

  • *1 アブセンティーズム:仕事を休業/欠勤している状態
  • *2 プレゼンティーズム:出社しているが、何らかの健康問題により業務効率が落ちている状態

精密検査受診への配慮

定期健康診断では、労働安全衛生法に基づいた法定項目に加え、がんの早期発見と生活習慣病の診断メニューを組み込み、全国に常駐する産業保健スタッフからのフォローを徹底しています。会社からは再検査のスケジュール調整を配慮するなど、重篤な疾病を未然に防ぐことに努めており、リスクに応じてレッドカードやイエローカードと呼ばれる精密検査受診の督促文を発行して、再検査の受診を促しています。

メンタルヘルス対策

年1回のストレスチェックを実施後、職場のストレスの要因や職場状況の集計と分析結果をもとに、産業医によるラインケア研修(職場の管理監督者がメンバーのいつもと違う様子にいち早く気づき、相談対応や職場環境の改善などを行うメンタルヘルス対策)を、マネージャーを対象に実施しています。研修では、メンタルの不調の兆しを早期発見して休職や離職に至らないようなケアを学んでいます。

健康行動促進プログラムの展開

社員の主体的な健康づくりの実現を目指す健康施策を複数展開しています。

2022年度の「ウォーキング・運動習慣の健康チャレンジプログラム」には約5,000名が参加し、個人と所属するチームの平均歩数や社内ランキングを表示するほか、チャットや写真掲載ができるアプリを導入し、コミュニケーションの活性化にもつながりました。参加者の意見を取り入れて、多くの社員が参加できる工夫を重ねています。

社内非喫煙化の取り組み強化

2015年1月より、リコーグループは就業時間中の非喫煙化を社内外に打ち出しており、リコージャパンでは禁煙を希望する社員の禁煙行動を支援しています。

全社員に禁煙関連情報の「月1回定期配信」、全国の禁煙希望者がオンライン上でお互いに励まし合うことで「禁煙を目指すプログラム」の展開、健保組合と協力した「オンライン禁煙外来の紹介」「禁煙ガムの無料配布」などを実施しています。こうした取り組みにより喫煙率は7年間で11.8ポイント減少し、25.9%まで低下しています。

● 健康行動促進プログラム

画像:健康行動促進プログラム

健康経営優良法人  
ホワイト500連続認定

リコージャパンは健康経営に関するさまざまな取り組みを健康経営戦略マップに基づき推進しています。この取り組みが認められ、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人2023 ホワイト500」に6年連続で認定されました。この制度は優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。

健康経営

画像2:健康経営優良法人 ホワイト500連続認定