売上につながるデジタルサイネージの活用と導入方法 Vol.3 デジタルサイネージの効果を高める運用・改善サイクルを4つのポイントで紹介

デジタルサイネージの効果

さまざまな情報を表示できるデジタルサイネージには、いくつもの効果があります。

たとえば、店舗や商業施設に設置し重点商品の魅力を伝えることで、販売を促進する効果があります。また、公共施設や駅前などに置かれたデジタルサイネージは、利用者に施設情報を伝えたり、旅行者に街の見どころを紹介する効果があります。病院の場合には、待合室に感染症予防情報や休診日情報などに加え、ニュースや地域情報を配信することで、待合時間のつらさを和らげる効果も。さらには、出社日が減った企業では、社内でのコミュニケーションを活性化する効果を狙って、オフィスにデジタルサイネージを導入する例もあります。

【関連情報】

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デジタルサイネージの効果が出ないのは、運用設計ができていないことが主な原因

デジタルサイネージはシステムを導入すればすぐに大きな効果が出せるわけではありません。
そのお店ごとの顧客属性に合わせたコンテンツ配信を行うために、継続して改善サイクルをまわす運用が必要になります。売場のどこで、どのようなコンテンツを、どう配信したか、そして売上がどう変わったかを繰り返し確認し、顧客属性の分析を行っていきます。それにより、店舗ごとの顧客特性を捉え、販促精度を高めていくことが重要となります。

究極は、売場コーナーでお客様一人ひとりに最適な提案を行うようになることです。面倒でも、きめ細やかな運用設計を行うことで、その商圏にいるお客様と最適なコミュニケーションが行える仕組みを構築することが重要なのです。

今回のコラムでは、デジタルサイネージの導入効果を高める運用方法について説明いたします。
運用方法は、以下のような流れになります。

MDプランからの対象商品決定

店舗では1年間の販促計画(52週MD等)を基本に、そこから重点商品(MD対象商品)がチラシや店頭でのPOPなどの販促プランに落とし込まれていると思います。デジタルサイネージも販促プランに連動させた使い方を検討することで効率よく効果的に運用が行えます。その時期の旬なもの、今の売れ筋商品、テレビや雑誌に取り上げられた話題の商品など、「今ならこれがおススメ」という商品をお客様にしっかりお伝えする必要があります。
WEBサイト、チラシを見て来店したお客様に対して、店舗の入口や商品棚などにあるデジタルサイネージのコンテンツでしっかり訴求を行って興味を持ってもらい、商品陳列やPOPなどで実際に手に取って購入に結びつけるといった流れになるわけです。そういった販促の一連の流れの中でデジタルサイネージのメリットを活かすことで、お客様とのコミュニケーションの深化を行うことが可能となります。

また、最近では「モノ」の訴求から「コト」の訴求が重要になってきています。単品MDやキャンペーン情報などを単純に放映するのではなく、地域の出来事(お花見の時期など)にあわせた関連商品のプッシュや、レシピなどの役に立つ情報も合わせて訴求することで有効になります。
スーパーマーケットにおいては、調理を苦痛とするような後期高齢者が多い、または共働きが多く調理時間が少ない生活者が多いなどの地域では「中食」の活用提案や、健康食材プッシュなどもいいでしょうし、地場の生産品を「安心」をキーワードにプッシュすることも重要です。さらには、店頭で在庫することが難しい商品をデジタルサイネージで案内してECサイトに誘導することも可能です。

【参考】

高速MDに対応したデジタルサイネージコンテンツ制作

よくコンテンツを一から作成しないといけないとか、クリエイティブの質が高くないといけないと考えがちになります。しかし、デジタルサイネージではクリエイティブ性はそれほど必要ありません。それよりも、いかにメッセージが顧客に伝わるコンテンツを継続して(安価に)作成できるかがデジタルサイネージ運用成功には重要になります。前項で解説した販促対象となるMDは、近年のマグネット商品の短命化に伴って短期に高速回転する傾向にあります。よって、デジタルサイネージの販促コンテンツも高速に大量に回転させる必要性が高まってきています。そのためには、チラシやWebサイトで使われている素材を使って、そこに一瞬で伝わるメッセージを添えてコンテンツを作成することになります(※この「一瞬」がポイントです。一瞬で興味をひき、短く、簡潔にメッセージを伝えることがデジタルサイネージでは重要です)。また、情報の種類ごとにテンプレートを作成して画像や動画、文字といった部分の素材を入れ替えるだけですぐに作成が可能となるような工夫も重要です。

店舗内のどの場所にどのような目的で配信するかによってコンテンツの長さは変わりますが、目安としては1つ10秒から15秒ぐらいが良いと思います。商品の横に設置して機能性をしっかり伝えるような役割であれば30秒から1分の長いコンテンツになることもあります。また、目的にもよりますが、店内買い回り品の促進用などでも1つのディスプレイに同時に流すコンテンツは10個程度までで、2分ぐらいで1周まわる量が適切になるかと思います。

デジタルサイネージ広告では、画像や文字にエフェクトで動きを付けたり、効果音やナレーションなどの音も付けることでより効果的なコンテンツにすることができます。そもそも、お客様は買い物が目当てなので商品に目が行きます。繰り返しになりますが、デジタルサイネージのディスプレイを見てもらえるのは、ほんの一瞬しかありません。そのため、来店したお客様に対して音で振り向かせて、1秒で伝わるメッセージで興味を持たせて、10秒で理解してもらうといった考え方になります。

当日のMD商品のプッシュ

主婦が買い物をしている写真

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各店舗ごとの顧客ニーズに合わせた配信運用

デジタルサイネージ導入の注意点として、導入後に同じコンテンツをずっと放映し続けるのであれば、ポスターを電子化しただけになり、メリットは少なくなります。きめ細やかにコンテンツを変えて配信を行うことで、お客様の欲しい情報を適切に伝えていくことができ、単なるポスターからコミュニケーションを行ってくれる自社専用のメディアとなります。

では、きめ細やかに配信を運用するとはどういうことでしょうか。例えば、飲食店なら時間帯でモーニングメニュー、ランチメニュー、ディナーメニューとコンテンツが変わるのがいいでしょう。雨が降ってお客様の数が少なければコーヒー無料の案内を出したり、クリスマスなどの特別コースがあれば時期に合わせた事前告知を表示したり、女性客が多い店舗であれば野菜を中心としたヘルシーなメニューを訴求したりするのも良いかもしれません。
今度は、もう少し店内が広いスーパーマーケットなどをイメージしてください。入口では当日の目玉商品の紹介をして、複数階層店舗ならばエスカレーターやエレベーター前で各階のイチオシ商品やセール情報を放映することで回遊性を高めます。PBなどのMDプッシュコーナーであれば提案型でクロスセルになり、定番棚であれば機能性を訴求など、場所によって最適なコンテンツの配信を行っていきます。

ウェザーMDという言葉を最近よく耳にするかもしれません。天気や気温の変化によって売れるものが違うので、変化に対応して品揃えを変えることが重要であり、それに合わせてデジタルサイネージの配信も変える必要があります。また、各店舗周辺で開催されるイベント(運動会、花火大会など)でも売れるものが変わって来ます。デジタルサイネージだからこそ変化する外部要因に対応して素早くコンテンツを変えて販促施策を展開できるのです。

今、小売は異業種も含めた競争が激しくなり、より顧客とのコミュニケーションが重要となってきています。そのためMD手法の進化に合わせてデジタルサイネージも進化しています。例えば、地域ごと個店ごとの特徴を出していくのであれば、本部主体の配信だけではなく個店側からも地域事情に合ったコンテンツを配信する機能の必要性が高まってきます。また、お客さん自身がタッチパネルで知りたい情報を選べるようにすることも重要になってきます。クラウド型デジタルサイネージはそういった進化を継続的に行えることがメリットとなります。

地域別にメインコンテンツを更新

時間帯別にメインコンテンツを更新

ウェザーMD施策に

紫外線や花粉情報、温度や湿度などをリンクする商品をデジタルサイネージでプッシュ。
例えばマスクやUVカット商品など。

イベントMD施策に

近隣のイベント情報とも連動して商品をプッシュ。

【参考】

継続的に効果を高めるための検証

デジタルサイネージの効果は、以下の2つにより決まります。

①目的に応じたサーキュレーション(視聴率)が獲得できるディスプレイ設置
②消費行動を喚起するコンテンツのメッセージ力

サーキュレーションは、ディスプレイのサイズ、配置位置、向き、高さ、明るさ、音量等が要素となります。お客様の消費動線上に最適に配置する必要があります。コンテンツのメッセージ力には、ターゲットのお客様に対応した、素材、テキストやナレーション、エフェクトや効果音に加えて、どう配信したのか(店舗別、時間別、曜日別など)が要素となります。

具体的な効果検証の方法ですが、まずはお客様がどれだけディスプレイを見ているかを測定します。ディスプレイの近くに立って地道にお客様の視線がどうなっているかカウントし続けることが重要かと思います。

  • 近年ではシステム(視線認識システム)を活用する手法もありますが、高価であるため1店舗だけの検証で全店舗分の状況を確認することができる場合には有効ですが、多店舗で構造(VMDの構造)が違う場合には有効ではありません。カウントする基準は、設置場所や役割によって変わります。導線上であれば一瞬でも見てもいればカウントするで良いと思います。

近年ではシステム(視線認識システム)を活用する手法もありますが、高価であるため1店舗だけの検証で全店舗分の状況を確認することができる場合には有効ですが、多店舗で構造(VMDの構造)が違う場合には有効ではありません。カウントする基準は、設置場所や役割によって変わります。導線上であれば一瞬でも見てもいればカウントするで良いと思います。

こうした検証を繰り返しながら対象商品のPOSデータがどう反応したかを確認して、各要素を改善していく施策を繰り返すことが重要になり結果的に非常に大きな強みとなっていきます。そのためには、デジタルサイネージを継続的に改善サイクルがまわせる体制構築が非常に重要となります。

視線認識システムを表す図

以上、今回は、デジタルサイネージで効果を出すための運用方法についてご紹介させていただきました。

次回は、実際にデジタルサイネージを導入する際の導入のステップについてご紹介します。

今回はご紹介しておりませんが、他にもデジタルサイネージの導入が有効な事例は多々あります。
近年注目されているインバウンド対応(多言語対応のタッチパネルサイネージなど)や、企業様のバックヤードやオフィスにおける業務活用目的のデジタルサイネージ活用などです。
詳細に関してはリコーグループの貴社ご担当者までお問い合わせください。

RICOH SUMMARY

デジタルサイネージは導入すればすぐに大きな効果が出るわけではありません。
お客様の特性やニーズだけでなく、時間帯や天気、イベントなどに合わせてきめ細やかにコンテンツを変えて配信する必要があります。さらに継続的に効果の測定と改善を繰り返すことが成功の鍵となります。

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  • ここ数年で急速に導入が進んでいるデジタルサイネージ。
    大きな効果を出すためには、しっかりした導入設計と運用が必要です。
    最近、電車の中、駅中の柱、ショッピングセンター、スーパーマーケットさらにはオフィスなどでデジタルサイネージをよく見かけるようになりました。2020年までには2014年に比べて2.5倍以上の市場拡大が見込まれており、中でも小売店舗や商業施設への導入は盛んに行われると予想されています。

  • しかし、デジタルサイネージはシステムを導入すればすぐに大きな効果が出るわけではありません。しっかりした導入設計・運用を行い、効果検証を繰り返すことが必要です。

  • 本資料では、導入プロセスを15のステップにわけて、導入検討に必要な検討項目をチェックリスト形式で紹介します。
    デジタルサイネージの新規導入・運用改善の検討に是非ご活用ください。

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