リコーの排水処理棟では、排水処理用の大型濾過フィルターを交換する作業がありますが、作業環境は天窓から直射光が入る環境となっており、現場社員が熱中症にかかるリスクがありました。
作業環境の温度自体はそこまで高くない場合でも、湿度が高いことで熱中症危険リスクは高まり、温度計による管理だけでは熱中症のリスクを回避することは難しい状況でした。
そこで、リコーが開発した色素増感太陽電池RICOH EH DSSCを搭載した環境センサー D201を活用し、リアルタイム監視を行うことで、安全で安心して作業ができる環境を実現しました。
これまでの課題
環境センサー D201活用による効果
熱中症におけるリスクは必ずしも温度だけが要因という訳ではなく、湿度による影響も大きく受けます。そのため、熱中症リスクを回避するには室温だけを目安にするのではなく、WBGT値(暑さ指数)で管理する必要があります。
しかし、リコーの排水処理棟では熱中症指数でのモニタリングができていませんでした。大型の濾布を交換する作業において、体感の暑さは感じられても湿度まで意識した作業は難しく定められた休憩時間内では熱中症リスクが伴う状況です。意図的に休憩や水分補給に至る定量的な数値が求められます。
同じような作業においても日々の天候に応じた外気の変動によって、熱中症のリスクが異なるため、日中を避けた夕方の作業であっても熱中症指数としては依然高い場合もあり、リアルタイムな指標に応じた作業時間のコントロールが必要でした。
※WBGT値:暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症予防を目的として1954年にアメリカで提案された指標
暑い中での作業という認識はあったものの、実際に作業環境の状況を定量的に把握できておらず、具体的な改善ができていませんでした。また、夏場は35度を超えるなど外気に近い作業環境で負荷の大きい作業が発生するも、管理者が環境把握を行いきれないという状況がありました。
具体的な労働環境の把握として、過去の履歴や時間帯別の温湿度、熱中症指数のグラフ、推移などアナログな温度計では追い切ることは難しい状況です。
熱中症リスクを回避するための作業時間の管理や設備稼働計画の立案においては、過去の推移も含めた定量的で一目でわかる熱中症指数の可視化が求められます。
前身機での実証も含め2020年8月より社内実践を開始しました。
■ 導入システム
社内実践期間 | 2020年8月~ ※前身機での実証含む |
設置機器 | 環境センサーD201/中継器/データ連携PC(環境センサー用App+R言語環境) |
クラウドサービス | Azure/PowerBI |
グラフ可視化 | PowerBIによる表示、アラート通知 Teamsによるメンション方式 |
設備 | 配線レスで次の日からモニタリングが可能 |
■RICOH EH 環境センサー D201導入効果
WBGT値の管理で温度では
気づけない危険も察知
RICOH EH 環境センサーと簡単な計算式でWBGT値を演算4段階の状態でリアルタイムな状況をお知らせ。
定量的な環境把握で
作業改善のきっかけに
改めてリスクの高い環境と管理者含め周知新たな休憩室増室への改善きっかけにつながった。
管理者がアラート把握で
安全な作業指示へ
管理者自身が環境把握することで作業時間の変更や水分補給、休憩の指示につながった。
■RICOH EH 環境センサー D201導入後の声
■「RICOH EH 環境センサー D201」について
RICOH EH環境センサーD201/D202は、工場や倉庫の壁際などの十分な明るさがない場所でも動作が可能です。
超小型サイズのため設置場所を選ばず、-30℃から60℃までの温度範囲で「温度・湿度・照度・気圧・内蔵リチウムイオン電池の電圧」を測定可能。 電気工事・配線・電池交換も不要です。Windows®のパソコンやスマートフォンとの連携によりモニタリングができるため、さまざまな場面で利用ができます。