複写ビジネスの減少分をカバーして余りあるPODビジネスへ。
新戦力は、RICOH Proです。
代表取締役社長 寺西 保氏
"社会の幸せ、会社の幸せ、社員の幸せ"
経営理念は、三つの幸せ
株式会社サンコーは、1950年複写業務の総合商社として創業。その後、マイクロ撮影、イメージファイリング、GIS、システム開発、ネットワークインフラ構築、データエントリー、人材派遣など、情報処理の総合商社として業務内容を拡大してきた。またISMS(情報セキュリティマネジメント認証、現在はISO27001へ移行)、プライバシーマークを取得し、社内のセキュリティ保護に対する意識を徹底して浸透させ、得意先から大きな信頼を得ている。
印刷業務は、1986年からワークステーションを利用しスタート。現在はビジネスソリューションサービス事業部において、POD(Print On Demand)ビジネスを展開している。
サンコーは顧客管理・施設管理・地図情報管理を数多く手がけており、そのデータをデジタルデータベース、マイクロフィルム、Webなどに仕上げる技術とサービスを持ち合わせている。そのひとつがPODサービスだ。すでにカラーPOD機を保有し、BSS(ビジネスソリューションサービス)事業においてPODビジネスを展開している。しかし同事業内の複写事業が時代の流れを受け年々下降を辿っていく中、部内の社員にも危機感が芽生えてきた。
「情報処理サービス業として成り立っているサンコーにおいて、創業以来の業務である複写ビジネスが落ち込み続けている現状を見過ごすわけにはいきません。私はこの状況を、BSS事業部の社員たちに投げかけました。そして上がってきた提案が本格的なPOD事業の立ち上げでした」
「サンコーの強みは、デジタルデータを多様な形に加工して、有効利用することです。業務では、マイクロアーカイブ、Webやスマートフォンビジネス、また、紙の冊子への加工などがあげられますが、紙媒体をデジタルデータとして扱うPODは、同じ紙を使う『複写の営業スタイル』も活かせる。これはサンコーにとって複写業で培った経験をデータサービスにつなげていく、大きなビジネスチャンスになるのではと感じたのです」代表取締役、寺西保社長は当時を振り返る。
当時は、サンコーに対し各メーカーからの新しいPOD機の売り込みが激しくなってきている状況だったという。「我々のビジネスでも得意先のインフラ整備を担うことがありますが、機械のメーカーにはこだわってはいません。もちろん、現状を超える性能や得意先のニーズに応えられる品質を持ち合わせていることが基本。機械導入の際に重視していることはメンテナンスやサポートなんです」BSS事業部を束ねる佐藤幸治部長の思いは、リコーのビジネス方針と合致した。
「RICOH Pro導入の魅力は、リコーの企業としての考え方です。リコーさんの『一緒に成長していきましょう。いろいろ教えてください』というビジネスのベクトルがサンコーと非常に近いものを感じました。さらに、機械を売りっぱなしにしないスタイルにも共感。リコーさんは企業をあげてサポートしますと約束してくれました」
「ビジネスパートナーとしてのリコーさんに期待しています」と、佐藤部長は語った。
佐藤部長は、寺西社長の投げかけに応える形で2010年『POD推進委員会』を発案する。部員の石黒敬祐主任をリーダーとし社内の有志10数名によって構成され、月数回のミーティングの議事録は経営陣へ毎回報告されている。
「BSS事業部にとって複写ビジネスの下降は大きな痛手です。現場では、その対応策として新しい仕組みが必要だと感じていました。POD推進委員会の役割は複写ビジネスの落ち込みをPODビジネスでカバーし、事業部全体の売上を向上させるという目標を達成させることです」カラーPOD機は、すでに導入されている。当初、寺西社長ほか経営陣は戸惑いを見せたという。石黒主任は事業計画書を手にしながら、さらにつづけた。
「これまで使ってきたPOD機ではスピード・価格・品質で、残念ながら競合とは勝負できない状況にあり、得意先の要望に応えるためには、より速くより低価格でより高品質に印刷できるPOD機が不可欠でした。それに複写業を担当していた営業マンにとっては、同じ紙を扱うこれまでの訪問先を活かすことができ、PODの新規獲得営業に必ず役立つと信じていました」POD推進委員会の情熱とやる気の詰まった事業計画書が経営陣の心を動かし、寺西社長はRICOH Pro導入を決定した。
RICOH Proと、同時に導入したバリアブルツール(MVP:モリサワ製)の組み合わせによって、新規案件を獲得した例がある。
建設関係の協会から、資格登録書(A4サイズ)と認定カードを受注。資格登録書には本籍地、取得年月日、住所、氏名、生年月日、発行年月日をバリアブル印刷。カードには抜粋した情報と顔写真も印刷する。石黒主任は、新規の中で特にこの案件を高く評価している。
「RICOH Proを導入していなければ、営業していなかった案件だと思います。この案件のいいところは、仕事が継続して入ってくるということです。現在1,000名ほどの登録者は3年に1度必ず更新の必要があり、資格登録書と認定カードもセットで作成しなければなりません。営業が細かく動かなくても、仕事が動く。これは自社開発し試験運用しているWebでの発注システム(Web to print)により、PODへつながっています」
RICOH Pro導入から1年。新規案件は着実に増え、その効果は数字となって現れた。導入後の1月から12月で見ると、PODビジネスの売上は前年対比約200%。コスト、クオリティに加え、短納期に対応できたことで獲得できた案件もあるとのこと。BSS部員のビジネスに対する意識が変わり、営業件数が増えることで相談を受ける件数もアップ。そのまま売上につながっているようだ。
サンコーでは以前からの得意先である官公庁には価格でも貢献している。以前にも増し、さらにいい関係が構築できているとのことだ。
BSS事業部 情報処理グループ長 矢部 秀二 氏
それまでクライアントのひとつであった広告代理店とも、RICOH Pro導入によってそのつきあい方に変化が出てきた。石黒氏とともにPOD推進委員会をまとめている、矢部氏に聞いた。
「その広告代理店とは、RICOH Proが入る前までは時折大型出力の依頼を受ける程度の関係でした。導入後イベントを一緒に企画する中で、RICOH Proを活用したノベルティ(メモ帳)を提案し、見事受注。きっとRICOH Proを気にいってくれたのでしょう。その後、いろいろな得意先にサンコーのことをPRしてくれるようになったのです。すでにいくつかは具体的な案件になっています。おかげでこれまで取引のなかった道内の大手企業さんとも、新たな関係が生まれました。ただ仕事を受けるという形ではなく、互いに補完し合うアライアンスという関係を強化させたのは、いうまでもなくRICOH Proの存在のおかげです」
RICOH Proは、プロジェクトチームの予想を超えるビジネスの横展開も引き出しています。
情報処理グループ 山口 智章氏
「PODビジネスの売上を見れば、RICOH Proが導入されてから平均して2倍ほどの仕事量があったはずなのですが、オペレーターとしての感覚はそれほどではありません。確かに印刷時間は半分くらいの感じですから、そのせいかもしれません。同じ時間で倍くらいの仕事をしていることになりますね」POD機を専任で扱っている山口氏は、RICOH Proのスピードを高く評価してくれた。
株式会社 サンコー