株式会社ルートート 代表取締役 神谷富士雄氏
株式会社ルート―ト 取締役 神谷嘉成氏
ROOTOTE GALLERY 代官山ルーストリート店店長 永原 恵利氏
株式会社ルートート コミュニケーション部 香取 恵理氏
1978年、デザイン会社として静岡県浜松市で創業し、ノベルティグッズや広告代理店業務を手掛けていた同社は1984年にオリジナルグッズの企画、製造、卸を開始。大型生活雑貨チェーンが開業した頃で、同社は生活雑貨にデザイン性を加えてライフスタイルを潤そうとする時流に乗った。
同社代表取締役の神谷富士雄氏は、「デザイン機能を備えたモノづくりの企業として、雑貨を通して世の中を楽しくするビジネスモデルを構築し、多彩な製品を作り出しました。トートバッグもその一つです」と振り返る。
二度目の転換期は2000年前後で「一つのプロダクトに絞り込み、ブランディングして感動を広げよう」(神谷代表取締役)との方針を打ち出し、2001年、トートバッグ専門ブランド『ROOTOTE』を起ち上げた。
『ROOTOTE』のネーミングはカンガルーの“ルー”とトートバッグの“トート”からの造語。すべての製品にカンガルーのおなかの袋からヒントを得た「ルーポケット」を添え、ブランドにアイデンティティを加えた。神谷代表取締役は「一つの製品に絞ることが、自分たちの存在意義を示す上では非常に良い考え方でした」と、ブランドを起ち上げた理由を述べる。
現在、『ROOTOTE』は直営10店舗、国内フランチャイズ2店舗、海外フランチャイズ2店舗、直営オンラインショップ6店舗、またホールセールスも国内外問わず多彩な業態へ展開するまでに成長している。
「RICOH Ri 100を見た時にこれは自分の中でチャンスだと。約20年前に考えたことがサービスとして実現できると感じました」。2018年、同社はリコーのガーメントプリンター『RICOH Ri 100』の導入を決断。オンデマンドで“世界で一つだけ”のトートバッグを作って販売するサービスに踏み切った。
「誰もが使えるシンプルさ。性能もプリント品質も十分に満足できます。非常に優秀なプリンターですね」と評価するように、渋谷のロフトで開いたイベントで、RICOH Ri 100を持ち込み、無地のトートバッグに障がい者アーティストが描いた作品をその場でプリントして提供。約80枚を販売し、新サービスヘの手ごたえを感じた。
まずは東京都渋谷区の代官山ルーストリート店でサービス開始を予定。店舗の一角に並べた若いアーティストの作品から顧客が好みのデザインを選び、RICOH Ri 100でプリントしたり、顧客が持ち込んだ写真やデータからのプリントにも応じるサービスも検討している。
大量に提供して共感を生んでいく商品もあれば、世界に一つだけの商品を作る領域も必要と考えています」。神谷代表取締役はROOTOTEのブランド価値の向上に、『RICOH Ri 100』が寄与すると期待する。
代官山ルーストリート店をパイロット店舗としてスタートする予定のオリジナルトートバッグのオンデマンドプリントは将来的に全店舗に拡大することも視野に入れている。従来からアーティストコラボレーションやインキュベーションを大切にしてきたこともあり、オリジナルデザインのプリントを手掛けながら、「クリエイターやデザイナーとの接点を作っていくのがモノづくりの中では重要」(神谷代表取締役)と、若いアーティストをサポート、していく。加えて「ネット販売を強化する上でも、“世界で一つだけ”はキーワードになってきます」と、インターネットでの販売も視野に入れている。
また、株式会社ルートート取締役の神谷嘉成氏は「オンデマンド生産は当たり前になっていくでしょう。アイデア次第で可能性は無限に広がっていくと思います」と、一層のブランド力向上へ胸を膨らませる。
オペレーションの面からはRICOH Ri 100に適したトートバッグの素材『ベーストート』の開発に着手。RICOH Ri 100のカセットサイズやポケット位置を考慮し店舗でプリントする際のオペレーションの容易さと時間短縮を図っていく。
神谷取締役は、「お客様の趣向が細分化しており、市場が多様化していると感じます。ニッチなコンテンツでも適切に訴求できれば支持される面白さがあります」と述べる。在庫のリスクが常に生じるものの、色とりどりの商品が店舗に並び、そこから選ぶ楽しさがROOTOTEのブランドを作る一つの要素となっている。
「お客様にとって色々な選択肢がある時代です。その中で自分の店を選んでもらえるようサービスを強化しなければいけません」。顧客に選ばれる新しい施策は店舗に限らずバイヤーも同様に必要としている。“モノ”消費から“コト”消費へと消費者の購買行動が変化しているが、さらに踏み込んで“コト”の質が問われている
「営業部門の仕事の一つがバイヤーとの信頼関係の構築です。求められることだけを提案していると信頼関係は築けません。求めていることを超えた提案が必要です」。バイヤ一向けの自社展示会でRICOH Ri 100を利用した新サービスを紹介したところ大きな反響を得て、「営業として新しい武器ができたと思います」と手応えを感じている。
店舗でオンデマンドプリントを提供するに当たり、制約となっていたのが機械のサイズに加え、安全性と操作性だった。
限られたスペースにできるだけ多くの商品を並べる店舗の性質上、機械にはコンパクトが要求される。ROOTOTE GALLERY代官山ルーストリート店店長の永原恵利氏は「本体はコンパクトですね。もちろん、お店に設置すれば商品ラインナップを削ることになりますが、RICOH Ri 100には可能性があります」と見ている。設置スペースを最小限に抑え、かつ、陳列できない分をRICOH Ri 100で出力するという発想である。
プリンターを操作するのは店舗で働く従業員。今後、多店舗でオペレーションする上では安全性と操作性が欠かせない。RICOH Ri 100は従来のヒートプレス方式と違い、印刷したインクを定着させる仕上げ機が内部に格納されており、熱だけで定着させる。このため直接熱を加える部分に触れることがない。操作性も「一度レクチャーを受ければ直感的に動かせます。卸先に紹介する時にも誰でも使えるのは大きなポイントです。期待通りですね」(神谷取締役)と評価する。
「ROOTOTE GALLERYはROOTOTEをアート作品のようにデイスプレイすることからこの名を付けました。このお店にRICOH Ri 100を置き、若いアーティストの作品をトートバッグにすることで、アーティストの作品が広がっていければと考えています」(永原店長)。肩に下げたトートバッグのデザインが街行く人の目に入ることによって、作品への興味を引き出し、若いアーティストのインキュベーター(孵化器)の役割を担うことが狙いだ。
また、店舗で顧客が撮影した写真をプリントするサービスを提供することも検討している。自分が撮影した写真を試しにプリントした永原店長は「きれいに出てきました。こんなに早くオリジナルのトートバッグが作れるんだと感じ、楽しかったです」と実感している。付属のソフトウェア『RICOH Design Software』については「アプリケーション内のテンプレートの色やサイズが変えられ、自由度があります。画像を取り込んで色を変えることもできます」と満足している。
広報を担当する同社コミュニケーション部の香取恵理氏は、RICOH Ri 100の導入前に開いたバイヤー向けの自社展示会で、「ビジネスとして採用を検討するというお客様もいらっしゃり、とても良い反応がいただけました。個人的にも楽しさを感じており、B to Cの目線での需要も確認できました」と声を弾ませる。
操作性も「ユーザーインターフェイスが優しいことに驚きました。プロシューマーにしかできなかったことが、誰でも簡単に使うことができます。お客様に自由に使っていただくことでお客様自身のクリエイションを引き出せる機械に仕上がっていると感じます」と高く評価する。
「あとはコンテンツ次第。ROOTOTEとして何が作れるのかが腕の見せどころです。メディアの方々も興味を持っており、広報的にも良いPRツールになります」。香取氏は新しいモノづくりの形態から話題性を生み出そうとしている。
お客様情報
■お客様会社名称:株式会社ルートート 様
■本社所在地:〒430-0854 静岡県浜松市中区瓜内町1937
■創業:1978年
■URL:ROOTOTE : http://ROOTOTE.jp
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