2014.11.17
代表取締役 社長
峯村 憲一 氏
愛媛県四国中央市のダイムワンはブライダルのペーパーアイテムに特化して事業を伸ばし続けている。2012年に導入したRICOH ProC651EXは同社の成長を後押しする強力なエンジンとして売上増に貢献。自社開発のオリジナル商品は他社との差を生み出している。
同社の峯村憲一社長は「2010年の創業当初は厳しい時期もありましたが、お客様や取引先、関係者、社員に恵まれて軌道に乗ることができました」と振り返り、感謝する。社内は風通しも良く、そうした社風が「社長のためにも」という気持ちを育んでいる。商品アイテムは結婚式・披露宴の招待状、席次表、席札、結婚証明書、ゲストブックの台紙などで、ほぼ100部以下の小ロットである。ホテルや式場、レストラン向けにサンプル帳を提供し、ブライダルプランナーから新郎・新婦に提案してもらうスタイルである。商圏は四国が中心で、中部から東北にも顧客を持つ。社長が足を運んで開拓しているが、紹介や口コミが多い。
招待状は通常、式の3ヵ月前に制作する。大半が招待状と封筒に加え、乾杯の発声や祝辞などを依頼する付箋などがセットになる。招待状が来賓に届き、出欠が決まれば、席次表や席札を制作。結婚式・披露宴の繁忙期は4 ~ 5月、9月~11月だが、招待状から席次表、席札までに至る期間が長いため、同社ではほぼ年間を通して制作作業がある。
結婚式・披露宴は新郎・新婦にとって人生の一大イベントである。印刷物の誤字脱字は許されない。ところが原稿のほとんどが手書きで送られてくる。データ入稿の場合でも文字化けの可能性があるため、校正には細心の注意を払う。何度も校正のやり取りが発生し、社員は頻繁に連絡を取り合うプランナーから頼られる存在となる。
急な来賓の名前や肩書きの修正依頼に備え、同社では夜中でも連絡がつくようにしている。社員は、大事なイベントを扱うプランナーに大きな重圧がかかることが解るため、式に間に合うよう夜中に印刷して直接届けることも厭わない。それがプランナーとの関係を深め、同社の「信頼」を強固にしている。
RICOH Pro導入以前は、デスクトップ型のレーザープリンタを利用して席次表や席札を出力していた。しかし、受注増加に伴い、早急に生産性を上げる必要に迫られていた。そうした時にリコーの営業担当者から熱心に勧められ、セミナーや実演会に足を運び、次第にデジタル印刷機の可能性を認識していった。
「リコーから説得力のある生産性やコストのシミュレーションを頂きました。特殊な紙を使う商品アイテムが多いのですが、出力検証にも応じて頂き、そこから新たなアイデアが膨らみました。生産性もさることながら、“これは絶対に売れるぞ”という商材開発の見込みを感じたことが、導入決断に最も響きました」「面倒なことも喜んで」という同社の姿勢はプランナーの業務を支える。取引先のプランナーには「ダイムワンのサンプルから選んでほしい」という意識が働く。RICOH Proは確実に同社の信頼向上の一助となっている。
商品アイテム数を増やしたい
色を安定させ、無駄をなくしたい
出力業務の負担を分散させたい
オリジナル商品で売上アップ
無駄な出力が減り、生産性向上
扱いやすく出力業務が2人体制に
RICOH Pro導入前、同社の商品アイテム数は20種類程度にとどまっていた。仕入れコストを下げるために、5000部単位で追い刷り用の既製台紙を発注していたため、在庫がかさみ、商品アイテム数を絞らざるを得なかったのである。オリジナルの企画商品の制作を外部委託すれば、さらに単価が上がり、発注ロット数が一層増える。
RICOH Pro導入後はオリジナルの企画商品を制作しても在庫が用紙だけで済むようになった。オンデマンドで必要な数だけを出力できるようになったことで、商品アイテム数は倍増した。「パソコンの普及でアイテムの手作りが増えましたが、アマチュアの方には大変な作業です。デジタル印刷であれば、クリスマス向けなどの季節感のある魅力的な商品を低コストで制作できますから、プランナーの方が手作りよりもこちらのデザインはいかがですかと提案しやすくなります。ロゴを入れた式場のオリジナル商品も評判がいいですね」
同社が所在する四国中央市は紙加工日本一の町。近くの紙卸商からは用紙の新製品が出るたびに提案される。リコーの出力検証の支援もあり、多様な用紙への出力ノウハウが身に付くほか、自社デザイナーと導入した後加工機との連携で商材開発の時間は一気に縮まった。商品アイテム数の増加と開発速度の向上は営業面で強力な武器になっている。
従来のデスクトッププリンターでは出力するごとに色が変わり、紙面上にムラが出る。良品を得るために出力し直すと、仕損(ヤレ紙)も同時に増加。「いくら調整しても色が安定しない」という悩みは大きかった。また、席次表に記載する肩書きが長いと文字を詰めたり、縮小したりする。デスクトップ機では5.5ポイント以下になると、詰めた文字間のつぶれや明朝の横線が飛ぶといった不具合も発生していた。「RICOH Proで写真や文字が本当にきれいになりました。色のぶれもありません。以前は不良品率が高く、出力し直しで作業の予定が狂うことがしばしばでした」と、デジタル印刷の導入を喜ぶのは同社の菊池氏。細字の再現性も高く、5ポイントで出力した場合でも明瞭に文字が判別できている。
不良率の低下と、原価が低い白紙から出力できるオリジナル商品の拡充で利益率は劇的に向上。既に投資分も十分回収できている。
同社の社員数は13名。出力オペレータは菊池氏1人の体制だった。校正作業が重なり、納期が近くなると負荷がかかるのは出力業務。「きれいなものを作るために妥協しない性格だから」と、峯村社長は菊池氏の品質に対する思い入れを信頼している。その一方で、仕事が増えるにしたがい、職人技の色合わせは限界に達していた。急な直しや変更への対応ではとくに負担が集中。オペレーションの見直しは必須だった。
現在は、女性社員1名が菊池氏のサポート役として出力業務に携わっている。菊池氏が“師匠”役として使い方を伝授した女性社員はみるみる上達。1人にかかっていた負担が分散しつつあり、将来に向けた生産体制の拡張への布石にもなっている。
フォトブックやウェルカムボードは割高感があり、注文しない新郎・新婦が多い。峯村社長はそれらの商材について「デジタル印刷機で提供すれば値ごろ感が出せると思います。需要はありますので、できるだけ早く取り組んでいきたい」と見込んでいる。また、全国の印刷会社向けにペーパーアイテムを提供するビジネスも温めている。印刷会社とのコラボレーションはデジタル印刷機を導入した要因の一つ。すでに引き合いがあり、ビジネスの見込みがつけば2台目の導入を考えている。
昨今、型どおりの結婚式を敬遠する傾向や、若者の結婚式離れ、結婚適齢人口の減少等からブライダル業界市場の縮小が懸念されている。しかし、「私たちのペーパーアイテムで、そのカップルらしい、二人だけのブライダルを演出することで、お客様に満足頂き、ひいては業界全体を盛上げていきたい。RICOH Proでそれができると強く感じています」と、峯村社長は業界の活性化も展望している。
菊池氏は実感を込めて「会社にRICOH Proを導入してもらえていなかったらと思うと、業務がきちんとこなせたのか本当に怖くなります」というほど助かっている。
「作業は早くなりましたし、色合わせの手間が省けました。日常的に使っていて、いいなと思うのは大量に用紙が装填できることです。頻繁に給紙しなくても良いので、出力中に違う作業に移れます。様々なサイズが出力できる手差しトレイを利用することで、臨機応変にアイテムを制作できます。用紙によって最適な出力設定を呼び出せるプロファイル機能も便利です。このサイズの装置ですが、設置スペースも、動作音も全く気になりません」
菊池氏は機械の導入に際してリコーから講習を受けた。その感想は「教えてもらった通りに動かせば全く問題ありません。その後、判らないことが出てきてもすぐに電話で対応してもらい、素早く立ち上がりました。デスクトッププリンターに比べて大がかりな装置ですし、プリントサーバーを始めて扱うので不安もありましたが、いざ使い始めてみると本当に簡単でした」と語る。
菊池氏は知人の結婚式・披露宴に出席した時にはどうしてもペーパーアイテムの品質に目が付いてしまう。その都度、「うちの方がきっちり出ているな」と確認しているという。
RICOH Proで品質は劇的に向上した。席次表に掲載する新郎・新婦のプロフィール部の顔写真の仕上がりは「本当か?」というほど従来のデスクトッププリンターと違った。プランナーからの希望で、良いものを作りたいと高度な品質を求める新郎・新婦と直接、やり取りした時には、式の終了後、「こんなにきれいに作ってもらって」と、感動をしたためた礼状までもらった。
「使っている立場として満足。これがない業務は考えられません」と菊池氏。また峯村社長は「これからもリコーの協力を得ながらこの市場を盛り上げていければ」と述べている。
お客様名称 |
株式会社ダイムワン |
---|---|
創業 | 2010年1月(平成22年) |
所在地 | 本社 〒799-0405 愛媛県四国中央市三島中央3丁目17番18号三木ビル2F |
従業員数 | 13名 |
資本金 | 300万円 |
設備 | RICOH Pro C7100 2台 |
主な得意先 (順不同、敬称略) |
結婚式場各社、レストランウェディングなど |
主な印刷物 | 招待状、席次表、席札など |
主な業務内容 | ブライダルアイテムの製造と販売 |
本ページに掲載されている情報は、2014年11月現在のものです。
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