Zoomを用いたオンラインセミナーなど、ウェビナーを開催する機会が増えています。
ウェビナーを開催すること自体、参加者に情報提供やアピールをすることにつながりますが、さらに参加者に対してアンケートを行うことで、事後にさまざまな可能性が生まれます。
ウェビナーでは、参加者に対してアンケートを実施することができますが、効果的に実施したいものです。
効果を高めるためには、まず「なぜアンケートを行うのか?」という目的を明確にすることが大切です。例えば、次のケースで考えてみましょう。
・見込み顧客の育成を行いたいケース
アンケートを実施して、ウェビナー参加者の情報を取得し、メールアドレスなどに定期的に有益な情報を提供してコミュニケーションを取り続けることができます。つまり、見込み顧客を顧客に引き上げるために、育成を始めることができます。もし、育成を目的としてアンケートを行うのであれば、アンケートの内容も変わってくるでしょう。
つまりアンケートの内容は、見込み顧客の課題を明確にするような質問、自社の製品、サービスで解決するために必要な情報を集めるような内容にすることが大切です。
・ウェビナーを改善したいケース
ウェビナーを実施した後、今後のウェビナー企画に向けて、ウェビナーをブラッシュアップして品質を高めていくことが目的である場合、アンケートで参加者から感想をもらうことで、ウェビナーの改善点を見出すことができます。改善点がわかれば、次のウェビナー開催時に活かしていくことが可能です。
アンケートを効果的に行うには、目的にかかわらず、次のような点に注意しましょう。
・匿名性・プライバシーを守る
できるだけ、匿名性やプライバシーを守ることが重要です。回答者がアンケート回答時に自由に意見を述べやすいためです。匿名にすれば、回答者の人間関係や社会的な立場によるバイアスが排除されるため、率直な意見を書いてもらいやすくなります。本音を書いても誰からも報復されないという安心感があるためです。
ただし、匿名にすると見込み顧客の情報を獲得することが目的だった場合に、メールアドレスなどの情報を取得できなくなります。そのため、目的に応じて匿名回答にするかどうかを検討しましょう。
・回答しやすい質問にする
アンケートの質問は、回答しやすい質問に工夫することも大切です。
回答者ができるだけ短時間、かつ簡単に回答できるように、質問の数や選択肢を必要最低限に絞ったり、わかりやすい質問をつくったりしましょう。
回答のしやすさという観点からすれば、自由記述よりも選択式のほうが回答しやすいため、基本的には選択式がおすすめです。
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ウェビナーアンケートの効果的な実施方法は?
ウェビナーでアンケートを実施することは、目的によってねらいは異なるでしょう。とはいえ、目的がどのようなものであっても、副産物として次のようなメリットは得られます。
アンケートで氏名やメールアドレス、電話番号などコンタクト情報の入力を促した場合には、見込み顧客となる参加者がいれば、見込み顧客の情報が取得できることになります。許諾を得た上で、メールアドレス宛に今後も情報を届けることで、見込み顧客の育成を行っていくことができます。営業やマーケティング活動に直接つなげることができるのは、大きなメリットといえます。
見込み顧客の情報を取得すると同時に、ニーズを知ることができる可能性があります。アンケートに、見込み顧客の持っている顕在ニーズや潜在ニーズを引き出す質問を用意しておけば、各者のニーズを把握でき、今後の情報発信や働きかけに役立てられます。
例えば、一人の見込み顧客が「業務負荷が高い」ことに課題を感じていることがアンケートでわかれば、業務負荷を軽減する何らかの方法や商材を提案することで、相手を引きつけることができるでしょう。
ウェビナーの率直な感想をアンケートで回答してもらうことで、今後のウェビナーの改善や、テーマ選定に役立てられます。参加者の要望にあわせてウェビナーを作れば、より魅力的なウェビナーになるでしょう。
回答者に許諾をとった上で、ウェビナーや商品・サービスの感想や評価についての回答を、自社のWebサイトや店舗内に「お客様の声」として掲出できるのも一つのメリットといえます。
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ウェビナーでのリード獲得効果を最大化するアンケート方法
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アンケートを実施したら、集計と分析を行うことで、よりデータとしての価値が生まれます。数ある集計方法と分析方法のうち、おすすめの方法をご紹介します。
・単純集計
アンケートの基本的な集計方法です。回答結果を合計して、各回答結果がどのくらいの割合なのかを算出します。これにより、全体の回答傾向を把握することができます。
例えば「Q.ウェビナーは有意義でしたか?」との質問に対し、「はい」と回答したのが100人中60人だった場合、単純に「有意義60%」「有意義でなかった40%」となります。
・クロス集計
クロス集計は、単純集計の結果に対して、さらにグループを分けて集計するものです。例えば、先の「有意義60%」のうち、男性は何%で女性は何%なのかを知るために、男女でグループ分けをして集計を行います。
このようにさらに細かく集計を行うことで、より詳細な傾向を見出すことができます。
・自由記述集計
自由記述の回答については、選択式とは異なる集計方法があります。
回答が数値の場合と文章の場合とで集計方法が変わります。回答が数値の場合は、平均値や最小値、最大値、中央値などを算出して傾向を見ます。
回答が文章の場合は、アフターコーディングとテキストマイニングがよく行われます。アフターコーディングは、似ている回答文をまとめて、分類コードを設定する方法です。テキストマイニングは、自然言語処理という手法を用いて、単語や文節ごとに、出現頻度や相関性を確認します。
・主成分分析
主成分分析とは、要素を集約・分類して、よりわかりやすく、シンプルにデータを見る方法です。例えばアンケート結果が5つの要素に分類されたとすれば、5つをそのまま理解しようとすると、複雑になってしまいます。そこで、より少ない主成分に分け直します。例えば5つの要素を3つの主成分に集約します。これにより、わかりやすくなります。
・決定木分析
決定木分析とは、1本の木のようにパッと見てわかりやすくすることができる分析手法です。得られた結果データをツリー構造で階層分けすることで、データの持つ構造を把握しやすくすることが可能です。
・クラスター分析
クラスター分析は、多くのデータから似ているものをグループ化して分析する手法です。クラスターとは、同じ種類もしくは類似性を持つもの同士の集まりです。アンケートの回答者をクラスター分けすることで、今後のアプローチ方法を決めることができます。
・アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、アンケート結果のデータをもとに、仮説を立てながら関連性を探る分析手法です。「Aという条件が満たされる場合には、一定の確率でBという結果が起こっている」といった事象が確認できれば、AとBが関連しているという仮説を立てられます。この仮説をもとに、施策を実施することが可能です。
・時系列分析
時系列分析とは、例えば一年間の間にどのような変化が起きているかといったように、時系列で見て分析する方法です。例えば大衆へのマーケティングを行う場合には、その時期の情勢や流行の変化を考慮する必要があります。一定期間ごとに集計することで、時系列的な変化を把握することが可能です。変化予測が立てられるので、そこから将来の施策を立てていくことができます。
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ウェビナー終了後のアンケートを活用して成果を最大化する方法
ウェビナーにおいてアンケートを実施することは、メリットが大きいため、ぜひ取り入れましょう。ただしアンケートは回答を回収することを目的とするのではなく、結果を分析し、活用することを目的にしましょう。
リコーではお客様のオンラインイベントやウェビナーの運営支援を行っております。
イベントプラットフォーム「EventHub」を活用すると、登録から当日の配信、事後アンケートまでを1つのツールで完結させることができます。登録・視聴・アンケートデータが自動的に一つのCSVにまとまり、ワンクリックでダウンロードもできます。そのため、イベント終了後、すぐにでも参加者へのフォロー、および商談化につなげていくことができます。
また、複数回のウェビナー結果データを横断的に分析することが可能な機能もあるため、より有意義に利用できます。詳細については、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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